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侮辱罪

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侮辱罪
法律・条文 刑法231条
保護法益 人の名誉
主体
客体 人の名誉
実行行為 侮辱
主観 故意犯
結果 挙動犯、抽象的危険犯
実行の着手 -
既遂時期 -
法定刑 拘留または科料
未遂・予備 なし
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侮辱罪(ぶじょくざい)は、事実を摘示しないで、不特定または多数の人が見られる中で口頭や文書を問わず、他者を侮辱することを内容とする犯罪である(刑法231条)。

概説

名誉毀損罪との関係で、本罪の保護法益について、名誉毀損罪と異なる名誉感情と解する見解もあるが、判例・通説は名誉毀損罪と同じ外部的名誉(社会的名誉・社会的な評価)であるとする[1]。通説は、本罪と名誉毀損罪とは、事実の摘示の有無によって区別されるとする。

行為

本罪の行為は「公然と人を侮辱すること」である。

  • 「公然」については、名誉毀損罪と同じ
  • 「侮辱」とは、他人の人格蔑視する価値判断を表示することをいい、態様を問わない

法定刑

侮辱罪の法定刑は、拘留または科料であり、刑法典で規定されている犯罪において、法定刑が最も軽い。法定刑に拘留・科料しかないことから、幇助犯教唆犯は処罰されない(刑法64条)。また、犯人隠避罪(刑法103条)の客体となる犯人にも当たらない。

2006年9月11日、侮辱罪の法定刑のうちで最も重い「29日間の拘留」とする最高裁判決(上告棄却)がなされ、後に確定している。[要出典]

2020年5月に女子プロレスラー木村花がインターネット上で侮辱をされたことを苦にして自殺した事件を契機に厳罰化の議論が進行し、量刑を「1年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」へと引き上げる改正案が2022年3月8日に閣議決定された[2]

改正により従来侮辱罪で適用されなかった幇助罪、教唆罪の適用が可能になる。

2022年6月13日、侮辱罪を厳罰化する改正刑法が成立した。改正部分は今夏に施行[3]

2022年6月28日に廃止が決定した[4]

親告罪

本罪は親告罪である(刑法232条)。

補足

民法では「不法行為によってこうむった被害に対して損害賠償を求める権利」が認められている。 そのため例外を除き損害賠償請求することはできる。

実務上の問題

弁護士神田知宏によると、侮辱罪より刑罰の重い名誉毀損罪においても、警察側が「軽い犯罪」として告訴状の受け取りを拒否する態度をとることは少なくない[5]。このことから侮辱罪の厳罰化についても、名誉毀損罪より刑罰が軽く、警察が動かなければその実効性には疑問があると神田は論じている。

脚注

出典

  1. ^ 第2版, 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典. “侮辱罪とは”. コトバンク. 2022年3月15日閲覧。
  2. ^ 時事通信(2022年03月08日)「ネット中傷抑止へ侮辱罪厳罰化 懲役・禁錮、「拘禁刑」に―刑法改正案を閣議決定
  3. ^ 毎日新聞(2022年06月13日)「ネット中傷対策「侮辱罪」厳罰化が成立 改正刑法
  4. ^ 侮辱罪、廃止決定”. NHK. 2022年6月28日閲覧。
  5. ^ 警察動かず実効性疑問 視標「侮辱罪の厳罰化」”. 47ニュース. 共同通信社 (2021年11月20日). 2022年6月14日閲覧。

関連項目

外部リンク