衛府の七忍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
衛府の七忍
漫画
作者 山口貴由
出版社 秋田書店
掲載誌 チャンピオンRED
レーベル チャンピオンREDコミックス
発表号 2015年5月号 -
巻数 既刊7巻(2019年4月19日現在)
テンプレート - ノート
ポータル 漫画

衛府の七忍』(えふのしちにん)は、山口貴由による日本漫画

概要[編集]

チャンピオンRED』(秋田書店)にて、2015年5月号から連載中。同誌で連載していた『シグルイ』や『エクゾスカル 零』に引き続いて残酷描写は多いものの、ケレン味やハッタリあふれる作風に回帰している。

特定主人公の「○鬼編」という中編を連ねて、怨身忍者が順次に登場していくという構成をとっている。登場人物の多くは、山口の過去の作品に出演した者と同じ外見・名前だが、設定は異なる。諸設定や技にも過去作のオマージュ要素が散見される。特に主人公たる七忍は『エクゾスカル零』に登場したエクゾスカル戦士達に対応している。だが、旧作の主人公たちが用いていた「強化外骨格」「エクゾスカル」が、その名が示すように金属製の鎧という武装であったことに対して、本作の「怨身忍者」は鬼、すなわち妖怪変化の類とされており、主人公たちの身体そのものが変身して、デザインもより生物的になっている。また強化外骨格に準じる兵器は、敵方である覇府の武士たちの方が使用する。さらに単行本4巻収録の第十八話より、『魔剣豪鬼譚』と副題がつけられた「宮本武蔵編」が始まり、怨身忍者への「鬼退治」が描かれる。[1]

徳川家康が最大の敵として設定されているが、彼こそ地獄の戦国時代を終わらせた正義の英雄である。そのような家康の社会に、鬼たる主人公達が反逆するという物語構造になっている。民草は家康に従う「民兵」と化し、主人公達と敵対する。

文明レベルや民の生活は、基本的には一般的な江戸時代初期を舞台とした作品と変わらない。ただし覇府徳川の武士身分が軍備を独占しており、一部の兵器に用いられる技術力は時代不相応に高い。また忍者は異能の技を用いる。

山口の他作品と同様に、雑誌掲載時から単行本化に際して、絵やセリフの修正がみられ、連載時の数話を一話にまとめ直すという構成変更もある(例えば、霞鬼編は連載時は全六話だが、単行本では3・4話分を一話にまとめて全五話になっている)。

このマンガがすごい!2018」オトコ編で第5位。

物語[編集]

元和元年(1615年)、徳川家康によって大坂城は落城。豊臣家は敗北した。家康は将来の反乱の芽を潰すため、豊臣残党の徹底的な粛清を行う。徳川幕府「覇府」は市街や山間に隠れ住む残党追討のため印籠の手形「覇府の印」を配下や民兵に配布し、所持する者は身分を問わず徳川家の威光をまとい相手を縛る威力があり、豊臣の残党を狩ることを許した。

