航空無線通信士

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航空無線通信士
英名 Aeronautical Radio Operator
略称 航空通
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 電気・通信
試験形式

電気通信術実地電話

その他:筆記マークシート
認定団体 総務省
認定開始年月日 平成2年5月1日[1]
根拠法令 電波法
公式サイト 日本無線協会
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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航空無線通信士(こうくうむせんつうしんし)は、無線従事者の一種で電波法第40条第3号のイに規定するものである。 総務省所管。平成元年(1989年)に制定された。英語表記は Aeronautical Radio Operator

概要[編集]

無線従事者免許証 平成22年3月まで発給

航空通と略称される。従前の航空級無線通信士は航空通とみなされる。

無線従事者免許証
平成22年4月以降発給
無線従事者免許証
平成22年4月以降発給(裏面)

国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に準拠した資格であり、免許証には『国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に規定する航空移動業務及び航空移動衛星業務に関する無線電話通信士一般証明書に該当する。』と日本語および英語で記載される。

  • 平成8年(1996年)12月までは『国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則』が『国際電気通信条約附属無線通信規則』であった。

航空特殊無線技士の上位資格でかつ第一級・第二級総合無線通信士の下位資格である。

航空法に基づく国土交通省所管の航空従事者の一種である航空通信士とは異なるものである。

操作範囲[編集]

政令電波法施行令第3条による。

1.航空機に施設する無線設備並びに航空局航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)

 次に掲げる無線設備の外部の調整部分の技術操作

イ 航空機に施設する無線設備
ロ 航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備で空中線電力250W以下のもの
ハ 航空局及び航空機のための無線航行局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの

2.第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作

航空運送事業用航空機に開設された航空機局や、この航空機と通信を行う航空局の航空管制官などで、通信操作に従事する者が、必ず取得しなければならない必置資格である。なお不定期便であれば航空特殊無線技士でもよいため、取得者の大半は航空会社のパイロットと航空管制官である。

  • 航空機に乗り組んで 無線設備の操作(受信も含む)を行うためには、航空法によるいわゆる運航航空従事者[2]の技能証明、および航空身体検査証明を有していなければならない[3]

取得[編集]

次のいずれかによる。

国家試験[編集]

日本無線協会が8・2月の年2回実施する。

試験方法及び科目

総務省令無線従事者規則第3条に電気通信術は実地、その他は筆記によることが、第5条に科目が規定されている。

試験科目[編集]

無線工学

  • 無線設備の理論、構造及び機能の基礎
  • 空中線系等の理論、構造及び機能の基礎
  • 無線設備及び空中線系の保守及び運用の基礎

法規

  • 電波法及びこれに基づく命令航空法及び電気通信事業法並びにこれらに基づく命令の関係規定を含む。)の概要
  • 国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約、国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則、国際電気通信連合憲章に規定する電気通信規則及び国際民間航空条約(電波に関する規定に限る。)の概要

英語

  • 文書を適当に理解するために必要な英文和訳
  • 文書により適当に意思を表明するために必要な和文英訳
  • 口頭により適当に意思を表明するに足りる英会話

電気通信術

一部免除[編集]

  • 科目合格者はその科目を試験の翌月の初めから3年間。(非常事態で国家試験が行われなかった場合等で告示に定められた者は3年を経過した後において最初に行われる試験の実施日まで)
  • 第一級・第二級総合無線通信士の電気通信術の合格者は電気通信術を試験の翌月の初めから3年間。(同上)
  • 第一級・第二級総合無線通信士の英語及び電気通信術の科目免除認定校の卒業者は英語及び電気通信術を卒業の日から3年間。(同上)
  • 陸上無線技術士は無線工学、航空特殊無線技士は電気通信術。
  • 琉球政府の旧第三級無線技術士は無線工学。[4]
試験地および日程
  • 日本無線協会の本支部所在地。但し所在地以外に試験場を設定することがあり、この場合は申請時に選択が可能。
  • 平日が主であるが、試験期によっては土曜に実施することがある。
合格基準等

