K2 (漫画)
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K2 | |
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ジャンル | 医療漫画 |
漫画 | |
作者 | 真船一雄(作画) 中原とほる(原案協力) 原田知幸(医療監修) |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | イブニング →コミックDAYS |
レーベル | イブニングKC |
発表号 | イブニング: 2004年11号 - 2023年6号 コミックDAYS: |
巻数 | 既刊44巻(2023年2月現在) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画 |
ポータル | 漫画 |
『K2』(ケーツー)は、真船一雄による日本の漫画。原案協力は中原とほる。医療監修は原田知幸。『イブニング』(講談社)にて、2004年11号より2023年6号まで連載。同誌の休刊により「コミックDAYS」(同)に移籍し、2023年3月26日より連載が再開している[1][2]。1988年から1998年まで『週刊少年マガジン』にて連載されていた『スーパードクターK』シリーズ(以下、前作)の続編である。
概要[編集]
前作の主人公・ドクターK(KAZUYA)の一族の分家筋にあたる医師・神代一人と、KAZUYAのクローンである少年・黒須一也を軸に、KAZUYAの死から5年が経過した2004年からストーリーは始まる。
一人を中心にした社会的な医療ドラマと、一也の成長に関わるエピソードが基本線になっており、前作のキャラクターが脇役として登場することも少なくない。一方、KAZUYAが生前に難病患者に対して診察券代わりに渡した10本のメスにまつわる話も盛り込まれており、KAZUYAが活躍していた前作の時代(1980年代後半 - 1990年代)と比べ、現代医療がどれだけ進歩したかという点に焦点を当てられることが多い。
劇中の時間経過は現実に則しているため、レギュラー登場人物は物語の進行に伴って加齢・成長する。また、前作の最終話エピローグ(2018年)とも繋がる様に作られている。具体的には大垣や高品の設定や容姿、そして高品とその息子が出会った若いKの姿は放浪中の一也であった事などが挙げられる[3][4]。
2021年1月時点でコミックス累計発行部数は230万部[5]、2021年9月時点で「スーパードクターK」シリーズの累計発行部数は1500万部をそれぞれ突破している[6]。2023年2月から5月31日まで全話がコミックDAYSで無料公開されたことでSNS上で反響をよび、作中で用いられる擬音「ギュッ」や「入ったら死ぬ風呂」などが話題を呼んだ[2][7]。
あらすじ[編集]
Kの再来(第1話 - 第12話)[編集]
2004年3月、西海大学病院から無医村に医師として派遣された富永研太は、警視庁の岡本に無資格医が無医村にいると告げられる。しかし道中岡本が大怪我を負い、マントの男の手術によって救われる。無資格医療者を憎悪している岡本は、麻酔から覚醒した瞬間に男に手錠をかけ、逮捕する。しかし岡本の体には手術痕も残っておらず、男の卓越した医療技術と医学に対する信念に感銘を受けた富永も無資格手術への証言を拒んだため、男は釈放される。
男が去り際に告げた名「K」と、傑出した医療技術や風貌から、マントの男はドクターK・西城KAZUYAではないかと考えた岡本は、富永を連れてKAZUYAの妹であるKEIの元へ向かうが、KAZUYAは5年前にガンで死亡していた。「K」と名乗る男の正体を確かめるため、岡本・富永・KEIは再び村に向かう。
村では「K」の執刀により、法律で禁止されている子供から子供への心臓移植手術が行われ[注 1]、それを村人たちが補助していた。代々卓越した医療技術を持っていた「K」の一族は一族を2つに分け、KAZUYAら表の一族と、影からそれをバックアップする影の一族に分けており、男は影の一族の当主・神代一人であった[注 2]。村は臓器移植のドナー制度を整えるなど、影のK一族の医療技術を維持・向上させるために協力する存在であった。
K一族の系譜が途絶えてしまっている現状を憂慮していたKEIは、一人を表舞台に出し「K」の称号を引き継いでもらうことを画策する。一人は特例での医師免許発行の条件として難易度の高い手術を課されるが、KAZUYAを知る高品・朝倉にKの再来と言わしめるほどの衝撃を与えつつ手術に成功し、正規の医師として表舞台で活動していくこととなる。同時にKAZUYAの時代では完治させることができなかった患者のもとを訪れて治療をしていき、ドクターKの後継者としての評価を高めていく。
一也、小学時代(第13話 - 第91話)[編集]
一人と一也の出会い[編集]
KAZUYAのクローンである黒須一也の生みの母親である黒須麻純の家を訪ねた一人は、K一族を見守り補完するため、一也をドクターKに育て上げる役目があることを麻純に伝える。
一方、小学校の同級生らとキャンプに行っていた一也は、愛犬が熊に襲わる事態に巻き込まれる。駆け付けた一人から愛犬は内臓破裂で助からないことを聞かされ一也は涙する。その後再度出現した熊と対峙した一也は、熊とともに崖から転落する。愛犬と同様に内臓を損傷した熊を治療する一也の姿に、一人は医者としての、何よりもドクターKとしての資質を確信する。
臓器クローン組織[編集]
飛行機の墜落事故をきっかけにクローン臓器が密売されていることを知った一人は、組織の一員に失踪した自身の関係者が関係しているのではないかと疑念を抱く。
その後、一也の誘拐事件が発生する。金銭要求がないことからKAZUYAのクローンである一也自身が組織の目的だと悟った一人は、誘拐事件解決後、一也を自身の村で保護・育成することをKEIと麻純に伝える。
業を煮やした組織は、村出身で診療所の執事だった村井が直接一也を捕える計画を立て実行に移す。このときに一也は村井の口から自身がKAZUYAのクローンであることを知る。一也はこのことやKAZUYAおよびKAZUYAの父である一堡が短命であったことにショックを受けるも、KAZUYAが短命だった原因が原子力医療施設の事故による被曝であったことを調べあげ、また周囲のサポートによってショックを乗り越えていく。
ある時一人は、移植医療の第一人者である相馬有朋からの依頼で合同で肝臓移植手術を行い、以後彼との親交を深めていく。一也も相馬の手術や授業に参加するなど彼との良好な関係を築いていく。しかし相馬もまた一也を狙う組織の一員であった。彼は一也を自宅に招いて体細胞摂取を画策するも失敗。一人たちの説得によって改心する。その後一人たちは相馬の協力を得て臓器クローン組織を摘発することに成功するが、一方で相馬は頭部を銃撃されたことにより脳死状態となり、本人の遺志により相馬の臓器は患者たちに移植されていく。
相馬の死を受けて、一也は小学6年生にして、将来医者になる決意をする。
一也、中学時代(第100話 - 第161話)[編集]
中学生になった一也は、すでに体格が大人顔負けとなるだけでなく、運動神経抜群、品行方正、成績トップレベルとなる。医療知識・手技に関しては文献だけでなく、一人の指導の下、シャドーボクシングならぬシャドーオペレーションをもって連日模擬的に手術をこなしている。一人だけでなく、かつてのKAZUYAのライバルであるドクターTETSUが、ガンに侵された自らの体を使って一也に医療を指南する。
一也、高校時代(第165話 - 第229話)[編集]
高校に入学して1年生の時に、一也は宮坂詩織と出会い、自身の出生を話すほどの間柄となる。
2年生の時には、8年間共に診療所内で過ごし兄のように慕っていた富永が実家の病院に戻ることになる。またKEIの夫である磯永幸司と出会い、様々な人種・年齢の人間が集まるアメリカのシカゴで医学を勉強することを提案されるも、一也は改めて一人の元で学ぶことを決意する。
3年生の時にはTETSUが身元引受人となっている和久井譲介と出会う。TETSUからK一族のことを聞いていた譲介は一也に対して異常とも思える対抗心を持ち、学校内でトラブルを起こす。そのような譲介を警戒していた一也だが、一人の診療所で彼と二人して患者の治療に関わった際に、彼の医療に対する真剣さを感じ取る。TETSUは譲介と一也を引き合わせることで一也にどのような変化が起きるのか見たいと考えていたが、一也は自分自身は変わらないとTETSUに断言する。その言葉通りに譲介の方が徐々に変わっていき、そして一也とともに帝都大学医学部の入試試験に臨むことになる。
