王桜

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王桜
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : サクラ亜科 Amygdaloideae
: サクラ属 Prunus
亜属 : サクラ亜属 subg. Cerasus
品種 : 王桜
学名
Cerasus × nudiflora
Camera-photo Upload.svg 画像提供依頼:ソメイヨシノとの違いがはっきり分かる画像の画像提供をお願いします。2011年10月
王桜
各種表記
ハングル 왕벚나무, 왕벚꽃
漢字 王벚나무, 王벚꽃
発音 ワンボンナム, ワンボッコッ
ローマ字 King cherry
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王桜(おうさくら、朝鮮読み:ワンボンナム(왕벚나무)、ワンボッコッ(왕벚꽃)、和名:エイシュウザクラ)はバラ科サクラ属サクラの一種。2017年1月に、王桜は遺伝的にエドヒガンオオヤマザクラの種間雑種であること、正しい学名として「Cerasus × nudiflora」が国際的に確立されたことが発表された[1]

韓国では済州島漢拏山全羅南道海南郡大芚山(テドゥンサン)に自生している韓国の固有種とされており、済州特別自治道西帰浦市新礼里(天然記念物第156号)、済州特別自治道済州市奉盖洞(天然記念物第159号)、全羅南道海南郡大芚山(天然記念物第173号)の3か所が王桜自生地として天然記念物に指定されている[2]

発見[編集]

済州島西帰浦に住んでいたフランス人神父タケ (Taquet) が、1908年4月15日に、漢拏山北側の観音寺裏手の山、海抜600メートルの地点で採集した。採集された標本は1912年になって当時バラ科の権威だったドイツベルリン大学ベルンハルト・ケーネによって最初に同定された[3]

特徴[編集]

野生であり、個体ごとに広い差異が存在する。通常花弁は5枚であり、ヤマザクラと似た特徴を示す。海抜500メートルくらいのところで育つが、それより高いところに自生する山桜と低地の桜の交雑種と韓国では考えられている。

個体によってはソメイヨシノに非常に似ることから、以前は形態学的観念からソメイヨシノの起源の一つとする説もあった。しかし、現在のDNA調査の結果によると別種と確認されている[4]。DNA研究によると、母系はエドヒガン、父系はヤマザクラあるいはオオヤマザクラの自然交雑種であるとされてきたが[5][6]、2017年1月、国立研究開発法人森林総合研究所が、形態学や集団遺伝学、分子系統学の最新の知見を基にした岡山理科大学との共同研究の結果を発表し、王桜はエドヒガンとオオヤマザクラの種間雑種であること、正しい学名として「C. × nudiflora」が国際的に確立されたことを発表した[1]

日本の国立遺伝学研究所は、ソウル大学の教授だった姜永善からこの品種のサクラを入手し育てている[7]

名称[編集]

ケーネはこの種をソメイヨシノの一種と考え、ソメイヨシノの学名である"Prunus yedoensis Matsum.”がついた"Prunus yedoensis Matsum. var. undiflora Koehne”を学名ととした[8][注釈 1]。小泉の論文では"Prunus quelpaertensis"[注釈 2]や"Prunus nudifrola Koidz."などの学名となっており[11]、和名ではエイシウザクラ(瀛洲桜)のほかタンナヤマザクラ(耽羅山桜)ともされている[11]

2017年1月、森林総合研究所は、研究結果により王桜(エイシュウザクラ)はエドヒガンとオオヤマザクラの種間雑種でありソメイヨシノとは遺伝的に異なることを改めて明らかにし、これにより王桜の正しい学名としてソメイヨシノと明確に区別された「C. × nudiflora」とすることが国際的に確立されたと発表した[1]

韓国では多くの場合、王桜とソメイヨシノとの区別がつけられておらず、両者ともワンボッコッ(왕벚꽃[注釈 3])と呼ばれている。

利用[編集]

韓国では王桜の世界化を目指す国際シンポジウムが開かれている[12]。韓国国立山林科学院暖帯亜熱帯山林研究所が組織培養で王桜の苗木を大量生産することに成功したと発表した[13]

ソメイヨシノとの類似性[編集]

王桜の一部の個体がソメイヨシノに類似していたことから、過去には日本の小泉源一が済州島に自生する本種とソメイヨシノが同種であるとの説を唱えたことがあった。しかし腊葉標本が残っていないことから、この説は当時から疑問視されていた。現在ではソメイヨシノは最初の親をエドヒガンと日本固有種のオオシマザクラとし、全て接木挿し木によって人工的に繁殖させたクローンの園芸品種のサクラであることが、DNAフィンガープリント法や核SSR(シンプル・シーケンス・リピート)法などの遺伝子解析で判明しており[14][15][16][17]、ソメイヨシノは韓国原産ではなく、王桜と同種でもないことが判明している[1]

