「ロッキートビバッタ」の版間の差分

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| 画像キャプション = 1870年代にミネソタ州で撮影されたロッキートビバッタ
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| 種 = '''ロッキートビバッタ''' ''M. spretus''<ref>この分類は[[ITIS]]の[http://www.catalogueoflife.org/search.php Catalogue of Life] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090115165326/http://www.catalogueoflife.org/search.php |date=2009年1月15日 }}(2008)による。</ref>
| 種 = '''ロッキートビバッタ''' ''M. spretus''<ref>この分類は[[ITIS]]の[http://www.catalogueoflife.org/search.php Catalogue of Life] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090115165326/http://www.catalogueoflife.org/search.php |date=2009年1月15日 }}(2008)による。</ref>
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| 英名 = [[w:Rocky Mountain locust|Rocky Mountain locust]] または<br>Rocky Mountain grasshopper{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}
| シノニム = {{plainlist|
* ''Caloptenus spretus'' {{AUY|Walsh|1866}}{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}
* ''Acridium spretis'' {{AUY|C. Thomas|1865}}{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}{{Sfn|Gurney & Brooks|1959|p=4}}
* ''Pezotettix spretus'' {{AUY|Stall|1878}}{{要出典|date=2019年11月|}}
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}}
'''ロッキートビバッタ''' (学名: ''Melanopolus spretus''、{{Lang-en-short|Rocky Mountain locust}}またはRocky Mountain grasshopper) は[[アメリカ合衆国]]西部の全域および[[カナダ]]西部の一部に生息していたものの、20世紀初頭に絶滅したと考えられている[[ワタリバッタ]] (トビバッタ) の一種である。比類を絶する大群をなして移動することで知られ、特に{{仮リンク|アルバート大蝗害|label=1875年の大発生時|en|Albert's swarm}}は、広さにして51万平方キロメートル (19万8千平方マイル) にわたり、カリフォルニア州の面積相当を超える規模であった。これは質量にして2750万[[トン]]、個体数にして12兆5千億匹と推定され、「史上最大の動物の群集」として[[ギネス世界記録]]に登録されている<ref name=UMich/>。


しかしながら、この大発生から30年も経たずに完全に絶滅しており、最後に生存が目撃されたのはカナダ南部で1902年のことである<ref>{{Cite journal|title=Locust hordes |journal={{仮リンク|Canada's History|en|Canada's History}} |date=October–November 2015 |pages=43-44 |url=https://secure.canadashistory.ca/online-store/index.php?cat=C&feature=CDH955&}}</ref><!-- https://pocketmags.com/ca/canadas-history-magazine/octnov-2015#popup1 この画像によると表紙右下にLOCUST HORDESの文字が見られるので小特集として組まれていたと推察。-->。絶滅の原因は諸説があるものの断定されていない。20世紀後半に入ると、氷河に堆積していたロッキートビバッタの標本が流出しており、調査研究が続けられている{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}。標本が見つかったのは、[[モンタナ州]]に位置する[[アブサロカ・ベアトゥース自然環境保護地域]] ([[ロッキー山脈]]の一部を形成) にある{{仮リンク|グラスホッパー氷河 (モンタナ州)|label=グラスホッパー氷河|en|Grasshopper Glacier (Montana)}}のほか、[[フレモント郡 (ワイオミング州)|ワイオミング州フレモント郡]]にある{{仮リンク|ウィンドリバー氷河|en|Wind River Glacier}}や同州の{{仮リンク|ナイフポイント氷河|en|Knife Point Glacier}}などである{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。<!-- その後、北米バッタの亜種である{{仮リンク|高地バッタ|en|Dissosteira longipennis}} (学名: ''Dissosteira longipennis'') が1930年代に大被害をもたらしているものの、今日ではこのような大量発生が起こることはほとんどない{{要出典|date=2019年11月|}}。その結果、世界の大陸 ([[南極大陸]]を除く) の中で、主要なトビバッタの種が現存しないのは北米だけとなっている{{要出典|date=2019年11月|}}。-->
'''ロッキートビバッタ''' ('''''Melanoplus spretus''''') は1902年に絶滅したと考えられている[[バッタ科]]のバッタ。かつて北アメリカで大規模な[[蝗害]]を起こしたことで知られる。19世紀末まで、[[アメリカ合衆国]]の西半分全域と、[[カナダ]]西部の一部に生息していた。


== 生物学上の分類 ==
このバッタは主に[[プレーリー|プレーリー地方]]に生息していたが、[[ロッキー山脈]]の西側にもいた。このバッタは暖かく乾いた砂地を好んで産卵する。<!--[[Drought]]s caused prairie plants to concentrate [[sugar]]s in their stalks, which gave the locusts a good [[food]] supply. [[旱魃]]により降水量が下がると植物中の糖分濃度が上がるため、このバッタに適した食物が増える?ホント???-->気温が高いとこのバッタは早く成長する。成虫になると、アメリカ北部中央に流れている[[ジェット気流]]を利用して大規模な移動を始める。
英語圏における一般名の「グラスホッパー」({{Lang-en-short|Grasshopper}}) は、バッタや[[イナゴ]]などの総称である<ref name=Webster-Grasshopper>{{Cite web |url=https://www.merriam-webster.com/dictionary/grasshopper |title=Definition of grasshopper |trans-title=grasshopperの定義 |publisher=Merriam-Webster Dictionary |accessdate=2019-11-09 |language=en}}</ref>。このグラスホッパーは通常、[[温帯]]地域を中心に<ref name=Cambridge-Locust/>単体で生息しているものの、何らかの理由で大量発生し、群れを成して移動する時期がある。このような[[相変異 (動物)|相変異]]を起こしたグラスホッパーのことを、特に「[[ワタリバッタ]]」({{Lang-en-short|Locust}}) と呼んでいる<ref name=Webster-Locust>{{Cite web |url=https://www.merriam-webster.com/dictionary/locust |title=Definition of locust |trans-title=locustの定義 |publisher=Merriam-Webster Dictionary |accessdate=2019-11-09 |language=en}}</ref><ref name=Cambridge-Locust>{{Cite web |url=https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/locust |title=Meaning of locust in English |trans-title=locustの英語の意味 |publisher=[[ケンブリッジ大学出版会]] |work=Cambridge Dictionary |accessdate=2019-11-09 |language=en}}</ref>。ロッキートビバッタもこのワタリバッタの一種である。


生物学的には、グラスホッパーはバッタ目 (''Orthoptera'') に属しており<ref name=Webster-Grasshopper/>、バッタ目全体は以下のように分類される{{Sfn|J Genet Genomics|2010|p=Abstract (要約欄)}}{{Sfn|Gwynne|1995|pp=203&ndash;218}}{{Sfn|Flook|1997|pp=89&ndash;103}}。
群れの大きさは昆虫の中では最大規模のものであり、1874年にある昆虫学者が目撃した記録によると51万平方キロメートルであった。この面積は[[カリフォルニア州]]全域よりも大きい。この記録は[[ギネス世界記録|ギネスブック]]にも「動物の作る最も大きな群れ」<small>(greatest concentration of animals)</small>として掲載され、そこには群れの大きさは少なくとも12兆5000億匹、総重量2750万トンと書かれている。ところがその後30年足らずで、ロッキートビバッタは[[絶滅]]した。そのため生きている個体は現存しないが、[[モンタナ州]]の[[:en:Grasshopper Glacier (Montana)|Grasshopper Glacier]]には氷河に凍結されたこのバッタの死骸が見つかっている。