一也、大学時代(第230話 - 第336話)[編集]
一也はKAZUYAも通った帝都大学医学部に現役で合格し、医学生として研鑽する毎日を送る。一方で不慮の感染症罹患により受験できず不合格となった譲介は覇気のない生活を送っていたが、子供の溺水事故に一人とともに遭遇し、一人の「命に対してあきらめの悪い人間になれ」という言葉を受ける。譲介は自分を変えるため、TETSUの元を離れ、一人の元に身を寄せることを決意する。
大学1年修了時に一人の診療所に里帰りした一也は、居候している譲介と再会する。譲介は里帰りした一也の彼に対する発言から「こんなザマでお前はドクターKになれるのか」と言い放つ。そんな彼の言葉を受けて、一也はKAZUYAの人物像を知るために、彼の旧知を訪問することを決意する。そして彼らの出会いによって、また「自分の信じる道がドクターKへの道である」という言葉を受けて、医の道を邁進していく。
ロシアカルト教団[編集]
ロシアから帝都大学に交換留学生としてビクトルという男がやってくる。留学生として過ごす彼に対して、一也とKEIは彼が嘘をついていることに気がつくも、嘘をつく理由はわからなかった。
ある夜一也は急に道端で倒れ、ビクトルの処置によって一命を取り留める。処置に使用した解毒剤から、一也がVXガスに暴露されたことを知ったKEIは、以前嘘をついたビクトルに対して殺気立つが、その時KAZUYAの叔父である一昭のかつての側近ジリノフスキが姿を現す。彼の話により、ビクトルの留学生としての立場は仮の姿であり、再生医療・クローン技術を認めないロシアのカルト教団「ストロージ・ジーズニ(命の番人)」から一也を守るために遣わされた人物だということがわかる。
瀕死の重傷を負った一也を匿うためにKEIや麻純、ジリノフスキ、大垣らは尽力するが、カルト教団に居場所を突き止められてしまう。KEIらはカルト教団がサタンの母と呼ばれるTATP(過酸化アセトン)での自爆により一也を抹殺しようとしていることを知り、一也のもとへ急ぐ。一人と譲介も駆け付け、教団一味を制圧するが、生き残りがTATPを起爆し、教団の一員でビクトルの一卵性双生児のバレリと麻純が瀕死の重傷を負う。
爆破前に目覚めていた一也に対して麻純は、自分をすでに助からない人間としてトリアージし、他の助けられる人を助けるよう叱咤する。そしてビクトルとバレリを救命している一也の姿を見ながら麻純は息を引き取る。
騒動終結後、一也は黒須家に残された遺品を整理しているとき、アタッシェケース内に残されたKAZUYAのマントを見つける。一也は母親がどういうつもりでそれを遺したか思案するも、最終的にはそれを身に付け、周囲には何も告げずに放浪の旅に出る。
一也放浪編(第337話 - 第399話)[編集]
母親を亡くすトラウマを抱えたまま放浪の旅に出た一也は、医学生の身分ではあるが、各地で医者が驚くような適切な処置を患者に対して行っていく。
新たなK一族の系譜[編集]
ある時、一也は港で「医者いらずの島」と呼ばれる波留島の存在を聞き、島に行くことを決める。島に着いた一也は島民が最先端の高度医療を受けていることに気が付き、そのことについて島民に聞いて回るも島民は警戒して取り合ってくれない。外部の人間を拒む理由を思案していたところに助けを呼ぶ少女の声が聞こえ、重症者を発見。少女とともに島内唯一の診療所に患者を運ぶ。そこで一也は、神代一人の父親であり長く行方が知れなかった神代一郎と邂逅する。そして一郎から、島内で代々医業を行ってきた神津家の存在、及び村内で代々医業を行ってきた神代家との類似性から、神津家も神代家同様にK一族の系譜である話を聞かされる。
神津家の主である神津一友はすでに他界しており、その娘である神津海は目の前で父親が大雨による濁流に飲まれてしまったことを自分の手が届きさえすれば助けることができたと悔いていた。このことを一郎は一友があえて海の手を取らなかったのだと伝え、海が父親のようになりたいと申し出ると一郎は厳しく鍛え上げることを誓う。一方一也は次代のKとなるためにするべき研鑽を放棄している現状を一郎に叱咤されるが、己の道を歩み始めた海を見て、自分自身の居場所に戻る決意をする。
富永との再会[編集]
一也は自身の身に起きたことを報告するために、かつて共に過ごした富永と再会し、院長となった富永の病院でスチューデント・ドクターとしてしばらく滞在することを決める。そして4人の研修医とともに患者と関わる中で、自分に与えられた時間と後悔しない道を思慮した結果、病院を後にする。
ティガワール王家[編集]
一也はドクターTETSUに連れられて、ティガワール王家王妃の子宮頸がん合併妊娠の治療を手伝うことになる。王家のしきたりで妊娠中の治療や帝王切開が認められず、しかも胎児は先天性上気道閉塞症候群を患っているため産後の生存が絶望視され、さらに医師団から王家への反乱が起き状況は混迷を極めるが、一也の事前の連絡により、一人と譲介が合流し、出産、胎児の治療、母体の子宮頸がんの治療の同時手術が始まる。
村への帰還、大学卒業[編集]
放浪生活の医療活動が認められ、一成は大学6回生に復帰する。医師国家試験の当日に交通事故に巻き込まれるものの、宮坂ら同期とともに無事に試験を突破し医者となる。
(第400話 - )[編集]
一也と宮坂は研修希望先として一人の診療所を選択する。一人の下で研修医として研鑚を積む二人は村民にも受け入れられるが、村の特殊な環境の中だけで学ぶことを一人は危惧する。1年後、高品の息子・龍太郎が高品総合病院の研修医になるが、医師としての覚悟や責任感がまるで無い息子の扱いに高品は悩む。一人と高品が相談した結果、一也・宮坂と龍太郎が研修先をトレードすることになる。
登場人物[編集]
主要人物[編集]
- ドクターK / 神代 一人(かみしろ かずと)
- 本作の主人公。1978年生まれ[注 3]。
- KAZUYAの一族における存亡の危機に備え、一族を影から補完する役目を担ってきた分家の当主。普段は医師として、生まれ故郷であるN県T村で診療所を営んでおり、地元では名士として代々尊敬を集めている。村は古くから脳死患者の臓器移植をはじめとする先端的な医療体制を整えており、数多くの臨床経験を積み続けている。
- 先代のドクターK(KAZUYA)以上に寡黙かつ生真面目な性格で、冗談が通じない面もある。やや細身で眉が細い以外、外見はKAZUYAによく似ており(一方、服装に関してはKAZUYAの祖父・一宗に似ている)、人並み外れた身体能力・格闘術を有する。
- 父祖譲りの高い医療技術を持ち、最新の知見にも精通していることから、KAZUYAの関係者からは「ドクターKの再来」と評されている。また、眼科や歯科[注 4]にも精通しているが、状況に応じて適格な専門医に治療を託すことも少なくない。
- 上記の経緯ゆえ、当初は医師免許も所持していない無免許医だった。しかし、富永らとの出会いを機にドクターKの後継者として表社会へ出る決心を固め、KAZUYAの旧知の後押しを受けて厚生労働大臣から特例で医師免許の発効を受けた。現在は一族の掟に従い、一族の正統な後継者である一也をドクターKに育てあげるべく、常日頃から厳しい訓練を課している。
- 黒須 一也(くろす かずなり)
- 本作のもう1人の主人公。1995年12月17日生まれ。
- 先代のドクターK・西城カズヤ(KAZUYA)のクローン。前々作『スーパードクターK』にて、KAZUYAの叔父・一昭のクローン計画で誕生した。
- 性格はKAZUYAとは大きく異なり、穏やかで人当たりが良く、自己よりまず他人を思いやる誠実な人物である。一方、やや異性へのデリカシーに欠ける一面がある。
- 一人から医師としての英才教育を受けており、学業は体力面も含めて優秀で、小学生の時点ですでに医療関係者が驚嘆する洞察力や医療センスを持っていただけでなく、実際に外科手術を執刀した経験もある。高校生の時点で、一人から一人前の医師として認められている。
- 短命などさまざまな問題が発生しているクローン生物の中で、何事もなく健康に成長し生活している「史上初の完成されたパーフェクト・クローン」である。そのため、クローン臓器密売組織に身柄を狙われている。
