コンテンツにスキップ

「第九艦隊 (日本海軍)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Adenia (会話 | 投稿記録)
m編集の要約なし
編集の要約なし
(同じ利用者による、間の4版が非表示)
1行目: 1行目:
{{日本海軍}}
{{日本海軍}}
'''第九艦隊'''(だいきゅうかんたい)、昭和18年([[1943年]])[[11月15日]]に[[大日本帝国海軍|日本海軍]]した艦隊る。
'''第九艦隊'''(だいきゅうかんたい)は[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の艦隊の一つ。1943年(昭和18年)11月15日に制された。[[ニューギニア島]]西部周辺海域の防衛を担当した。日本は外南洋、国際的には[[メラネシア]]と呼ばれ海域の西半分が管轄とされた


== 概要 ==
== 概要 ==
[[オーストラリア]]中の[[アメリカ軍]]の北上に備え、西部ニューギニアの防衛を担当する艦隊として水上部隊及び陸上部隊をもって編された。しかし、「艦隊称しても上艦は若干の[[駆潜艇]]しかなく、主力は陸上の2個[[海軍根拠地隊|根拠地隊]]である。そ根拠地隊のうちでも連戦で疲弊していた第7[[海軍根拠地#特設根拠地隊|特設根拠地隊]]戦力に乏しく、[[1944年]](昭和19年)3月第2[[海軍根拠地隊#特別根拠地隊|特別根拠地隊]]と合併して第27特別根拠地隊となった。その戦力、カイリル島の特別根拠地隊本隊のほか、わずか1個[[海軍陸戦隊#警備隊|警備隊]]に過ぎない。この第90警備隊も、旧第2特別根拠地隊が保持していた通信隊・港務部から抽出したものであ
1943年11月、オーストラリアで出撃準を整えていたアメリカ軍の北上に備え、[[ニューギニア島]]西部の防衛を担当する艦隊として水上部隊陸上部隊を併せて編された。艦隊と言っても戦力は駆逐「[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]」と[[敷設艦]]「[[白鷹 (急設網艦)|白鷹]]」の他は若干の[[駆潜艇]]と[[掃海艇]]しかなく、2個の陸上[[海軍根拠地隊|根拠地隊]]が兵力大半を占めていた。艦司令部ニューギニア島北岸の[[ウェワク]]に置かれた。艦隊旗艦[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]であった


1944年3月、連戦で疲弊していた第7[[海軍根拠地隊#特設根拠地隊|特設根拠地隊]]を、第2[[海軍根拠地隊#特別根拠地隊|特別根拠地隊]]に合併させて第27特別根拠地隊が新編制された。艦隊司令部と第27特別根拠地隊は別々に駐屯する事になったので、第2特別根拠地隊に属していた第12港務部に第2通信隊の一部を併せた兵力を佐世保鎮守府第5特別陸戦隊に加えた第90警備隊が新編制されて司令部附属の陸上部隊となった。また「[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]」が艦隊から外され、第12水雷艇隊が加えられた。艦隊司令部は[[ホーランディア]]に移り、第27特別根拠地隊はカイリル島に駐屯した。同時に第九艦隊は[[南東方面艦隊]]所属から[[南西方面艦隊]]へと移管された。
根拠地隊合併とともに、[[南東方面艦隊]]から[[南西方面艦隊]]に移管された。


司令部を北岸の[[ウェワク]]に置き、ホーランディア(現[[ジャヤプラ]])に移った。1944年(昭和19年)4月22日アメリカホーランディアに上陸するとカイリル島に置かれた27特別根拠地隊本隊以外の艦隊全兵力(約1,000人)迎撃した[[ホーランジアの戦い]]しかし、[[サルミ (サルミ県)|サルミ]]へ撤退中の5月3日戦闘で第九艦隊司令部は壊滅、[[遠藤喜一]]長官・[[緒方真記]]参謀長鬼束鉄夫第90警備隊司令ら幹部が戦死する。その2日前には、新たな隷下部隊として[[ビアク島]]へ駐留させるべく、第28特別根拠地隊が[[南遣艦隊#第四南遣艦隊|第四南遣艦隊]]隷下でされたが、第九艦隊増援は実現しった。
1944年4月22日アメリカ軍がホーランディアに上陸、第艦隊は総力(約1,000人)を挙げて日本陸軍第18軍と共に迎撃した。これは[[ホーランジアの戦い]]と呼ばれたが圧倒的兵力の前に敗退した第九艦隊司令部はサルミへ撤退する途中の5月3日に発生した戦闘で壊滅の憂き目にあい、[[遠藤喜一]]司令長官緒方真記参謀長鬼束鉄夫第90警備隊司令戦死した。その2日前に[[南遣艦隊#第四南遣艦隊|第四南遣艦隊]]の兵力から第28特別根拠地隊が新されて[[ビアク島]]に向かい、第九艦隊の麾下に入る予定となっていたが立ち消えとなった。


第27特別根拠地隊のみが孤立し、艦隊としての体をなさなくなったため、1944年7月10日をもって第九艦隊は解隊した。第27特別根拠地隊は南西方面艦隊直率とな、終戦まで自活を強いられた。第28特別根拠地隊は一度も第九艦隊隷下に収まることなく第四南遣艦隊下に残り、[[ビアク島の戦い]]で同年12月に玉砕した。
1944年7月10日、艦隊司令部の壊滅に伴い第九艦隊は廃止された。カイリル島に残された第27特別根拠地隊は南西方面艦隊直率となったがそのまま孤立状態に置かれて自給自足の駐屯生活を終戦まで強いられる事になった。第28特別根拠地隊は第四南遣艦隊の麾下に留められ1944年12月の[[ビアク島の戦い]]で玉砕した。