{{Tree list}}
* '''バッタ目 (''Orthoptera'')'''
** '''[[バッタ目#バッタ亜目(雑弁亜目)_Caelifera|バッタ亜目 (''Caelifera'')]]'''
*** '''バッタ下目 (''Acrididea'')'''
**** '''{{仮リンク|バッタ上科|en|Acridoidea}}''' (''Acridoidea'')<ref>{{Cite web |url=http://www.catalogueoflife.org/annual-checklist/2019/browse/tree/id/6e7ce85920b77c7b876e7178bbae0469 |title=Browse taxonomic tree {{!}} Catalogue of Life: 2019 Annual Checklist |publisher=The Catalogue of Life |accessdate=2019-11-08}}</ref>
***** '''フキバッタ亜科''' - ロッキートビバッタの属する''Melanoplus''以外に、ミヤマフキバッタ属 (''Parapodisma'')、タイリクフキバッタ属 (''Sinopodisma'')、サッポロフキバッタ属 (''Podisma'')、ハネナガフキバッタ属 (''Ognevia'') などが分類される<ref name=Kawakami>{{Cite web |url=http://www.ha.shotoku.ac.jp/~kawa/KYO/SEIBUTSU/DOUBUTSU/02batta/index.html |title=昆虫図鑑:バッタ目(直翅目)|publisher=岐阜聖徳学園大学教育学部川上研究室 |accessdate=2019-11-10}}</ref>。
*****トノサマバッタ亜科<ref name=Kawakami/>
*****ショウリョウバッタ亜科<ref name=Kawakami/>
*****イナゴ亜科 など<ref name=Kawakami/>
**** {{仮リンク|クビナガバッタ上科|label=クビナガバッタ上科 (''Eumastacoidea'')|en|Eumastacoidea}}
**** ''Locustopsoidea''上科<ref>{{Cite web |url=http://orthoptera.speciesfile.org/Common/basic/Taxa.aspx?TaxonNameID=1121390 |title=suborder Caelifera > infraorder Acrididea > superfamily group Acridomorpha > superfamily †Locustopsoidea Handlirsch, 1906 |publisher=Orthoptera Species File (Version 5.0/5.0) |accessdate=2019-11-08}}</ref> <!-- 和名を検索してもヒットせず -->
**** {{仮リンク|セミバッタ上科|label=セミバッタ上科 (''Pneumoroidea'')|en|Pneumoroidea}}
**** {{仮リンク|オンブバッタ上科|label=オンブバッタ上科 (''Pyrgomorphoidea'')|en|Pyrgomorphoidea}}
**** ''Tanaoceroidea''上科 <!-- 和名を検索してもヒットせず -->
**** {{仮リンク|ヒシバッタ上科|label=ヒシバッタ上科 (''Tetrigoidea'')|en|Tetrigoidea}}<ref>{{Cite web |url=http://ujssb.org/biospnum/search.php?Kingdom=Animalia&Phylum=Arthropoda&Subphylum=Mandibulata&Class=Insecta&Order=Orthoptera&Suborder=Caelifera&Superfamily=Tetrigoidea |title=ヒシバッタ上科 Tetrigoidea  - 日本産生物種数調査 - |publisher=[[日本分類学会連合]] |accessdate=2019-11-08}}</ref>
**** ''Trigonopterygoidea''上科 <!-- 和名を検索してもヒットせず -->
*** {{仮リンク|ノミバッタ下目|label=ノミバッタ下目 (''Tridactylidae'')|en|Tridactylidae}}<ref>{{Cite web |url=http://ujssb.org/biospnum/search.php?Kingdom=Animalia&Phylum=Arthropoda&Subphylum=Mandibulata&Class=Insecta&Order=Orthoptera&Suborder=Caelifera&Superfamily=Tridactyloidea |title=ノミバッタ上科 Tridactyloidea  - 日本産生物種数調査 - |publisher=[[日本分類学会連合]] |accessdate=2019-11-08}}</ref>
** [[バッタ目#キリギリス亜目(剣弁亜目)_Ensifera|キリギリス亜目 (''Ensifera'')]] - [[スズムシ]]、[[キリギリス]]など含む7つの上科で構成
{{Tree list/end}}
ロッキートビバッタの分類と命名は紆余曲折の歴史を辿ったことから、参照する文献の年代や著者によって、ロッキートビバッタを指し示す用語が異なる。

ロッキートビバッタは当初、''Caloptenus spretus''という[[ラテン語]]名で呼ばれていた。1866年、[[昆虫学|昆虫学者]]の{{仮リンク|ベンジャミン・ダン・ウォルシュ|en|Benjamin Dann Walsh}}は、「ウーラー氏 (Mr. Uhler) が[[記載#生物学における記載|生物学上の論文記載]]なしで」命名し、かつ「''spretus''は『忌み嫌われている』との意味であり、当時の昆虫学者から実際に忌み嫌われ、見過ごされてきた」として、''Caloptenus spretus''の概要を論文に記している{{Sfn|Walsh|1866|pp=1&ndash;3}}。ウーラーは当時、グラスホッパーの標本を収集・保管する際にこの''spretus''という名称を使っており、他の昆虫学者たちに標本を提供していた{{Sfn|Scudder|1898|p=184}}。12年後の1878年の文献上では、同じく昆虫学者の[[サイラス・トーマス]]が''Caloptenus spretus''の命名者は自分であると主張している{{Sfn|Thomas|1878|p=483|ps="''Caloptenus spretus'' Tho. (中略) ...I claim to be the author. (中略) Mr. Uhler did not describe it, and does not claim to be the author. The name was first given in my paper published in the Illinois State Agricultural Report." (仮訳: ''Caloptenus spretus'' Tho. の命名者は私である。ウーラー氏はこの昆虫を生物学的に記載しておらず、かつ命名者であるとも主張していない。この名称は『イリノイ州農業白書』で私が最初に公表したものである。)}}。しかしながら後の研究者たちはトーマスの記載など手続上は不十分であり、かつウォルシュが1866年に論文記載したとして、ウォルシュを命名者と認めている{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}{{Sfn|Gurney & Brooks|1959|p=55|ps=--トーマスの1865年論文は記載が不十分であること、[[タイプ標本]]が定かでないこと、別種の''Melanoplus bilituratus''もロッキートビバッタと混同されていたことを理由に、トーマスが命名者とは認められないとしている。}}。

現在使われている''Melanoplus spretus''の学名 (つまり''Caloptenus''属からの付け替え) は、昆虫・[[古生物学|古生物学者]]{{仮リンク|サミュエル・ハバード・スカダー|en|Samuel Hubbard Scudder}}の1878年論文で使用されている{{Sfn|Scudder|1898|p=3|ps=-過去にBrunner von Wattenwylがロッキートビバッタの属する''Melanoplus''を誤って分類しており、これを正したのがスカダーであると論じている。}}{{Sfn|Scudder|1878a|p=287}}{{Sfn|Scudder|1878b|p=46}}。後述の通り、スカダーは多数のグラスホッパー標本を集めて研究し、''Melanoplus''属の大々的な再分類を1878年に行っている{{Sfn|Scudder|1898|p=1&ndash;412}}。

ロッキートビバッタと他種との区別・混同もたびたび起こっており、古くは1875年の[[チャールズ・バレンタイン・ライリー]]論文に見られる。ライリーは''Caloptenus atlantis''の名で論文記載を行っているものの、後にこれはロッキートビバッタの矮小型 (小型個体) だと判明している{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。また20世紀に入ってからも、''Melanoplus sanguinipes''が群生相に相変異したのが''Melanoplus spretus''であると主張する学者が複数存在した{{Refnest|group="註"|1933年のFaure論文、1947年のBrett論文、1953年のGurney論文{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。}}。さらに''Melanoplus sanguinipes''が''Melanoplus mexicanus''と混同された時期もある{{Refnest|group="註"|1917年のHebard他論文{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。}}。最終的には、GurneyとBrooksの1959年共著論文によって、ロッキートビバッタは''Melanoplus sanguinipes''とは別種だと結論付けられている{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
{{Vertical_images_list
成虫の平均体長は20-35mmと小さい。長い翅を持つのが特徴で、広げた時には腹部よりも3割ほど長くなる。また、オスの腹の最後の節に刻みが付いている<ref>[http://animaldiversity.ummz.umich.edu/site/index.html Animal Dibersity Web] [http://animaldiversity.ummz.umich.edu/site/accounts/information/Melanoplus_spretus.html Melanoplus spretus]</ref>。
|寄せ=右
|幅= 216px
| 1=Melanoplus spretusAnnReportAgExpStaUM1902B.jpg|2=1902年当時のスケッチ
| 3=Rocky Mountain Locust oviposition.jpg|4=1877年当時の産卵期を迎えたメス
}}
{{ external media
| align=right
| width = 216px
| image1 = [http://discovermagazine.com/2003/jul/featwing/article_view?b_start:int=3&-C= 標本写真、部位の図解など]<br />『{{仮リンク|ディスカバー誌|en|Discover (magazine)}}』''Hunger on the Wing'' 2003年7月号
}}
前述のスカダーによると、ロッキートビバッタの属する''Melanoplus''は、1898年当時に公表されているだけでも計131の種類が存在し、生息域はほぼ北米に集中している{{Sfn|Scudder|1898|p=4}}。スカダーはグラスホッパーの標本を約8000匹検証しており、うち約7000匹は''Melanoplus''に分類されると報告している{{Sfn|Scudder|1898|pp=7&ndash;8}}。

''Melanoplus''の全長はバッタ下目の中では小さい部類に入るものの、眼の大きさは標準的なサイズである。顔は前から見ると斜角がきつい。[[触角]]は[[ハバチ亜目]]に属するハチの一種 (''forefemur''、複数形; ''forefemora'') よりも長く、頭頂には[[小窩]] (foveola) がない{{Sfn|Scudder|1898|p=2}}。額部分 (fastigium)<!--fastigiumの部位の説明はGrasshoppers of the Western U.S. https://idtools.org/id/grasshoppers/glossary.php の用語一覧を参考に。--> はほぼ下に垂れていて、羽の付け根にあたる[[前縁脈]] (frontal costa) へとつながっている。[[前胸腹板]] (prosternum) には微突起があり、ヒトで言うところの首や肩に該当する箇所 (carina) の側面はほぼ見当たらない。後肢の先端には爪に付属した[[爪間盤]] (arolium) があり、後肢の[[脛節]] (tibia、脚の4番目の節で腿節と付節の間にある) は滑らかで突起物はない。付節の2番目の関節は1番目の半分の長さである{{Sfn|Scudder|1898|p=2}}。