「零鬼(れいき)編」(第一 - 三話。1巻)
真田家家臣、兵藤家の娘・兵藤伊織(いおり)は家臣の貝蔵と共に、化外の民が住まう葉隠の谷に落ち延びる。葉隠衆は伊織を受け入れるも、覇府の印を所持する浪人と民兵たちにより谷衆は惨殺され、伊織は捕縛される。葉隠でただ一人生き残った若き青年カクゴは、伊織を助けるために駆けつけるも、正規の武士たる浪人に力およばず破れ、身体中に鉄器を突き刺されて殺されてしまう。だが死に往くカクゴの前に業火をまとった龍が現れ、常世の国で菩薩の自愛に包まれるか、怨身となって乱世に甦るかの二択を突きつける。
乱世に甦ることを選んだカクゴの肉体は突き刺された鉄器を吸収、たちまちの内に怨身忍者・零鬼に変身するや否や怨身忍法を駆使し、残党狩りを圧倒。その全てを亡き者とした。そうしてカクゴは、伊織と共に家康と対峙することを誓う。
元和元年九月、信濃での出来事である。
「震鬼(しんき)編」(第四 - 六話。1・2巻)
動地一家の忘八・憐(れん)は行き倒れの女・銀狐に惚れ、結婚する。しかし彼女の正体は大坂城のくノ一で、胎に豊臣秀頼の胤を宿している可能性があった。覇府は落胤狩りを行い、疑わしき者は全員黒とみなす。銀狐も追い詰められ、徳川に組する伝説の英雄・吉備津彦命の放った不思議の矢に貫かれて石像にされてしまう。
容疑は晴れたはずの女共の解放という条件で、備中高松城の城主・花房職秀の元に出頭した憐だが、女共は既に処刑されており、憐も釜茹での刑に処され死の淵に立っていたところ、現れた龍神の問いかけに答え、怨身忍者・震鬼に変身。職秀とその配下を瞬く間に惨殺した。銀狐の像を神社に預けて供養した憐は、ヤクザ者を抜けて一匹の鬼として生きる決意をする。
元和元年九月、備州での出来事である。
「雪鬼(せっき)編」(第七 - 九話。2巻)
雪深い飛州錫杖岳・初夜ノ森に住むまつろわぬ民の末裔・六花(りっか)は、父母の死をきっかけに人里へと下る。そこで出会った深見権九郎と心を通じ合わせる。武士をやめ奉納相撲にて勝利を収めた権九郎を婿に、再び初夜ノ森で平和に暮らすことを決めた六花だったが、久保田藩具足奉行・白怒火典膳によって「覇府の権威に泥を塗った」として惨殺される。
死に往く中で龍と出会い、怨身忍者・雪鬼として甦った六花は典膳と対決して倒す。死んだ権九郎の頭骨を杖に刺した六花は再び人里に下った。
元和元年十一月、奥羽での出来事である。
「霞鬼(げき)編」(第十 - 十四話。2・3巻)
志摩の現人鬼(あらひとおに)の異名を持つ両性具有者・波裸羅(はらら)は、生まれながらに怨身忍者・霞鬼となる術を身に着けていた。波裸羅は覇府徳川家に召抱えられ、信濃の零鬼討伐を命じられる。波裸羅は変身することなくカクゴ=零鬼を圧倒するも、伊織の放った矢に宿った龍の霊力によって石化、彼らの逃亡を許してしまう。吉備津彦命に石化を解除され、彼の部下・累人と共に再び零鬼討伐に赴くが、身分なき者を人扱いしない彼らの言動に自らの出生を重ねた結果、累人を惨殺する。
波裸羅=霞鬼はカクゴと伊織を呑みに誘う。伊織の共闘要請に耳を貸した波裸羅は徳川に反旗を翻すことを決意する。これによって波裸羅は第四の怨身忍者として手配されるも、その表情と言葉は狂おしいまでの生への愉悦に満ちていた。
元和二年三月の出来事である。
「霹鬼(ひゃっき)編」(第十五話 - 十七話。3・4巻)
琉球に落ち延びた豊臣秀頼を警護する犬養幻之介は、そこでシーサーの化身と呼ばれる戦士・猛丸(タケル)と出会い友情を育む。
また秀頼生存を知った薩摩藩は迎えを琉球へと派兵、秀頼らと合流する。秀頼は蛮族の村で暮らしていたことを恥であると、猛丸らの村を口封じに殲滅するよう島津に命じるが、幻之介が猛丸らは犬同然であり殺すまでも無いと取り成したことで、殲滅は免れる。だが猛丸は言葉通り「犬」に貶められ、大陸由来の猛獣(東方神犬=チベタン・マスティフ)と戦わされ、島津武士の鍛錬として身体をバラバラにされ活き肝を奪われた。それを見た幻之介は秀頼の家臣であることを返上し、猛丸の遺体、意志と一つになり第五の怨身忍者となり、琉球を後にする。
元和元年九月、琉球国での出来事である。
「宮本武蔵編・雹鬼編」『魔剣豪鬼譚』(第十八話 - 二十五話。4・5巻)
剣豪宮本武蔵は、播磨国を訪れた折に、中馬大蔵はじめとする薩摩の武士達から襲撃という形での腕試しを受ける。聞けば、鬼退治ができる剛の者を探しているのだという。武蔵にしてみても、人ならざる敵は未知のものである。島津家久は武蔵に特製の鎧「実高」を贈り鬼退治を激励する。
播磨の鬼は、怨身忍者「雹鬼」明石レジイナ。豊臣方のキリシタン武将である明石全登の姫である。
自らを地獄に落ちた「るきへる」(ルシファー)と断罪していた雹鬼レジイナは、武蔵の二天一流十字の構えにイエスを見出し、あえて斬られることで救いを得る。明石全登が娘の遺骸に「天に召されたのだな」と言うのを見て、武蔵は邪教の鬼と断じ、両者は対峙する。全登の実力は武蔵をも圧するほどであった。逆境の武蔵は巌流島で用いた櫂、巨大木剣「神童殺し」で全登に挑み、また全登は大剣を背負う武蔵に十字架を背負うイエスを重ね見、激突の末に武蔵は鬼征伐を成し遂げる。その顛末を眺める桃太郎。
鬼から人に戻ったレジイナを埋葬し、武蔵と中馬は播磨を去る。元和元年の出来事である。巌流島以降の武蔵の戦いの記録は定かではない。
「霧鬼編」『人間城ブロッケン』(第二十六話 - 二十九話。5・6巻)
元和元年、信州諏訪領。諏訪高島城の諏訪頼水は、異民奴婢の少女テヤンを見初めて愛妾とする。天下取りの野心を持つ頼水は、テヤンを用いて武田信玄の巨具足「舞六剣」の封印を解くが、テヤンには山本勘助が憑依して人格が変貌する。舞六剣の強大な力は、余波で村に震災被害を与えてしまい、異民集落の者たちは、村人たちに誤解から惨殺されてしまう。
ツムグは頼水に怒り、武田信玄の軍扇で戦うも敗れて死ぬ。だが怨身忍者として蘇ったツムグが舞六剣の主となったことで、頼水は負けを認める。
元和元年十月、諏訪湖での出来事である。
「沖田総司編・霓鬼編」『魔剣豪鬼譚』(第三十話 - 。6巻 - )
明治初年、新選組の沖田総司が姿を消した。気づいた総司が見た物は、健在の江戸城天守閣と、旗本を狩る異形の「鬼」霓鬼。総司には慣れぬ過去の江戸であったが、町道場の娘「一果」と恋仲となり、また道場師範代としての居場所を得た。しかし、旗本子女たちを狙う虹鬼により、一果は巻き添えで殺されてしまう。詳細を調べた服部半蔵によって、鬼の素性が明らかとなる。沖田総司と柳生宗矩は、二頭の鬼「霓鬼」「虹鬼」の討伐に出陣する。

登場人物[編集]

怨身忍者・鬼[編集]

