矢作町 (陸前高田市)
矢作町 | |
---|---|
域内に所在する観音寺観音堂 | |
北緯39度2分13.045秒 東経141度32分18.111秒 / 北緯39.03695694度 東経141.53836417度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 岩手県 |
市町村 | 陸前高田市 |
人口 (2021年11月30日時点[1]) | |
• 合計 | 1,368人 |
郵便番号 |
029-2201[2] |
市外局番 | 0192(大船渡MA[3]) |
ナンバープレート | 岩手 |
矢作町(やはぎちょう)とは、岩手県陸前高田市の大字。郵便番号は029-2201[2]。住民基本台帳によると2021年11月30日の住民は1,368人、世帯数は591世帯である[1]。
地理
北は気仙郡住田町世田米と、東は気仙町や横田町と、南は宮城県気仙沼市の多くの大字と、西は一関市大東町大原と接する。
域内は山林が多く、集落は川沿にある僅かな谷間に密集しており、主に生出と二又、下矢作の三地区に分類できる。生出地区は南北に走る岩手県道246号世田米矢作線沿いに集落が存在し、二又地区は矢作川や生出川、国道343号沿いに集落が存在する。下矢作地区は陸前高田市の中心部である高田町に最も近く、陸前矢作駅を中心に集落が展開されており、最も規模が大きい。
また、矢作町は農業が盛んな地域である。田畑の面積は田が54ha、畑が26haであり、農家の戸数は田が90戸、畑が89戸と、農業は陸前高田市内でトップクラスを誇る。しかし、樹園地は圧倒的に少なく、その面積は1haほどである。
河川
山など
- 原台山(894.7m)[4]
- 生出山(684.5m)[4]
- 君ヶ鼻山(653.0m)[4]
- 黒森山(602.3m)[4]
- 宝境山(592.0m)[4]
- 陣ヶ森(583.6m)[4]
- 八森平山(571.0m)[4]
- 板倉山(425.3m)[4]
- 笹ノ田峠[5]
小字
域内の小字は以下の通りである[6]。
- 味米(あじよね)[7]
- 愛宕下
- 飯森
- 打越
- 梅木
- 大嶋部(おおしまっぺ)[8]
- 沖
- 越戸内(おつとうち)[9]
- 片地家(かたじけ)[10]
- 金屋敷
- 金平
- 上小黒山
- 木戸口
- 外道尻
- 小嶋部(こしまっぺ)[11]
- 坂下
- 三の戸
- 清水(しず)[12]
- 清水川(しずがわ)[13]
- 下小黒山
- 神明前
- 諏訪
- 袖野
- 寺前
- 出口
- 徳前
- 堂前
- 中島
- 中平
- 鍋谷
- 二田野
- 根岸
- 信内
- 東角地
- 二又
- 馬越
- 桝内
- 的場
- 耳切(みみきれ)[14]
- 元屋敷
- 山崎
- 山谷[15]
- 雪沢
- 湯漬畑
- 和山
歴史
施設
- 矢作郵便局(二又42-2)[16][17]
- 下矢作簡易郵便局(片地家1-1)[16][18]
- 大船渡警察署矢作駐在所(諏訪22-1)[16][19]
- 下矢作保育園(諏訪44)[16]
- 陸前高田市矢作小学校(神明前55-1)[16][20][21]
- 陸前高田市国民健康保険二又診療所(愛宕下31)[16]
- 陸前高田市二又復興交流センター(愛宕下11-1)[16]
- 下矢作地区コミュニティセンター(諏訪44)[16]
- 矢作地区コミュニティセンター(鍋谷6-2)[16]
- 生出地区コミュニティセンター(二田野36-6)[16]
- 観音寺(寺前79)[22]
- 馬頭観音堂(片地家)[22]
交通
鉄道
2020年まで、JR大船渡線の陸前矢作駅が所在していたが[注 1]、現在は存在せず、代わりにBRTの停留所(後述)が存在する。
なお、最寄駅は盛駅(三陸鉄道リアス線、岩手開発鉄道赤崎線・日頃市線)や折壁駅(JR大船渡線)などが挙げられる。
道路
- 三陸沿岸道路
- 国道343号
- 岩手県道34号気仙沼陸前高田線
- 岩手県道246号世田米矢作線
- 笹ノ田大橋[5]
- 廻館橋(まったてばし)[22]
バス
統計
人口
住民基本台帳によると2021年11月30時点での矢作町の人口は以下の通りである[1]。
世帯数 | 男 | 女 | 計 | |
---|---|---|---|---|
日本人 | 578世帯 | 659人 | 683人 | 1,342人 |
外国人 | 13世帯 | 14人 | 12人 | 26人 |
合計 | 591世帯 | 673人 | 695人 | 1,368人 |
労働
2015年10月1日時点での矢作町の下矢作と矢作、生出における15歳以上の産業別労働者人口は以下の通りである(なお、単位は人)[16]。
第一次産業
就業者人口 | 農業 | 林業 | 漁業 |
---|---|---|---|
総合 | 73人 | 22人 | 2人 |
男 | 42人 | 21人 | 1人 |
女 | 31人 | 1人 | 1人 |
第二次産業
就業者人口 | 鉱業 採石業 砂利採取業 |
建設業 | 製造業 |
---|---|---|---|
総合 | 1人 | 166人 | 139人 |
男 | 1人 | 156人 | 67人 |
女 | 0人 | 10人 | 72人 |
第三次産業
就業者人口 | 水道 電気 ガス |
情報通信 | 運輸 郵便 |
小売 卸売 |
金融 保険 |
不動産 物販賃貸 |
学術研究 専門サービス 技術サービス |
宿泊 飲食サービス |
生活関連サービス 娯楽 |
教育 学習支援 |
医療 福祉 |
