キロロリゾート

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キロロリゾート
所在地 北海道余市郡赤井川村字常盤128-1[1]
標高 1,180 m - 570 m
標高差 610 m
最長滑走距離 4,050 m
コース数 21本
コース面積 115 ha
公式サイト [1]
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キロロリゾート

キロロリゾートとは、北海道余市郡赤井川村に在るリゾート施設。所有はキロロリゾートホールディングス株式会社、運営は株式会社キロロホテルズ及び株式会社キロロアソシエイツ。

概要

朝里岳北西斜面のスキー場「キロロスノーワールド」を中心として、ホテル3棟、温泉施設等がある。自動車で新千歳空港から約2時間、札幌市から約1時間、小樽市から約40分ほどの距離にあり、ニセコルスツ朝里川温泉スキー場札幌国際スキー場と並び、札幌近郊の人気スキーリゾートの一つである。

2000年代以降はスキーシーズンに韓国香港台湾を中心としたアジア各国からの観光客が増加しており2004年-2005年シーズンは約9000人の外国人観光客が訪れた[2]。台湾ではテレビCMも放映された。

通年型リゾートでありスキーシーズン以外も温泉ハイキング、近隣のゴルフ場などで楽しむことができる。また、札幌・小樽周辺を周遊するツアーの宿泊に使用されることもある。キロロスノーワールドからやや離れた場所に所在するゴルフ場「レラゴルフクラブ」は、もとは同資本で「キロロゴルフクラブ」として営業していたが2003年に閉鎖され、他社への譲渡により2007年に復活したが、2009年から不採算を理由として長期休業・閉鎖状態となっている。

開発の経緯

アルファリゾート・トマムにより貧村からリゾート地に変貌した占冠村に追従する形で、赤井川村が1987年に川上浩社長主導でウインターリゾートの開発を模索していた日本楽器(現:ヤマハ)第三セクター方式でデベロッパー・赤井川森林レクリェーション開発公社(後のキロロ開発公社)を設立。朝里岳の国有林を開発する流れとなり、バブル景気最中である1980年代後半に着工した。1991年に「キロロスノーワールド」と「マウンテンホテル」がキロロ開発公社によって開業し、1993年にリゾートの核である会員制ゴルフホテル「キロロゴルフクラブ」と会員制リゾートホテル「ホテルピアノ」を含む「キロロタウン」がヤマハ北海道リゾート開発によって開業した。トマム・サホロリゾートマウントレースイに続きバブル経済を象徴する豪華絢爛な一大ウィンターリゾートを最後発で作り上げた。

しかし開業がバブル崩壊後となったことで、「ホテルピアノ」のリゾート会員権と「キロロゴルフクラブ」のゴルフ会員権が売上不振により開発資金の回収が困難となり、1995年にキロロタウンを開発したヤマハ北海道リゾート開発をヤマハが清算し、営業権をヤマハリゾートに譲渡(149億円の子会社整理損失発生)。キロロ開発公社を減資させ約60億円の累積損失を一掃し、20億円の増資を実行するとともに一部施設をヤマハリゾートが買い入れた。これら約230億円以上に上るヤマハの財政支援(事実上の損失穴埋め)策により、トマムやサホロリゾートとは異なり早期に経営再建を果たした。

それでもなお平成不況が長引いたことから売上の低迷は続き、2003年3月にはキロロ開発公社の持株全てをヤマハが買収し施設全体がヤマハの所有となった。また、キロロゴルフクラブを2003年9月に閉鎖し、ホテルピアノのリゾート会員権とゴルフ会員権の預託金を全額償還した。

2007年10月1日付けで、ヤマハリゾートが保有する鳥羽国際ホテル合歓の郷はいむるぶしと合わせてキロロの不動産・株式・債務全てを不採算を理由として三井不動産リゾートへ譲渡し、ヤマハはこれらのリゾート経営から撤退した。

2012年にタイ資本の不動産デベロッパー会社「プロパティ・パーフェクト」が買収した日本企業・シェアグループ株式会社を介して、三井不動産リゾートからキロロアソシエイツの持株全てを約5.5億バーツ(約16億円前後)で買収すると在タイ日本人向けのネットニュースにおいて報じた[3]。同年10月には日本経済新聞が買収について東南アジアからの送客を強化する方針であることを絡めて報じているが、買収金額は非公表としている[4]
プロパティ・パーフェクトはキロロリゾートホールディングス株式会社を設立してキロロリゾートを所有し、100%持ち株会社の株式会社キロロホテルズ(ホテル部門)、株式会社キロロアソシエイツ(スキー場及びアクティビティ部門)の2社で運営を行っている。

2015年にキロロリゾートホールディングスは米ホテル大手スターウッド・ホテル&リゾートと提携しホテル運営を委託。旧「ホテルピアノ」は「キロロトリビュートポートフォリオホテル北海道」に、旧「マウンテンホテル」は「シェラトン北海道キロロリゾート」に名称を変更し、新装オープンした。[5][6]

キロロの由来

キロロの名称は、当地および周辺の地名とは全く関係ない。開業当初、ヤマハリゾートなどは「こころ」を意味するアイヌ語を基にした造語であるとアナウンスしていたが、「心」を示すアイヌ語は「ラム(ram)」であり、造語としてどのような経緯のうえ生成されたのか詳細は不明。現在は公式サイトやパンフレット類では由来に直接触れていないが、「こころ」というキーワードはよく用いられている[7]