- 初登場時は小学生。当初はKAZUYAの息子として育てられていたが、密売組織に誘拐されかけた事を機に麻純のもとを離れて一人の診療所で彼らと生活するようになった。密売組織との戦いの中で自らの出生の真実を知り、現在はそれを受け入れている。KAZUYAと同じく非常に大柄な体格で、中学生の時点ですでに富永と変わらない身長になっており、外見も成長するごとにKAZUYAに近づいている。KAZUYAと同じく帝都大学医学部へ通い、卒業後は一人の診療所に戻り研修医として働いている。
- 詩織に対しては出会った当初から強い興味を抱いており、詩織が初登場する第169話の時点でクラスメイトに「いつも一緒」と言われている。彼女に命を救われる経験を経て、自身の出生の秘密を明かす程の信頼を寄せていった。彼女を異性として意識する描写も多く、周囲の人物からは二人が交際するものとみられており、両者の親も相手を認めている。しかし一也は20代前半になっても「不純異性交遊などしない」と言うほど純情であり、両者とも恋愛よりも医療などへの情熱を優先させる性格のため、交際には至っていない[7]。
Kの診療所[編集]
- 宮坂 詩織(みやさか しおり)
- 一也の高校の同級生で1年時と3年時のクラスメイト。おかっぱ頭に眼鏡姿の少女。かなり小柄で足が短いため自転車に乗ることができない。刺繍を趣味にしており、コンクールで入選するほどの腕を持っている。極度の卵アレルギー体質だったが、一人の指導による経口免疫療法で、日常生活に支障がないレベルまで克服した。
- 初登場時は平凡な高校生だったため医学の知識を持たなかったが、一也が事故で重傷を負った際に切断された腕の動脈を刺繍の技術を応用して縫合する(一人をして完璧と言わしめた)など、度々高い医療センスを垣間見せる。後に一人・一也と交友を深めたことで医師の仕事に魅力を感じるようになり、一也から出生の秘密を打ち明けられたことをきっかけに医師を志すようになった。玉砕覚悟で受験した帝都大学に合格し、卒業後は研修先に一人の診療所を選び、研修医として働き始める。
- 当初はアレルギーの影響などもあり大人しい性格で口数も多くなかったが、アレルギーの克服や一也と交友を深めていくことで徐々に強気な面が垣間見えてくるようになる。また、KAZUYAのクローンである自分の存在意義を問う一也の言葉を受け止め「君は黒須一也くん」「私の友達」と答えるなど芯の強い一面を持つ。
- 負けず嫌いの性格であり、刺繍や医学で敗れたととらえるたびに奮起する。
- 村井(むらい)
- 神代家に仕える執事。一人の母が事故死した後、失踪した一郎の後を追うようにクローン臓器売買組織の一員となり、一也の身柄を狙っていた。しかし一也との出会いにより改心し、組織を脱退し帰郷。再び神代家の執事として一人の補佐や一也の教育を行う傍ら、村内の研究施設で最新医療の開発や実験に勤しんでいる。心筋梗塞を患ったが、自らの信念である再生医療を用いてそれを克服した。
- 現在の容姿は髪型含めて一郎そっくりであり[注 5]、一人と再会して正体が看破されるまでは一郎のふりをしていたため、村の人間でも疑いなく一郎と認識するほどだった。一人にも父親の手技と思わせるほどの手術を行える医療技術を持っており、K一族の技術面でのバックアップとも言える存在。一郎が行方不明になった後は一人に指導を行っていた。一人の母親に対して強い思慕の念を抱いている。組織の一員として一也を誘拐しようとしたことは、一人ら一部の人間にしか知られていない。
- 麻上 夕紀(あさがみ ゆき)
- 診療所の看護師。元々は鴨下病院の看護師で、次期師長候補として期待されるほどの技量を持ち、院長の息子と婚約関係にあったが、婚約者の医療ミスによる死亡事故の責任を冤罪として被せられ、山中で自殺しようとしていたところを一人に救われた。冤罪事件が解決した後は鴨下病院を離れ、一人の診療所で看護師として働いている。
- 和久井 譲介(わくい じょうすけ)
- 一也の高校の同級生。3年生の時に転校してきた。上昇志向と執念が強く他人を精神的に支配することを好み、自分の意にそぐわない人間、敵対する人間に対して一切容赦しない冷酷さを持っていたが、傷ついた鳩を丁寧に治療し、児童虐待事件に対して激昂するような面も持っていた。右胸心体質。
- 両親のいない孤児で養護施設で育ち、その性格と能力を見いだされてTETSUに引き取られ、内弟子のような形で医療技術を教育されていた。TETSUからKの一族と一也の出生の秘密を聞かされており、一也のことをライバル視している。医療に関する知識量・技量は登場時点で一人前に施術も行えるほどだが、TETSUや一也と比べると見劣りしている。
- 一也に実力差を見せつけられたことで一也に対して強い憎しみを抱いていたが、一人の村でコンパートメント症候群の患者を救ったことをきっかけに自分が医師を志す理由を見つめ直し、人間性に変化が顕れる。一也らと同じく帝都大学医学部を志望するも、予備校でレジオネラ菌に感染してしまったために受験できなくなり、予備校で親しくなった友人と共に来年度の受験を決意。その後、一人が患者を救うために奔走する姿に感銘を受け弟子入りを志願、TETSUに送り出される形でTETSUの下を離れ、一人の診療所に下宿を始める。その際、自分の対人コミュニケーション能力が欠けていることを村井の指摘により自覚し、以後は一人の手術や往診に積極的に付き添い、欠点の克服と技術の向上に努める。しかし、診療所で生活してから1年後には心境が変化し、「自分の道を見つけた」として受験をせずに診療所に引き続きとどまることを決める。同時に、医学部に入って現場から離れた一也が「腑抜けになった」と指摘し、ドクターKの後継者としての自覚を持つよう促す。一也の大学卒業と同時期に朝倉省吾からクエイド財団へスカウトされ、アメリカへ留学する。
- 生き別れになっていた実の母親と再会した際、幼い異父弟が肝臓を病んでいることを知り、自ら名を明かさず肝移植ドナーとなった。母親と別れた時のトラウマにより食べ物はカレー味の物しか受け付けないでいたが、アメリカ留学する前に心の整理がついてからカレー味以外の食べ物にも興味を抱く様になった。
- 高品 龍太郎(たかしな りゅうたろう)
- 高品龍一と淳子の間の一人息子。清明医大卒で一也らの一年年下。現役で清明医大を卒業し、国家試験も一発で合格したが、どこの病院ともマッチングしなかったため、父のコネで高品総合病院の研修医となる。
- 医師としての責任感や命に対する真摯な姿勢が欠けていると見られており、また本人も自信を持つに至っていない。同僚の斎藤からは「お坊ちゃん」「絵に描いたような甘ちゃん」と評されている。
- 多忙な高品夫妻ではなく安倍川素子によって育てられたため、高品は息子への対応がうまくできないことを悩んでいた。
- 未熟ではあるがそれ自覚しているために慎重で、少しのヒントがあれば遅くとも着実に正解に辿り着く姿を、一人はウサギとカメのカメに例えた。また自身に危機が迫った状況でも無意識に身を挺して他人を庇う、人を助けようとする生得を持ち合わせている。
- イシ(姓は不明[注 6])
- 富永が村に赴任して初めて出会った村人。ふだんは一人らの食事などの世話をし、手術時には助手も務める老婆の一人。物語冒頭で孫を心臓移植で救われた。麻上が村にやって来た時も最初に出会っている。若い頃は活発な性格だったらしい。
- 番頭(ばんとう)
- 代々村民全員の血液を管理する家の当主(村の掟で村民は月2回の献血が義務付けられている)。診療所の留守番をすることもある。
一人の関係者[編集]
- 富永 研太(とみなが けんた)
- 前作の高品龍一に相当するポジション。富永総合病院医師。国内医療の地域格差を憂いて、志願して母校の西海大学から一人の村に派遣され診療所に住み込みで働いた。
- 赴任当初は技術も洞察力も未熟だったが、一人の下で医師として経験を積むうちに大きく成長し、周囲の厚い信頼を得る。一人の超人的な手術の技量に対して劣等感を抱いているが、実父の覚醒下脳腫瘍摘出手術を成功させるなど高い技術を着実に身につけており、後に一人からは研鑽を高め合った戦友と称えられる。
- 赴任から8年を経て帰省した際、母校で人手不足のため急遽執刀した手術を見た世界的外科医からスカウトを受けるが、実家の患者のオープン型MRI下での神経膠腫摘出術を成功させたことで富永総合病院に自分の居場所を見出し、スカウトも断り、村と大学を離れることを決意。院長である父の下で、勤務医として新たな一歩を踏み出した。帰任後も一人との親交は続いている。その後、父の進太郎が富永総合病院の院長を引退したため、後を引き継ぎ院長に就任。院長就任後の7年間で鏡視下手術350例を含む800を超えるオペを執刀した凄腕の医師として院内で知られている。また一時期、一也をスチューデントドクターとして預かっていた。