''Melanoplus''属全体で見ると、オスとメスの標本出現率はほぼ同じである{{Sfn|Scudder|1898|pp=7&ndash;8}}。しかしロッキートビバッタ (''Melanopolus spretus'') に限定すると、オスが276匹なのに対し、メスは439匹と出現率に明白な差が生じていることから、ロッキートビバッタ固有の特徴であるとスカダーは捉えている{{Sfn|Scudder|1898|p=184}}。

[[ミシガン大学]]動物博物館の集約したデータによると、ロッキートビバッタの成虫は平均体長が20-35mmと小さい。長い翅を持つのが特徴で、広げた時には腹部よりも3割ほど長くなる。現存する種の中では{{仮リンク|アカアシトビバッタ|en|Melanoplus femurrubrum}} (学名: ''Melanoplus femurrubrum'') に見た目が近いとされているが、ロッキートビバッタの方が小さく、またオスの腹の最後の節に刻みが付いている点がアカアシトビバッタとの差異である<ref name=UMich>{{Cite web |url=https://animaldiversity.org/accounts/Melanoplus_spretus/ |title=Melanoplus spretus, Rocky Mountain Locust |website=Animal Dibersity Web |publisher=[[ミシガン大学]]動物博物館 |last=Garcia |first=Matthew ([[サウスウェスタン大学 (テキサス州)|サウスウェスタン大学]]所属) |accessdate=2019-11-11}}</ref>。静止した状態で脚をこすり合わせることで音を出し、ロッキートビバッタの群れはこの音で互いに意思疎通を図っていた<ref name=UMich/>。

生息地域は主にロッキー山脈の東側斜面であり、高度2000フィートから1万フィート (約600メートルから3000メートル) の乾燥地帯である<ref name=UMich/>。多湿の低地には適していないものの、本来の生息地域で草が不足してくると、エサを求めて低地の[[プレーリー]] (温帯の大草原であり[[穀倉地帯#アメリカ合衆国|穀倉地帯]]として知られる) に移動してくる<ref name=UMich/>。大発生は[[干ばつ]]がトリガーとなると考えられており{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}、乾季に東から西への気流に乗ってプレーリーに大量移動してくるのは毎年ではなく、特定の数年間のみである。特に移動期の最後2年間で大発生する。大発生した年には大量の卵がプレーリーで産みつけられるものの、プレーリーでの生育環境が適合せず、孵化しても生存率は低かった{{Sfn|Scudder|1898|pp=184&ndash;?}}。1匹のメスが1回の産卵で産むのは100匹程度である。産卵時期は晩夏から初秋にかけてだが、孵化するのは翌年の春である<ref name=UMich/>。具体的には、最低気温が[[華氏]]50度 ([[摂氏]]10度) の状態が2,012時間 (83.8日)、かつそのうち1,228時間 (51.2日) が華氏60度以上の状態に達すると孵化すると試算されている。なお、所要日数は気温の上昇で短縮化する ([[グランドアイランド (ネブラスカ州)|ネブラスカ州グランドアイランド]]のケース){{Sfn|USEC|1880|pp=137&ndash;139}}。生後6 - 8週間はロッキートビバッタの特徴である翅がないことから、周囲を這ってエサを探す<ref name=UMich/>。<!-- ロッキー山脈の両側に生息していたものの、多くはプレーリーに分布していた。砂地に産卵し、高温や乾燥に強く、日照りでもプレーリーの草木の茎にたまった糖分を餌にすることができた。北米大陸中部を流れる[[ジェット気流#下層ジェット気流|下層ジェット気流]]に乗って、ロッキートビバッタは移動していたと考えられている{{要出典|date=2019年11月|}}。-->


== 蝗害 ==
== 蝗害 ==
[[File:RockyMountainsLocatorMap.png|thumb|ロッキー山脈の位置]]
ロッキートビバッタが最後に大規模な群れを作ったのは1873年から1877年にかけてのことであり、この時には[[コロラド州]]、[[ネブラスカ州]]を始めとする地域で2億ドルの農被害をもたらした。上記の巨大な群れはこのときのものである。
[[蝗害]] (こうがい) とは、バッタやイナゴが大量発生して飛来し、農作物などを食い荒らす災害である。「蝗」(イナゴ) の漢字が充てられているが、ワタリバッタによるものも蝗害と呼ばれる<ref>{{Cite web |url=https://kotobank.jp/word/%E8%9D%97%E5%AE%B3-494262 |title=蝗害 |publisher=コトバンク |accessdate=2019-11-20}}</ref>。


古くは[[メイン州]]で1743年から1756年にかけて、また[[バーモント州]]では1797年から1798年にかけてロッキートビバッタによる蝗害が確認されている<ref name=HistoryNet/>。その後19世紀に入ると、ロッキートビバッタの生息に適した西方へと農地が開拓されていったことから、農業に与える蝗害の影響は深刻化している。程度に差はあるものの、1828年、1838年、1846年および1855年に大発生が確認されており、西部全域にその影響は広がった。1856年から翌57年、および1865年には[[ミネソタ州]]に、また1856年から1874年の間にはたびたび[[ネブラスカ州]]にも蝗害が及んでいる<ref name=HistoryNet/>。
当時のミズーリ州の州雇い昆虫学者[[チャールズ・バレンタイン・ライリー|C.V.ライリー]]の調査によると、このバッタの襲来は、これ以前には1818-1820年、1864-1867年にも起こっており、このことから、この回の大発生に関しても、その推移を予測することができた。彼はミシシッピー渓谷地帯ではバッタが永続的に生存できないので、7月初頭には移動を始めると予想し、これを年次報告に盛り込んだ。これを読んだミズーリ州の知事ハーディンは「6月3日を祈りと断食の日とし、災厄を払い去り、豊穣と恵みを神に祈る」よう全州に布告を出したところ、数日中にバッタは移動を始めた。


大規模な発生が最後に確認されたのは1873年から1877年であり、[[コロラド州]]、[[カンザス州]]、ミネソタ州、[[ミズーリ州]]、ネブラスカ州を含む広域で、農作物の被害額は1874年の単年のみで2億ドルに上った (2018年の[[消費者物価指数]]で換算すると44億ドル超に相当する)<ref name=HistoryNet/>{{Refnest|group="註"|[[アメリカ合衆国労働省労働統計局]]が公表する{{仮リンク|アメリカ合衆国消費者物価指数|en|United States Consumer Price Index}}は1913年が統計最古のデータであり<ref>{{Cite web |url=https://data.bls.gov/cgi-bin/surveymost?cu |title=CPI for All Urban Consumers (CPI-U) |publisher=アメリカ合衆国労働省労働統計局 |accessdate=2019-11-20 |quote=「U.S. city average, All items - CUUR0000SA0」を選択すると、最古は1913年データが表示される。}}</ref>、ロッキートビバッタの大規模蝗害が発生した1870年当時のデータは公表されていない。1912年以前は推計値となるが、1967年を基準年として100とした場合、1874年の消費者物価指数は34、2018年は754.6となっており、144年間で22倍強に上昇している。よって、1874年当時の2億ドルは2018年現在の44億ドル超と推定される<ref>{{Cite web |url=https://www.minneapolisfed.org/community/financial-and-economic-education/cpi-calculator-information/consumer-price-index-1800 |title=Consumer Price Index (Estimate) 1800- |trans-title=1800年以降の消費者物価指数推定値 |publisher=Federal Reserve Bank of Minneapolis |quote=''Handbook of Labor Statistics'' ([アメリカ合衆国労働省労働統計局出典) からのデータ転載。 |accessdate=2019-11-20 |language-en}}</ref>。}}。「巨大な雲のようでもあり、吹雪のようでもあり、蒸気で陽光を遮っていた」とある農家は証言している<ref name=HistoryNet/>。ロッキートビバッタは特にムギなどの穀類を好んだものの<ref name=UMich/>、エサとなるのは草や農作物だけでなく、革製品や木材、羊毛なども含まれ、またごく稀なケースでは服を着た人間の背面を襲うこともあった<ref name=HistoryNet/>。ロッキートビバッタがエサにしなかったのは、トマトやトウゴマの実、ラズベリーなどごく一部の野菜や果物に限られていた<ref name=UMich/>。
この大発生の後、ロッキートビバッタが大集団を作ることはなくなり、1878年にはロッキー山脈のふもとの地域でも局所的な小さな群れを見るのみとなり、翌年にはこのバッタの報告はほとんど皆無になった。その後1892年までは散発的に小さな群れが発見され、1902年までは小数個体が発見された記録があるが、それ以降はまったく発見されなくなり、絶滅したものと考えられる。


