衛府の七忍

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衛府の七忍
漫画
作者 山口貴由
出版社 秋田書店
掲載誌 チャンピオンRED
レーベル チャンピオンREDコミックス
発表号 2015年5月号 -
巻数 既刊4巻(2017年8月18日現在)
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衛府の七忍』(えふのしちにん)は、山口貴由による日本漫画

概要[編集]

チャンピオンRED』(秋田書店)にて、2015年5月号から連載中。同誌で連載していた『シグルイ』や『エクゾスカル 零』に引き続いて残酷描写は多いものの、ケレン味やハッタリあふれる作風に回帰している。

特定主人公の「○鬼編」という中編を連ねて、怨身忍者が順次に登場していくという構成をとっている。登場人物の多くは、山口の過去の作品に出演した者と同じ外見・名前だが、設定は異なる。諸設定や技にも過去作のオマージュ要素が散見される。特に主人公たる七忍は『エクゾスカル零』に登場したエクゾスカル戦士達に対応している。だが、旧作の主人公たちが用いていた「強化外骨格」「エクゾスカル」が、その名が示すように金属製の鎧という武装であったことに対して、本作の「怨身忍者」は鬼、すなわち妖怪変化の類とされており、主人公たちの身体そのものが変身して、デザインもより生物的になっている。また強化外骨格に準じる兵器は、敵方である覇府の武士たちの方が使用する。さらに単行本4巻収録の第十八話より、『魔剣豪鬼譚』と副題がつけられた「宮本武蔵編」が始まり、怨身忍者への「鬼退治」が描かれる。

文明レベルや民の生活は、基本的には一般的な江戸時代初期を舞台とした作品と変わらない。ただし覇府徳川の武士身分が軍備を独占しており、一部の兵器に用いられる技術力は時代不相応に高い。また忍者は異能の技を用いる。

山口の他作品と同様に、雑誌掲載時から単行本化に際して、絵やセリフの修正がみられ、連載時の数話を一話にまとめ直すという構成変更もある(例えば、霞鬼編は連載時は全六話だが、単行本では3・4話分を一話にまとめて全五話になっている)。

あらすじ[編集]

元和元年(1615年)、徳川家康によって大坂城は落城。豊臣家は敗北した。治国平天下人大君となった徳川家康は将来の反乱の芽を潰すため、豊臣残党の徹底的な粛清を行う。徳川幕府は落人狩りのため「覇府の印」を配下や民兵に配布し、身分を問わず豊臣の残党を自由に狩ることを許した。

