飛影 (幽☆遊☆白書)

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飛影(ひえい)は、冨樫義博漫画幽☆遊☆白書』およびそれを原作としたアニメや映画に登場する架空の人物。担当声優檜山修之

概要[編集]

浦飯幽助の戦友。元は魔界でも名を馳せた盗賊。雪菜の双子の兄。額に後天的に身につけた第三の眼・邪眼があり、炎の妖術と剣術を使う。

作者はメインキャラ4人の中で彼のみを子供と説明している[1]。身長は池乃めだかくらい[2]と形容される程小柄。アニメでは雪菜と同じ身長に設定されている[3]

炎のように逆立った黒い髪と、切れ上がった大きな三白眼、小さな鼻と口が特徴的。身につける服は黒と白が基調。主に、白いスカーフに腰のくびれた黒いコート、黒のパンツ、黒のブーツという出で立ちである(アニメ版では、コートの裏地は真紅)。コートの中は黒いノースリーブの戦闘服が主であるが何も着用せず、上半身裸という格好も少なくない。暗黒武術会の開幕時のみ、色付きの中国風戦闘服だった。白の長袖を着用したこともある[4]。炎殺黒龍波を極めてからは右腕に黒龍のアザがつき、包帯(忌呪帯法)を巻いて封じている。

流浪の人生の中で得た数少ない仲間は浦飯幽助と蔵馬と桑原和真。彼ら3人とは根底で繋がっており、魔界に帰ってからもまた2、3年したら会ってやらなくもないと思っている。また、「審判の門」にて幽助が選択を迫られ、他の仲間達が皆を安全な場所に避難させる中、陰ながらコエンマと共に最後まで彼の傍で生死を共にしていた。最終的にはの側近の地位に落ち着いている。

ジャンケンTVゲームなどの人間界の娯楽に関しては無知で、全て蔵馬から説明を受けている。ジャンケンについては、六遊怪チームとの対戦時に「ジャンケンで順番を決めたんだろう」と発言したことがあるが、後の裏御伽チーム戦で蔵馬に教えてもらっていたことから、六遊怪チームとの対戦前日(「ジャンケン」発言前日)に鈴駒による「ジャンケンで決めた」発言をそのまま引用したものであると分かる。[5]

作者は最初は適当に決めたと述べていた[6]が、後に適当に思いついた「ひえい」の響きに漢字を当てはめただけだと明かされた[1]。モデルは『パタリロ!』に登場するスカンキー[7]

性格[編集]

初登場した盗賊編では饒舌かつ挑発的という小悪党だったが四聖編で再登場してからはそのような面は見られなくなった。自分の生まれ育った環境の影響か、尊大で冷たく、他人と関わらない性格であり、冷血非道なキャラクターだと評している[8]。反面妹思いで、直接雪菜と関わることは少なかったが、彼女がピンチの際には常に駆け付けている。アニメ版ではその部分がより強調されていた。

プライドの高さゆえに海藤との対峙では相手の挑発に乗り、自滅した。また、性格が災いして、蔵馬(まれに幽助)から妹のこと含め、散々からかわれている。

来歴[編集]

母親は雪菜と同じ種族、氷女(こおりめ)の氷菜(ひな)。父親は不明。生まれた時から強力な炎の妖気を身にまとっていた(そのため呪符で包まれ、妖気を抑えた状態でないと、氷女が彼を抱えることは出来なかった)。母親の形見(一粒の氷泪石)と共に、生後まもなく天空の氷河の国から魔界の森に投げ落とされた。この時から、自分を追放した氷河の国の女を皆殺しにすることを生きる目標とした。

その後盗賊に拾われ、飛影と名づけられ、自身も盗賊を生業とする。幼い頃は、血と暴力を好む残忍な性格の子供で、氷泪石を狙う妖怪たちの殺戮に明け暮れる生活を続け、生まれて5年目にはA級妖怪まで妖力が上がっていた。次第に地元の盗賊たちからも恐れられ、避けられる。

氷泪石を眺める時間が増えたことにより、石の持つ心の浄化作用によって、いつしか純粋に故郷へ思いを馳せる。土地を移ったことで敵も変わり、ある時、強敵と戦っている最中に不覚をとり、氷泪石を失くす。以後、妹のいる氷河の国と、紛失した母親の形見の氷泪石の2つを見つけ出すことが生きる目的へと変わる。