[[File:PSM V81 D474 A hopper dozer in action.png|thumb|ホッパードーザーの使用光景]]
バッタによる農被害は、現在でも北アメリカで無視できないほどの農被害を与えているが、大規模な群れとなって蝗害を与えることは無い。現在の北アメリカは、[[七大州]]の中では南極を除いて[[蝗害]]が起こらない唯一の地域である。
{{ external media
| align=right
| width = 216px
| image1 = [https://www.kshs.org/kansapedia/grasshopper-plague-of-1874/12070 蝗害に襲われる農民のイラストなど]<br />{{仮リンク|カンザス歴史会|en|Kansas Historical Society}} (カンザス州政府機関) 発行 "''Grasshopper Plague of 1874''"
}}
駆除の方法は多岐に渡っており、火薬を使ったり、塹壕を掘ってロッキートビバッタを焼却処分したり、耕作機の一種である「ホッパードーザー」(hopperdozers) も使用された。このホッパードーザーとは、[[ブルドーザー]]のような横長の板を馬の後ろにつけて地面を掻き出し、バッタが飛び上がったところを毒または液体燃料の入った受け皿で捕獲する仕組みである。また、掃除機のような機械で吸い取って駆除することもあった。しかしこれらの駆除方法は効果が限定的であり、被害を食い止めるには至らなかった。ミズーリ州政府所属でロッキートビバッタ対策の第一人者として知られる昆虫学者ライリーは、ロッキートビバッタを塩コショウで味付けしてバターで炒めるレシピを考案した。このレシピは一般に受け入れられたものの、「このおぞましい生物を食してもすぐに腹が減るだけだ」との反応もあった<ref name=HistoryNet/>。


1877年のネブラスカ州議会では、16歳から60歳の者は繁殖期に最低2日間は駆除作業に従事することを義務付ける、その名も「グラスホッパー法」を成立させ、違反者には罰金10ドルを課した。同年、ミズーリ州ではロッキートビバッタを駆除した量に応じて懸賞金制度を設けており、1ブッシェル (容積にして約35リットル) あたり、3月には1ドル、4月には50セント、5月には25セント、6月には10セントが支払われた。同様に、プレーリー地帯の他州でも類似の懸賞金制度が採用されている<ref name=HistoryNet/>。
== 絶滅について ==
このバッタが絶滅した原因には諸説がある。有力な説としては、移民により耕作と[[灌漑]]が進んだことにより、[[生態系]]が壊されたとするものがある。このバッタは河原の砂地に産卵するため、砂地が人間により農地に変えられてしまったら繁殖ができない。ある学者はこのバッタの群れの出現パターンから、時代と共に衰退していく様が見て取れるとしている。実際、耕作中にバッタの卵が何千個も見つかったとする話<!--story-->もある。このバッタの繁殖地と開墾地とが偶然一致したため、この付近の農民は[[蝗害]]を受けることが少なかった。もしそうでなかったら、北アメリカの農業はずいぶんと違った形で発達していた可能性がある。


ライリーの働きかけにより、[[アメリカ合衆国下院|連邦議会下院]]は1877年、ロッキートビバッタの研究を主目的として{{仮リンク|アメリカ合衆国昆虫学委員会|en|United States Entomological Commission}}を設立した{{Sfn|True|1937|pp=54&ndash;56}}。当委員会では5年間にわたり、包括的な年次報告書をとりまとめている{{Sfn|True|1937|pp=54&ndash;56}}{{Refnest|group="註"|[[ハーティトラスト]]上で年次報告書のデジタルスキャンが[https://catalog.hathitrust.org/Record/008603228 全文公開]されている。}}。初代議長にはライリーが就任したほか、上述のトーマス、{{仮リンク|アルフェウス・スプリング・パッカード|en|Alpheus Spring Packard}}、{{仮リンク|ジョン・ヘンリー・コムストック|en|John Henry Comstock}}などの識者が委員を務めた{{Sfn|True|1937|pp=54&ndash;56}}{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}。
一方で、「ロッキートビバッタは滅びた訳ではなく、[[バッタ科]]のバッタは[[相変異 (動物)|相変異]]により大きく姿を変えることがあるため、ロッキートビバッタも個体数が減って外見が変わっただけなのだ」とする説も存在する。しかしながら、現存するこの地域のバッタを集団で飼育しても、博物館に残っているロッキートビバッタの標本のような姿になることはなく、また、ロッキートビバッタと[[デオキシリボ核酸|DNA]]が一致するバッタも見つかっていない。遺伝子上、ロッキートビバッタは同じく絶滅した''Melanoplus bruneri''と近い種類だと示唆されている<ref>[Chapco & Litzenberger, 2004]</ref>。


== バッタ氷河 ==
== 絶滅 ==
昆虫学委員会が発足したちょうどその頃、多雨に見舞われたことからロッキートビバッタは自然減少したものの、当時の昆虫学者たちは次の干ばつを契機に大発生が再来すると予測しており、絶滅するとは考えられていなかった{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。しかし、大発生の特定年間に限り、プレーリーで繁殖が行われており、かつ[[世代交代#動物の世代交代|世代交代]]するごとに繁殖数は減り、大発生の地域もロッキー山脈から次第に離れていった{{Sfn|Thomas|1878|pp=485&ndash;501}}。その絶滅要因は諸説あるものの{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}、21世紀に入ってからも断定できていない{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}。{{仮リンク|グラスホッパー氷河 (モンタナ州)|label=グラスホッパー氷河|en|Grasshopper Glacier (Montana)}}のほか、{{仮リンク|ウィンドリバー氷河|en|Wind River Glacier}}や{{仮リンク|ナイフポイント氷河|en|Knife Point Glacier}}などから収集したロッキートビバッタの標本を用いて、{{仮リンク|ジェフリー・A・ロックウッド|en|Jeffrey A. Lockwood}}は1990年以降、研究に取り組んでいるものの、解明のカギとなるオスの生殖器が標本から分析困難な状態である{{Sfn|Sutton et al.|1996|p=1}}。2005年時点でロックウッドは「まさに北米大陸における生態学のナゾだ」と述べている{{Sfn|Hopkins|2005|p=80}}。最後に生きた個体の標本が確認されたのは1902年のことであり<ref name=UMich/>、[[国際自然保護連合]] (IUCN) では2014年に絶滅種として登録している<ref name=IUCN/>。以下、絶滅の諸説を紹介する。
上記のように、このバッタの堆積した氷河がある。モンタナ州の高地、標高3300mの地点で、氷河の中に暗色の物質からなる水平層が発見され、これがほとんどロッキートビバッタから構成されていることがわかった。末端の氷の解けた部分には腐ったバッタの山があったとのこと。これは、おそらく移動中のバッタの群れが、気流によって吹き上げられ、氷河の上で大量に凍死した結果ではないか、などと推察されている。[[放射性炭素年代測定|炭素14による年代測定]]によると、バッタの層は数百年前程度とされる。このような絶滅生物の新鮮な標本がごっそり手に入る例は、まず他にはないだろう。


[[File:Extermination of bison to 1889.svg|thumb|right|[[バイソン]]乱獲地域 (動物学者{{仮リンク|ウィリアム・テンプル・ホーナデイ|en|William Temple Hornaday}}による調査)。ロッキートビバッタ絶滅との関係も示唆されている。{{legend|#DEAA87|初期}}{{legend|#A05A2C|1870年時点}}{{legend|#28170B|1889年時点}}]]
==出典、注釈==
{{Reflist}}


まず、[[バイソン]] (アメリカ野牛) や[[ビーバー]]の乱獲による減少が、ロッキートビバッタの減少と相関しているとの説がある<ref name=UMich/>{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。バイソンもグラスホッパーと同様に草食動物であり、両種は数千年の間、草原で共生してきた。この間、バイソンが草原の生態系に影響を及ぼし、その結果ロッキートビバッタの繁殖・生育に優位に働いたとする説である{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。
==参考文献==
{{See also|{{仮リンク|バイソン乱獲|en|Bison hunting}}}}
*(英語版) '''Chapco''', W. & '''Litzenberger''', G. (2004): A DNA investigation into the mysterious disappearance of the Rocky Mountain grasshopper, mega-pest of the 1800s. ''Molecular Phylogenetics and Evolution'' '''30'''(3): 810–814. {{DOI|10.1016/S1055-7903(03)00209-4}}


マメ科の植物である[[ムラサキウマゴヤシ]] (アルファルファ) を原因とする説もある。アルファルファはロッキートビバッタの好物だが、幼虫の生育に有害だとの研究結果がある{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。
*(英語版) '''Ryckman''', Lisa Levitt (1999). [https://web.archive.org/web/20070228084636/http://www.denver-rmn.com/millennium/0622mile.shtml The Great Locust Mystery.] Colorado Millennium 2000. ''[[:en:Denver Rocky Mountain News]]'', June 22, 1999. Retrieved 9-SEP-2006.