「零鬼(れいき)編」(第一 - 三話)
真田家臣、兵藤家の娘・兵藤伊織(いおり)は家臣の貝蔵と共に、化外の民が住まう葉隠の谷に落ち延びる。葉隠衆は伊織を受け入れるも、覇府の印を所持する浪人と民兵で構成された残党狩りにより谷の者は惨殺され、伊織は捕縛される。葉隠でただ一人生き残った若き青年カクゴは、捕らわれた伊織を助けるために駆けつけるも、正規の武士たる浪人に力及ばず破れ、身体中に鉄器を突き刺されて殺されてしまう。だが死に往くカクゴの前に業火をまとった龍が現れ、常世の国で菩薩の自愛に包まれるか、怨身となって乱世に甦るかの二択を突きつける。
乱世に甦ることを選んだカクゴの肉体は突き刺された鉄器を吸収、たちまちの内に怨身忍者・零鬼に変身するや否や怨身忍法を駆使し、残党狩りを圧倒。その全てを亡き者とした。そうしてカクゴは、生き残った伊織と共に徳川家康と対峙することを誓う。
元和元年九月、信濃での出来事である。
「震鬼(しんき)編」(第四 - 六話)
動地一家の忘八・憐(れん)は行き倒れの女・銀狐に惚れ、結婚する。しかし彼女の正体は、豊臣秀頼の胤をその身に宿す大坂城奥御殿女中九尾組だった。銀狐は覇府の落胤狩りに追い詰められ、それを撃退するが、徳川に組する伝説の英雄・吉備津彦命の放った不思議の弓矢によって石像にされてしまう。
一方、落胤狩りにしょっ引かれた女共の解放と引き換えに備中高松城の城主・花房職秀の元に出頭した憐だが、女共は既に処刑されており、憐も釜茹での刑に処され死の淵に立っていたところ、現れた龍神の問いかけに答え、怨身忍者・震鬼に変身。職秀とその配下を瞬く間に惨殺した。
石化の解けない銀狐を神社に預けた憐は動地一家を抜けて一匹の鬼として生きる決意をする。
元和元年九月、備州での出来事である。
「雪鬼(せっき)編」(第七 - 九話)
雪深い飛州錫杖岳・初夜ノ森に住むまつろわぬ民の末裔・六花(りっか)は、父母の死をきっかけに人里へと下る。そこで出会った元武士で相撲好きの深見権九郎と心を通じ合わせる。奉納相撲にて勝利を収めた権九郎と共に再び初夜ノ森で平和に暮らすことを決めた六花だったが、奉納相撲にて覇府お抱えの力士を殺した権九郎とその目撃者全ての口封じを目論んだ久保田藩具足奉行・白怒火典膳により、皆とも惨殺される。
死に往く中で龍と出会い、怨身忍者・雪鬼として甦った六花は白怒火典膳と対決。その不可思議な能力で彼を生ける骸骨に変えてしまう。その後、死んだ権九郎の頭骨を杖に刺した六花は再び人里に下った。
元和元年十一月、奥羽での出来事である。
「霞鬼(げき)編」(第十 - 十四話)
志摩の現人鬼(あらひとおに)の異名を持つ両性具有者・波裸羅(はらら)。幼きころ、身分なき者であった母共々リンチを受けて殺された折、怨身忍者・霞鬼となる術を身に着けていたが、その生き様は奔放そのものであり、徳川治世によって生まれた新たな乱世もどこ行く風で、気ままに生きていた。
志摩城主に召抱えられていた波裸羅だったが、その気質と大名並の俸禄を食む波裸羅を持て余されたことから、志摩城主・守隆の手先より暗殺を受ける。暗殺を退けた波裸羅はその足で守隆に詰め寄るが、守隆は波裸羅を徳川公に推挙すると嘆願し、命からがら長らえる。
そうして徳川家大老の試練に合格した波裸羅は覇府の剣として徳川家に召抱えられ、零鬼討伐を命じられる。波裸羅は信濃に赴き変身することなくカクゴ=零鬼を圧倒するも、伊織の放った矢に宿った龍の霊力によって石化、彼らの逃亡を許してしまう。吉備津彦命に石化を解除され、彼の部下・累人と共に再び零鬼討伐を命じられるが、身分なき者を人扱いしない彼らの言動に自らの出生を重ねた結果、累人を惨殺。怨身忍者・霞鬼となった姿をカクゴと伊織の前に晒し、彼らを呑みに誘う。
伊織の説得に耳を貸した波裸羅は徳川に反旗を翻すことを決意。第四の怨身忍者として徳川に追われる身となるも、その表情と言葉は狂おしいまでの生への愉悦に満ちていた。
元和二年三月の出来事である。
「霹鬼(ひゃっき)編」(第十五話 - 十七話)
琉球に落ち延びた豊臣秀頼を警護する犬養幻之介は、そこでシーサーの化身と呼ばれる戦士・猛丸(タケル)と出会い友情を育む。
また秀頼生存を知った薩摩藩は迎えを琉球へと派兵、秀頼らと合流する。秀頼は一時とは言え蛮族の村で暮らしていたことに我慢がならず、猛丸らの村を口封じに殲滅するよう島津に命じるが、幻之介が猛丸は犬同然であり殺すまでも無いと取り成したことで、殲滅は免れる。だが猛丸は言葉通り「犬」に貶められ、大陸由来の猛獣と戦わされ、島津武士の鍛錬として身体をバラバラにされ活き肝を奪われた。それを見た幻之介は秀頼の家臣であることを返上し、猛丸の遺体、意志と一つになり第五の怨身忍者となり、琉球を後にする。
元和元年九月、琉球国での出来事である。
「宮本武蔵編・雹鬼編」(第十八話 - )
剣豪宮本武蔵は、播磨国を訪れた折に、中馬大蔵はじめとする薩摩の武士達から襲撃という形での腕試しを受ける。聞けば、鬼退治ができる剛の者を探しているのだという。
播磨の鬼は、怨身忍者「雹鬼」明石レジイナ。豊臣方のキリシタン武将である明石全登の姫である。