試験の合格基準等[5]から抜粋。

科目 問題数 問題形式 満点 合格点 時間
無線工学 14 多肢選択式

マークシートを使用

70 49 90分
法規 20 100 70 90分
英語 英文和訳 2 40 60 90分
和文英訳 3 30
英会話 7 35 30分以内
注 英会話が15点未満は不合格

電気通信術は電気通信術#合格基準を参照

受験料

平成16年(2004年)4月より[6]9,000円。

  • 受験票は郵送によるので、受験票送付用郵送料(平成29年(2017年)6月以降は62円))を合算して納付する。
実施結果
年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度
申請者数(人) 3,010 3,078 3,005 2,725 2,412 2,668 2,732 3,102 3,539
受験者数(人) 2,750 2,808 2,740 2,482 2,170 2,406 2,461 2,818 3,229
合格者数(人) 1,106 1,310 1,234 925 644 971 922 878 1,363
合格率(%) 40.2 46.7 45.0 37.3 29.7 40.4 37.5 31.2 42.2
全科目免除者数(人) 8 9 17 15 8 15 14 21 18
注 申請者数、受験者数、合格者数には、全科目免除者数を含まない。

養成課程[編集]

養成課程は、総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。以下同じ。)の認定を受けた団体が実施する。授業はeラーニングによることができる。 受講には高等学校または中等教育学校卒業以上の学力制限[7]がある。

  • 日本無線協会は一般公募または団体から受託し実施している。
    • 受講者は上記学校の卒業者以外に第三級総合無線通信士、第一級・第二級・第四級海上無線通信士、無線技術士としている。
    • 職歴、保有資格による科目免除がある。
  • 直近の認定状況については養成課程一覧[8]を参照。
無線従事者規則に規定する授業時間数
無線工学 法規 英語 電気通信術
23時間以上 25時間以上 50時間以上 2時間以上

総合通信局長が認めた方法による場合は変更できる。

  • 日本無線協会の科目免除はこの規定による。
修了試験の形式及び時間

無線従事者規則に基づく総務省告示 [9] による。

  • 筆記試験は多肢選択式を原則としているが、マークシートによることは義務付けられておらず、CBTによることもできる。筆記試験の一部を記述式とすることを妨げてはいない。
科目 問題数 満点 合格点 時間
無線工学 18 100 60 80分
法規 10 100 60 60分
英語 英文和訳 2 100 60 60分
和文英訳 3
英会話 7 30分程度
注 記述式の場合は2

電気通信術は国家試験と同等

受講料は実施団体ごとに異なる。

長期型養成課程[編集]

1年以上の教育課程で無線通信に関する科目を開設している学校等が総合通信局長の認定を受けて行う。授業はeラーニングより実施することができる。

  • 学校、学科については長期型養成課程一覧[10]を参照。
無線従事者規則に規定する授業時間数
無線機器 空中線系及び電波伝搬 無線測定 電波法令 国際条約 英語 電気通信術
41時間以上 10時間以上 2時間以上 55時間以上 7時間以上 100時間以上 4時間以上
総合通信局長が認めた方法による場合は変更できる。
実施状況
年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成28年度
実施件数 26 17 15 12 16 21 17 15
受講者数(人) 654 245 234 186 239 315 244 327
修了者数(人) 648 237 234 186 239 314 244 327
修了率(%) 99.1 96.7 100.0 100.0 100.0 99.7 100.0 100.0
注 平成27年度の発表なし

取得者数[編集]

取得者数の推移
年度 取得者数(人)
平成2年度末 22,540
平成3年度末 24,146
平成4年度末 25,586
平成5年度末 27,260
平成6年度末 28,662
平成7年度末 29,708
平成8年度末 30,897
平成9年度末 31,840
平成10年度末 33,110
平成11年度末 34,040
平成12年度末 34,878
平成13年度末 35,861
平成14年度末 36,884
平成15年度末 38,044
平成16年度末 39,205
平成17年度末 40,591
平成18年度末 41,705
平成19年度末 43,272
平成20年度末 44,635
平成21年度末 46,298
平成22年度末 47,787
平成23年度末 49,040
平成24年度末 50,197
平成25年度末 51,474
平成26年度末 52,763
平成27年度末 53,987
平成28年度末 55,493

この節の統計は、資格・試験 [11] による。

制度の変遷[編集]

平成2年(1990年)