''Melanopolus spretus''という種のワタリバッタが群生したものをロッキートビバッタと呼んでいたことから、この種が絶滅したのではなく、もともとは[[孤独相]]のバッタが、環境変化に適合してロッキートビバッタの大群に変化したとする説も存在していた<ref name=Chapco/>{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。すなわち、絶滅したのではなく姿を変えただけで現存しているとの主張である{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。しかしながら、様々な種のバッタを高密度の環境に置く実験を行ったものの、ロッキートビバッタのような習性は見られなかった。博物館の標本や類似の種から採取した[[ミトコンドリアDNA]]を解析した結果、[[バッタ科]][[フキバッタ]]の一種である{{仮リンク|ブルーナートビバッタ|en|Melanoplus bruneri}} (学名: ''Melanoplus bruneri'') に近似の可能性はあるものの、ロッキートビバッタは独自の種であり現在では絶滅したと推定される<ref name=Chapco/>。
*(英語版) '''Samways''', M. J. & '''Lockwood''', J. A. (1998): Orthoptera conservation: pests and paradoxes. ''Journal of Insect Conservation'' '''2'''(3-4): 143–149. <small>{{DOI|10.1023/A:1009652016332}}</small> (HTML abstract)
{{See also|蝗害#群生相}}

また、蝗害を避けるために栽培品種を{{仮リンク|冬小麦|en|Winter wheat}}に切り替えている。冬小麦の収穫は初夏であることから、ロッキートビバッタの飛来前に収穫を終えることができるためである。このような農業現場での努力も奏功し、蝗害への脅威が低減するとともに、ロッキートビバッタの大幅な個体数減少にもつながった。1880年代後半には蝗害から復興し、洪水被害を受けた[[オハイオ州]] (北米大陸北東部) に向けて、プレーリー地帯からトウモロコシを供給できるまでに農業生産性は回復している<ref name=HistoryNet/>。

その他の説としてプレーリー、特に[[ミシシッピー川]]流域での農地開拓と[[灌漑]]によって、ロッキートビバッタの生態系に影響を与えたと考えられている<ref name=Lockwood/>{{rp|11–12}}{{Sfn|Hopkins|2005|p=81}}。開墾や耕作、洪水によって、1[[平方インチ]] (約6.45平方センチメートル) あたり150個以上の[[卵嚢]]を駆除したと推定する当時の報告書なども存在する<ref name=Lockwood/>。<!-- しかしながら、大発生の起こらない期間の[[生活環]]や、飛来前のロッキー山脈での生息状況などが当時調査されることはなかったことから、今後も絶滅理由は解明される見込みは少ない。-->

== 関連作品 ==
『[[大草原の小さな家]]』で知られる作家[[ローラ・インガルス・ワイルダー]]の実家はミネソタ州西部で麦栽培を営んでおり、1874年夏から1875年夏にかけてロッキートビバッタによる壊滅的な被害を受けている。この様子は『{{仮リンク|プラム・クリークの土手で|en|On the Banks of Plum Creek}}』(1937年出版) の中で自叙伝的に語られている<ref name=Yoon/>。

{{Quotation|(仮訳) 雲が太陽を覆った。しかしその雲は今まで見たものとは違ったのだ。まるで雪の結晶のように、薄くキラキラと輝いていた。揺らめく結晶の隙間から光が洩れていた。<br>風はなかった。草がそよぐこともなく、熱気は立ち込めていた。しかし雲の端が空に見えたかと思うと、風よりも早いスピードで雲が横切った。ジャックの首には毛がかかったままだ。突如その雲に向かって、ジャックはウーと唸るように、クンクン鳴くように、怯えた声を発した。<br>ドスン! ローラの頭に何かがあたって地面に落ちた。そこには今まで見たこともない大きなグラスホッパーがいたのだ。<br>そう、あの雲はあられを降らすようなグラスホッパーの大群だったのだ……。|『プラム・クリークの土手で』の一節<ref name=Bomar>{{Cite journal |url=http://sciencecases.lib.buffalo.edu/cs/files/locusts.pdf |format=PDF |last=Bomar |first=Charles R. (ウィスコンシン大学所属) |title=The Rocky Mountain Locust - Extinction and the American Experience |date=2003-08-28 |publisher=バッファロー大学}}</ref>}}
また[[ノルウェー系アメリカ人]]作家{{仮リンク|オーレ・エドヴァルト・レルヴォーグ|en|Ole Edvart Rølvaag}}は、小説『{{仮リンク|大地の巨人 (小説)|label=大地の巨人|en|Giants in the Earth (novel)}}』の中で、自身と妻の家族の実体験に基づいてロッキートビバッタの蝗害を描写している<ref name=Curley2006/>。

== 関連項目 ==
* [[オーストラリアトビバッタ]] - 同じくワタリバッタの一種で大規模な蝗害で知られる。
* {{仮リンク|モルモンクリケット|en|Mormon cricket}} - 北米に現存する種で蝗害を引き起こす。クリケット (スズムシ) の名がついているが[[キリギリス科]]。
* [[リョコウバト]] - 北米に生息していたが20世紀初頭に絶滅した[[渡り鳥]]。

== 註釈 ==
{{Reflist|group="註"}}

== 出典 ==
{{Reflist|2|refs=

<ref name=HistoryNet>{{cite web |last=Lyons |first=Chuck |title=1874: The Year of the Locust |website=HistoryNet |url=http://www.historynet.com/1874-the-year-of-the-locust.htm |date=5 February 2012 |accessdate=2015-06-17}}</ref>
<ref name=Lockwood>{{cite book|last=Lockwood|first=Jeffrey A.|title=Locust: the Devastating Rise and Mysterious Disappearance of the Insect that Shaped the American Frontier|year=2004 |publisher=Basic Books |location=New York|isbn=978-0-7382-0894-7 |edition=1st}}</ref>
<ref name=Chapco>{{cite journal |last=Chapco |first=W. |last2=Litzenberger |first2=G. |title=A DNA investigation into the mysterious disappearance of the Rocky Mountain grasshopper, mega-pest of the 1800s |journal=Molecular Phylogenetics and Evolution |date=March 2004 |volume=30 |issue=3 |pages=810–814 |doi=10.1016/S1055-7903(03)00209-4 |pmid=15012958|url=https://osf.io/4k2yt/download}}</ref>
<ref name=IUCN>{{Cite journal |author=Hochkirch, A. |title=''Melanoplus spretus'' |journal={{仮リンク|国際自然保護連合レッドリスト|en|IUCN Red List}} |volume=2014 |page=e.T51269349A111451167 |date=2014 |doi=10.2305/IUCN.UK.2014-1.RLTS.T51269349A55309428.en }}</ref>
<ref name=Yoon>{{cite web |last1=Yoon |first1=Carol Kaesuk |title=Looking Back at the Days of the Locust |url=https://www.nytimes.com/2002/04/23/science/looking-back-at-the-days-of-the-locust.html |newspaper=The New York Times |accessdate=2015-04-01 |date=23 April 2002}}</ref>
<ref name=Curley2006>{{cite book |last=Curley |first=Edwin A. |chapter=Introduction |others=Introduction by Richard Edwards |title=Nebraska 1875: Its Advantages, Resources, and Drawbacks |chapter-url=https://books.google.com/books?id=UDn2TKWMQK8C&pg=PR17 |year=2006 |publisher=U of Nebraska Press |isbn=978-0-8032-6468-7 |page=xvii |orig-year=1875 |url-access=registration |url=https://archive.org/details/nebraska1875itsa00curl }}</ref>
}}