- 氷室 俊介(ひむろ しゅんすけ)
- 一人と幼馴染の同級生。一人の一族の秘密を知っている。医学博士となってアメリカ合衆国に渡り、糖尿病の原因因子である糖尿病遺伝子を発見、世界的な名声を集めている。
- 一人に白内障の治療をしてもらうために帰国するが、一族の掟を破って村外での医療行為を始めた一人を嫌悪し治療を受けることを拒否。しかし強引に一人の治療を受けさせられたことで和解し、しばらく一人の留守の診療所を預かった後、アメリカへと戻っていった。
- 道尾 忠夫(みちお ただお)
- 音羽医風会の麻酔科医。おかっぱのような髪型にちょび髭という特徴的な外見をしたマイペースな性格の変わり者だが、麻酔医としては一人が「プロ中のプロ」と評するほど高い実力を持っている。偶然遭遇した土砂崩れ現場の救急治療で一人と出会い、以後高度な麻酔技術が必要な手術にあたって、度々一人に協力している。
- 相馬 有朋(そうま ありとも)
- 倉津大学付属病院・第一外科教授で、移植医療の第一人者。脳死患者からの肝臓移植手術に際して、一人の協力を得て肝臓を2分割して2人の患者に移植する手術を行ったことがきっかけで一人と知り合った。
- 臓器移植制度が浸透・進展しない国内の状況を憂慮するあまり、再生医療など関連分野の発展に目を向けず臓器移植の推進に頑なになり、やがてクローン臓器売買組織に加担するようになった。しかし一也と一人の説得により改心し、組織を裏切って摘発に協力。その際に逃走しようとした構成員の前に立ちはだかって頭部を銃撃され、治療もむなしく脳死状態となる。遺言に基づいて臓器は患者へと移植された。
- クローン人間としての一也を組織に提供しようとしていた一方で、医師を志す一也を本気で教育しようともしていた。相馬の死は、一也のその後の人生に大きな影響を与えることとなる。
- 刈矢 俊一郎(かりや しゅんいちろう)
- 倉津大学付属病院・第一外科准教授。初登場時35歳。喫煙習慣があり無精髭を生やしているなど粗野な外見だが、外科医としては相馬も認める腕前を持ち、自身も相馬のことを尊敬している。ドナーの遺族の反対により直前で脳死患者からの移植が中止になった経験を経てからは、再生医療の研究に情熱を傾けている。
- 寺井 台助(てらい だいすけ)
- 寺井美容クリニック院長。派手な身なりで高級外車を乗り回し雑誌等で自身の顔写真入りの広告を出していることから荒稼ぎをしている悪人物と誤解されがちであるが、一人が「世界の五指に入る」と評するほどの高い技術と強い信念を持つ美容整形の専門家。かつて整形外科医としてアメリカへ留学した経験があり、イリザロフ法を初めとする数々の高度な技術を身につけると共に、その技術で患者を救う内に「その人が望む形の美は魂を救う」という信条を持つに至ったことで美容整形の専門家となる道を選んだ。
- 同性愛者的傾向があり、おネエ言葉で喋る。大垣のような、美容整形医としての美の理想とは正反対にあるようなワイルドな風貌が好みだと語っている。美食家でもある。
- 富永 進太郎(とみなが しんたろう)
- 富永研太の父。富永総合病院の院長で、患者や医師から尊敬を集めている。自身が脳腫瘍を患った時に、執刀医となり手術を成功させた研太を後継ぎとして迎えようとしたが、研太が村に患者を残していることを知り、再び一人のもとに送り出した。その後も度々一人や研太の手術に協力し、研太が帰郷を決意した時には勤務医として病院に迎え入れた。息子を医師にすべく子供の頃から厳しく教育してきたことに負い目を感じていた。
- 後に院長の座は研太に譲ったが、訪問看護専門の医師として富永総合病院に引き続き務めている。
- 岡元(おかもと)
- 警視庁の刑事。無免許医に妻を殺された過去から、医療事件の検挙に執念を燃やしている。当初は無免許医だった一人を逮捕しようと周辺を捜査していたが、一人の医師としての倫理観と強い使命感を目の当たりにして捜査を取りやめ、互いに尊敬・信頼し合うようになった。一人が正式に医師になった後は、度々協力して医療事件を解決している。捜査の際によく縁無しサングラスをかける。
- 華奈という一人娘がいる。肥満体型だったが、結婚を控えた華奈の依頼で本人の知らないうちに一人に治療を施され、以前に比べて引き締まった体型になった。
- 作品の序盤ではかなり頻繁に登場していたが、単行本15巻第164話以降は回想を除いて登場していない。
- 冴草 克之(さえぐさ かつゆき)
- 妊娠中絶手術(後期中絶)などを違法に請け負う闇医師。普段からウィッグをかぶって変装しており、偽名を複数持っている[注 7]。一人の囮捜査に掛かって岡元に逮捕され、裁判で執行猶予つきの有罪判決を受け、医師免許を剥奪された。裁判の閉廷後、被害者のひとりに刺されたところを一人と岡元に助けられたことから、クローン臓器売買組織への捜査に協力するようになった。
- 法や倫理に反した行為に関して、本人はそれも需要に応えての「人助け」であるという自負を持っており、自分が行っていた代理母の斡旋が知らずにクローン製造に繋がっていたことは不本意としている。
- 竹宮 穂波(たけみや ほなみ)
- 日読新聞政治部の女性記者。取材目的で西海医大病院に潜入しようとしたが、一人に副甲状腺機能亢進症を患っていることを発見される。この事件以降一人に好意を持っている。
- 岩崎 敏郎(いわさき としろう)
- 日読新聞政治部記者。竹宮の先輩。綿密な取材に定評があり人呼んで「裏取りガンさん」。若い頃からヘビースモーカーで中心型肺ガンを発病、一人の手術で完治した。
一也の関係者[編集]
- 津島 道夫(つしま みちお)
- 一也の中学の担任教師。数学担当。成績優秀で大人びた一也のことが気に入らなかったが、一也と一人に小脳出血から救ってもらったことがきっかけで一也を信頼するようになる。
- 内野 陽平(うちの ようへい)
- 一也の中学・高校の同級生。漏斗胸のため周囲と距離を置き続けてきたが、一也の説得で矯正手術を受け、性格も対人関係も改善した。手術前は学区外の進学校をめざしていたが、一也と一緒に泉平高校へ進学し、大学は東北理工大に進んだ。
- 徳光(とくみつ)
- 一也の中学の同級生。下の名前は不明。村の中学が廃校になったため一也とともに泉河中へ編入。編入直後は中野らにいじめられたが、津島先生の手術以降仲良くなる。卒業直前にそのいじめが原因のPTSDを発症したが、一人によるEMDR(眼球運動による脱感作と再処理療法)により完治。アニメやゲームが好き。
- 中野 貴則(なかの たかのり)
- 一也の中学の同級生。村の中学から編入してきた一也と徳光に当初辛く当たっていた。勉強ができなかったが一也に夏休みの宿題を教えてもらう中で勉強の仕方を覚え成績が良くなった。母親の無添加無農薬食品へのこだわりに悩まされている。
- 深見 武彦(ふかみ たけひこ)
- 一也の帝都大の同期。一也と宮坂が下宿先を探していた際に声をかけ友人となる。大病院の跡取り息子で、OBが医師連の幹部を輩出しているということでラグビー部に所属するなど上昇志向が非常に強い。父親も帝都大卒で、日本医師連の理事をしている。
- 幼い頃からエリート教育を受けてきた自信家だが、初めての人体解剖実習の際に検体の境遇を慮って泣き出してしまうなど繊細な所もある。知識も豊富だがそれゆえに早合点することもある。当初は父への反抗心から親元を離れた病院を希望していたが、医師としての父の姿を目の当たりにして考えを改め、父親の病院で修行をすることを決める。
- 緒形 俊司(おがた しゅんじ)
- 一也の帝都大の同期。秋田出身で訛りが強い。初登場時には田舎者とバカにされぬよう、通販で買ったブランド衣類で上下固めていた。バドミントン部に所属。料理にハマり魚も自分で捌くことができる。実家が豪雪地帯のため雪の恐ろしさを知っており、その影響で雪が嫌い。スキーの授業もずっと休んでいたため、全く滑ることができない。卒業後は故郷秋田の病院を研修先に選ぶ。
- 仙道 安人(せんどう やすと)
- 一也の帝都大の同期。優秀な一也達に劣等感を抱いていたが、1年夏のキャンプの集団食中毒騒動でみんなを救ったことで自信を取り戻す。「波王丸」では初日からいろいろやらかしたせいもあり一番早くクルーに馴染んだ。野球部に所属。在学中に父親を亡くしており、岩動の検死によって死因が判明したことで救われたと感じ、法医学者への道を志す。
- 初登場後暫くとその後とで人相が多少違っていたりして、一也の同期の中ではいちばん作画上の変化が激しい。「波王丸」での乗船を期に髪型が変わっている。