カクゴ / 零鬼(れいき)
「零鬼編」の主人公。怨身忍者「零鬼」に摩骸神変する。
大和民族から追われた化外の民の住まう「葉隠谷」に住む青年。弓矢や鉈での狩りを得意とする野生児。
葉隠衆は伊織を匿ったかどで浪人と民兵によって皆殺しにされてしまう。カクゴも惨死したが、突き刺された刃物を吸収して怨身忍者として蘇り、覇府に反逆する。伊織は同志であり、また彼女に惚れているが、身分の差で結ばれないことも理解している。
装備している大鉈と脛当は、真田幸村が葉隠谷に贈った業物。鉈での攻撃に加えて、髪で切り裂く「忍法笹掻き」や、髪の針撃ち技を多用する。伐斬羅の血を発火させることも可能。
「霞鬼編」では、現人鬼・波裸羅と対決する。
憐(れん) / 震鬼(しんき)
「震鬼編」の主人公。怨身忍者「震鬼」に変身する。震動を起こして熱を発生させることができる。
ヤクザ者である動地一家の忘八。板倉宿の風呂屋の主。巨体に無数の傷跡がある。二十人力と評される剛力の持ち主。得物は持たない主義。
豊臣秀頼の落胤狩りに関わったことで釜茹でにかけられ刑死したが、熱釜の破片を取り込んで、怨身忍者として蘇る。
六花(りっか) / 雪鬼(せっき)
「雪鬼編」の主人公。怨身忍者「雪鬼」に変身する。冷気を操ることができる。
飛州出羽国雪深き「初夜ノ森」出身。まつろわぬ民の末裔の少女。世間知らずで言葉も拙い。体格はかなり小柄。
森の外には居場所がなく、知り合った浪人の深見権九郎(阿修羅丸)と共に暮らすようになる。だが権九郎を追ってきた覇府の武士の猛毒に巻き込まれ、山まるごと殺されてしまう。凍った病樹をまとい蘇り、この樹を圧縮して怨身忍者の姿となる。
波裸羅(はらら) / 霞鬼(げき)
「霞鬼編」の主人公・敵。「霞鬼」に変身するが、家康側に与する。
異常出生の逸話をもつ両性具有者で、「現人鬼(あらひとおに)」の異名をとる。身ごもっていた母もろとも殺されるも、龍と出遭い、突き刺された刃物を吸収して蘇生した。常に不敵な態度で、武技は無双を誇り、化身せずとも人体をたやすく断ち切る。武器は胴田貫の太刀。
型破りにして孤高。あまりにも破天荒すぎて、志摩城主では御し切れなかった。出生ゆえに、下位身分の少数者に寄ってたかって暴力をふるう「民草」の者たちを嫌悪している。桃太郎に敬意を抱いていたが、実際に対面して端麗人(≒不老不死)のことを聞くと、思うものがあったようで、反逆している。桃太郎からは「現人鬼、その美しさ鬼とは呼べぬ」と評された。
猛丸(タケル) / 霹鬼(ひゃっき・ヒャッキー)
「霹鬼編」の主人公の1人。シーサーの化身たる「霹鬼」の姿をもつ。
九十九御城の按司やニライカナイの戦士を名乗る、碧眼の美童。琉球方言で喋り、一人称は「ワー(俺)」。
奴婢として生まれたが脱して、自分達が暮らせる集落を築いたという経歴がある。ゆえに身分という檻に縛られることがない。
伐斬羅の血液を硬質化させて、飛び道具や鉤爪として用いることができる。
明石レジイナ / 雹鬼(ひょうき)
「雹鬼編」の主人公であり、「宮本武蔵編」の敵。豊臣方のキリシタン武将である明石全登(洗礼名ジュスト)の姫。
素性を徳川方に偽り落ち延びたものの見抜かれ、父と家臣達を殺され、自身も責め殺されたところで龍に出遭い、怨身忍者として蘇生した。
責め苦を受けた際に、胸に十字架形の生傷を刻まれ、両手の爪は剥がされた。その指先から呪いを帯びた「鬼の爪」を発射して攻撃する。
怨身忍者となった事実を、信仰と神による地獄堕ちと認識しており、家康派と尖兵の薩摩武士を滅ぼすべく行動する。その際には家臣三人と父に鬼の血を与え、眷属として蘇生させた。
雑誌掲載時は瞳が描かれないシーンが多く、また大人びた容姿であった。明石全登の子女として記録にある人物。
明石全登
「雹鬼編・宮本武蔵編」に登場。南蛮甲冑の武将。ジュストの洗礼名をもつキリシタンにして、大坂五勇将。レジイナの血で鬼として蘇生した。
INRIの剣は槍ほどの間合を持ち、そこから振るう武技は剣豪武蔵すら凌駕する。
ドルスス朧丸(おぼろまる)
「雹鬼編・宮本武蔵編」に登場。明石全登の家来。レジイナの血でるきへるの如き姿=鬼となり蘇った。大太刀と自らの牙を得物に戦う。
ウルバヌス盤嶽(ばんがく)
「雹鬼編・宮本武蔵編」に登場。明石全登の家来。レジイナの血でるきへるの如き姿=鬼となり蘇った。僧兵の様な衣装に身を纏い薙刀と自らの爪を得物に戦う。
フランキス与四郎(よしろう)
「雹鬼編・宮本武蔵編」に登場。明石全登の家来。レジイナの血でるきへるの如き姿=鬼となり蘇った。大身の体躯に丸太を得物に戦う。
ツムグ / 霧鬼(むき)
「霧鬼編」の主人公。怨身忍者「霧鬼」に変身し、さらに巨具足「舞六剣」を従える。
朝鮮奴僕の少年。背に仏の刺青が掘られている。同胞の死を頼水に侮辱され、また彼がテヤンを攫った犯人と知り、対決するも敗死する。骸は舞六剣に咀嚼されて武田信玄の兜・軍扇と融合して霧鬼として蘇り、舞六剣の新たな主となる。
雑誌掲載時は朝鮮語名「チグム」、和名「ツムグ」とされていた。
舞六剣(ぶろっけん)
武田信玄の巨具足。「霞鬼編」にて存在が言及され、「霧鬼編」=『人間城ブロッケン』にて登場。
山本勘助の作。武田の家訓「人は城」を体現させ、「人間城」の異名をとる規格外の超巨具足。三方ヶ原の戦いにて、家康の金陀美を敗走せしめた。
信玄亡き後は諏訪湖に眠っていた(伊織には琵琶湖に眠っていると伝わっていた)が、信玄の兜と軍扇を用いた復活の儀式を経て胴体が起動し、信玄の乗馬「鬼鹿毛」(おにかげ)が変形した頭部と合体して完全になる。
谷衛成(たに これなり) / 霓鬼(げいき)
「霓鬼編」の主人公であり、「沖田総司編」の敵。眼鏡の武士。徳川の刀剣鑑定を務めており、剣技は作中白眉を誇る。
高潔な人間性を持ち、権力者の指示で剣を振るい人の命を奪う行為に、葛藤を抱いていた。虹鬼の血を浴びて怨身の鬼と化したことをきっかけに、己の正義に従って江戸の旗本を斬り殺し回っている。服部半蔵の調査によって、幕臣でありながら鬼であるという秘密が暴かれ、暗殺にやって来た総司と対決する。
霓鬼は左右非対称の体の鬼。熱血の異能を補助に、もっぱら剣技で戦う。
雑誌掲載時の名の読みは「もりなり」。
雀(すずめ) / 虹鬼(ななき)
「霓鬼編」の主人公の一人であり、「沖田総司編」の敵。小柄な少女。舌が無いため会話することができず、また全身には無数の傷跡がある。これらの負傷は、武家奉公での粗相の咎として、舌切り雀になぞらえて舌を切られ、さらに衛成に「古代の銅剣」で斬られて全身をバラバラに切断されたゆえのもの。鬼として蘇り、衛成を同族の鬼に変えた。
鬼として、火炎を吐く異能を有する。
雑誌掲載時の名の読みは「こうき」。

魔剣豪・鬼哭隊[編集]