  • 科目合格の免除は試験の翌月の初めから電気通信術以外は2年間、電気通信術は3年間だった。[1]
  • 和文の電気通信術があり、能力は1分間50字の速度の和文(無線局運用規則別表第5号の和文通話表による。)による約2分間の送話及び受話だった。[1]
  • 国(地方電気通信監理局(沖縄郵政管理事務所を含む。以下同じ。))が国家試験を実施していた。
    • 筆記試験は記述式だった。

平成3年(1991年)11月1日より日本無線協会が国家試験を実施することとなった。[12]

平成8年度(1996年4月)より、

  • 科目合格の免除は試験の翌月の初めからすべて3年間とされた。また、養成課程(長期型養成課程を含む。)で取得できることとなった。[13]
  • 和文の電気通信術が廃止された。[14]
  • 筆記試験がマークシート式となった。

平成21年度(2009年4月)より、営利団体が養成課程を実施できることとなった。[15]

平成25年度(2013年4月)より、

  • 非常事態等で告示に定められた場合は科目免除が3年を超えることとなった。[16]
  • 養成課程(長期型養成課程を含む。)でeラーニングによる授業とCBTによる修了試験ができることとなった。[17]

その他[編集]

任用の要件
資格取得
  • 第二級陸上特殊無線技士[18](この資格による6ヶ月以上の業務経歴(アマチュア業務を除く。)を要する。)
受験・受講資格
必須要件
  • 自衛隊の操縦士、航空管制官 - 養成課程で取得する。
  • 海上保安庁の操縦士 - 養成課程で取得する。
  • 航空大学校の学生 - 進級の要件であるが、自費で取得する。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 平成2年郵政省令第18号による無線従事者規則改正の施行
  2. ^ 定期運送用操縦士事業用操縦士自家用操縦士准定期運送用操縦士、一等航空士、二等航空士、航空通信士もしくは航空機関士。 航空通信士でなくともよいが、整備士は含まれず、運航管理者も不可。
  3. ^ 航空法第28条第1項(総務省 法令データ提供システム)
  4. ^ 沖縄の復帰に伴う郵政省関係法令の適用の特別措置法に関する省令第30条第2項(同上)
  5. ^ 試験の合格基準等 (PDF) (日本無線協会)
  6. ^ 平成16年政令第12号による電波法関係手数料令改正
  7. ^ 無線従事者規則第21条第3項(同上)
  8. ^ 養成課程一覧 (PDF) (総務省電波利用ホームページ 無線従事者関係の認定学校等一覧)
  9. ^ 平成2年郵政省告示第250号 無線従事者規則第21条第1項第11号の規定に基づく無線従事者の養成課程の終了の際に行う試験の実施第3項(同上 総務省電波関係法令集)
  10. ^ 長期型養成課程一覧 (PDF) (同上 無線従事者関係の認定学校等一覧)
  11. ^ 資格・試験(総務省 総務省情報通信統計データベース)
  12. ^ 平成3年郵政省告示第619号による昭和56年郵政省告示第1008号改正の施行
  13. ^ 平成7年郵政省令第14号による無線従事者規則改正の平成8年4月1日施行
  14. ^ 平成7年郵政省令第75号による無線従事者規則改正の平成8年4月1日施行
  15. ^ 平成21年総務省令第15号による無線従事者規則改正の平成21年4月1日施行
  16. ^ 平成24年総務省令第1号による無線従事者規則改正の平成25年4月1日施行
  17. ^ 平成24年総務省令第56号による無線従事者規則改正と平成24年総務省告示第222号による平成2年郵政省告示第250号改正の平成25年4月1日施行
  18. ^ 平成8年郵政省告示第150号 無線従事者規則第33条第2項の規定に基づく一定の無線従事者の資格及び業務経歴を有する者に電波法第40条第1項の資格の無線従事者の免許を与えるための要件(同上 総務省電波関係法令集)
  19. ^ 消防法施行規則第33条の8第1項第8号及びこれに基づく平成6年消防庁告示第11号第2項第6号
  20. ^ 職業能力開発促進法施行規則第46条及び別表第11号の3
  21. ^ 航空法第26条第2項

外部リンク[編集]

過去問