- 斎藤 由貴(さいとう ゆき)
- 一也の帝都大の同期。剣道部に所属。インターハイ出場経験があり強豪校からスポーツ特待生の声がかかるほどの実力者。強気で男まさりな性格。一方で絵は苦手であり、組織学のスケッチは見た者全てが絶句する。
- 前作に登場した高品(旧姓:斎藤)淳子とは再従姉妹の関係。卒業後は高品総合病院を研修先に選ぶ。
- 青山 今日子(あおやまきょうこ)
- 一也の帝都大の同期。体育会系のノリを苦手とする普通の女子大生タイプ。抜けなくなった指輪を一也に外してもらった。陸上部の合宿で水中毒で倒れた生徒を前に何もできなかったことを反省し、ラーメン店員の心臓発作に迅速に対応できるようになった。卒業後は小児科医を目指すことを決める。
- 貴村 昌文(たかむらまさふみ)
- 一也の帝都大の同期。5人兄弟の長男で、共働きの両親に代わって家事のすべてを担っており、料理が上手い。
- 平良 佑馬(たいらゆうま)
- 一也の帝都大の同期。放浪により出席日数が足りないにも関わらず進級を果たした一也を快く思っていない。
- 内田 和歌子(うちだ わかこ)
- 帝都大学医学部・解剖学教授。大垣やKAZUYAらも学んだ大ベテラン。優しく学生に人気がある。献体を粗末に扱った学生・安田を強く叱責した一也の姿に、ドクターKの帰還を感じた。
- 諸田 久好(もろた ひさよし)
- 帝都大学医学部・医動物学(寄生虫学)教授。一也がフィラリアに寄生された知人をよその病院へ連れて行った時は「自分が治療したかった」と言って涙を流したり、寄生虫の話になると目を爛々と輝かせたりする程の寄生虫オタクにして、学生達に分厚い資料を丸暗記するよう命じたりするドSである。
- 中村 憲司(なかむら けんじ)
- 帝都大学病院・臨床検査技師。組織学の実習で一也達を指導する。
- 丹波 章造(たんば しょうぞう)
- 帝都大学病院内の衛生面の強化を司る部署「感染制御室」の室長。学内では「院内ポリス」と恐れられている。KAZUYAや香田とは同期であり、帝都大卒業当時の専攻は整形外科で、外科のKAZUYAと並び帝都大の将来を担う存在と言われていた。友人の香田が自らの執刀した手術の際に耐性菌にやられたことをきっかけに内科に移り、紆余曲折を経て現職。ひょんなことから一也に目をつけ、監視対象にする。一也をKAZUYAの息子だと思っている。
- 戸倉 信茂(とくら のぶしげ)
- 帝都大学医学部・耳鼻咽喉科教授。大垣と「コワモテトップ2」と呼ばれている。喧嘩友達のような関係で、会うたびに嫌味を言い合っている。神経質な性格の自信家で名医を自称し、それに違わぬ実力も持ち合わせている。自分を凌ぐ才能を持つ三浦に目をかけており、一流の音声外科医にするために厳しく鍛えている。
- 三浦 佳治(みうら よしはる)
- 帝都大学医学部・耳鼻咽喉科の研修医。高校時代からのオーディオマニアで音の聞き分けに関して優れた能力を持ち、足音を聞いただけで誰のものか聞き分けたり、患者の声を聴くだけで様々な発声障害を正確に診断することができる。元々は大垣の教室にいたが、その能力と才能を見出され、音声外科医を目指して戸倉の下での厳しい指導を受けている。
- 阿藤 順平(あとう じゅんぺい)
- 商船大学の練習船「波王丸」の船医で大垣の一期下の後輩。大垣に「一つの所に留まることが苦手な天邪鬼」と評されている。高尾を手術する一也の手技に驚き、医局にいた頃出会ったKAZUYAに近いものを感じる。
- 岩波 邦夫(いわなみ くにお)
- 「波王丸」教官。座学に訓練にと生徒を厳しくしごく鬼教官。シージャックの銃弾から生徒を守ろうとして撃たれる。阿藤の手術によって回復し、療養のための下船もせずに引き続き指導に当たっている。
- 霧島 大助(きりしま だいすけ)
- 「波王丸」生徒。リーダー格。漁師の子で船上生活には慣れている。シージャック事件の折は一也と一緒に解決に奔走した。堅物そうに見えるが合コンで羽目を外して急性アル中になった前歴がある。
- 伊吹(いぶき)
- 「波王丸」生徒。気性が荒い。初日に喧嘩して以来、仙道と事あるごとにいがみ合う。当直で漂泊するクルーザーを発見したが、そのクルーによるシージャックを招いてしまう。ホノルル入港を前に仙道にモヒカン刈りにされるが、下船しようとする一也らを引き留めたりお互い丸坊主姿で仙道と肩を組み写真に納まったりしているので、仲直りはしたらしい。
- 高尾(たかお)
- 「波王丸」生徒。小柄で朗らか。霧島と仲が良い。虫垂炎から来る汎発性腹膜炎を発症し一也の手術によって回復する(書類上は阿藤が執刀したことになっている)。
- 宗方 昭康(むなかた あきやす)
- 「波王丸」船長。一也が高尾の腹膜炎を手術することに許可を出す。
- ビクトル・アントノフ
- ロシアから帝都大学にやってきた交換留学生。その正体はロシアカルト教団から一也を護衛する為にジリノフスキから遣わされたエージェント。一也襲撃事件の際に角膜を傷め失明するが、一卵性双生児であるバレリの角膜上皮幹細胞を利用して回復の目処が立っている。オタクであり、日本のアニメや漫画で日本語を学んだ[注 8]。オタク仲間として仙道と意気投合する。
- バレリ・アントノフ
- ロシアカルト教団「ストロージ・ジーズニ(命の番人)」の一員で、VXガスによる一也殺害未遂の実行犯。ビクトルの双子の兄弟。再度の一也襲撃事件の際に教団員の自爆に巻き込まれ瀕死の状態となるも、ビクトルと一卵性双生児であることを利用しビクトルの動脈静脈と直接バイパスすることで実現した生体的なPCPSにより一命を取り留める。外見がビクトルと瓜二つであり、一度ビクトルになりすまして帝都大学の授業に参加したが学友たちにばれる事はなかった。
- ラスカー・ジリノフスキ
- 前作にも登場(前作では名前が出ていなかった)。KAZUYAの叔父である一昭のかつての側近。一昭亡き後、ロシアのクローン組織のお目付け役に就いていた。クローンや遺伝子治療の存在を認めないロシアカルト教団が一也の命を狙っていると知り、ビクトルを一也の護衛に遣わせる。
- 神代 一郎(かみしろ かずろう)
- 一人の父親で医師としての師。一人が18歳の時、村外で妻(一人の母)が事故に遭った際、自身が医師免許を持っていなかったことと、臓器移植の法的規制のため、妻を亡くしてしまい、以来村から姿を消した。その後、一時期はクローン臓器売買組織の一員となっていたが、村井と入れ替わりになる時期に組織の実態を知って脱退した。脱退後は密かに帰国し、破留島(はるじま)という離島に住み、かつてその島に暮らしていたKの一族の1人である神津一友に代わって、島民に高度な医療を提供している。後に島の噂を聞きつけてやってきた一也に出会い、母の死を克服できていない彼を叱咤激励し、帝都大学に復学させるきっかけを作った。
- 神津 一友(こうづ かずとも)
- 西城家や神代家の他に存在するKの一族、神津家の医師。神津家は代々、炭鉱で栄えた離島・破留島に住まい、その時代の最先端技術の研鑽に努めながら、炭鉱労働者の塵肺の治療などにあたっていた。一友もその役割を引き継いで医師として働いていたが、ある大雨の日に、放棄された炭鉱に閉じ込められた一人娘の海を助けた際、泥流に巻き込まれて命を落とす。彼の死は海に深いトラウマを植え付けたが、Kの一族としての才能と誇りは受け継がれている。
- 神津 海(こうづ かい)
- 破留島に住む、故・神津一友の娘。幼き頃から父の一友の診療の様子を見学して医学を学ぶ。一也が破留島を訪れたことを期にトラウマを乗り越え、神代一郎から本格的に医学を学ぶこととなる。
- 小暮(こぐれ)
- 富永総合病院に研修医として来た医師の1人。子供の頃から学業が優秀で特に目標もなく医大に進み研修医となる。診療医になるつもりがなく研修医になってからも余り真面目に研修を受ける意思がなく、担当した患者に医師として不適切な態度を取り信頼関係を築かないでいた。後に高木の誤診を目の当たりにし自分の過去の診療態度を改める。
- 高木(たかぎ)
- 富永総合病院に研修医として来た医師の1人。研修医としての初診の患者のクモ膜下出血を見抜けず誤診。他の医師のフォローにより事なきを得るが、それを期に患者を注意深く慎重に診る目を養う。
- 牧村(まきむら)
- 富永総合病院に研修医として来た医師の1人。研修医中唯一の女性。患者が回復していく喜びを感じてもらおうという富永の計らいにより、僧帽弁閉鎖不全での入院患者の担当を受け持つ。患者は心臓の手術は成功したが、その後心臓とは関係ない脳幹部出血にて死亡し、医師として患者の死を受け入れなければならない現実を学ぶ。