宮本武蔵 / 実高の鎧
『魔剣豪鬼譚』「宮本武蔵編」の主人公。作州浪人。二天一流の剣豪。
本編の数年前には舟島にて巌流の剣士佐々木小次郎を討ち果たしている。ほか、有名なエピソードは回想にて断片的に言及される。
誰にも出来ぬ難題と聞けば、ならば己がと挑戦する男。人を斬り続けてきたことで、死者の念などは無く己の剣こそを信じているが、それらを超えた超常未知の存在「鬼」が現実にいることを知る。
播州にて、薩摩藩の中馬大蔵に「鬼退治」を依頼され、関ヶ原の戦いにおける奇縁[2]を受け快諾し、さらに島津家久より「備中守実高」の鎧を譲られる。この鎧は鉢かづき姫の逸話に由来し、目方三十四貫(127kg相当)、並の者なら一歩も動けない「枷」という代物を、己の「外骨格(ほね)」と纏って鬼退治に挑んだ。
沖田総司
『魔剣豪鬼譚』「沖田総司編」の主人公。幕末の新選組剣士。菊一文字則宗を所持する。
細身で弱そうな外見ながら、新選組の仲間からは「戦国時代なら大名にまでなれた」と太鼓判を押される名剣士。特に突き技を得意とする。幕末の晩年は病がちであったが、深刻な死病ではなく、池田屋事件での吐血の逸話には「殺した敵の血を啜っていた」という真相がある。
慶応4年=明治元年より、菊一文字と共に元和年間の江戸にタイムスリップしてくる。歴史の予備知識を持つが、行動原理が「誠」の価値観であるために、江戸の剣士とトラブルになる。時代を超えてやって来た己の使命を「鬼退治」と自覚し、幕臣として、江戸に仇なす谷衛成=霓鬼と対決する。衛成を「志士の正義がある」と見立てるも、新選組として斬る決意がある。
柳生宗矩(やぎゅう むねのり)/ 天狗の鎧
「沖田総司編」に登場。徳川家の剣術指南役。覇府の魔剣士。柳生新陰流の剣術を振るい、活人剣を「手足をつめて首と胴を活かす」(=殺すことなく責め苛むことで自白を引き出す)と称する。武具は名刀「大天狗正家」や、天狗を模した拡充具足など。
総司を旗本狩りの犯人と疑い、対峙する。剣技では総司を上回るも、彼の刀が菊一文字と知ると、「桃太郎の縁でやって来た鎌倉時代の武士」と誤解して、戦いをやめる。鬼の正体が判明したことで、完全武装で総司とともに虹鬼の討伐に向かう。
吉備津彦命(きびつひこのみこと)
孝霊天皇皇子・大吉備津彦命。通称を桃太郎卿。御伽噺にちなんだ摩訶不思議な武具と、奇怪な配下を多数有する。伝説の剣豪たちで組織した「鬼哭隊」の長でもある。
飛鳥時代の温羅征伐の軍神で、備州鬼ノ城を居城とする。時代の支配者からまつろわぬ民の粛清と引き換えに不老長寿を得るための「置き血」を受け続けた結果、1000年以上生きている伝説の英雄。元和元年時点では天下を取った徳川家康に与している。権力に逆らう衛府の者達とは長年にわたり戦いを続けてきた。
初登場は「震鬼編」で、地元備州を治める花房職秀に、豊臣秀頼の落胤狩りを命じる。怨身忍者が出現した事態を受けて、「霞鬼編」では配下の「累人」4人を出陣させるも、波裸羅に反逆され彼らを失う。続いて宮本武蔵に着目する。
塚原卜伝高幹(つかはらぼくでんたかもと)
「宮本武蔵編」最終盤に登場。老剣士。影より桃太郎・一刀斎と共に明石全登と武蔵の戦いを見届けた。刀を失った武蔵に神童殺しを投げ与え、助けた。宮本無二を知っている風であり、武蔵がその息子であることも周知していた。
伊藤一刀斎景久(いとういっとうさいかげひさ)
「宮本武蔵編」最終盤に登場。色黒の剣士。影より桃太郎・卜伝と共に明石全登と武蔵の戦いを見届けた。

ヒロイン・パートナー[編集]

兵藤 伊織(ひょうどう いおり)
「零鬼編」「霞鬼編」に登場。真田幸村の家臣、鉄砲足軽・兵藤十郎太の娘。覇府・桃太郎一派には「真田幸村の隠し姫」として追われている。
武士の娘としての誇りと義を重んじており、教条的な事柄を重んじる。凄むと口調が荒っぽくなる。気持ちの上ではカクゴを憎からず思い、また身分の差という隔たりを前にして揺れ動いている。
真田の剣術のほか、弩(クロスボウ)なども用いる。
「霞鬼編」では、現人鬼・波裸羅と戦い、龍の力を以って一旦は退ける。後に波裸羅が翻意しカクゴと和解した際に徳川を打ち倒すべく共闘を要請する。
銀狐(ぎんこ)
「震鬼編」に登場。大坂城奥御殿女中九尾組。
行き倒れていたところを憐に助けられ、その器量に惚れた彼と結婚するも、その身に宿した豊臣の落胤を狙った覇府の落胤狩りに遭遇。落胤狩りは退けたが、吉備津彦命の放った魔弓石女の矢(まきゅううまずめのや)に射抜かれて石像になってしまう。
深見 権九郎(ふかみ ごんくろう)
「雪鬼編」に登場。大坂の役で豊臣方大野修理の陣についていたことから、覇府に追われる身となった元侍。
相撲が趣味で、四股名(作中では醜名と表記)は阿修羅丸。背中に真っ赤に爛れた大きな火傷の痕があり、それが燃えさかる阿修羅のように見えることが四股名の由来。
意気投合した六花と初夜ノ森で共に暮らすことを誓うも、相撲で一番になりたいという夢を叶えるため、奉納相撲にて覇府お抱えの力士・武御雷丸と対峙し打ち破る。その後、約束通り六花と共に初夜ノ森で暮らすことになるも、六花共々白怒火典膳によって虐殺される。後に仇を討った六花は権九郎の頭蓋骨と共に旅に出る。
犬養 幻之介(いぬかい げんのすけ) / 霹鬼(ひゃっき)の半身
「霹鬼編」の主人公の1人。豊臣秀頼を護衛する武士。豊臣兵団「七手組」の精鋭であったが、大坂の陣にて左腕を失い隻腕となった。
琉球にてタケルの友となり、タケルからは「ゲンノスキ」と呼ばれる。タケルが主君秀頼の命で薩摩のぼっけ者の野郎共に「ひえもん取り」で解体された直後、秀頼の命でタケルの生肝を抜いた武市 千加太郎と徒手での戦いを行い致命傷を負うも、秀頼に暇乞いをした後ひえもん取りでバラバラとなったタケルの遺体と混ざり合って一体となり、新たなタケル=霹鬼として復活する。
雑誌掲載時は「犬養源之助」という名前であった。
中馬大蔵(ちゅうまん おおくら)
「宮本武蔵編」に登場。薩摩藩士。顔じゅうに傷跡が走り、手指が何本か欠損した男で、関ヶ原を生還した豪傑。身内からは薩摩方言風に「ちゅんま」と呼ばれる。
覇府より播磨の「鬼退治」の命を受けた島津家久から陣頭指揮を任され宮本武蔵に助太刀を依頼し、関ヶ原の縁を理由に快諾される。武蔵を「虎」と評し、惚れ込んでいる。武蔵が明石全登とレジイナを退治した後も行動を共にする。
テヤン / てや
「霧鬼編」に登場。朝鮮奴僕の少女。右頬にほくろがある。身内からは「テヤン」(太陽=태양という意味)、倭人からは「てや」と呼ばれる。
諏訪頼水に見初められ愛妾となり、信玄の七星軍扇を用いて舞六剣起動の儀式を行ったところ、山本勘助に憑依されて人格が変貌する。勘助憑依後は右眼を閉じており、また右足がもげたため義足になった。舞六剣の復活以後ツムグと行動を共にする。
釘宮 一果(くぎみや いちか)
「沖田総司編」に登場。釘宮三平の一人娘で一人称は「一果」または「あーし」。時空を超えて現れた沖田総司と偶然に出会い、自宅に招き看病する。徐々に惹かれあい総司と相思相愛の仲となるが、虹鬼の手により命を失う。

