コンテンツにスキップ

知的財産高等裁判所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。2404:7a83:b0c0:e600:29ce:6359:3710:a6bf (会話) による 2023年6月20日 (火) 10:17個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

日本の旗 日本高等裁判所支部
知的財産高等裁判所
支部長 本多知成
組織
管轄区域 日本[注 1]
本庁 東京高等裁判所
上位裁判所 最高裁判所
下位裁判所 技術型
東京地方裁判所
大阪地方裁判所
非技術型
東京地方裁判所
水戸地方裁判所
宇都宮地方裁判所
前橋地方裁判所
さいたま地方裁判所
千葉地方裁判所
横浜地方裁判所
新潟地方裁判所
甲府地方裁判所
長野地方裁判所
静岡地方裁判所
概要
所在地 〒153-0061(専用: 153-8537)
東京都目黒区中目黒2丁目4-1
北緯35度38分29.94秒 東経139度42分10.97秒 / 北緯35.6416500度 東経139.7030472度 / 35.6416500; 139.7030472座標: 北緯35度38分29.94秒 東経139度42分10.97秒 / 北緯35.6416500度 東経139.7030472度 / 35.6416500; 139.7030472
法人番号 1000013020001 ウィキデータを編集
設置 2005年平成17年)4月1日
知的財産高等裁判所
2022年10月11日に現在の所在地(知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎)に移転された。
以前の所在地は東京都千代田区霞ヶ関一丁目1番4号
テンプレートを表示

知的財産高等裁判所(ちてきざいさんこうとうさいばんしょ)は、東京都目黒区にある東京高等裁判所の支部。略称は、知財高裁(ちざいこうさい)。

知的財産に関する事件を専門に取り扱う東京高等裁判所の特別の支部[注 2]知的財産高等裁判所設置法(平成16年法律第119号)に基づき、2005年平成17年)4月1日に設立。

組織

知的財産高等裁判所は、2005年(平成17年)4月1日、裁判官18人、調査官11人、その他書記官、事務局職員を合わせて51人の体制で始められた。このほか専門的な知見に関する意見を求めるため、非常勤の専門委員が事件に関与する。

  • 所長
  • 裁判部門
    • 特別部(大合議部)
    • 通常部
      • 第一部
      • 第二部
      • 第三部
      • 第四部
  • 事務部門
    • 知的財産高等裁判所事務局-裁判官会議
      • 庶務第一課
      • 庶務第二課

取扱い事件

審決取消訴訟

特許庁が行った審決に対する不服申立てとしての審決取消訴訟は知的財産高等裁判所が全国の事件をすべて取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条2号、特許法178条1項等)。この審決取消訴訟については知的財産高等裁判所が第一審となる。

知的財産権関係民事事件

民事控訴事件

技術型(すべて知的財産高等裁判所が取り扱う)
技術型事件とは、特許権実用新案権、半導体集積回路の回路配置利用権、プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴訟事件のこと。
技術型事件の第一審は、東京地方裁判所または大阪地方裁判所の管轄に属する。そして、民事控訴事件(民事事件の控訴審)のうち、技術型事件の控訴事件は東京高等裁判所の専属管轄に属し(民事訴訟法6条3項)、東京高等裁判所の「特別の支部」である知的財産高等裁判所が全国の事件をすべて取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条1号)。
非技術型(各高裁が取り扱う。知財高裁は東京高裁の管轄事件のみ取り扱う)
非技術型事件とは、意匠権商標権、著作者の権利(プログラムの著作物についての著作者の権利を除く)、出版権、著作隣接権育成者権、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴えに関する訴訟事件のこと。
非技術型事件の第一審は全国の地方裁判所の管轄に属する。そして、民事控訴事件のうち、非技術型事件の控訴事件については第一審を取り扱った各地方裁判所に対応して全国8か所にある高等裁判所が管轄を有している。そのため、東京高等裁判所の管轄に属する事件のみを知的財産高等裁判所が取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条1号)。

その他の事件

東京高等裁判所の管轄に属する民事事件及び行政事件のうち、主要な争点の審理につき知的財産権に関する専門的な知見を要する事件は知的財産高等裁判所が取り扱う(知的財産高等裁判所設置法2条3号)。