- 川田(かわた)
- 富永総合病院に研修医として来た医師の1人。救急外来にて患者の症状を正しく診断できず、学生である一也の協力を得て危機を回避する。富永より、小さい経験を一つ一つ積み上げていくことが大事と学ぶ。
- 安倍川 素子(あべかわ もとこ)
- 高品総合病院の外科部長。龍一のドイツ留学時代からの知り合いで家族ぐるみの付き合いがあり、龍太郎にとってはもうひとりの母親のような人物。どの病院ともマッチングしなかった龍太郎を高品総合病院で引き受け自ら鍛え上げるつもりだったが、バセドウ病の進行により職を辞する。
- 谷岡 章(たにおか あきら)
- 安倍川の後任の外科部長。研修医として高品総合病院に勤める事になった一也と宮坂の指導員。各科に専門医がいる総合病院に全ての患者を一人で担当するような「スーパードクター」は要らないと主張し、村の常識に馴染んだ一也を厳しく指導する。
- 前作の登場人物であり高品龍一の先輩医師でもある谷岡修二(たにおか しゅうじ)の息子。
前作の関係者[編集]
『スーパードクターK』および『Doctor K』が初出で今作でも登場する者を列挙する。
- ドクターK / 西城 KAZUYA(さいじょう カズヤ)
- 前作の主人公で、先代ドクターK。先祖代々続く医師の家系の当主で、世界的に知られる名医だった。帝都大学医学部出身[9]。18歳の時[10]に遭遇した事故による被曝[11]の後遺症と見られる癌により、1999年、36歳の若さで死去した。今作では回想シーン及び想像のコマと夢のシーンにのみ登場する。
- 歴代のドクターKの中でも傑出した実力を持っていたと言われる。また、周囲に多大な影響をおよぼしており、死後も患者に強く慕われ、その薫陶を受けた関係者は医療界で幅広く活躍している。
- 生前、様々な理由で当時は治療不可能だった患者に対し、後の診察券がわりに自らのメスを渡していた。その治療とメスの回収は一人が手掛けている。
- 西城 KEI(さいじょう ケイ)
- KAZUYAの妹。KAZUYAの母の実家である西城家で育てられた。「西城医院」を営む女医で、磯永との間に一巳という息子がいる。磯永と結婚しているため西城姓は旧姓だが、医師としては西城姓を名乗っている。
- 医師として高い技量を持っているが、自分ではドクターKの後継者になるには力不足だと判断し、一人にKAZUYAの後継者となるよう要請した。一人の一族の存在については、少女時代の事故のために長く記憶を失っていた。
- 普段は落ち着いた振る舞いだが、悪と対峙するとかつての姿に戻る。
- 磯永 幸司(いそなが こうじ)
- KEIの夫で、KAZUYAの大学の後輩。内視鏡手術の権威で、家族と離れてシカゴへ長期留学、後に大学で教鞭を執るようになった。日本に帰国した際、自分の手で一也を育てあげようとアメリカ留学の選択肢を提示したが、最終的には一人の手に委ねた。
- 黒須 麻純(くろす ますみ)
- 一也の母。奈良時代から代々看護師を務める女系一族の末裔。人の身体に触れただけで寿命がわかる特殊な能力を持っている。
- KAZUYAとは親同士が取り決めた許嫁同士で、KAZUYAに強い思慕を寄せ、一昭の計画に乗る形で一也を出産した。一也を医療と関係ない普通の子供として育てていたが、一人との出会いによりドクターKの後継者として育てるべく、また組織に身柄を狙われる一也の安全の確保のため、一也を一人の村へと送り出す。出産後は看護師を辞めていたが、一也が家を出た後、西城医院に看護師として勤務する。
- 再生医療を否定するカルト教団、ストロージ・ジーズニ(命の番人)の襲撃時に身を挺して皆を守り、死の間際にあって一也に命の選択の覚悟を伝える。
- ドクターTETSU(テツ)
- 本名は真田 徹郎(さなだ てつろう)。KAZUYAのライバルだった裏社会の医師。医師として群を抜いた技術を誇るばかりでなく、様々な非合法的実験によって得た数々の知見を持っている。
- KAZUYAを死後も激しくライバル視しており、ドクターKを名乗る一人を認めようとはしなかったが、一人がKAZUYAと同じく高潔な信念と高い技術を持っていることを知り、後継者として認めるようになる。その後、スキルス性胃癌を患って一也の前に現れ、医師として試練を与えるべく自分を安楽死させようと仕向けたが、一人の手によって腹腔内に抗癌剤を定期的に流し込み続けて癌の増殖を抑える化学療法を施される。手術の翌朝に姿を消したが、その3年後、和久井譲介を伴って再び二人の前に姿を現す。
- 一人らの前に再び現れたのは、一也と引き合わせることで譲介の対抗心を煽り、一也に何らかの変化をもたらすためだった。しかし、大学受験に失敗した前後から譲介の方の人間性が変化し、自分では育てきれなくなったと感じ取り、譲介と共に暮らしていた住居兼診療所を引き払い、5000万円もの大金と共に譲介を一人に託して、ひとり何処ともなく旅立っていった。その後も譲介の父母を探すなど、譲介の将来を案じている。
- 癌の進行は一進一退であり、普段は杖をついて歩行している程だが、なおも裏医師として活躍している。様々な方面に顔が利き、少なくない財産を孤児の救済に投じるなどの活動にも積極的である。
- 高品 龍一(たかしな りゅういち)
- 西海大学出身でドイツへ留学中の医師。同期の朝倉とともにKEIの招聘を受け帰国。一人が特例で医師免許を交付されるための試験となる手術に助手として関わる。
- 前作最終回で描かれた通り高品総合病院の院長を勤めており、研修医として斎藤由貴、一也、宮坂を受け入れる。
- 高品 淳子(たかしな じゅんこ)
- 高品龍一の妻であり、高品総合病院の院長夫人。前作の最終回で描かれた通り、看護師の待遇改善に取り組んでいる。
- 朝倉 雄吾(あさくら ゆうご)
- クエイド医療財団の会長。KEIの招聘により帰国し、高品とともに一人の試験となる手術に立ち会う。その後も一人と連絡を取り合い、息子の省吾を通じて譲介を自らの財団へスカウトする。また、一人の診療所に最新機器を備えた検査室を財団からの善意の寄付として贈る。
- 朝倉 省吾(あさくら しょうご)
- 朝倉雄吾の息子で、前作にてKAZUYAに先天性水頭症の治療を受けた赤子の成長した姿。クエイド医療財団に勤め、一人の依頼により譲介をクエイド医療財団にスカウトする。ドクターKのような超技術を持たない普通の医者でも、医学の進歩により救えなかった患者が救えるようになるという考えを持つ。
- 「自分は本来生まれるはずのない命だった」という負い目から、脳疾患の患者を目の前にすると頭が疼くというトラウマを抱えていたが、一也が水頭症を治療する姿を見て克服する。
- 大垣 蓮次(おおがき れんじ)
- 帝都大学医学部・第一外科教授。KAZUYAの大学時代の先輩にあたる。前作では大学の出世競争に嫌気が差し市井の診療所を経営していたが、KAZUYAの言葉で彼の死後に大学に復帰した。大学教授らしからぬ粗野な性格と外見をしており、厳しい指導で周囲から「鬼軍曹」と呼ばれている。
- 医師免許発行の経緯などから一人の技量を疑問視していたが、偶然出くわした一人の救命処置にKAZUYAの姿を重ね合わせ、ドクターKとして認めるようになる。大学に関係する患者の治療で、しばしば一人に協力を求めている。一人娘の奈緒子も医師を目指し、作中では浪速女子医大に通うようになった。
- 後に舌癌を発症するが完治。しかし抗ガン剤の副作用で頭髪の大半を失った。舌癌発症を機に日本医師連の理事選挙に立候補して当選。一也たちの卒業時には医学部長に昇進している。
- 柳川 慎一郎(やながわ しんいちろう)
- KAZUYAと大垣の恩師で、帝都大学医学部第一外科の元教授。自らの出生の秘密に苦悩する一也の前に徘徊老人を装って現れ、KAZUYAの死の真相を語った。
- 七瀬 恵美(ななせ めぐみ)
- 斎楓会総合病院医師。かつてKAZUYAと共に研鑽し合っていた。病床のKAZUYAを見舞った際に交通事故に遭い、死期の近かったKAZUYAの手術により一命を取り留めるも、下半身不随となる。その後、小児科の専門医となることを改めて決意しアメリカに渡り、CLS(Child Life Specialist)の資格を取得。車いすが欠かせない体でありながら手術の執刀もこなす毎日を送っている。
- KAZUYAの足跡を知るために訪ねてきた一也に、自分の信じる道を進むよう説く。
- 岩動 瀧造(いしるが たきぞう)