覇府(はふ)[編集]

徳川 家康(とくがわ いえやす)
治国平天下大君。豊臣家を滅ぼして天下の支配者となった。元和偃武を宣言し、天下泰平の徳川幕府は260年続くことになる。
駿府城を居城とする。専用の巨具足「金陀美(きんだみ)」を所有する。これらの強大な軍事力を以て平和を実現させている。
徳川秀忠
6巻「沖田総司編」時点では名前のみの登場。二代将軍として江戸城にいる。
本多 正純(ほんだ まさずみ)
徳川家康の四大王衆天、冷厳大老。首に切断面があり、胴体が頭部を抱えているという怪人。頭部はそのままで他者と会話を行う。自身同様の首無兵たちを従えている。
大久保 忠隣(おおくぼ ただちか)
「沖田総司編」に登場。徳川秀忠が治める江戸において老中を務める。フランクな言葉遣いで目下の者に接し、谷衛成に半ば強権的に既に銘の入った自らの佩刀の試刀を申し付けるなど、調子のよい軽薄な人物。
服部 半蔵(はっとり はんぞう)
「沖田総司編」に登場。服部半蔵正成。伊賀忍者の棟梁。仮面で素顔を隠した変装の達人。霓鬼と虹鬼の情報を大久保忠隣と柳生宗矩に報告し、鬼退治を申し出た沖田総司には秘中の拡充火忍「無縄」を提供しようとする。総司と霓鬼の戦いを監視する。
薄田 惨四郎(すすきだ ざんしろう)
「零鬼編」に登場。赤鍬刑部と民兵を率いて信濃山中で豊家の残党狩りを行う浪人くずれ。左目辺りから口元にかけて縦に大きな傷痕があり、面頬で顔の左半分ごとその傷痕を隠している。太刀を武器とし、卍流なる武技で貝蔵を惨殺。零鬼へ摩骸神変したカクゴによって怨身忍法「剥き衣」で上半身の皮膚を剥がされのたうち苦しんでいるところを伊織によって石で頭を砕かれた。
赤鍬 刑部(あかくわ ぎょうぶ)
「零鬼編」に登場。薄田惨四郎と民兵を率いて信濃山中で豊家の残党狩りを行う太刀と種子島で武装した浪人くずれ。零鬼へ摩骸神変したカクゴによって怨身忍法「笹掻き」でバラバラにされた。
蜻蛉(あきつ)
「震鬼編」に登場。備中板倉宿の郊外で間引き婆として生きる老女。元は花房職秀の奥女中でであったが奥方の手により城を追われ、間引き婆として生計を立てていた。
花房職秀から桃太郎伝の吉備団子を授けられ、若返って異形と化し覇府の奴婢となる。銀狐と戦い倒されるが、銀狐に隙を作り桃太郎の不意打ちを成功させる。
白怒火 典膳(しらぬい てんぜん)
「雪鬼編」に登場。出羽の国久保田藩具足奉行。打込式鎧櫃より発射される筋骨拡充具足「天功丸(てんこうまる)」を瞬着する。
徳川勝利を祝う奉納相撲にて覇府お抱えの力士に打ち勝った権九郎を許さず、奉納相撲の観客・関係者共々皆殺しにした。その後、怨身忍者となった六花(雪鬼)と対峙するも敗北。潔い言葉で果てようとするが、それを許さなかった雪鬼の怨身忍法・飛州おろしの寒風を浴びて、肉を削ぎ落され、生ける骸骨と化してしまう。
雪鬼が初めて怨身した際には、彼が投げつけた槍を吸収している。
筋骨拡充具足天功丸は、ひとたび着装すれば五年は寿命が縮むとされており、何度も着装を繰り返していた典膳の寿命は残り少なかった。
武御雷丸(たけみかづちまる)
「雪鬼編」に登場。白怒火典膳が呼び寄せた覇府お抱えの力士。対戦相手を手も触れることなく真っ二つにする神業で神君家康の威光を知らしめようとした。外見は巨躯の力士だがその実態は生き甲冑を纏った「剥き人」で常人の目には見えぬ早業でその中身が対戦相手を太刀で唐竹割にしていた。
百足巻巻介(むかで まきまきのすけ)
「霞鬼編」に登場。伊賀忍者の一人。
百足蠢之介(むかで おごめのすけ)
「沖田総司編」に登場。伊賀同心。服部半蔵屋敷にて遊女屋にはねられた川原女達を集め、鴆の毒をもって雀を除く全員を殺害せしめた。
(ちん)
巨大な毒鳥。覇府が駿府城の地下にて管理飼育している。採取される猛毒は覇府の印に注入され、諸大名への抑止力や殺戮兵器として用いられている。

各編の登場人物[編集]