しかし、韓国では現在も王桜とソメイヨシノが同種であるとの説が主流であり、韓国文化庁もソメイヨシノは韓国の王桜が日本へ導入されたものという説を未だに採っている[2]。また一般的に、これらの桜は共に「ワンボンナム(왕벚나무)」という単語が使われ、分類されていない。このため韓国では、韓国三大紙や聯合ニュースのような主要メディアも4月前後になると、ソメイヨシノの韓国起源説を取り上げ、海外への広報活動を行うこともある[18][19][20]

現在のソメイヨシノ韓国起源説は、2009年4月6日に聯合ニュースが記事にした韓国国立山林科学院暖帯山林研究所のキム・チャンス博士が主張する"日帝強制支配期(韓国併合時代)に日本人が済州島の王桜を改良、のちに大量増殖し、それを3000株アメリカに贈ったものがポトマック川川辺のサクラだ"との主張を根拠としている[18][19][注釈 4] 。また、アメリカ農務省のサイトに掲載された韓国人チョン・ウンジュ博士のDNA調査(2011年4月改訂)では、この2種は完全に別種と結論づけていたが[23]、2014年4月に、韓国KBSの取材に答えたチョン博士は、この論文は誤りであったとし、近くソメイヨシノの起源が王桜であるとする論文を発表すると前言を翻した[24]。さらに、アメリカン大学(AU)のルイス・グッドマン学長は、在米韓人科学技術者協会(KSEA)の第3回年例会議で、環境アナリストによって行われた研究の結果「DC地域の桜と済州島産桜が同じ種と確認された」とし、「DCの桜は韓国済州島が原産地である王桜」、「当該の桜の木が、珍しい植物を収集した日本に、遠い昔済州島及び鬱陵島地域で採集された可能性もある」と韓国起源説を後押しする仮説を立てた[25]

このように、韓国は韓国併合時代に日本が王桜を導入してソメイヨシノに仕立て上げた旨を主張しているが、王桜が新種として初めて採集された1908年よりも前の1877年と1882年に植樹されたソメイヨシノが日本国内に現存することから[26][27]、韓国側の主張は非合理である。