- 万代寺の僧侶にして監察医。KAZUYAの友人でありながら、僧侶の自分が行くのは縁起が悪いとして見舞いができなかったことと己の無力を感じ、監察医の職を辞して全国行脚の旅に出る。その旅先で監察されぬ遺体に多数出会い、再び監察医としての仕事に戻る。その後、仙道安人の父・将人の司法解剖をきっかけに一也と出会う。
- 磨毛 保則(まもう やすのり)
- KAZUYAの大学時代の同期生。医師でありながら工学の学士院賞を受賞するほどの天才技術者。前作同様、帝都大学敷地内の「磨毛の館」で研究を続けている。KAZUYAが作ったカルテを分析し、そのデータを基にした思考パターンを持つAIソフトを10年かけて制作するが、これを組み込んだ医療ロボット「イカロス」の開発を地域医療格差の解消から利権を得ている一部の人間によって妨害されてしまう。
- AIにはカルテには載っていないKAZUYAの信念や判断力、勇気などの「人間としての力」を持たせられない、と悲観していたが、一也の言葉からイカロス計画白紙化後も開発を続行する決意を固める。
- 香田 直一(こうだ なおかず)
- KAZUYAの学友の薬学者。前作同様「大島製薬」に勤務し(但し、前作のときとは社名が違っている可能性がある)、現在はプラントハンターとして生物資源探査も行っている。長らくアマゾンのジャングルにいたが、一也の事を知り一時帰国。丹波とKAZUYAとの思い出を語った。
- 谷岡 修二(たにおか しゅうじ)
- 谷岡章の父であり、高品龍一の寺沢病院時代の先輩。現在は亡き兄が開業していた「谷岡診療所」の後を継いでいる。
その他の人物[編集]
- 西尾 友樹(にしお ともき)
- 村の造り酒屋・山風酒造の酒「山の風」の大ファンで、酒造りをしたいとやってきた青年。何事も長続きしないという軽薄な性格もあり当初は厳しい目で見られていたが、試しに任された酒造りの手伝いはなんとか続けていた。杜氏の藤田に利き酒の才能を認められ、蔵人として住み込みで働くようになった。
- 島村 益男(しまむら ますお)
- 譲介の予備校仲間。生家は農家で農業高校卒だが、医学への夢捨てがたく帝都大を受け続けている。譲介と同様にレジオネラ菌集団感染に巻き込まれ、自分にはしょせん縁がなかったのかと諦めかけたが、譲介の説得でもう1年浪人する。
- 岸田 鈴子(きしだ すずこ)
- 和久井譲介の母。譲介が幼少の頃、譲介と共に夫の和久井京介の元より逃げ出したが、譲介の存在が重荷になり譲介をバス停に置いて逃げ出す。考えを改め譲介の元に戻ろうとした時に交通事故に遭って3ヶ月間生死の境を彷徨い、そのまま譲介と離れ離れになる。
- その後再婚して苗字が岸田になり、息子の徹を儲ける。徹が胆道閉鎖症で肝臓移植が必要と判った時、自分は交通事故の際に肝臓挫滅の手術を受けているためドナーになることができず、義理の弟の胆道閉鎖症を聞いた譲介が代わりにドナーとなる。
- ドナーが幼い頃に生き別れとなった息子であることはTETSUより聞いてはいたが、同時に息子に母親であると名乗ることは止められており、譲介とはお互い親子であることは分かっていながらも名乗り合うこともなく別れることとなった。
- 和久井 京介(わくい きょうすけ)
- 和久井譲介の父。父からの遺伝で内臓逆位に産まれる(さらに譲介にも右胸心という形で遺伝している)。借金のカタに同じく内臓逆位であるヤクザの組長の心臓移植のドナーにされかけるが、TETSU・譲介・一也の活躍により心臓移植なしでの治療が可能になり、借金もTETSUにより返済され自由の身になる。
- ろくでなしの人生を歩み家庭を持ったこともなく自分に家族などいないと思っていたが、組長の手術の途中に譲介が自分の息子である事に気づき、自分が譲介の為にできることは迷惑にならないよう消えることだと一也に語り、そのまま譲介に会わずに姿を消した。
KAZUYAが遺したメス[編集]
先代ドクターKであったKAZUYAは、当時は治療困難だった病気の患者に対し、後年の診察券としてメスを手渡している。KAZUYAの患者で懇意にしていた鍛冶師が特別に製作した鋼製のもので、その総数は10本。それぞれ番号が刻まれている。
単行本15巻第160話でNo.1のメスが登場して以降は登場していない。
- No.1 - 心房中隔欠損症
- 患者の出生直後に発見された。患者家族の希望で手術痕を残さない治療を行うため、患者の成長と、当時は実験段階だった新たな術式の確立を待つため、3年後に手術を行う約束だった。しかし家族の経済事情の悪化により、患者が成人するまで放置されていた。
- No.2 - 脳動脈瘤
- 発見当時は動脈瘤と呼べるほどのサイズではなかった。また治療法も確立されていなかったことから、将来の治療技術の進歩に託していた。
- No.3 - 狭心症
- 元々はKAZUYAの父・一堡の患者で、発病の原因が不明だったことから、再発を危惧した一堡からメスを手渡されていた。20年後に一堡の危惧通り再発した際、KAZUYAが治療して自らのメスを渡し、更に20年後の再々発の治療を一人が行った。それぞれ、当時最先端だった治療を施されている。
- No.4 - 人工関節交換
- 元々は柳川の後輩・貴島の患者で、変形性膝関節症を患っていた。しかし診断の過程で、当時は不治の病だった拡張型心筋症が発覚、寿命が残り少ないことから一日でも早く家族のために働けるよう、本来なら骨切り術が施されるところを、貴島の一存で人工関節置換術に切り替えられた。
- その後、発作を起こして重体に陥った際にKAZUYAの執刀によりバチスタ手術が行われ症状は消失。後年に患者の人工関節が耐用年数を迎えることを見越してメスを渡されていた。
- No.5 - 後縦靱帯骨化症
- KAZUYAの逝去直前に発見された。進行が遅い病気で症状も初期段階であったことから当時は手術に踏み切る段階になく、病状の進行と患者の後継者育成を待って、まだ見ぬドクターKの後継者に治療を託していた。
- No.6
- 未登場
- No.7 - 心房細動
- 当時は根本的な治療方法が未確立だったため、KAZUYAは当時一般に普及していなかったICDを自作して体内に埋め込み、将来の治療技術の進歩に託していた。
- No.8 - I型糖尿病
- 患者の心臓に先天性の三尖弁形成不全があったため、膵臓の移植手術が不可能であり、将来の治療技術の進歩に託していた。「メスを使わずに治療せよ」という意味を込め、登場しているメスの中でこれのみ刃先が折られている。
- No.9 - 副鼻腔内膿疱
- 外国の戦場において散弾銃で撃たれた際、摘出できずに副鼻腔に残された散弾が、10年の時を経て膿疱を発生させた。銃弾が摘出された後再び患者に同じメスが渡され、今度は全身火傷に対する自己由来の培養皮膚を使用した皮膚移植術を施された後、メスは返却された。
- No.10
- 未登場
書誌情報[編集]
単行本[編集]
真船一雄 『K2』 講談社(イブニングKC)、既刊44巻(2023年2月21日現在)
- 2004年11月20日発売、ISBN 4-06-352089-7
- 2005年5月21日発売、ISBN 4-06-352110-9
- 2005年10月20日発売、ISBN 4-06-352125-7
- 2006年4月21日発売、ISBN 4-06-352145-1
- 2006年10月23日発売、ISBN 4-06-352168-0
- 2007年4月23日発売、ISBN 978-4-06-352183-2
- 2007年9月21日発売、ISBN 978-4-06-352199-3
- 2008年2月22日発売、ISBN 978-4-06-352212-9
- 2008年8月22日発売、ISBN 978-4-06-352233-4
- 2009年3月23日発売、ISBN 978-4-06-352255-6
- 2009年9月23日発売、ISBN 978-4-06-352282-2
- 2010年2月23日発売、ISBN 978-4-06-352298-3
- 2010年7月23日発売、ISBN 978-4-06-352320-1
- 2011年1月21日発売、ISBN 978-4-06-352333-1
- 2011年7月22日発売、ISBN 978-4-06-352370-6
- 2011年12月22日発売、ISBN 978-4-06-352393-5
- 2012年6月22日発売、ISBN 978-4-06-352423-9
- 2012年12月21日発売、ISBN 978-4-06-352446-8
- 2013年6月21日発売、ISBN 978-4-06-352464-2