「もっとよく見える目」が必要であったために、魔界整体師・時雨の手術によって、額に第三の目である邪眼を手に入れる。この手術はかなりの激痛を伴い(切り傷をナイフでグリグリする万倍の痛み)さらに術後最下級まで妖力が落ちるという過酷なものだった。しかしながら、一瞬の油断で氷泪石を失くした自分自身が許せなかった為、自分で自分を罰するという意味でも都合が良かった。時雨へ払う手術代は「妹を見つけても兄と名乗らない」こと。本人は最初から名乗るつもりはないらしい。

千里眼で氷河の国は難なく見つかるが、氷女は皆どこか暗くいじけて見えたため、復讐は頓挫。氷河の国に隠密で帰郷した際、妹の情報を仕入れると同時に、母親の墓も訪れていた(アニメでは、泪に道案内をさせた)。氷菜は、アニメでは自ら命を絶っているが、原作では男児を産んだ氷女は、その直後に例外なく死ぬ。母親の墓標を前にしても憤ることもなく、これが母親の意志だったのだろうと受け入れた。

雪菜を追って人間界に来ると、妖怪八つ手との戦いがきっかけで蔵馬と知り合う。霊界の三大秘宝の一つ・降魔の剣で螢子を妖怪に変えようとしたことから幽助と死闘を演じ、敗北後、逮捕されるが、霊界からの「刑罰免除」を目的に幽助らと共に数多の敵と戦い、その中で次第に幽助の型破りな性格に惹かれ行動を共にするようになる。幽閉されていた雪菜も見つけるが、自らが兄だとは名乗らなかった[9]。また、助け出す際に彼女を監禁、虐待していた垂金を原作では一発殴ったが、アニメでは怒りのあまり何発も殴りとどめも刺そうとしたが、雪菜に止められている。

暗黒武術会では無敗の活躍で浦飯チームの優勝に大きく貢献した。尚、大会での優勝時の望みは「この大会に二度と呼ばれないために、大会の黒幕全員の抹殺」であることを戸愚呂チームとの決勝戦で明かすが、その時すでに戸愚呂により運営委員は全て殺されており、優勝前から望みは叶っていた。アニメ版ではその事で戸愚呂が「あいつの願いを大サービスで叶えてしまった」と呟いた。

魔界の扉編では幽助が城戸たちに捕らわれて「桑原と蔵馬と飛影が四次元屋敷に来なければ、幽助の命は保障できない」ことを書いた手紙を桑原たちから見せられるが、人間相手に捕らえられた幽助の不甲斐なさに苛立って同行を拒むが、蔵馬から能力者の噂を聞かされ、最終的にはぼたんから「同行したら、霊界の監視下から解放する」ことを条件を出されたことで同行することにする。四次元屋敷での一件を終えた後、「魔界に帰るから、幽助たちに手は貸さないが、邪魔もしない」と告げて幽助らと袂を分かつ。

刃霧に苦戦している幽助を助け出した後、冷静さを失っている幽助に喝を入れるために襲い掛かる。戦闘後、幽助から「欲しがっている黒の章と引き換えに桑原を助け出すまでで良いから手を貸してほしい」と取り引きを持ちかけられたことと品のない下級妖怪に喧嘩を売られたことにうんざりしたことから幽助に手を貸す。仙水との戦いで戦死した幽助の死に対する感情の高まりから妖力がB級から本来のA級にアップし、魔界で仙水と一時死闘を演じた。復活した幽助と仙水との戦いの最中、黒龍波の使いすぎにより眠ってしまい、目を覚ましたときには人間界に戻されていた。約束どおり、黒の章を貰ったが、アニメ版では蔵馬との会話で人間界に戻されたのはコエンマの案であることが語られ、「黒の章を魔界に戻るための取り引きに使っては?」という蔵馬の案に対し、黒の章を「くだらんもの」と斬って壊した。