登場人物[編集]

怨身忍者・衛府の七忍および主要人物[編集]

カクゴ / 零鬼(れいき)
「零鬼編」の主人公。怨身忍者「零鬼」に摩骸神変する。
大和民族から追われた化外の民の住まう「葉隠谷」に住む青年。弓矢や鉈での狩りを得意とする野生児。
葉隠衆は伊織を匿ったかどで浪人と民兵によって皆殺しにされてしまう。カクゴも惨死したが、突き刺された刃物を吸収して怨身忍者として蘇り、覇府に反逆する。
伊織は同志であり、また彼女に惚れているが、身分の差で結ばれないことも理解している。
鉈での攻撃に加えて、髪で切り裂く「忍法笹掻き」や、髪の針撃ち技を多用する。伐斬羅の血を発火させることも可能。
装備している大鉈と脛当は、真田幸村が葉隠谷に贈った業物。
兵藤 伊織(ひょうどう いおり)
真田幸村の家臣、鉄砲足軽・兵藤十郎太の娘。覇府・桃太郎一派には「真田幸村の隠し姫」として追われている。
武士の娘としての誇りと義を重んじており、教条的な事柄を重んじる。凄むと口調が荒っぽくなる。
気持ちの上ではカクゴを憎からず思い、また身分の差という隔たりを前にして揺れ動いている。
真田の剣術のほか、弩(クロスボウ)なども用いる。
憐(れん) / 震鬼(しんき)
「震鬼編」の主人公。怨身忍者「震鬼」に変身する。震動を起こして熱を発生させることができる。
ヤクザ者である動地一家の忘八。板倉宿の風呂屋の主。巨体に無数の傷跡がある。二十人力と評される剛力の持ち主。得物は持たない主義。
豊臣秀頼の落胤狩りに関わったことで釜茹でにかけられ刑死したが、熱釜の破片を取り込んで、怨身忍者として蘇った。
六花(りっか) / 雪鬼(せっき)
「雪鬼編」の主人公。怨身忍者「雪鬼」に変身する。冷気を操ることができる。
飛州出羽国雪深き「初夜ノ森」出身。まつろわぬ民の末裔の少女。世間知らずで言葉も拙い。体格はかなり小柄。
森の外には居場所がなく、知り合った浪人の深見権九郎(阿修羅丸)と共に暮らすようになる。だが権九郎を追ってきた覇府の武士の猛毒に巻き込まれ、山まるごと殺されてしまう。凍った病樹をまとい蘇り、この樹を圧縮して怨身忍者の姿となる。
波裸羅(はらら) / 霞鬼(げき)
「霞鬼編」の主人公。「霞鬼」に変身するが、家康側に与する。
異常出生の逸話をもつ両性具有者で、「現人鬼(あらひとおに)」の異名をとる。身ごもっていた母もろとも殺されるも、突き刺された刃物を吸収して蘇ったときに龍と出会う。常に不敵な態度で、武技は無双を誇り、化身せずとも人体をたやすく断ち切る。
志摩城主に仕えていたが持て余されたことで、天下人・駿府城の徳川家康に召し抱えられることになり、零鬼討伐を命じられる。変身を用いず生身で零鬼を圧倒するも、龍の霊力を受けた伊織の矢により石化。カクゴと伊織の逃走を許してしまう。
吉備津彦命に助けられた後、彼の配下・累人と共に再び零鬼討伐の任に就くが、累人の言動に反抗し彼らを惨殺。伊織からの共闘の呼びかけに応じたことから覇府に反意ありとみなされ、零鬼、震鬼、雪鬼に次ぐ第四の怨身忍者と認定される。
本多忠純の兵隊から太刀を奪い、武器としている。
猛丸(タケル) / 霹鬼(ひゃっき・ヒャッキー)
「霹鬼編」の主人公の1人。シーサーの化身たる「霹鬼」の姿をもつ。
九十九御城の按司やニライカナイの戦士を名乗る、碧眼の美童。琉球方言で喋り、一人称は「ワー(俺)」。
奴婢として生まれたが脱して、自分達が暮らせる集落を築いたという経歴がある。ゆえに身分という檻に縛られることがない。
伐斬羅の血液を硬質化させて、飛び道具や鉤爪として用いることができる。
犬養 幻之介(いぬかい げんのすけ)[1] / 霹鬼(ひゃっき)
「霹鬼編」の主人公の1人。秀頼を護衛する武士。左腕のない隻腕の剣士。琉球にてタケルの友となり、タケルからは「ゲンノスキ」と呼ばれる。
宮本武蔵 / 実高の鎧
「宮本武蔵編」の主人公。作州浪人。二天一流の剣豪。
本編の数年前には舟島にて巌流の剣士佐々木小次郎を討ち果たしている。
播州にて、薩摩藩の中馬大蔵に「鬼退治」を依頼され、さらに島津家久より「備中守実高」の鎧を譲られた。
この鎧は鉢かづき姫の逸話に由来し、目方三十四貫(127kg相当)、並の者なら一歩も動けない「枷」という代物を、己の「外骨格(ほね)」と纏う。
明石レジイナ / 雹鬼(ひょうき)
「雹鬼編」の主人公であり、「宮本武蔵編」の敵。豊臣方のキリシタン武将である明石全登(洗礼名ジュスト)の姫。
落武者狩りにて父と家臣達を殺され、自身も責め殺されたところで龍に出遭い、怨身忍者として蘇生した。
責め苦を受けた際に、胸に十字架形の生傷を刻まれ、両手の爪は剥がされた。その指先から呪いを帯びた「鬼の爪」を発射して攻撃する。
怨身忍者となった事実を、信仰と神による地獄堕ちと認識しており、家康派と尖兵の薩摩武士を滅ぼすべく行動する。