=== 引用文献 ===
*(英語版) '''Lockwood''', Jeffrey A. ''Locust: The Devastating Rise and Mysterious Disappearance of the Insect that Shaped the American Frontier'', 2004 (Basic Books, New York). ISBN 0-7382-0894-9
* {{Cite report |title=Second Report of the United States Entomological Commission for the Years 1878 and 1879, relating to the Rocky Mountain locust, and the Western cricket |trans-title=合衆国昆虫学委員会報告書 第2巻 (1878年 - 1879年) - ロッキートビバッタおよびウェスタンクリケットについて |author=[[アメリカ合衆国内務省]] {{仮リンク|アメリカ合衆国昆虫学委員会|label=昆虫学委員会|en|United States Entomological Commission}} |publisher=[[合衆国政府印刷局]] |year=1880 |url=https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=hvd.32044106181274&view=1up&seq=7 |language=en |quote=[[アメリカ合衆国下院|合衆国下院]] 第46会期資料、[[ハーバード大学]]所蔵原本のデジタルスキャン版 |ref={{SfnRef|USEC|1880}}}}
* {{cite journal |last1=Flook |first1=P. K. |last2=Rowell |first2=C. H. F. |title=The Phylogeny of the Caelifera (Insecta, Orthoptera) as Deduced from mtrRNA Gene Sequences |journal=Molecular Phylogenetics and Evolution |date=1997 |volume=8 |issue=1 |pages=89–103 |doi=10.1006/mpev.1997.0412 |pmid=9242597 |ref={{SfnRef|Flook|1997}}}}
* {{Cite journal |last1=Gurney |first1=Ashley B. |last2=Brooks |first2=A. R. |url=https://pdfs.semanticscholar.org/3fdd/2d2e7ae0500625d964caf65b609b2c25d317.pdf |title=Grasshoppers of the Mexicanus Group, Genus Melanoplus (Orthoptera: Acrididae) |publisher=[[スミソニアン博物館]] |journal=Proceedings of the United States National Museum |volume=110 |issue=No. 3416 |year=1959 |format=PDF |ref={{SfnRef|Gurney & Brooks|1959}}}}
* {{cite journal |last1=Gwynne |first1=Darryl T. |title=Phylogeny of the Ensifera (Orthoptera): a hypothesis supporting multiple origins of acoustical signalling, complex spermatophores and maternal care in crickets, katydids, and weta |journal= Journal of Orthoptera Research|date=1995 |volume=4 |issue=4 |pages=203–218 |jstor=3503478 |ref={{SfnRef|Gwynne|1995}}}}
* {{Cite journal|last=Hopkins |first=Theodore L. ([[カンザス州立大学]]所属) |title=EXTINCTION OF THE ROCKY MOUNTAIN LOCUST |journal=BioScience |volume=55 |isssue=No. 1 |pages=80&ndash;81 |date=January 2005 |quote=Jeffrey A. Lockwoodの2004年書籍 ''Locust: The Devastating Rise and Mysterious Disappearance of the Insect that Shaped the American Frontier.'' の書評 |url=https://academic.oup.com/bioscience/article/55/1/80/248302 |publisher=[[オックスフォード大学出版会]] |ref={{SfnRef|Hopkins|2005}}}}
* {{cite journal |last=Scudder |first=Samuel H. |title=Remarks on Calliptenus and Melanoplus, with a notice of the species found in New England |journal=Proceedings of the Boston Society of Natural History |date=1878 |volume=19 |url=https://www.biodiversitylibrary.org/item/130632#page/299/mode/1up |ref={{SfnRef|Scudder|1878a}}}}
* {{cite book |last=Scudder |first=Samuel H. |date=1878 |title=Entomological Notes |url=https://biodiversitylibrary.org/page/16146166 |volume=6 |ref={{SfnRef|Scudder|1878b}}}}
* {{cite journal |last=Scudder |first=Samuel H. |title=Revision of the orthopteran group Melanoplii (Acridiidae), with special reference to North American forms |journal=Proceedings of the United States National Museum |date=1898 |volume=20 |issue= 1124 |pages=1–421 |url=https://www.biodiversitylibrary.org/item/53812#page/202/mode/1up |doi=10.5479/si.00963801.20-1124.1 |ref={{SfnRef|Scudder|1898}}}}
* {{Cite journal |url=https://www.jstor.org/stable/3503569 |title=Cuticular Hydrocarbons of Glacially-Preserved Melanoplus (Orthoptera: Acrididae): Identification and Comparison with Hydrocarbons of M. sanguinipes and M. spretus |trans-title=氷河に堆積したMelanoplus属 (バッタ目: バッタ下目) のクチクラ炭化水素: 分類特定およびM. sanguinipesおよびM. spretusとの比較 |first1=Bruce D. |last1=Sutton |first2=David A. |last2=Carlson |first3=Jeffrey A. |last3=Lockwood |first4=Richard A. |last4=Nunamaker |journal=Journal of Orthoptera Research |issue=No. 5 |date=1996-08 |pages=1&ndash;12 |publisher=Orthopterists' Society |doi=10.2307/3503569 |ref={{SfnRef|Sutton et al.|1996}}}}
* {{cite journal |last=Thomas |first=Cyrus |title=On the Orthoptera collected by Elliott Coues, U.S.A., in Dakota and Montana, during 1873-74 |journal=Bulletin of the United States Geological and Geographical Survey of the Territories. Department of the Interior |date=1878 |volume=4 |pages=481–501 |url=https://www.biodiversitylibrary.org/item/98470#page/507/mode/1up |ref={{SfnRef|Thomas|1878}}}}</ref>
* {{Cite book|last=True |first=Alfred Charles |title=A history of agricultural experimentation and research in the United States, 1607-1925: including a history of the United States Department of Agriculture |url=https://books.google.com/books?id=g9NuNfB6-PAC&pg=PA54 |year=1937 |publisher=[[アメリカ合衆国農務省]] |ref={{SfnRef|True|1937}}}}
* {{cite journal |last=Walsh |first=Benjamin Dann |title=Grasshoppers and Locusts |journal=The Practical Entomologist |date=October 1866 |volume=II |issue=1 |pages=1–2 |url=https://books.google.ca/books?id=kSU4AQAAMAAJ&pg=RA1-PA1 |ref={{SfnRef|Walsh|1866}}}}
* {{Cite journal |last1=Zhou |first1=Z. |last2=Ye |first2=H. |last3=Shi |first3=F. |title=The phylogeny of Orthoptera inferred from mtDNA and description of Elimaea cheni (Tettigoniidae: Phaneropterinae) mitogenome. |journal=Journal of genetics and genomics (Institute of Genetics and Developmental Biology and the Genetics Society of China) |publisher=[[エルゼビア]] |issue=37(5):315-24 |date=2010-05 |doi=10.1016/S1673-8527(09)60049-7 |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20513632 |ref={{SfnRef|J Genet Genomics|2010}}}}


== 関連文献 ==
*H.E.エヴァンズ,[[日高敏隆]]訳,『虫の惑星』,(1968),早川書房
* {{cite news|last=Ryckman|first=Lisa Levitt|date=1999-06-22|title=The Great Locust Mystery|newspaper={{仮リンク|ロッキー山脈ニュース|en|Rocky Mountain News}} (地方紙) |location=コロラド州デンバー |url=http://denver.rockymountainnews.com/millennium/0622mile.shtml|accessdate=2013-03-31|url-status=dead|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090601171826/http://denver.rockymountainnews.com/millennium/0622mile.shtml |archivedate=2009-06-01}}
* {{cite journal|last=Samways|first=M.J.|author2=Lockwood, J.A. |title=Orthoptera conservation: pests and paradoxes |journal=Journal of Insect Conservation |date=1998-01-01 |volume=2 |issue=3/4 |pages=143–149 |doi=10.1023/A:1009652016332}}


==外部リンク==
== 外部リンク ==
* [https://idtools.org/id/grasshoppers/glossary.php グラスホッパーの用語集] (英語) - [[アメリカ合衆国農務省]]の動植物検疫局 (APHIS) 植物保護検疫部門 (PPQ) が運営するIdentification Technology Program (ITP) のデータベース。
*[http://animaldiversity.ummz.umich.edu/site/index.html Animal Diversity Web] [http://animaldiversity.ummz.umich.edu/site/accounts/information/Melanoplus_spretus.html Melanoplus spretus - rocky mountain grasshopper]
* [https://himebati.jimdo.com/寄生蜂の資料/形態用語辞典/ 形態用語辞典] (日本語) - 農学博士らによる運営サイト。ハチの形態用語名を英語・日本語併記。多くの部位名はグラスホッパーと共通する。
*Charles R. Bomar [http://www.sciencecases.org/locusts/locusts.asp THE ROCKY MOUNTAIN LOCUST Extinction and the American Experience]、2003年
*[http://discovermagazine.com/ DISCOVER] [http://discovermagazine.com/2003/jul/featwing/article_view?b_start:int=3&-C= Hunger on the Wing]。標本の写真あり。


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2019年11月20日 (水) 07:40時点における版

ロッキートビバッタ
1870年代にミネソタ州で撮影されたロッキートビバッタ
保全状況評価[1]
EXTINCT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: バッタ目 Orthoptera
上科 : バッタ上科 Acridoidea
: バッタ科 Acrididae
亜科 : フキバッタ亜科 Melanoplinae
: MelanoplusMelanoplus
: ロッキートビバッタ M. spretus[2]
学名
Melanoplus spretus
Walsh1866[3]
シノニム
和名
ロッキートビバッタ
英名
Rocky Mountain locust または
Rocky Mountain grasshopper[5]

ロッキートビバッタ (学名: Melanopolus spretus: Rocky Mountain locustまたはRocky Mountain grasshopper) はアメリカ合衆国西部の全域およびカナダ西部の一部に生息していたものの、20世紀初頭に絶滅したと考えられているワタリバッタ (トビバッタ) の一種である。比類を絶する大群をなして移動することで知られ、特に1875年の大発生時英語版は、広さにして51万平方キロメートル (19万8千平方マイル) にわたり、カリフォルニア州の面積相当を超える規模であった。これは質量にして2750万トン、個体数にして12兆5千億匹と推定され、「史上最大の動物の群集」としてギネス世界記録に登録されている[6]

しかしながら、この大発生から30年も経たずに完全に絶滅しており、最後に生存が目撃されたのはカナダ南部で1902年のことである[7]。絶滅の原因は諸説があるものの断定されていない。20世紀後半に入ると、氷河に堆積していたロッキートビバッタの標本が流出しており、調査研究が続けられている[3][5]。標本が見つかったのは、モンタナ州に位置するアブサロカ・ベアトゥース自然環境保護地域 (ロッキー山脈の一部を形成) にあるグラスホッパー氷河英語版のほか、ワイオミング州フレモント郡にあるウィンドリバー氷河英語版や同州のナイフポイント氷河英語版などである[3]

生物学上の分類

英語圏における一般名の「グラスホッパー」(: Grasshopper) は、バッタやイナゴなどの総称である[8]。このグラスホッパーは通常、温帯地域を中心に[9]単体で生息しているものの、何らかの理由で大量発生し、群れを成して移動する時期がある。このような相変異を起こしたグラスホッパーのことを、特に「ワタリバッタ」(: Locust) と呼んでいる[10][9]。ロッキートビバッタもこのワタリバッタの一種である。

生物学的には、グラスホッパーはバッタ目 (Orthoptera) に属しており[8]、バッタ目全体は以下のように分類される[11][12][13]