複合サービス | サービス | 公務 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総合 | 0人 | 4人 | 51人 | 99人 | 11人 | 7人 | 11人 | 41人 | 11人 | 29人 | 84人 | 17人 | 54人 | 25人 | 2人 |
男 | 0人 | 1人 | 47人 | 49人 | 1人 | 7人 | 6人 | 9人 | 3人 | 12人 | 14人 | 11人 | 36人 | 19人 | 1人 |
女 | 0人 | 3人 | 4人 | 50人 | 10人 | 0人 | 5人 | 32人 | 8人 | 17人 | 70人 | 6人 | 18人 | 6人 | 1人 |
東日本大震災
矢作町での東日本大震災の犠牲者は21人で海に面していないにも関わらず、矢作川などの流域が被害を受け、域内の字越戸内(10.2m)や字神明前(9.6m)が浸水した[26][27]。
域内各地の様子
- 陸前高田市立下矢作小学校
- 矢作地区コミュニティセンター
- 生出地区コミュニティセンター
- 震災が発生した当日、生出地区本部と避難所が開設されたが、生出地区は内陸に位置していたため、被害が少なかったため、避難者はいなかった[27]。
- 自衛隊による支援物資が配送されるまで、炊き出しを行い、高田町の陸前高田市立第一中学校や下矢作コミュニティセンターなどへと提供した[27]。
- 下矢作コミュニティセンター
- 矢作保育所
- 下矢作保育園
- 矢作町6区公民館
- 3月11日から5月10日まで避難所を開設し、40人ほどが避難していた[27]。
- 矢作町7区公民館
- 3月11日から5月10日まで避難所を開設し、20人ほどが避難していた[27]。
被害統計
2012年11月30日時点の矢作町の世代・男女別の犠牲者・死亡率は以下の通りである[26]。
世代と性別 | 死者 | 死亡率 | 当時の人口 |
---|---|---|---|
男性 | 10 | 1.28% | 780 |
女性 | 11 | 1.23% | 897 |
15歳未満 | 0 | 0.00% | 167 |
15 - 64歳 | 15 | 1.81% | 830 |
65歳以上 | 6 | 0.88% | 680 |
合計 | 21 | 1.25% | 1,677 |
建物の被害は以下の通りである(一部数値を四捨五入し、また、住民票を移さずに被災した世帯も統計に含まれているために被害割合が100%を超過する場合がある)[27]。
全壊 | 大規模半壊 | 半壊 | 一部損壊 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
世帯数 | 津波被害 | 31 | 18 | 12 | 9 | 70 |
地震被害 | 0 | 0 | 1 | 485 | 486 | |
合計 | 31 | 18 | 13 | 494 | 556 | |
被害割合 | 津波被害 | 5.0% | 2.9% | 2.0% | 1.5% | 11.4% |
地震被害 | 0.0% | 0.0% | 0.2% | 78.9% | 79.0% | |
合計 | 5.0% | 2.9% | 2.1% | 80.3% | 90.4% |
文化財
矢作町内の文化財は以下の通りである[27][28][29][30][31][32][33][34][35]。
名称 | 指定 | 区分 | 指定年月日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
タラヨウの巨木 | 市指定 | 天然記念物 | 1973年3月1日 | |
円城寺の枝垂れ性トウヒ | 市指定 | 天然記念物 | 1973年3月1日 | |
漆絵曳馬絵馬 | 県指定 | 有形民俗文化財 | 1986年8月26日 | 縦40.2cm、横58.8cm、厚さ1.0cm。当時の風俗信仰を知る資料として価値が高い。 |
小田家のおしらがみ | 市指定 | 有形民俗文化財 | 1973年3月1日 | |
生出神楽 | 市指定 | 無形民俗文化財 | 1978年5月27日 | 東磐井郡長島村の菅原慶治、千葉清により、伝授された。南部神楽の系統に属す。 |
雪沢田植神踊 | 市指定 | 無形民俗文化財 | 1978年5月27日 | 鞨鼓を持つ奴や躍人がいない田植踊である。 |
三ノ戸剣舞 | 市指定 | 無形民俗文化財 | 1981年6月3日 | 明治期に鎧剣舞の系統で、気仙郡住田町の大山与五郎から伝授された。 |
中平神楽 | 市指定 | 無形民俗文化財 | 1996年6月25日 | |
生出鹿踊 | 市指定 | 無形民俗文化財 | 1996年6月25日 | 寛政12年に東磐井郡大原村の行山流の山口屋敷喜左衛門により伝授された、行山流山口派の鹿踊である。 |
木造六臂十一面観音菩薩立像 | 県指定 | 有形文化財 | 2015年11月6日 | 観音寺観音堂の本尊で、作風は平安末期のものである。 |
木造天部形立像(伝毘沙門天) | 県指定 | 有形文化財 | 2015年11月6日 | |
木造観音菩薩立像(伝虚空蔵菩薩) | 県指定 | 有形文化財 | 2015年11月6日 | |
閑董院宥健尊師堂 | 市指定 | 有形文化財 | 2015年2月10日 | 元和6年、疫病に苦しむ人々を救おうと、即身成仏した宥健法印(閑董院)を祀るために建立された。 |
関連項目
脚注
注釈
- ^ ただし、2011年3月11日より、東北地方太平洋沖地震の影響で休止していた。
出典
- ^ a b c “令和3年度人口・世帯数(住民基本台帳)”. 陸前高田市 (2021年10月5日). 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b “郵便番号簿PDF(2020年度版) 岩手県” (PDF). 日本郵便グループ. 2021年11月8日閲覧。