覇府(はふ)[編集]

徳川 家康(とくがわ いえやす)
治国平天下大君。豊臣家を滅ぼして天下の支配者となった。
駿府城を居城とする。専用の巨具足「金陀美(きんだみ)」を所有する。
吉備津彦命(きびつひこのみこと)
孝霊天皇皇子・大吉備津彦命。通称を桃太郎卿。御伽噺にちなんだ摩訶不思議な武具と、奇怪な配下を多数有する。
飛鳥時代の温羅征伐の軍神で、備州鬼ノ城を居城とする。時代の支配者からまつろわぬ民の粛清と引き換えに不老長寿を得るための「置き血」を受け続けた結果、1000年以上生きている伝説の英雄。本作では徳川家康に与し、豊臣の残党狩りを行っている。権力に逆らう衛府の者達とは長年にわたり戦いを続けてきた。
本多 正純(ほんだ まさずみ)
徳川家康の四大王衆天、冷厳大老。
首に切断面があり、胴体が頭部を抱えているという怪人。頭部はそのままで他者と会話を行う。自身同様の首無兵たちを従えている。
白怒火 典膳(しらぬい てんぜん)
「雪鬼編」に登場。出羽の国久保田藩具足奉行。打込式鎧櫃より発射される筋骨拡充具足「天功丸(てんこうまる)」を瞬着する。
徳川勝利を祝う奉納相撲にて覇府お抱えの力士に打ち勝った権九郎を許さず、奉納相撲の観客・関係者共々皆殺しにした。その後、怨身忍者となった六花(雪鬼)と対峙するも敗北。潔い言葉で果てようとするが、それを許さなかった雪鬼の怨身忍法・飛州おろしにより、文字通り身包みを剥がれ、生ける骸骨と化してしまう。
雪鬼が初めて怨身した際には、彼が投げつけた槍を吸収している。
筋骨拡充具足のモデルは『覚悟のススメ』『エクゾスカル 零』に登場する強化外骨格だが、本作ではひとたび着装すれば五年は寿命が縮むとされており、何度も着装を繰り返していた典膳の寿命は残り少なかった。
(ちん)
巨大な毒鳥。覇府が駿府城の地下にて管理飼育している。採取される猛毒は覇府の印に注入され、諸大名への抑止力や殺戮兵器として用いられている。