沿革

  • 1950年昭和25年)11月 - 昭和 23年の特許法の改正により、東京高等裁判所を専属管轄とする審決取消訴訟制度が定められたことを契機として,東京高裁に知的財産部として、第5特別部が設立される。後に、民事通常部の第6民事部、第13民事部、第18民事部、第3民事部を知的財産権関係事件の専門部とする。
  • 1961年(昭和36年)- 東京地裁に知的財産部を開設する。平成17年4月1日現在、東京地裁には知的財産権関係事件を取り扱う専門部が4箇部ある。
  • 1964年(昭和39年) - 大阪地裁に知的財産部を開設する。平成17年4月1日現在、大阪地裁には、知的財産権関係事件を取り扱う専門部が2箇部ある。
  • 1990年平成2年) - 大阪高裁に知的財産部を開設する。平成17年4月1日現在、大阪高裁には知的財産権関係事件を取り扱う集中部が1箇部ある。
  • 1996年8月(平成8年) - 民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立する(特許等に関する訴えの競合管轄化等を内容とする)。
  • 2001年(平成13年)6月 - 1999年(平成11年)7月 に設置された司法制度改革審議会が「意見」を公表し、「知的財産権関係事 件への総合的な対応強化」の具体的方策として、裁判所の専門的処理体制の強化を目的とする様々な提言をした。
  • 2001年(平成13年)12月 - 司法制度改革推進本部が設置される(2004年11月まで)。
  • 2002年(平成14年)2月 - 小泉首相施政方針演説で、歴代総理として初めて知的財産権の重要性に言及。
  • 2002年(平成14年)7月 - 同年3月に設置された知的財産戦略会議が、知的財産戦略大綱を決定し、東京地裁や大阪地裁の専門部を実質的に「特許裁判所」として機能させるため、両裁判所に専属管轄を創設することなどの様々な課題が提示された。
  • 2002年(平成14年)10月 - 知的財産訴訟検討会を開催する。
  • 2003年(平成15年)3月 - 知的財産基本法(平成14年法律第122号)が施行される。知的財産戦略本部が発足する。
  • 2003年(平成15年)7月 -「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」が決定される。民事訴訟法等の一部を改正する法律が成立する(特許等に関する訴えの専属管轄化、専門委員制度の導入等を内容とする)。
  • 2004年(平成16年)4月 - 東京高裁で知財関係事件を取り扱っていた4つの民事通常部(第6民事部、第13民事部、第18民事部、第3民事部)を、第1から第4の「知的財産部」に名称を変更する。また、東京高裁に知的財産大合議部としての「第6特別部」(5人の裁判官による大合議制)を創設する。
  • 2004年(平成16年)6月 - 知的財産高等裁判所設置法が成立する。
  • 2005年(平成17年)4月 - 知的財産高等裁判所が設立される。東京高裁にあった第1知的財産部から第4知的財産部の4箇部を「通常部」とし、第6特別部を「大合議部」とする。
  • 2022年(令和4年)10月 - 11日に知的財産高等裁判所・東京地方裁判所中目黒庁舎(ビジネス・コート、目黒区中目黒2丁目)に移転[1][2]。関東信越厚生局の跡地に新しい庁舎が建設される。

歴代所長

  • 篠原勝美(2005年4月 - 2007年5月、福岡高裁長官)
  • 塚原朋一(2007年5月 - 2010年8月、定年退官)
  • 中野哲弘(2010年8月 - 2012年3月、定年退官[3]
  • 飯村敏明(2012年3月 - 2014年6月、定年退官)
  • 設樂隆一(2014年6月 - 2017年1月、定年退官)
  • 清水節(2017年1月 - 2018年5月、定年退官)
  • 高部眞規子(2018年5月 - 2020年10月、高松高等裁判所長官)
  • 大鷹一郎(2020年10月 - 2023年6月、定年退官)
  • 本多知成(2023年6月 - )

(任期の後ろは後職)

その他の裁判官

第一部

  • 大鷹一郎
  • 小川卓逸
  • 遠山敦士

第二部

  • 本多知成
  • 浅井憲
  • 中島朋宏
  • 勝又来未子

第三部

  • 東海林保
  • 中平健
  • 都野道紀

第四部

(2022年4月1日現在)[4]

脚注

注釈

  1. ^ 知的財産権事件のうち、非技術型は東京高等裁判所管轄地域のみ。
  2. ^ 特別の支部の意義について、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮は、参議院法務委員会(平成16年6月03日)において、「裁判所法上の支部でございますけれども、独自の司法行政の事務あるいは事務局等を有するとともに、その設置の根拠を法律に求めるという点で通常の支部とは異なるということでございまして、その意味で「特別の支部」というふうに表現をしております。通常の支部は裁判所が自ら、どこに支部を置くということを自らの判断で定めることができるようになっておりますけれども、この点については裁判所の判断というよりも法律で決めてしまう、こういうような特別の支部だと、こういう位置付けでございます。」と説明している。日本国憲法第76条にいう特別裁判所にはあたらない。

出典

関連項目

外部リンク