ロッキートビバッタの分類と命名は紆余曲折の歴史を辿ったことから、参照する文献の年代や著者によって、ロッキートビバッタを指し示す用語が異なる。

ロッキートビバッタは当初、Caloptenus spretusというラテン語名で呼ばれていた。1866年、昆虫学者ベンジャミン・ダン・ウォルシュ英語版は、「ウーラー氏 (Mr. Uhler) が生物学上の論文記載なしで」命名し、かつ「spretusは『忌み嫌われている』との意味であり、当時の昆虫学者から実際に忌み嫌われ、見過ごされてきた」として、Caloptenus spretusの概要を論文に記している[19]。ウーラーは当時、グラスホッパーの標本を収集・保管する際にこのspretusという名称を使っており、他の昆虫学者たちに標本を提供していた[20]。12年後の1878年の文献上では、同じく昆虫学者のサイラス・トーマスCaloptenus spretusの命名者は自分であると主張している[21]。しかしながら後の研究者たちはトーマスの記載など手続上は不十分であり、かつウォルシュが1866年に論文記載したとして、ウォルシュを命名者と認めている[3][22]

現在使われているMelanoplus spretusの学名 (つまりCaloptenus属からの付け替え) は、昆虫・古生物学者サミュエル・ハバード・スカダー英語版の1878年論文で使用されている[23][24][25]。後述の通り、スカダーは多数のグラスホッパー標本を集めて研究し、Melanoplus属の大々的な再分類を1878年に行っている[26]

ロッキートビバッタと他種との区別・混同もたびたび起こっており、古くは1875年のチャールズ・バレンタイン・ライリー論文に見られる。ライリーはCaloptenus atlantisの名で論文記載を行っているものの、後にこれはロッキートビバッタの矮小型 (小型個体) だと判明している[3]。また20世紀に入ってからも、Melanoplus sanguinipesが群生相に相変異したのがMelanoplus spretusであると主張する学者が複数存在した[註 1]。さらにMelanoplus sanguinipesMelanoplus mexicanusと混同された時期もある[註 2]。最終的には、GurneyとBrooksの1959年共著論文によって、ロッキートビバッタはMelanoplus sanguinipesとは別種だと結論付けられている[3]

特徴

1902年当時のスケッチ
1902年当時のスケッチ
1877年当時の産卵期を迎えたメス
1877年当時の産卵期を迎えたメス
画像外部リンク
標本写真、部位の図解など
ディスカバー誌英語版Hunger on the Wing 2003年7月号

前述のスカダーによると、ロッキートビバッタの属するMelanoplusは、1898年当時に公表されているだけでも計131の種類が存在し、生息域はほぼ北米に集中している[27]。スカダーはグラスホッパーの標本を約8000匹検証しており、うち約7000匹はMelanoplusに分類されると報告している[28]

Melanoplusの全長はバッタ下目の中では小さい部類に入るものの、眼の大きさは標準的なサイズである。顔は前から見ると斜角がきつい。触角ハバチ亜目に属するハチの一種 (forefemur、複数形; forefemora) よりも長く、頭頂には小窩 (foveola) がない[29]。額部分 (fastigium) はほぼ下に垂れていて、羽の付け根にあたる前縁脈 (frontal costa) へとつながっている。前胸腹板 (prosternum) には微突起があり、ヒトで言うところの首や肩に該当する箇所 (carina) の側面はほぼ見当たらない。後肢の先端には爪に付属した爪間盤 (arolium) があり、後肢の脛節 (tibia、脚の4番目の節で腿節と付節の間にある) は滑らかで突起物はない。付節の2番目の関節は1番目の半分の長さである[29]

Melanoplus属全体で見ると、オスとメスの標本出現率はほぼ同じである[28]。しかしロッキートビバッタ (Melanopolus spretus) に限定すると、オスが276匹なのに対し、メスは439匹と出現率に明白な差が生じていることから、ロッキートビバッタ固有の特徴であるとスカダーは捉えている[20]

ミシガン大学動物博物館の集約したデータによると、ロッキートビバッタの成虫は平均体長が20-35mmと小さい。長い翅を持つのが特徴で、広げた時には腹部よりも3割ほど長くなる。現存する種の中ではアカアシトビバッタ英語版 (学名: Melanoplus femurrubrum) に見た目が近いとされているが、ロッキートビバッタの方が小さく、またオスの腹の最後の節に刻みが付いている点がアカアシトビバッタとの差異である[6]。静止した状態で脚をこすり合わせることで音を出し、ロッキートビバッタの群れはこの音で互いに意思疎通を図っていた[6]

生息地域は主にロッキー山脈の東側斜面であり、高度2000フィートから1万フィート (約600メートルから3000メートル) の乾燥地帯である[6]。多湿の低地には適していないものの、本来の生息地域で草が不足してくると、エサを求めて低地のプレーリー (温帯の大草原であり穀倉地帯として知られる) に移動してくる[6]。大発生は干ばつがトリガーとなると考えられており[5]、乾季に東から西への気流に乗ってプレーリーに大量移動してくるのは毎年ではなく、特定の数年間のみである。特に移動期の最後2年間で大発生する。大発生した年には大量の卵がプレーリーで産みつけられるものの、プレーリーでの生育環境が適合せず、孵化しても生存率は低かった[30]。1匹のメスが1回の産卵で産むのは100匹程度である。産卵時期は晩夏から初秋にかけてだが、孵化するのは翌年の春である[6]。具体的には、最低気温が華氏50度 (摂氏10度) の状態が2,012時間 (83.8日)、かつそのうち1,228時間 (51.2日) が華氏60度以上の状態に達すると孵化すると試算されている。なお、所要日数は気温の上昇で短縮化する (ネブラスカ州グランドアイランドのケース)[31]。生後6 - 8週間はロッキートビバッタの特徴である翅がないことから、周囲を這ってエサを探す[6]

蝗害

ロッキー山脈の位置

蝗害 (こうがい) とは、バッタやイナゴが大量発生して飛来し、農作物などを食い荒らす災害である。「蝗」(イナゴ) の漢字が充てられているが、ワタリバッタによるものも蝗害と呼ばれる[32]

古くはメイン州で1743年から1756年にかけて、またバーモント州では1797年から1798年にかけてロッキートビバッタによる蝗害が確認されている[33]。その後19世紀に入ると、ロッキートビバッタの生息に適した西方へと農地が開拓されていったことから、農業に与える蝗害の影響は深刻化している。程度に差はあるものの、1828年、1838年、1846年および1855年に大発生が確認されており、西部全域にその影響は広がった。1856年から翌57年、および1865年にはミネソタ州に、また1856年から1874年の間にはたびたびネブラスカ州にも蝗害が及んでいる[33]

大規模な発生が最後に確認されたのは1873年から1877年であり、コロラド州カンザス州、ミネソタ州、ミズーリ州、ネブラスカ州を含む広域で、農作物の被害額は1874年の単年のみで2億ドルに上った (2018年の消費者物価指数で換算すると44億ドル超に相当する)[33][註 3]。「巨大な雲のようでもあり、吹雪のようでもあり、蒸気で陽光を遮っていた」とある農家は証言している[33]。ロッキートビバッタは特にムギなどの穀類を好んだものの[6]、エサとなるのは草や農作物だけでなく、革製品や木材、羊毛なども含まれ、またごく稀なケースでは服を着た人間の背面を襲うこともあった[33]。ロッキートビバッタがエサにしなかったのは、トマトやトウゴマの実、ラズベリーなどごく一部の野菜や果物に限られていた[6]

ホッパードーザーの使用光景
画像外部リンク
蝗害に襲われる農民のイラストなど
カンザス歴史会英語版 (カンザス州政府機関) 発行 "Grasshopper Plague of 1874"

駆除の方法は多岐に渡っており、火薬を使ったり、塹壕を掘ってロッキートビバッタを焼却処分したり、耕作機の一種である「ホッパードーザー」(hopperdozers) も使用された。このホッパードーザーとは、ブルドーザーのような横長の板を馬の後ろにつけて地面を掻き出し、バッタが飛び上がったところを毒または液体燃料の入った受け皿で捕獲する仕組みである。また、掃除機のような機械で吸い取って駆除することもあった。しかしこれらの駆除方法は効果が限定的であり、被害を食い止めるには至らなかった。ミズーリ州政府所属でロッキートビバッタ対策の第一人者として知られる昆虫学者ライリーは、ロッキートビバッタを塩コショウで味付けしてバターで炒めるレシピを考案した。このレシピは一般に受け入れられたものの、「このおぞましい生物を食してもすぐに腹が減るだけだ」との反応もあった[33]

1877年のネブラスカ州議会では、16歳から60歳の者は繁殖期に最低2日間は駆除作業に従事することを義務付ける、その名も「グラスホッパー法」を成立させ、違反者には罰金10ドルを課した。同年、ミズーリ州ではロッキートビバッタを駆除した量に応じて懸賞金制度を設けており、1ブッシェル (容積にして約35リットル) あたり、3月には1ドル、4月には50セント、5月には25セント、6月には10セントが支払われた。同様に、プレーリー地帯の他州でも類似の懸賞金制度が採用されている[33]