その他[編集]

龍(りゅう)
龍神とも。主人公たちが惨死した際、死に往く意識の中に現れ、苦しみの無い世界に往くか、怨身となりて再び乱世に往くかを問う。
「霞鬼編」にて、衛府と呼ばれる異界の住人と判明。全ての命は平等と考えており、身分制度を重んじ、まつろわぬ民の粛清を目論む時代の支配者と長らく対峙している。
無念を残して死に往くまつろわぬ民に怨身忍者の現し身を授ける他、波裸羅と相対していた伊織に宿り、その身が放った矢に一時の霊力を与え、波裸羅を石化させたこともあった。
貝蔵(かいぞう)
「零鬼編」に登場。兵頭家用人。伊織を葉隠谷の里まで導くか、覇府の追っ手に捕まり、四肢を切断されて惨殺される。
銀狐(ぎんこ)
「震鬼編」に登場。大坂城奥御殿女中九尾組。
行き倒れていたところを憐に助けられ、その器量に惚れた彼と結婚するも、その身に宿した豊臣の落胤を狙った覇府の落胤狩りに遭遇。落胤狩りは退けたが、吉備津彦命の放った魔弓石女の矢(まきゅううまずめのや)に射抜かれて石像になってしまう。
深見 権九郎(ふかみ ごんくろう)
「雪鬼編」に登場。大坂の役で豊臣方大野修理の陣についていたことから、覇府に追われる身となった元侍。
相撲が趣味で、四股名(作中では醜名と表記)は阿修羅丸。背中に真っ赤に爛れた大きな火傷の痕があり、それが燃えさかる阿修羅のように見えることが四股名の由来。
意気投合した六花と初夜ノ森で共に暮らすことを誓うも、相撲で一番になりたいという夢を叶えるため、奉納相撲にて覇府お抱えの力士・武御雷丸と対峙し打ち破る。その後、約束通り六花と共に初夜ノ森で暮らすことになるも、六花共々白怒火典膳によって虐殺される。
玄奘尼(げんじょうに)
「霞鬼編」に登場。生き菩薩と称される、若く美しい尼僧。彼女を犯すためにやってきた波裸羅に抗うも、抵抗虚しく蹂躙される。
舞六剣(ぶろっけん)
武田信玄が用いていた巨具足。琵琶湖に眠っていると伝えられている。
豊臣 秀頼(とよとみ ひでより)
「霹鬼編」に登場。落城した大坂城主。先立つ「震鬼編」にて、桃太郎により彼の落胤狩りが行われ、これが震鬼現出のきっかけとなった。
大坂城跡にて発見された遺体は影武者であり、本人は琉球の集落に匿われるが、現地人への感謝は無く、それどころか彼らを畜生以下と蔑視し、恥辱に怒りを燃やしていた。
幻之介を捨てたことで島津義弘にも不信を買い、霹鬼に不信を増幅された義弘から顔の前面を削ぎ落とされる。その後は薩摩の地で住民に慕われ68歳まで長生きした。
箕堂涼千代(みどう すずちよ)
「霹鬼編」に登場。幻之介の後輩の少年武士。琉球に逃れた秀頼に、小姓の務めとして自分の身体を差し出す。現地の娘と交流を育み、武士身分に凝り固まった思考が変化する。
中馬大蔵(ちゅうまん おおくら)
「宮本武蔵編」に登場。薩摩藩士。顔じゅうに傷跡が走った男で、関ヶ原を生還した豪傑。身内からは薩摩方言風に「ちゅんま」と呼ばれる。
覇府より「鬼退治」の命を受け、宮本武蔵に助太刀を依頼する。武蔵を「虎」と評し、惚れ込んでいる。
金井文兵衛(かない もんべえ)
「宮本武蔵編」に登場。薩摩の少年。眼鏡をかけている。年若ながら文武両道。
戦略的に退却を説いたり、蛮勇をたしなめたりと、抑え役となることが多いものの、これは臆病ゆえではなく、チェストの心得も十分に体得している。