- ^ “市外局番の一覧”. 総務省. 2021年11月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “高田松原津波復興祈念公園 基本構想 参考資料”. 国土交通省東北地方整備局・岩手県・陸前高田市. 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b “新笹ノ田トンネル、整備を促進する会総会/陸前高田”. 東海新報. (2016年7月23日) 2021年11月11日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町味米”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町大嶋部”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町越戸内”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町片地家”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町小嶋部”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町清水”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町清水川”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町耳切”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県陸前高田市矢作町山谷”. NAVITIME. 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “陸前高田市統計書” (PDF). 陸前高田市. 2021年11月10日閲覧。
- ^ “矢作郵便局 (やはぎゆうびんきょく)”. 日本郵政グループ. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “下矢作簡易郵便局 (しもやはぎかんいゆうびんきょく)”. 日本郵政グループ. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “大船渡警察署管内の交番 駐在所一覧”. 大船渡警察署 (2021年3月18日). 2021年11月10日閲覧。
- ^ “ホームページ”. 陸前高田市矢作小学校. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “小・中学校一覧” (2021年4月7日). 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b c “2021.10陸前高田_観光案内(地図)01”. 一般社団法人 陸前高田市観光物産協会. 2021年12月6日閲覧。
- ^ a b “元屋敷(岩手県)の時刻表”. NAVITIME. 2021年11月2日閲覧。
- ^ a b “嶋部の時刻表”. NAVITIME. 2021年11月11日閲覧。
- ^ “合場の時刻表”. NAVITIME. 2021年11月11日閲覧。
- ^ a b 谷謙二「小地域別にみた東日本大震災被災地における死亡者および死亡率の分布」『埼玉大学教育学部地理学研究報告』第32号、埼玉大学教育学部地理学研究室、2012年、1-26頁、doi:10.24561/00016186、ISSN 0913-2724、NAID 120006388016、2021年12月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s “陸前高田市東日本大震災検証報告書 資料編” (PDF). 陸前高田市. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “陸前高田市にある指定文化財”. 陸前高田市 (2021年4月1日). 2021年12月6日閲覧。
- ^ “一般文化財への取り組みについて” (PDF). 陸前高田市. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “漆絵曳馬絵馬”. 岩手県文化スポーツ部文化振興課 文化芸術担当. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “生出神楽 生出神楽芸能保存会|陸前高田市”. 三陸国際芸術村. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “生出神楽 生出神楽芸能保存会|陸前高田市”. 生出地区コミュニティ. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “岩手県一関市文化財調査報告書第8集 一関市民俗芸能調査報告書” (PDF). 一関市教育委員会. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “木造六臂十一面観音菩薩立像”. 岩手県文化スポーツ部文化振興課 文化芸術担当. 2021年12月6日閲覧。
- ^ “地元の人々に代々受け継がれる、閑董院宥健尊師堂「縁日」【高田のはなし】”. 陸前高田市まちづくりプラットフォーム. 2021年12月6日閲覧。