== 編制 ==
== 編制 ==
=== 1943年11月15日、新編時の編制 ===
=== 1943年11月15日発足時の編制 ===
司令部附属([[ウェワク|ウエワク]])
*第2[[海軍根拠地隊#特別根拠地隊|特別根拠地隊]](ウエワク)
**第26・34駆潜
**第2通信隊、第12港務部
*第7[[海軍根拠地隊|根拠地隊]](ラエ→シオ→ウエワク)
**第26・34・35号[[駆潜艇]]
**第2通信隊・第12港務部            
*附属:[[白鷹 (急設網)|白鷹]][[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]・第16・32・34・35号[[掃海艇]]
**佐世保鎮守府第5特別陸戦隊


*[[駆逐艦]] [[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]
=== 1944年41、戦編制制度改定後の編制 ===
*[[敷設艦]] [[白鷹 (急設網艦)|白鷹]]
*第27特別根拠地隊(カイリル)
* 第16・32・34・35号[[掃海艇]]
**第90警備隊(ホーランディア)
* 佐世保鎮守府第5特別陸戦隊
*附属:白鷹・第26・34・35号駆潜艇・第12[[魚雷艇]]隊
**第2通信隊、第57、87防空隊


第2[[海軍根拠地隊#特別根拠地隊|特別根拠地隊]](ウエワク)
=== 1944年710、最終時の編制 ===

*第27特別根拠地隊(カイリル)
*第26・34号[[駆潜艇]]
**第90警備隊(ホーランディア)

第7[[海軍根拠地隊|根拠地隊]](ラエ→シオ→ウエワク)

*第35号[[駆潜艇]]

=== 1944年31日の編制 ===
司令部附属[[ホーランディア]]

*敷設艦 [[白鷹 (急設網艦)|白鷹]]
*第12[[魚雷艇|水雷艇]]隊
*第16・32・34・35号[[掃海艇]]
*第26・34・35号[[駆潜艇]]
*第90警備隊
*第57防空隊
*第87防空隊

第27特別根拠地隊(カイリル)

=== 1944年710最終時の編制 ===
司令部附属(ホーランディア)

* 第90警備隊

第27特別根拠地隊(カイリル)


== 歴代司令長官 ==
== 歴代司令長官 ==

2019年6月24日 (月) 07:33時点における版

第九艦隊(だいきゅうかんたい)は日本海軍の艦隊の一つ。1943年(昭和18年)11月15日に編制された。ニューギニア島西部周辺海域の防衛を担当した。日本では外南洋、国際的にはメラネシアと呼ばれる海域の西半分が管轄とされた。

概要

1943年11月、オーストラリアで出撃準備を整えていたアメリカ軍の北上に備え、ニューギニア島西部の防衛を担当する艦隊として水上部隊と陸上部隊を併せて編制された。艦隊と言っても海上戦力は駆逐艦「不知火」と敷設艦白鷹」の他は若干の駆潜艇掃海艇しかなく、2個の陸上根拠地隊が兵力の大半を占めていた。艦隊司令部はニューギニア島北岸のウェワクに置かれた。艦隊旗艦は「不知火」であった。

1944年3月、連戦で疲弊していた第7特設根拠地隊を、第2特別根拠地隊に合併させて第27特別根拠地隊が新編制された。艦隊司令部と第27特別根拠地隊は別々に駐屯する事になったので、第2特別根拠地隊に属していた第12港務部に第2通信隊の一部を併せた兵力を佐世保鎮守府第5特別陸戦隊に加えた第90警備隊が新編制されて司令部附属の陸上部隊となった。また「不知火」が艦隊から外され、第12水雷艇隊が加えられた。艦隊司令部はホーランディアに移り、第27特別根拠地隊はカイリル島に駐屯した。同時に第九艦隊は南東方面艦隊所属から南西方面艦隊へと移管された。

1944年4月22日、アメリカ軍がホーランディアに上陸し、第九艦隊は総力(約1,000人)を挙げて日本陸軍第18軍と共に迎撃した。これはホーランジアの戦いと呼ばれたが圧倒的兵力の前に敗退した。第九艦隊司令部はサルミへ撤退する途中の5月3日に発生した戦闘で壊滅の憂き目にあい、遠藤喜一司令長官、緒方真記参謀長、鬼束鉄夫第90警備隊司令も戦死した。その2日前に第四南遣艦隊の兵力から第28特別根拠地隊が新編制されてビアク島に向かい、第九艦隊の麾下に入る予定となっていたが立ち消えとなった。

1944年7月10日、艦隊司令部の壊滅に伴い第九艦隊は廃止された。カイリル島に残された第27特別根拠地隊は南西方面艦隊直率となったが、そのまま孤立状態に置かれて自給自足の駐屯生活を終戦まで強いられる事になった。第28特別根拠地隊は第四南遣艦隊の麾下に留められ、1944年12月のビアク島の戦いで玉砕した。

編制

1943年11月15日発足時の編制

司令部附属(ウエワク

第2特別根拠地隊(ウエワク)

第7根拠地隊(ラエ→シオ→ウエワク)

1944年3月1日の編制

司令部附属(ホーランディア

第27特別根拠地隊(カイリル)

1944年7月10日最終時の編制

司令部附属(ホーランディア)

  • 第90警備隊

第27特別根拠地隊(カイリル)

歴代司令長官

  1. 遠藤喜一中将:1943年11月15日 - 1944年5月3日(玉砕)

歴代参謀長

  1. 緒方真記少将:1943年11月15日 - 1944年5月3日(玉砕)

上級部隊

参考文献