自然保護官

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アルゼンチンのイグアス国立公園で働く自然保護官

自然保護官(しぜんほごかん)とは、国立公園内等で自然環境の保護するために活動する職員。本記事では英語でパーク・レンジャー (park ranger) と呼ばれる職業について解説する。

概要[編集]

アメリカ合衆国やカナダでは、国立公園で自然環境の保護するために働いている職員を「ranger レンジャー」や「Park Ranger パーク・レンジャー」(あるいは: Ranger for Nature Conservationなど)と呼んでおり、国立公園には多くのパーク・レンジャーがおり、国立公園内の自然を保護するための広範囲の仕事をさかんに行っている。米国やカナダでは国立公園を訪れると制服を着用した職員が活動している場面にしばしば出会うことができる。南米の国々でも、(呼称はスペイン語やポルトガル語ではあるが)同様の職の人々がいる。

各国での活動[編集]

米国[編集]

米国の自然保護官

厳密には米国において「パーク・レンジャー」という肩書を有している職員がいるわけではない[1]。米国で単に「レンジャー」とは国立公園内において活動する取締官のことをいう[2]

一般に「パーク・レンジャー」と呼ばれている公園職員は国立公園内のビジターセンターなどで自然解説を行っているパーク・ガイドである[3]。このほか公園職員には施設維持等のメンテナンス職員などもおり、ビジターサービスは行っていないが、制服等はほぼ同じであるためパーク・ガイドとの見分けはつきにくい[3]。さらにボランティア職員もワッペン付きのシャツを支給されている[3]

米国の国立公園職員にはパーマネント(常勤職員)とシーズナル(臨時職員)がおり、特に夏季にビジターセンターに配置される多くの若手職員は学生または大学卒業直後の臨時職員である[4]

日本[編集]

日本でも、米国のレンジャーに倣って「自然保護官」という職が設置されたが、まだその数は少ない。自然保護官を含む日本の国立公園制度はアメリカの制度を参考にしてつくられたのだが、その業務内容や規模には大きな違いがあるのである。例えば、アメリカには約13,000人(国立公園の面積1万haあたり6人)がいるのに対し、日本には自然保護官は300名弱しかおらず、国立公園の面積1万haあたり1人未満、しかいない[5]

環境省地方支分部局である地方環境事務所に置かれる職、およびその職を任じられた人のことを呼ぶための用語である。行政用語としては日本語を用いるのが望ましいとの判断で「自然保護官」としたわけであるが、「自然保護官」ではいささか固いので、日常的には米国などに倣って「レンジャー」と呼ばれることもある。日本では現状では国家公務員という枠組みで扱われており、全国各地に29箇所ある国立公園等で勤務している。一般的に現場管理を担当している職員の内、特に自然保護官として発令された人を指しているが、自然環境保全に関わる現場職員の総称でもある。日本全国7ヶ所の地方環境事務所、自然保護事務所、支所、そして約80ヶ所の自然保護官事務所に現場職員(自然保護官)が配置される。主な仕事は、自然公園法に基づく国立公園の許認可、公園の土地や施設の管理、適切な利用のための規制、公園を訪れた人々へのインタープリテーションなど幅広い[5]。日本の「自然保護官」は、人事院が行う「国家公務員I種試験(農学III、旧区分では「造園」)」・「II種試験 林学・農学・土木」・「III種試験 林業」のいずれかに合格した者のうち、環境省地方環境事務所への配属を命令されたものがなる、と定められているものの、近年はIII種の採用がないため、採用されるためには、I種試験もしくはII種試験を受験することになる。

パークレンジャーがでてくる作品

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 鈴木渉 『留学先は国立公園! VIPで学ぶ、アメリカの自然保護』、2017年、56頁。
  2. ^ 鈴木渉 『留学先は国立公園! VIPで学ぶ、アメリカの自然保護』、2017年、56-57頁。
  3. ^ a b c 鈴木渉 『留学先は国立公園! VIPで学ぶ、アメリカの自然保護』、2017年、57頁。
  4. ^ 鈴木渉 『留学先は国立公園! VIPで学ぶ、アメリカの自然保護』、2017年、57-58頁。
  5. ^ a b 生物多様性政策研究会 『生物多様性キーワード事典』 中央法規出版2002年9月ISBN 978-4805844229

外部リンク[編集]