現在の韓国においては王桜とソメイヨシノを区別しないため、王桜の自生地にもソメイヨシノを植える活動が行われており、本来の王桜がソメイヨシノと交配することによって遺伝子汚染されて変質してしまう可能性がある[28]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ なお、後にソメイヨシノの学名はアーネスト・ヘンリー・ウィルソンの研究でエドヒガンとオオシマザクラの交配種と考えられるようになり、×のついた"Prunus × yedoensis Matsum.”に変更されている。
  2. ^ カスミザクラやウスゲヤマザクラのシノニムともされる[9][10]
  3. ^ 王桜の意
  4. ^ なお、米国にはソメイヨシノ以外の品種も贈られており、尾崎がワシントンD.C.に贈ったサクラは計12種類で、内訳はソメイヨシノ(1,800本)、有明(100本)、フゲンゾウ(120本)、福禄寿(50本)、ギョイコウ(20本)、イチヨウ (160本)、ジョウニオイ(80本)、カンザン(350本)、ミクルマガエシ(20本)、シラユキ(130本)、スルガダイニオイ(50本)、タキニオイ(140本)の合計3020本だった[21][22]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d 国立研究開発法人 森林総合研究所 染井吉野’など、サクラ種間雑種の親種の組み合わせによる正しい学名を確立 国立研究開発法人 森林総合研究所 2017年1月18日
  2. ^ a b 해남 대둔산 왕벚나무 자생지 (海南 大屯山 왕벚나무 自生地)”. 天然記念物に関するデータベース. 韓国文化庁. 2011年4月27日閲覧。
  3. ^ [기고] 왕벚나무 꽃잎은 떨어지는데 2011-04-29
  4. ^ Roh, M.S., Cheong, E.J., Choi, I-Y and Young, Y.H. (2007). “Characterization of wild Prunus yedoensis analyzed by inter-simple sequence repeat and chloroplast DNA.”. Scientia Horticulturae 114 (2): 121–128. doi:10.1016/J.scientia 2007.06.005.. http://www.sciencedirect.com/science?_ob=ArticleURL&_udi=B6TC3-4P7FHTX-1&_user=994540&_coverDate=10%2F02%2F2007&_rdoc=1&_fmt=high&_orig=gateway&_origin=gateway&_sort=d&_docanchor=&view=c&_searchStrId=1725580338&_rerunOrigin=google&_acct=C000050024&_version=1&_urlVersion=0&_userid=994540&md5=d453bd60abbb619b5bcfeabbc7957be1&searchtype=a 2011年4月19日閲覧。. 
  5. ^ Molecular and morphological data reveal hybrid origin of wild Prunus yedoensis (Rosaceae) from Jeju Island, Korea: Implications for the origin of the flowering cherryアメリカ植物学会誌 2014年11月、P. serrulata=ヤマザクラ/P. sargentii=オオヤマザクラ
  6. ^ 환갑 맞은 생명과학 만학도의 벚꽃 사랑聯合ニュース 2015年1月21日、成均館大生命科学キム·スンチョル教授の研究チームは、国立生物資源館などと共に済州島王桜の起源を明らかにし、これを国際学術誌「アメリカ植物学会誌」(American Journal of Botany)に載せた。研究チームは、王桜が日本に由来したものではなく、済州島自生の올벚나무(Prunus pendula for. ascendens)と벚나무(Prunus serrulata)、산벚나무(Prunus sargentii Rehder)複合体の交配で発生した種であることをDNA分析を通じて初めて明らかにした。
  7. ^ エイシュウザクラ (瀛洲桜)”. 遺伝研の桜. 国立遺伝学研究所. 2011年4月27日閲覧。
  8. ^ 染井吉野櫻の天生地分明す (PDF)”. 小泉源一 (1932年6月20日). 2016年3月23日閲覧。
  9. ^ Prunus leveilleana Koehne”. The Plantlist. 2016年4月7日閲覧。
  10. ^ ウスゲヤマザクラ”. 広島大学デジタル自然史博物館 植物. 2016年4月7日閲覧。
  11. ^ a b 白瀧桜と緑吉野桜 (PDF)”. 小泉源一 (1933年3月1日). 2016年4月6日閲覧。
  12. ^ 済州自生王桜グローバル化の第一歩漢拏日報 2015年4月10日
  13. ^ 王桜後継種'天安市象徴種'でNEWSIS 2015年6月15日
  14. ^ H. Innan, R.Terauchi, NT Miyashita, K Tsunewaki (1995). “DNA fingerprinting study on the intraspecific variation and the origin of Prunus yedoensis (Someiyoshino).”. Japanese Journal of Genetics 70 (2): 185–196. doi:10.1266/jjg.70.185. PMID 7605671. 
  15. ^ DNAからわかったサクラ品種の真実 ―そのほとんどは雑種が起源― 森林総合研究所、2014年6月16日
  16. ^ Online Resource 5. Inferences, from morphological classification and STRUCTURE analysis, on the origins of Japanese flowering cherry cultivars p.7 最後の行、‘Yedoensis’/染井吉野 (Cer194) 、STRUCTURE analysis (K = 11)、 Tree Genetics & Genomes Volume 10, Issue 3(2014) , pp 477-487、30 Jan. 2014、Supplementary Material (5)  11295_2014_697_MOESM5_ESM.pdf (318KB)  なお、pen は、P.(Prunus) pendula f. ascendens(エドヒガン)、jamはP. jamasakura(ヤマザクラ)、lan. speはPrunus lannesiana var. speciosa(オオシマザクラ)のそれぞれ略称である。
  17. ^ ソメイヨシノの起源に迫る サイエンスZERO、NHK総合、2014年4月5日放送のまとめ、2015年4月6日
  18. ^ a b 벚꽃? 일본산 아니다 '제주산'이 맞다”. 朝鮮日報. 2011年4月27日閲覧。
  19. ^ a b <美 벚꽃축제의 주인공은 제주 왕벚꽃>
  20. ^ 韓国紙「桜のソメイヨシノは済州島原産地」 なんの科学的な根拠もないのにまた「妄言」  J-CASTニュース2014/3/17
  21. ^ The Story of Cherry trees in Washington D.C.
  22. ^ NATIONAL PARK SERVICE HISTORY OF THE CHERRY TREES
  23. ^ Characterization of Wild Prunus Yedoensis Analyzed by Inter-Simple Sequence Repeat and Chloroplast DNA”. アメリカ農務省. 2011年4月27日閲覧。
  24. ^ 꽃의 전쟁…벚꽃의 원산지는? 韓国KBS 2014年4月11日
  25. ^ DC桜の原産地は済州島米州中央日報 2015年4月7日
  26. ^ 日本最古のソメイヨシノ開花/弘前公園 web東奥 2016年4月19日
  27. ^ 桜という植物の「ふしぎ」~ソメイヨシノの秘密~ 東京FM
  28. ^ 野生の桜、遺伝子ピンチ 移植ソメイヨシノと交雑”. asahi.com (2009年1月29日). 2012年4月7日閲覧。

関連項目[編集]