魔界編では軀に戦力増強目的でスカウトされ、魔界に帰る。その際、予想外にも、雪菜から彼女が持つ母の形見の氷泪石を託される。母の形見の氷泪石を見つけるという目的のもと生き抜いてきたが、自分が失くした石ではないと知りつつも、生きる意味を失った虚無感に陥る。戦うことだけが頭に残り、いかに死ぬかを考え始め、軀の要塞における時雨との決闘で、相打ちして死ぬ道を選ぶ。

決闘の後、軀の計らいにより蘇生、彼女から自分の氷泪石を褒美として返還される。蘇生の最中、軀が飛影の人生の記憶に触れ、引き換えに彼女の真の姿と彼女の人生の記憶を見せられた。その後実力を伸ばし、魔界統一トーナメント時はS級妖怪に成長。軀軍においてNo.2の力を得る。

アニメ版ではトーナメントで軀と対戦。互いに歩んできた過去の憎しみを語り合うかのように戦う中、軀から「お前が抱いているのは、故郷(氷河の国)に対する激しい憧れだ」と指摘される。自身もまた、軀を憎しみから解放するため、炎殺黒龍波を放つ。炎殺黒龍波は破られ、トーナメントは敗退するが、軀を憎しみの呪縛から解放するきっかけとなった。この戦いの様子はアニメのオリジナルであり、飛影と軀の関係を消化させると同時に、飛影が軀の過去を救ってあげるニュアンスを織り込んで作られた(監督の阿部紀之のインタビューより)。

トーナメント後は大会敗者として軀の下で魔界パトロールを行い、魔界に迷い込んだ人間を送り返す仕事をしている。本人はこの仕事にうんざりしており、「審判の門」が聖神党によって占拠された際は、潜入を試みる幽助に強引にチーム編入され、拗ね気味に「次は絶対優勝してやる」と決意した。

軀との関係[編集]

魔界編からは、国王とその片腕ということで、2人で行動することが多くなっている。 コミックス18巻では、幽助の提案に乗った軀に関して、「気に入ったぜ」と発言している。アニメオリジナルとなった飛影VS軀との試合後に軀が言った「俺を倒すのが生きがいになったなんて言わないでくれ。それは悲しすぎる。」に対して「お前とはもう、戦わない」と発言している。さらに「すべてを終わらせるのは早すぎる。俺もお前も…」と軀に告げた後、そのまま2人で抱き合っている。 アニメ最終回でも、転寝をしている軀の部屋に堂々と入り、原作でも自由に出入りしている。

「SPECIAL DAY」では、軀が年に一度に鬱になってしまう原因、痴皇からの虐待による心の傷を皮肉ったため、軀の部屋から百足の外へと殴り飛ばされている。その後、人間界にいる蔵馬のところへ魔界の花、ヒトモドキの調達に向かっている。その際蔵馬から「その傷躯に…?痴話ゲンカですか?」と聞かれ、「殺すぞ」と返事をしている。怪我とヒトモドキを調達してもらいたい理由を聞かれ、「つまらんことだ」と答えながらも、傷の手当てをしてもらい、トレーナーの着替えももらって、痴皇のもとへ乗り込んでいる。痴皇を前に「とびきりの女を紹介してやるぜ」と告げ、ヒトモドキに寄生させた後、植木鉢状態にした痴皇を躯の部屋まで届ける。軀の前で彼女にかけられた痴皇の復讐防止の催眠術を解除する。そして、脳を破壊しない限り、半永久的に生き続ける植物にした痴皇を、「ハッピーバースディ」という言葉とともに軀にプレゼントしている。 アニメ版では、性奴隷として放送するのが不適切だということで、玩具奴隷に変更している。そのため、魔界統一トーナメントの試合で飛影が軀の過去を救うという形になっている。 原作では、性的虐待のトラウマで苦しむ軀を、飛影が解放するという形で消化している。

能力[編集]

魔界の黒炎をあやつる邪王炎殺拳と剣技の使い手。動きがとても素早く、その格闘センスは蔵馬も一目置いている。邪眼の手術後の影響で落ちた妖力をカバーすべく、魔界整体師の時雨に邪眼の手術後、護身用として師事を受け、その後、我流で技を磨いた。簡潔にスパッと敵を倒すことが彼の戦法[1]。後のことを考えないため、一時的に右手が使い物にならないことがあった。また、既に黒龍波を打ったにも関わらず気合のみで起き続け、再び黒龍波を打ったとき、蔵馬は半ば呆れていた。