用語[編集]

まつろわぬ民
古代の日本には、熊襲、蝦夷、土蜘蛛、隼人など、異なる文化を持つ民族が混在していたが、戦上手の大和の民は他民族を攻め滅ぼし服従させた。このとき大和への隷属を拒み、棲家を奪われた人たちを、大和は「まつろわぬ民」と呼んでいる。『衛府』とは、彼らまつろわぬ民が異界に求めた幻の都のことである(単行本3巻あとがきより)。
民兵(たみへい)
侍身分にないが、覇府の印によって豊臣派の粛清・虐殺の大義名分を得た民草の総称。
正規軍人ではないため、竹槍などのほか、戦で傷み払いとなった武具や農具などを凶器に用いる。
覇府の印を所持した武士に使役された百姓や(零鬼編)、役人に踊らされる町人たち(震鬼編)など、様々な身分の者たちがいる。
徳川の威光を笠に着て、本来身分が上である豊臣侍を蹂躙することができるため、武士以上に残虐な行為を嬉々として実行する。
武士
侍身分の者。武術を身につけ、装備品の質も高い。
弓矢槍鉄砲などの武器を用い、ほとんどの者が基本装備として刀を差している。徳川方の組織化された正規軍人は二本差ししている場合が多い。
また一部の者は強力な鎧・具足を纏って戦う。
伊賀忍者
「霞鬼編」から登場。覇府徳川が擁する、伊賀出身の忍。身分は侍。
おのおのが不可思議なからくりの忍術を身につけ、徳川の任を仕果たすためなら喜んで命を捨てる。
伊織評によると相当強いが、零鬼ならば一対一で撃破が可能。
累人(さかねびと)
「霞鬼編」から登場。桃太郎の配下達。曰くに、衛府を滅ぼすために異能の者を何世にも亘り交配させ造りし兵。独自の忍法を用いる。
御伽噺にちなんだ異形の姿をしており、伊織は「妖怪」と評する。猿蟹合戦になぞらえた栗彦(栗)、針彦(蜂)、泥彦(牛糞や屍泥)、臼彦(臼)が登場している。
求めるものは、桃太郎同様の永遠の命と「瑞麗人(きらぎらびと)」の身分。合戦前の腹拵えと称して人を食す。
実力は、四対一・手負いの零鬼という条件だが零鬼を圧倒するほど。それでも波裸羅にはかなわず全滅した。
薩摩藩
「霹鬼編」から登場。島津氏が守護・戦国大名として治めていた。
元和元年時点での当主は初代藩主・島津家久。関ヶ原の負け戦を生還した島津義弘も今なお現役である。
関ヶ原の戦いでは西軍(非徳川)、本編の六年前には琉球に出兵して琉球王国を服属させている。
「チェスト」の掛け声に代表されるような、死を恐れぬ強力な武士道で統制されている。
幻之介が「腕は確か」と評するほどの実力者達の集団であるが、武蔵の武芸や鬼の異能には力及ばない。

書誌情報[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 雑誌掲載時は「犬養源之助」。