- 2013年11月22日発売、ISBN 978-4-06-352486-4
- 2014年4月23日発売、ISBN 978-4-06-354507-4
- 2014年9月22日発売、ISBN 978-4-06-354530-2
- 2015年3月23日発売、ISBN 978-4-06-354562-3
- 2015年9月23日発売、ISBN 978-4-06-354589-0
- 2016年2月23日発売、ISBN 978-4-06-354611-8
- 2016年7月22日発売、ISBN 978-4-06-354631-6
- 2016年10月21日発売、ISBN 978-4-06-354646-0
- 2017年3月23日発売、ISBN 978-4-06-354661-3
- 2017年7月21日発売、ISBN 978-4-06-354679-8
- 2017年11月21日発売、ISBN 978-4-06-510411-8
- 2018年4月23日発売、ISBN 978-4-06-511254-0
- 2018年9月21日発売、ISBN 978-4-06-512855-8
- 2019年1月23日発売、ISBN 978-4-06-514165-6
- 2019年5月23日発売、ISBN 978-4-06-515406-9
- 2019年10月23日発売、ISBN 978-4-06-517336-7
- 2020年3月23日発売、ISBN 978-4-06-518861-3
- 2020年7月20日発売、ISBN 978-4-06-352089-7
- 2020年12月23日発売、ISBN 978-4-06-521699-6
- 2021年4月23日発売、ISBN 978-4-06-522971-2
- 2021年9月22日発売、ISBN 978-4-06-524739-6
- 2022年1月21日発売、ISBN 978-4-06-526538-3
- 2022年6月22日発売、ISBN 978-4-06-528093-5
- 2022年10月21日発売、ISBN 978-4-06-529743-8
- 2023年2月21日発売、ISBN 978-4-06-530873-8
廉価版[編集]
真船一雄 『K2』 講談社(講談社プラチナコミックス)、既刊16巻(2018年3月28日現在)
- 『K2 ドクターK復活編』2012年6月20日発売、ISBN 978-4-06-377601-0
- アンコール刊行 2015年3月25日発売、ISBN 978-4-06-385651-4
- 『K2 ドクターKの遺言編』2012年7月18日発売、ISBN 978-4-06-377602-7
- アンコール刊行 2015年4月8日発売、ISBN 978-4-06-385652-1
- 『K2 クローン、闇の組織編』2012年8月16日発売、ISBN 978-4-06-377613-3
- アンコール刊行 2015年4月22日発売、ISBN 978-4-06-385653-8
- 『K2 臓器移植編』2012年9月19日発売、ISBN 978-4-06-377647-8
- アンコール刊行 2015年5月13日発売、ISBN 978-4-06-385662-0
- 『K2 一也、覚醒編』2012年10月17日発売、ISBN 978-4-06-377668-3
- アンコール刊行 2015年5月27日発売、ISBN 978-4-06-385666-8
- 『K2 再生医療編』2012年11月21日発売、ISBN 978-4-06-377686-7
- アンコール刊行 2015年6月10日発売、ISBN 978-4-06-385683-5
- 『K2 ドクターKの因縁編』2012年12月19日発売、ISBN 978-4-06-377712-3
- アンコール刊行 2015年6月24日発売、ISBN 978-4-06-385685-9
- 『K2 ドクターKとの約束編』2013年1月23日日発売、ISBN 978-4-06-377731-4
- アンコール刊行 2015年7月8日発売、ISBN 978-4-06-385699-6
- 『K2 野人来日編』2014年10月22日発売、ISBN 978-4-06-378093-2
- アンコール刊行 2015年7月22日発売、ISBN 978-4-06-385707-8
- 『K2 闇医者の弟子編』2014年11月19日発売、ISBN 978-4-06-378096-3
- アンコール刊行 2015年8月12日発売、ISBN 978-4-06-385764-1
- 『K2 二つの医道編』2015年8月26日発売、ISBN 978-4-06-385766-5
- 『K2 ドクターK vs. ドクターTETSU』2016年11月2日発売、ISBN 978-4-06-386074-0
- 『K2 ドクターKの帰還編』2016年11月16日発売、ISBN 978-4-06-386075-7
- 『K2 追憶のKAZUYA編』2016年11月30日発売、ISBN 978-4-06-386076-4
- 『K2 ためらいのメス編』2018年2月28日発売、ISBN 978-4-06-511317-2
- 『K2 絶海のドクター編』2018年3月28日発売、ISBN 978-4-06-511324-0
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 2004年当時は臓器の移植に関する法律の規定により、民法上の遺言可能年齢に達していない15歳未満をドナーとする臓器移植は禁止されていた。2010年の法改正により家族の承諾があればドナーとなることができるようになった[8]。
- ^ 「神代一人」の名が最初に紹介されるのは第33話「親友 前編」からである。
- ^ 第2話「甦る記憶」におけるKEIの回想シーンでは、旧作で1968年生まれと設定されている12歳頃のKEIが、すでに少年となっている一人に手当されるシーンがある。
- ^ 歯科医師免許の発行を受けた描写はないが、医師免許保持者が口腔外科的処置を行うことは可能である。
- ^ 一郎が姿を消す前の回想では、髪型が異なるのみならず一郎に比べて垂れ目であるといった多少の差異が見られるが、顔立ちは元々よく似ている。
- ^ 第32話(第3巻)に登場する血液台帳に「佐藤イシ」という名前が記載されているがこれが本人かは不明
- ^ 冴草という名も「このウィッグの時の名前」としているが、それ以外の名前は描写されていない。
- ^ 医学を学んでいることとアニメや漫画で日本語を学んだことは、一也に近づく為の方便ではなく本当であると述べている
出典[編集]
- ^ “イブニングが23年間の歴史に幕、最終号に「アザゼルさん。」「ギャングキング」読み切り”. コミックナタリー (ナターシャ). (2023年2月28日) 2023年2月28日閲覧。
- ^ a b ファミ通.com (2023年3月26日). “【445話無料】漫画『K2』コミックDAYSの移籍新連載が本日(3/26)スタート。新たな“K”の物語を描く『スーパードクターK』シリーズの続編 | ゲーム・エンタメ最新情報”. ファミ通.com. 2023年3月26日閲覧。
- ^ “K2 - 真船 一雄 / 第418話 めぐりあい”. コミックDAYS. 2023年3月16日閲覧。
- ^ “Doctor K - 真船一雄 / karte91 〔最終話〕 出会い”. コミックDAYS. 2023年3月16日閲覧。
- ^ eveningmagazineの2021年1月10日のツイート、2021年5月29日閲覧。
- ^ eveningmagazineの2021年9月13日のツイート、2022年3月19日閲覧。
- ^ a b ヒナタカ (2023年3月22日). “医療漫画『K2』、全話無料公開で悶絶するひと多発今もっとも結婚してほしい身長差カップル(※付き合っていない)について語らせてほしい(1/2ページ)”. ねとらぼ. 2023年3月26日閲覧。
- ^ “臓器移植法”. 日本臓器移植ネットワーク. 2023年3月26日閲覧。
- ^ 真船 1988, p. 99.
- ^ 真船 1988, p. 54.
- ^ 真船 1988, pp. 68–95.
参考文献[編集]
- 真船一雄 『スーパードクターK』 3巻、講談社〈講談社コミックス〉、1988年11月14日。ISBN 4-06-311402-3。