正当行為

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正当行為(せいとうこうい)とは、一般に正しい行為を意味する語句である。日本法における法律用語としては、法令による行為または正当業務行為として理解されている。

日本法における正当行為[編集]

刑法上の違法性阻却事由の1つとして理解される(刑法35条)。すなわち形式的には犯罪類型としての構成要件に該当する行為のうち、法令上認められている行為と、業務として正当と認められる行為(正当業務行為)をいう。

法令による行為の代表例としては、刑事訴訟法に基づいてする逮捕などがあり、法令に規定された行為は、いっけん犯罪の構成要件該当性を否定すると言う趣旨である[1]。正当業務行為としては、医師の行う手術、スポーツに係る行為など、法令に規定は無いが、行為の本旨に違法性を欠くものであり、具体的には主として判例法により判断される。

安楽死尊厳死、報道機関による取材、労働争議などは正当業務行為に当たるかどうか議論があり肯否それぞれの判例もある。

正当業務行為の例[編集]

  • 力士ボクサープロレスラーなどの格闘技選手が試合で相手を殴るなどして怪我をさせても傷害や暴行の罪に問われず、結果として死亡させたとしても傷害致死罪には問われない。
    • なお刑法上の正当行為の論ではないが、プロレスラーについては近年の民事訴訟で「原告が事前の打ち合わせ(ブック)から大きく外れた攻撃をしており賠償金を減額する」という判決が出ている(セッド・ジニアスの項を参照)。
  • 医師が薬剤を投与したり外科手術をおこなう行為。
  • 理容師・美容師による調髪。
  • 犯罪を犯した高校生が教会へ逃げ込んだ際、牧師が数日匿って落ち着かせ警察に自首させた行為が、牧会活動として正当業務行為にあたるとして犯人蔵匿・隠匿罪が阻却された裁判例がある(神戸簡判昭和50年2月20日刑月7巻2号104頁。「牧会活動事件」を参照。)。
  • 金融商品取引法に従った正当なデリバティブ取引。A社が5年以内に倒産するかどうかに賭ける取引(クレジット・デフォルト・スワップ取引)であっても、登録業者が適正に売買させるかぎり賭博罪(ここでは金融商品取引法違反)に問われることはない。[要出典]

脚注[編集]

  1. ^ ただし、該当する法令が憲法に違反して無効であると判断された場合は、係る行為に関し犯罪が成立する場合がある。