前述の氷河の国と氷泪石を探し出すため、遠くにあるものでもすべてを見通すことができる「邪眼」を、魔界整体師時雨の手術により身に付ける。能力の一つである千里眼によって故郷である氷河の国を探し当てた。本気を出すと全身の色が緑になり全身から無数の目を開く(※額以外の目は邪眼そのものではなく邪眼の力の増幅装置的な物)。元来の能力ではないゆえに自分でも気に入ってなかったのか、使用したのは最初に幽助と対決した時の一度きり。劇場版2作目『冥界死闘篇 炎の絆』では、この状態で黒龍波を3体同時に撃った。

邪王炎殺拳[編集]

邪王炎殺黒龍波(じゃおうえんさつこくりゅうは)
妖気を餌に魔界の獄炎の化身である黒龍を召喚し放つ邪王炎殺拳の最大奥義。暗黒武術会の決勝戦で使用した際には、近くにいる観客の妖怪達を妖気だけで蒸発させ、会場のリングや外壁を粉々に破壊した。小兎曰く「その光景はまるで、阿鼻叫喚の地獄絵巻」。
黒龍を魔界から人間界に召還するためには莫大な妖気を放出し続けなければならず、飛影の力と才能を持ってしても、この技を極めるのは容易ではなかった。是流戦で初めて使用した際、試合自体にはあっさり勝利したものの、その時点で妖気がベストの状態であったにも関わらず、右腕を黒龍に食われかけしばらく腕が使用不能になった。
黒龍を敵に対して放つイメージが強いが、根本的には黒龍を召喚し、取り込むことで術師の能力を爆発的に高める技である。後に黒龍波を極めたことにより、自らに放ち取り込み妖気を飛躍的に上昇できた。体力の消耗も激しく、使用後は消耗した妖力・体力を回復するための深い眠り(約6時間)が待っている。映画2作目『冥界死闘篇 炎の絆』では、邪眼を使って威力を高めた黒龍波を撃ったことで眠っている。
邪王炎殺煉獄焦(じゃおうえんさつれんごくしょう)
炎を拳に集めて殴打する技で、幽助の霊光弾と似ている。人間界の炎でも流用可能だが、威力は魔界の炎を使うより劣る。
邪王炎殺剣(じゃおうえんさつけん)
炎を剣にする技。ただの炎ではなく、自らの妖気と融合させることで、強化された肉体をも切り裂くことが可能。桑原の霊剣に似ているが威力は桁違い(桑原自身もそのことを認めている)。黒桃太郎に使用した際、邪王炎殺煉獄焦を見切って奇美団子を使われ、炎殺拳が効かなくなった肉体さえも切り裂いた。仙水戦でも使用したが、気鋼闘衣の前では無力だった。桑原の霊剣に似ているため、本人は「かなりイメージが悪い」として嫌っている。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 冨樫義博『幽☆遊☆白書 公式キャラクターズブック 霊界紳士録』 集英社、2005年、188頁。
  2. ^ 池乃めだかの(公称)身長が150cmのため、他メディアで「飛影の身長は150cm」と記述されることがあるが、誤りである。
  3. ^ LD-BOX第3巻特典ブックレットより。
  4. ^ 『霊界紳士録』では私服と記載されているが、飛影は体格にあった服装のみ着用するため、キャラブック作成側の個人的な解釈である。
  5. ^ アニメ版では「ジャンケンで順番を決めたんだろう」が「適当に決めたんだろう」に台詞が変更された。
  6. ^ 冨樫義博『幽☆遊☆白書』第7巻 集英社<JC>、1992年、ISBN 978-4088712796、表紙そで。
  7. ^ 冨樫義博『幽遊白書終了記念 ヨシりんでポン!』 同人誌、1994年。
  8. ^ 別冊宝島1012 黄金アニメ特盛り!111本(2004年)
  9. ^ この時、幽助には「雪菜とは異母兄妹である」と語っていたが、後に描かれた回想シーンでは、双子ということが判明。