龍(りゅう)
龍神とも。主人公たちが惨死した際、死に往く意識の中に現れ、苦しみの無い世界に往くか、怨身となりて再び乱世に往くかを問う。
「霞鬼編」にて、衛府と呼ばれる異界の住人と判明。全ての命は平等と考えており、身分制度を重んじ、まつろわぬ民の粛清を目論む時代の支配者と長らく対峙している。
無念を残して死に往くまつろわぬ民に怨身忍者の現し身を授ける。波裸羅と相対していた伊織に宿り、その身が放った矢に一時の霊力を与え、波裸羅を石化させたこともあった。
貝蔵(かいぞう)
「零鬼編」に登場。兵頭家用人。伊織を葉隠谷の里まで導くか、覇府の追っ手に捕まり、四肢を切断されて惨殺される。
ジン
葉隠衆の頭目。葉隠谷に棲む化外の者(近隣の民兵達による呼称)達の長。カクゴが留守の際、薄田惨四郎や赤鍬刑部と民兵らによって集落ごと惨殺される。
宙(ひろし)
「震鬼編」に登場。動地一家の亡八で憐の子分。豊臣秀頼の落胤を宿す銀狐を匿うため、夜陰に紛れて銀狐を山へ送る最中に襲ってきた蜻蛉に睾丸を抜かれ、以後はオネエ言葉になってしまう。
多羅尾一風軒(たらおいっぷうけん)
「震鬼編」に登場。穴甘組に雇われた用心棒の士で神道無念流斬馬刀の使い手。板倉宿の橋上で憐と戦うもその策に嵌って剣技を披露する間もなく撲殺された。
クハヤ
「雪鬼編」に登場。飛州、錫杖岳の初夜ノ森に棲んでいた「まつろわぬ民」で六花の父。登場時、既に故人であったが六花に対して雪女郎との子であることを理由に森を出て里に降りることを止めていた。
黒鮫嵐(くろさめあらし)
「雪鬼編」に登場。浅黒い肌に分厚い唇の持ち主で奉納相撲にて西方として覇府お抱えの力士・武御雷丸と対戦した浪人。武御雷丸の隠し武器で惨殺される。
久保田領の浪人達。
「雪鬼編」に登場した尾谷県丸(おだに あがたまる)、五味田四郎(ごみだ しろう)、一ノ谷道節(いちのや どうせつ)、柵喜兵衛(しがらみ きへえ)、野水運八(のみず うんぱち)鞍掛十郎(くらかけ じゅうろう)の六名。
奉納相撲にて黒鮫嵐と武御雷丸の一戦を見てその志を萎えさせた刹那、阿修羅丸こと深見権九郎の一言と、その相撲を見て意気を取り戻すも、その夜、横手城下の堂内にて宴を開いていたところへ現れた白怒火典膳の逆賊狩りによる仕官の誘いに喜々として従おうとするが、相手が阿修羅丸と知って翻意し、白怒火典膳に立ち向かい全員死亡。
玄奘尼(げんじょうに)
「霞鬼編」に登場。生き菩薩と称される、若く美しい尼僧。彼女を犯すためにやってきた波裸羅に抗うも、抵抗虚しく蹂躙される。
箕堂 涼千代(みどう すずちよ)
「霹鬼編」に登場。幻之介の後輩の少年武士。琉球に逃れた秀頼に、小姓の務めとして自分の身体を差し出す。現地の娘と交流を育み、武士身分に凝り固まった思考が変化する。
武市 千加太郎(たけち ちかたろう)
「霹鬼編」に登場。島津の士。怪力の持ち主で本来は女であるが自らの手で乳房をひっちぎって野郎の仲間入りを果たした過去がある。
首里城にて猛丸の「ひえもん(肝臓)とり」に参加し、その生肝を素手で摘出し、奪った。直後に島津のぼっけ者と秀頼の馬廻のどちらが日本一の兵かと話題になった際に現れた幻之介と素手で戦い、相打ちとなって幻之介に顔面を潰され果てるもその右手はしっかと幻之介の右脇腹を大きく抉り取っていた。
蜷尻 左近(みなじり さこん)
「霹鬼編」に登場。島津の士。首里城にて入来鹿太郎、樋脇数馬と共に犬養幻之介に因縁を付け、侮辱の言葉を投げかけるも、幻之介の一撃で尻餅をついたことに恥辱を感じて切腹して果てた。
入来 鹿太郎(いりき しかたろう)
「霹鬼編」に登場。島津の士。首里城にて蜷尻左近、樋脇数馬と共に犬養幻之介に因縁を付ける。幻之介の一撃で尻餅をついて切腹した蜷尻左近の介錯をした。
樋脇 数馬(ひわき かずま)
「霹鬼編」に登場。島津の士。首里城にて蜷尻左近、入来鹿太郎と共に犬養幻之介に因縁を付ける。幻之介の一撃で尻餅をついた蜷尻左近を入来と囃したため、蜷尻は切腹を遂げ、その首を前に入来と2人で合掌した。
佐々木 小次郎(ささき こじろう)
「宮本武蔵編」に登場。細川家剣術指南役。「巌流」の異名を持ち、作中では武蔵の播州での鬼狩りの3年前に当たる慶長十七年に豊州、舟島で備前長光を手に宮本武蔵と決闘を行い敗死した。
宮本 無二(みやもと むに)
「宮本武蔵編」に登場。宮本武蔵の父で美作の住人。薙ぎ突き搦め捕るに長けた十手器を得物とし、武蔵からは我が狂へる父と評される武芸者。その生き様と教育は武蔵に多大なる影響を与えた。
金井文兵衛(かない もんべえ)
「宮本武蔵編」に登場。薩摩の少年。眼鏡をかけている。年若ながら文武両道。
戦略的に退却を説いたり、蛮勇をたしなめたりと、抑え役となることが多いものの、これは臆病ゆえではなく、チェストの心得も十分に体得している。
梟(ふくろう)
「霧鬼編」に登場。ゴッツァンを連呼する力士風の男。その姿は「生き甲冑」という生身を模した外殻であり、中の正体は全身の皮膚を削ぎ落とした「剥き人」である。頼水の兵としてツムグと戦い優位であったが、軍扇の力で形勢逆転され、テヤンの舎弟を名乗ってツムグ側に就く。
イキチ
「霧鬼編」に登場。諏訪領ミゾロギ集落の親方。壬辰倭乱(秀吉による文禄・慶長の役)の奴僕異民。差別を受けるミゾロギ集落を守るため、鵜縄村とは極力諍いを起さぬよう努め、ゴンゾがツムグにマッチャン(タイマン)で敗れた際は自らの左手小指を切断して詫びを入れようとした。
ジンベ
「霧鬼編」に登場。諏訪領ミゾロギ集落の住民。ツムグがゴンゾを倒した件の詫びにイキチの指をもって鵜縄村の若衆頭西餅善七宅を訪問するも、折悪く舞六剣の復活による大地震が村を襲い、それを村に対する呪いと勘違いされ村民のリンチで殺害されてしまう。
ヌッコロ
「霧鬼編」に登場。諏訪領ミゾロギ集落の住民。ツムグがゴンゾを倒した件の詫びにジンベと共にイキチの指をもって鵜縄村の若衆頭西餅善七宅を訪問するも、折悪く舞六剣の復活による大地震が村を襲い、村民のリンチを受け殺害されてしまう。
ゴンゾ
「霧鬼編」に登場。諏訪領鵜縄村の住民。ミゾロギ集落のツムグ達とは度々諍いを起こし、最終的にはツムグにマッチャンで敗れるも、舞六剣起動による大地震で鵜縄村が大損害を被った際にはミゾロギ集落の住民を身を挺して擁護した。そのために鵜縄村の住民たちにミゾロギ集落の住民ともども殺害されてしまう。
棟田 新八郎(むねた しんぱちろう)
「霧鬼編」に登場。諏訪領の番士。差別を受けるミゾロギ集落のツムグ達にも同情的な姿勢を示し、舞六剣起動の際の大地震で鵜縄村の村民が暴走した際もミゾロギの住民を保護する姿勢を取るも、結果として裏目に出る事となってしまった。
永倉 新八(ながくら しんぱち)
「沖田総司編」に登場。新撰組隊士。原田左之助と共に道すがら殺した野犬の肉を携え病床に臥す沖田の見舞いに訪れる。
原田 左之助(はらだ さのすけ)
「沖田総司編」に登場。新撰組隊士。永倉新八と共に道すがら殺した野犬の肉を携え病床に臥す沖田の見舞いに訪れる。
土方 歳三(ひじかた としぞう)
「沖田総司編」に登場。新撰組隊士。沖田総司の回想に登場。最強の剣士に柳生宗矩を推す。
釘宮 三平(くぎみや さんぺい)
「沖田総司編」に登場。江戸に住まう御目見以下の御家人身分で剣術道場を開いている。一果が拾ってきた沖田総司を道場に迎え入れる。
雷音寺 鬣丸(らいおんじ たてがみまる)
「沖田総司編」に登場。時空を超えた沖田総司の前に現れた旗本奴の一人。旗本狩り(=霓鬼こと谷衛成)を探して市中を歩いている最中に総司と出会い、旗本狩りと勘違いして無礼討ちしようとした所を返り討ちにあった。総司が居た時代の旗本と比べると手強かったらしい。
花房 死万騎(はなぶさ しまんき)
「沖田総司編」に登場。時空を超えた沖田総司の前に現れた旗本奴の一人。
鍋島 轟羅夢(なべしま ごうらむ)
「沖田総司編」に登場。 時空を超えた沖田総司の前に現れた旗本奴の一人。
曼珠沙毛 伏龍丸(まんじゅしゃげ ふくりゅうまる)
「沖田総司編」に登場。旗本奴の一人。弟の新悟に夜鷹の女を斬殺させた直後、霓鬼によって土塀越し四ツ胴截断で惨殺された。
曼珠沙毛 新悟(まんじゅしゃげ しんご)
「沖田総司編」に登場。旗本奴の一人。兄の言うままに夜鷹の女を斬殺した直後、霓鬼の手で兄が殺害され逃げ出すも、自身も惨殺された。

