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戦前

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第二次世界大戦前から転送)

戦前(せんぜん、: antebellum, : prewar, : Vorkriegszeit)とは、戦争が始まる前の時代。対義語は戦後

概要

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戦争勃発前の平和な期間を指す語や概念。「戦前」という語は、特定の戦争が勃発する前の期間を指すが、特に両世界大戦の前を指すことが多い[1]。とりわけ第二次世界大戦の前を指すことが多いが、欧米においてはその時期は両世界大戦の間の時期という意味で戦間期と呼ばれることも多い。

また、しばしば「戦争に至った体制(戦前急激に生じた体制)」という意味合いを伴うこともある。これは、複数の主要国においてクーデター過激な政治集団の台頭による全体主義体制(当時は新体制とされた)が、第二次世界大戦の引き金となったことを意識したものである。

日本における「戦前」

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日本では単に「戦前」と言う場合、通常は、第二次世界大戦終戦の日とされる1945年昭和20年)8月15日より前の時代を指すが、文脈によってその指し示す範囲は異なる。また戦中を区別する場合としない場合もある(三省堂国語辞典7版は戦中を含めることを誤用とし、少数派ながら小学館新選国語辞典九版は容認している)。たとえば「安倍首相の通算在任日数は、11月[2]に戦前・戦後通じて最長となる」といった場合は、明治大正と戦時中も含まれる[3]

昭和戦前期の軍事と国際関係

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大日本帝国憲法下の1932年(昭和7年)3月、関東軍の下で満洲国建国宣言。帝国政府は満洲国を認めず協調外交継続を模索するも、五・一五事件の後、同年9月満洲国承認。翌1933年(昭和8年)3月国際連盟脱退。帝国政府が協調外交継続を模索する一方で、国内では対中、対米英開戦論が高まり、開戦を煽るマスコミ報道も過熱していた。

1937年(昭和12年)7月日中開戦(大東亜戦争)。11月日独伊三国防共協定成立。日・満・華(南京政府)による共同防共を目指す東亜新秩序声明発表。1940年(昭和15年)日独伊三国同盟調印。1941年(昭和16年)12月対米英宣戦布告(太平洋戦争)。

軍事に関しては、おおむね昭和10年代初めの平時編制として、陸軍は内地東部中部西部に区分されてそれぞれの地域に防衛司令部が設置され、また、内地に14個師団と北海道に1個師団が配備されていた。朝鮮には朝鮮軍司令部と2個師団が、台湾には台湾軍司令部と台湾守備隊が、関東州満洲には関東軍司令部と関東軍守備隊が置かれている。海軍は平時編制ではまず艦船を現役艦と予備艦に分け、現役艦を以って第一艦隊第二艦隊から構成される連合艦隊、または警備艦として鎮守府に所属した。

アメリカ合衆国における「戦前」

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アメリカ合衆国では、建国以降多くの戦争に関与・また軍事介入を行なっていることから、単なる「戦争前」(prewar、antebellum)・「戦争後」(postwar、postbellum) は用いない。単に「戦前」と呼ぶ例は、南北戦争前または南北戦争以前の時代を、ラテン語で「Antebellum」と呼ぶ例がある。また、第一次世界大戦第二次世界大戦の間の時代を指して「戦間」(interbellum) と呼ぶ使い方もある(例: Interbellum Generation)。

脚注

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  1. ^ ロングマン現代英英辞典より 関連するトピック: Military pre-war: happening or existing before a war, especially the Second World War OPP post-war
  2. ^ 2019年11月に桂太郎を抜いた。桂太郎は第二次世界大戦どころか第一次世界大戦の前に死去している。
  3. ^ 「戦前」は参戦前? 終戦前? – 毎日ことばplus毎日新聞 校閲センター 2019.11.15、毎日ことばplus毎日新聞社)

関連項目

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全般的な戦前
日本の戦前
その他

外部リンク

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  • 岡崎哲二, 浜尾泰, 星岳雄「戦前日本における資本市場の生成と発展--東京株式取引所への株式上場を中心として」『経済研究』第56巻第1号、岩波書店、2005年1月、15-29頁、doi:10.15057/21220ISSN 00229733NAID 120005252756 
  • 岩田年浩「戦前日本における経済教育の展開」『大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学』第38巻第1号、大阪教育大学、1989年8月、29-44頁、ISSN 03893456NAID 110002548942 
  • 岡崎哲二「戦前日本における企業金融・企業統治の進化:寺西論文「戦前日本の金融システムは銀行中心であったか」に対するコメント」(PDF)『金融研究』第25巻第1号、日本銀行金融研究所、2006年3月、53-58頁、ISSN 02875306NAID 40007235266