ライリーの働きかけにより、連邦議会下院は1877年、ロッキートビバッタの研究を主目的としてアメリカ合衆国昆虫学委員会英語版を設立した[36]。当委員会では5年間にわたり、包括的な年次報告書をとりまとめている[36][註 4]。初代議長にはライリーが就任したほか、上述のトーマス、アルフェウス・スプリング・パッカード英語版ジョン・ヘンリー・コムストック英語版などの識者が委員を務めた[36][5]

絶滅

昆虫学委員会が発足したちょうどその頃、多雨に見舞われたことからロッキートビバッタは自然減少したものの、当時の昆虫学者たちは次の干ばつを契機に大発生が再来すると予測しており、絶滅するとは考えられていなかった[37]。しかし、大発生の特定年間に限り、プレーリーで繁殖が行われており、かつ世代交代するごとに繁殖数は減り、大発生の地域もロッキー山脈から次第に離れていった[38]。その絶滅要因は諸説あるものの[37]、21世紀に入ってからも断定できていない[5]グラスホッパー氷河英語版のほか、ウィンドリバー氷河英語版ナイフポイント氷河英語版などから収集したロッキートビバッタの標本を用いて、ジェフリー・A・ロックウッド英語版は1990年以降、研究に取り組んでいるものの、解明のカギとなるオスの生殖器が標本から分析困難な状態である[3]。2005年時点でロックウッドは「まさに北米大陸における生態学のナゾだ」と述べている[5]。最後に生きた個体の標本が確認されたのは1902年のことであり[6]国際自然保護連合 (IUCN) では2014年に絶滅種として登録している[1]。以下、絶滅の諸説を紹介する。

バイソン乱獲地域 (動物学者ウィリアム・テンプル・ホーナデイ英語版による調査)。ロッキートビバッタ絶滅との関係も示唆されている。
  初期
  1870年時点
  1889年時点

まず、バイソン (アメリカ野牛) やビーバーの乱獲による減少が、ロッキートビバッタの減少と相関しているとの説がある[6][37]。バイソンもグラスホッパーと同様に草食動物であり、両種は数千年の間、草原で共生してきた。この間、バイソンが草原の生態系に影響を及ぼし、その結果ロッキートビバッタの繁殖・生育に優位に働いたとする説である[37]

マメ科の植物であるムラサキウマゴヤシ (アルファルファ) を原因とする説もある。アルファルファはロッキートビバッタの好物だが、幼虫の生育に有害だとの研究結果がある[37]

Melanopolus spretusという種のワタリバッタが群生したものをロッキートビバッタと呼んでいたことから、この種が絶滅したのではなく、もともとは孤独相のバッタが、環境変化に適合してロッキートビバッタの大群に変化したとする説も存在していた[39][37]。すなわち、絶滅したのではなく姿を変えただけで現存しているとの主張である[37]。しかしながら、様々な種のバッタを高密度の環境に置く実験を行ったものの、ロッキートビバッタのような習性は見られなかった。博物館の標本や類似の種から採取したミトコンドリアDNAを解析した結果、バッタ科フキバッタの一種であるブルーナートビバッタ英語版 (学名: Melanoplus bruneri) に近似の可能性はあるものの、ロッキートビバッタは独自の種であり現在では絶滅したと推定される[39]

また、蝗害を避けるために栽培品種を冬小麦英語版に切り替えている。冬小麦の収穫は初夏であることから、ロッキートビバッタの飛来前に収穫を終えることができるためである。このような農業現場での努力も奏功し、蝗害への脅威が低減するとともに、ロッキートビバッタの大幅な個体数減少にもつながった。1880年代後半には蝗害から復興し、洪水被害を受けたオハイオ州 (北米大陸北東部) に向けて、プレーリー地帯からトウモロコシを供給できるまでに農業生産性は回復している[33]

その他の説としてプレーリー、特にミシシッピー川流域での農地開拓と灌漑によって、ロッキートビバッタの生態系に影響を与えたと考えられている[40]:11–12[37]。開墾や耕作、洪水によって、1平方インチ (約6.45平方センチメートル) あたり150個以上の卵嚢を駆除したと推定する当時の報告書なども存在する[40]

関連作品

大草原の小さな家』で知られる作家ローラ・インガルス・ワイルダーの実家はミネソタ州西部で麦栽培を営んでおり、1874年夏から1875年夏にかけてロッキートビバッタによる壊滅的な被害を受けている。この様子は『プラム・クリークの土手で』(1937年出版) の中で自叙伝的に語られている[41]

(仮訳) 雲が太陽を覆った。しかしその雲は今まで見たものとは違ったのだ。まるで雪の結晶のように、薄くキラキラと輝いていた。揺らめく結晶の隙間から光が洩れていた。
風はなかった。草がそよぐこともなく、熱気は立ち込めていた。しかし雲の端が空に見えたかと思うと、風よりも早いスピードで雲が横切った。ジャックの首には毛がかかったままだ。突如その雲に向かって、ジャックはウーと唸るように、クンクン鳴くように、怯えた声を発した。
ドスン! ローラの頭に何かがあたって地面に落ちた。そこには今まで見たこともない大きなグラスホッパーがいたのだ。
そう、あの雲はあられを降らすようなグラスホッパーの大群だったのだ……。 — 『プラム・クリークの土手で』の一節[42]

またノルウェー系アメリカ人作家オーレ・エドヴァルト・レルヴォーグ英語版は、小説『大地の巨人英語版』の中で、自身と妻の家族の実体験に基づいてロッキートビバッタの蝗害を描写している[43]

関連項目

註釈

  1. ^ 1933年のFaure論文、1947年のBrett論文、1953年のGurney論文[3]
  2. ^ 1917年のHebard他論文[3]
  3. ^ アメリカ合衆国労働省労働統計局が公表するアメリカ合衆国消費者物価指数英語版は1913年が統計最古のデータであり[34]、ロッキートビバッタの大規模蝗害が発生した1870年当時のデータは公表されていない。1912年以前は推計値となるが、1967年を基準年として100とした場合、1874年の消費者物価指数は34、2018年は754.6となっており、144年間で22倍強に上昇している。よって、1874年当時の2億ドルは2018年現在の44億ドル超と推定される[35]
  4. ^ ハーティトラスト上で年次報告書のデジタルスキャンが全文公開されている。

出典

  1. ^ a b Hochkirch, A. (2014). “Melanoplus spretus”. 国際自然保護連合レッドリスト英語版 2014: e.T51269349A111451167. doi:10.2305/IUCN.UK.2014-1.RLTS.T51269349A55309428.en. 
  2. ^ この分類はITISCatalogue of Life Archived 2009年1月15日, at the Wayback Machine.(2008)による。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Sutton et al. 1996, p. 1.
  4. ^ Gurney & Brooks 1959, p. 4.
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  10. ^ Definition of locust” [locustの定義] (英語). Merriam-Webster Dictionary. 2019年11月9日閲覧。
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  12. ^ Gwynne 1995, pp. 203–218.
  13. ^ Flook 1997, pp. 89–103.
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  19. ^ Walsh 1866, pp. 1–3.
  20. ^ a b Scudder 1898, p. 184.
  21. ^ Thomas 1878, p. 483"Caloptenus spretus Tho. (中略) ...I claim to be the author. (中略) Mr. Uhler did not describe it, and does not claim to be the author. The name was first given in my paper published in the Illinois State Agricultural Report." (仮訳: Caloptenus spretus Tho. の命名者は私である。ウーラー氏はこの昆虫を生物学的に記載しておらず、かつ命名者であるとも主張していない。この名称は『イリノイ州農業白書』で私が最初に公表したものである。)
  22. ^ Gurney & Brooks 1959, p. 55--トーマスの1865年論文は記載が不十分であること、タイプ標本が定かでないこと、別種のMelanoplus bilituratusもロッキートビバッタと混同されていたことを理由に、トーマスが命名者とは認められないとしている。
  23. ^ Scudder 1898, p. 3-過去にBrunner von Wattenwylがロッキートビバッタの属するMelanoplusを誤って分類しており、これを正したのがスカダーであると論じている。
  24. ^ Scudder 1878a, p. 287.
  25. ^ Scudder 1878b, p. 46.
  26. ^ Scudder 1898, p. 1–412.
  27. ^ Scudder 1898, p. 4.
  28. ^ a b Scudder 1898, pp. 7–8.
  29. ^ a b Scudder 1898, p. 2.
  30. ^ Scudder 1898, pp. 184–?.
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  37. ^ a b c d e f g h Hopkins 2005, p. 81.
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  40. ^ a b Lockwood, Jeffrey A. (2004). Locust: the Devastating Rise and Mysterious Disappearance of the Insect that Shaped the American Frontier (1st ed.). New York: Basic Books. ISBN 978-0-7382-0894-7 
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引用文献

関連文献

外部リンク

  • グラスホッパーの用語集 (英語) - アメリカ合衆国農務省の動植物検疫局 (APHIS) 植物保護検疫部門 (PPQ) が運営するIdentification Technology Program (ITP) のデータベース。
  • 形態用語辞典 (日本語) - 農学博士らによる運営サイト。ハチの形態用語名を英語・日本語併記。多くの部位名はグラスホッパーと共通する。