大名・旗本 [編集]

花房 職秀(はなぶさ もとひで)
「震鬼編」に登場。備中高松城の城主。枕元に現れた吉備津彦命の御伽仕立瘤取剣で生ける福笑いにされたのち、その命を受けて七日以内に豊臣秀頼の胤を宿す女を狩るため、領内の素性の知れぬ身重の女を捕らえ処刑する。銀狐が吉備津彦命の手によって石化された後、捕らえた身重の女郎達の放免と引き換えに名乗り出た憐を釜茹でにし、怨身忍者「震鬼」へと覚醒させてしまう。
最後は腰元達を盾に助かろうとするが、憐の怨身忍法「震え抜き」で腰元の体は傷つけることなく心臓を抜かれた後、憐に戦国乱世の悲惨と家康の治世による平和な時代の到来を説いて命乞いをするが、聞き届けられず殺害された。史実記録でもこの頃に死去とされる。
豊臣秀頼(とよとみ ひでより)
「霹鬼編」に登場。落城した大坂城主。先立つ「震鬼編」にて、桃太郎により彼の落胤狩りが行われ、これが震鬼現出のきっかけとなった。
大坂城跡にて発見された遺体は影武者であり、本人は琉球の集落に匿われるが、現地人への感謝は無く、それどころか彼らを畜生以下と蔑視し、恥辱に怒りを燃やしていた。
幻之介を捨てたことで島津義弘にも不信を買い、霹鬼に不信を増幅された義弘から顔の前面を削ぎ落とされ、再起の道を絶たれる。その後は薩摩の地で住民に慕われ68歳まで生きながらえた。
嫡子の豊臣国松7歳は「雪鬼編」で処刑されたことが語られており、正式な後継は絶えた。また「霞鬼編」にて波裸羅は、死罪宣告された国松の関係者を装う作戦で、零鬼と伊織をおびき出した。
九鬼 守隆(くき もりたか)
「霞鬼編」に登場。志摩の国、名切城の城主。波裸羅を大名並の高禄をもって召し抱えていたが、覇府建造の出費に耐えかねて波裸羅に刺客を差し向けるも返り討ちに合う。問いただしに来た波裸羅によって右腕を切断されるが駿府の徳川家康に推挙することを申し出て難を逃れた。
島津 義弘(しまづ よしひろ)
「霹鬼編」に登場。関ヶ原激戦「島津の退き口」生還の猛将。薩摩の軍を率いて琉球に秀頼を迎えに訪れる。
島津 家久(しまづ いえひさ)
「宮本武蔵編」に登場。島津家当主。派手な小袖を身にまとい、2匹の仔猫を侍らせた豪放磊落な人物。島津忠恒のことであるが、「家康」との繋がりから「家久」と表記される。
覇府、本多正純の命で軍役として播磨の山中に現れた鬼退治を引き受け中馬大蔵にその指揮を命じる。島津家の鬼征伐陣所に現れ、宮本武蔵に直々に助勢を請い池田輝政より差し入れられた実高の鎧を授けた。鬼との戦いで散った部下のぼっけ者の為に涙を流す情に厚く自らも示現流剣術を納めた人物でもある。
武田法性院信玄入道(たけだほうしょういんしんげんにゅうどう
「霧鬼編」の冒頭に登場。元亀三年、三方ヶ原にて若き日の徳川家康に合戦を挑み家康の用いる「金陀美」を虚仮具足と嘲笑い人間城「舞六剣」を用いて家康を脱糞敗走せしめた。
諏訪頼水 / 無明の鎧
「霧鬼編」に登場。諏訪高島城主の息子。武田信玄の巨具足「舞六剣」を自らのものにしようとする野心家。ツムグを斬り捨て死に至らしめるも、舞六剣の主となった霧鬼に敗れ、盲目となる。城も壊滅させられたことで負けを認め、家督を息子に譲って出家した。
無明の鎧は頼水の拡充具足。視力の代わりに、聴力と嗅覚で周囲の識別を行う。さらに「地に立てた刀を切り上げる」という特殊な剣術を用いる。
千本 義隆(せんぼん よしたか)
「沖田総司編」に登場。旗本。本多正純から贈られた皿を割った奉公女の雀を柱に縛り付け、舌を切り取った後に谷衛成に古の銅剣をもって殺害せしめ、霓鬼と虹鬼が怨身する原因を作った人物。虹鬼の手によって家人の士ともども殺害された。史実記録でもこの頃に死去とされる。

用語[編集]

まつろわぬ民
古代の日本には、熊襲蝦夷土蜘蛛隼人など、異なる文化を持つ民族が混在していたが、戦上手の大和の民は他民族を攻め滅ぼし服従させた。このとき大和への隷属を拒み、棲家を奪われた人たちを、大和は「まつろわぬ民」と呼んでいる。
戦国から覇府徳川政権下での日本列島では、身分制度が徹底しており、高貴なる者と民草の間には厳格な格差が存在している。だがまつろわぬ民は、覇府の権力には従おうとしない。
衛府(えふ)
作中ではあまり掘り下げられておらず、明言されていない語である。単行本3巻あとがきよると、まつろわぬ民が異界に求めた幻の都のこと。琉球のニライカナイ、キリシタンのぱらいそ(天国)、朝鮮半島のアリランなど、様々に語られるが、総じて夢物語の「身分の檻のない世界」である。現実に権力を握っている者達へと反逆する、異界の勢力である。怨身忍者は衛府の戦士、反逆の尖兵とされる。
覇府(はふ)
徳川家康が創設した武家政権。江戸幕府徳川幕府に相当し、さらに作中で特に「覇府」と強調して呼称される。
覇府の印には、「炎に丸と三つ葉葵」の御紋が描かれている(徳川家の御紋は「丸と三つ葉葵」、『水戸黄門』の印籠は「雲水に徳川家御紋」である)。
民兵(たみへい)
侍身分にないが、覇府の印によって豊臣派の粛清・虐殺の大義名分を得た民草の総称。正規軍人ではないため、竹槍などのほか、戦で傷み払いとなった武具や農具などを凶器に用いる。
覇府の印を所持した武士に使役された百姓や(零鬼編)、役人に踊らされる町人たち(震鬼編)など、様々な身分の者たちがいる。徳川の威光を笠に着て、本来身分が上である豊臣侍を蹂躙することができるため、武士以上に残虐な行為を嬉々として実行する。
武士
侍身分の者。武術を身につけ、装備品の質も高い。
弓矢槍鉄砲などの武器を用い、ほとんどの者が基本装備として刀を差している。徳川方の組織化された正規軍人は二本差ししている場合が多い。
また一部の者は強力な鎧・具足を纏って戦う。
伊賀忍者
「霞鬼編」から登場。覇府徳川が擁する、伊賀出身の忍。身分は侍。
おのおのが不可思議なからくりの忍術を身につけ、徳川の任を仕果たすためなら喜んで命を捨てる。伊織評によると相当強いが、零鬼ならば一対一で撃破が可能。
「沖田総司編」にて、頭領の服部半蔵が登場。火薬の製造技術にも長けており、江戸の屋敷には時代を先取りした秘密兵器を隠し持つ。諜報にも優れ、霓鬼と虹鬼の素性すら調べ上げるも、(別時代からやって来た)総司の調査は全く手がかりが見つからず断念している。
累人(さかねびと)
「霞鬼編」から登場。桃太郎の配下達。曰くに、衛府を滅ぼすために異能の者を何世にも亘り交配させ造りし兵。独自の忍法を用いる。
御伽噺にちなんだ異形の姿をしており、伊織は「妖怪」と評する。猿蟹合戦になぞらえた栗彦(栗)、針彦(蜂)、泥彦(牛糞や屍泥)、臼彦(臼)が登場している。
求めるものは、桃太郎同様の永遠の命と「瑞麗人(きらぎらびと)」の身分。合戦前の腹拵えと称して人を食す。
実力は、四対一・手負いの零鬼という条件だが零鬼を圧倒するほど。それでも波裸羅にはかなわず全滅した。
薩摩藩
「霹鬼編」から登場。島津氏が守護・戦国大名として治めていた。元和元年時点での当主は初代藩主・島津家久。関ヶ原の負け戦を生還した島津義弘も今なお現役である。関ヶ原の戦いでは西軍(非徳川)、本編の六年前には琉球に出兵して琉球王国を服属させている。義弘が秀頼を擁立する一方で家久は徳川の命を受けるなど、天下の覇府にとってもいまだ油断ならぬ勢力。
「チェスト」の掛け声に代表されるような、死を恐れぬ強力な武士道で統制されている。
幻之介が「腕は確か」と評するほどの実力者達の集団であるが、武蔵の武芸や鬼の異能には力およばない。

書誌情報[編集]

山口貴由 『衛府の七忍』 秋田書店〈チャンピオンREDコミックス〉、既刊7巻(2019年4月19日現在)
巻数 収録話 発行日(発売日) ISBN チャンピオンRED連載号
1 1-5 2015年11月1日(10月20日) ISBN 978-4-253-23851-9 2015/05 - 2015/09
2 6-11 2016年6月1日(5月20日) ISBN 978-4-253-23852-6 2015/10 - 2016/04
3 12-16 2017年1月1日(2016年12月20日) ISBN 978-4-253-23853-3 2016/05 - 2016/11
4 17-22 2017年9月1日(8月18日) ISBN 978-4-253-23854-0 2016/12 - 2017/07
5 23-27 2018年4月1日(3月19日) ISBN 978-4-253-23855-7 2017/08 - 2018/02
6 28-31 2018年10月1日(9月20日) ISBN 978-4-253-23856-4 2018/03 - 2018/08
7 32-36 2019年4月25日(4月19日) ISBN 978-4-253-23857-1 2018/10 - 2019/03

脚注[編集]

  1. ^ 『エクゾスカル零』でもスターシステムがみられたが、作者インタビューで本作もスターシステムが行われていることが確定。
  2. ^ 武蔵・中馬共に面識は無かったが西軍に属していた

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • このマンガがすごい!WEB 2018ランクイン作家インタビューその1その2

イベント[編集]