なお、キロロと読む地名としては北海道内では浦幌町に貴老路、本別町に嫌侶があり、それらの由来は、1.キロ-オ-ル,kir-o-ru(人が踏み固めた広い道:山田秀三知里真志保説)、2.キロロ,kiroro,(勢力:永田方正説)、3.ピ-ヲロ,pi-oro(小石・多い:松浦武四郎説)、とされる[8]

1998年にメジャーデビューした女性デュオKiroroは、キロロリゾートからとったのではなく、ボーカルの玉城千春が小学生の時、地域交流で北海道池田町に行った際、なんとなく耳に残ったアイヌ語に由来する[9][10]。1998年9月にはキロロリゾートとタイアップ契約。2004年4月にはキロロリゾートで、kiroroのファンの集いとコンサート「ゆんたくさびら vol.3」が開催された。

沿革

  • 1987年(昭和62年) - ヤマハと赤井川村が「赤井川森林レクリエーション協議会」を設立[11]。事業は北海道初の「ヒューマン・グリーン・プラン」の第1号に認定された。
  • 1988年4月 - ヤマハ北海道リゾート開発株式会社設立。
  • 1988年6月 赤井川村、ヤマハ、ヤマハ発動機野村不動産住友生命保険等の各社が出資し株式会社赤井川森林レクリェーション開発公社設立。
  • 1991年7月(平成3年) - 公社を株式会社キロロ開発公社に名称変更。
  • 1991年12月 スキー場、、マウンテンホテル、スノーモービルワールドがオープン
  • 1992年12月 - スキー場にゴンドラが新設
  • 1993年7月 - キロロゴルフクラブ(ゴルフ場)がオープン
  • 1993年12月 - ホテルピアノ、キロロタウンがオープン
  • 1995年6月 - ヤマハ北海道リゾート開発を解散。業務はヤマハリゾートに移管。
  • 1996年6月 - 温泉施設、チャペルがオープン
  • 1999年7月24日 - 浜田省吾が野外コンサート「LET SUMMER ROCK '99」を開催。約10,000人を動員。
  • 2000年7月 - キロロ開発公社のヤマハの持株比率が61.6%から94.3%になる。
  • 2001年10月 - ホテル運営、スキー場運営を行う株式会社キロロアソシエイツ設立。
  • 2003年3月 - キロロ開発公社の赤井川村出資分の買収をヤマハが打診し了承。ヤマハの100%子会社となる。
  • 2003年10月 - 経営不振のためキロロゴルフクラブを閉鎖。
  • 2004年7月 - リフトとマウンテンホテルを保有していたキロロ開発公社がヤマハと合併。累積損失12億円を実質補てん。
  • 2006年12月 - 閉鎖していたゴルフ場を宮本土建工業株式会社(小樽市)の子会社「株式会社レラゴルフクラブ」に譲渡。
  • 2007年7月 - ヤマハがリゾート部門の大部分を三井不動産へ事業譲渡。キロロアソシエイツは三井不動産リゾートの100%子会社となる。
  • 2009年 - レラゴルフクラブが不採算を理由に営業を行わないとし、再度の休業状態に陥る(2013年現在も閉鎖状態にある)。
  • 2012年10月 - 三井不動産から、シェアグループ株式会社(プロパティ・パーフェクト(タイの不動産会社)とリプロジェクト・パートナーズ(日本の企業再生コンサルティング会社)の合弁企業)に譲渡された[12]
  • 2015年11月19日 - キロロトリビュートポートフォリオホテル北海道オープン[13]
  • 2015年12月4日 - シェラトン北海道キロロリゾートオープン[14]

脚注

  1. ^ 官報』号外第132号102ページ「会社その他の公告」、2013年(平成25年)6月21日
  2. ^ 2005年12月8日 日本経済新聞
  3. ^ タイの不動産会社、北海道のスキーリゾート買収 2012年8月30日 newsclip
  4. ^ シェアグループ、キロロ買収を発表、東南アジア客に照準 2012年10月5日 日本経済新聞
  5. ^ アジア太平洋地域では第一号となる新ブランド『トリビュート・ポートフォリオ』を北海道にオープン日本スターウッドホテル株式会社プレスリリース(2015年8月4日)
  6. ^ タイ社所有の北海道「キロロリゾート」、米スターウッドがホテル運営newsclip.be(2015年8月5日)
  7. ^ 「おとなを、休む日」[リンク切れ]キロロリゾート[リンク切れ]
  8. ^ 山田秀三『北海道の地名』、本多貢『北海道地名分類字典』
  9. ^ 外務省経済協力局"国際協力プラザ vol.126 PEOPLE Kiroro"国際協力プラザ2005年2月号.(2010年11月14日閲覧。)
  10. ^ ビクターミュージックアーツ"Kiroro official web site/Profile"(2010年11月14日閲覧。)
  11. ^ 当時、ヤマハはリゾート事業拡大を図るとともに、製造販売しているスキー板のイメージアップのためにもスキー場開設を目指していた。
  12. ^ シェアグループ、キロロ買収を発表、東南アジア客に照準 - 日本経済新聞2012年10月5日付北海道経済面
  13. ^ 「キロロ トリビュートポートフォリオホテル 北海道」オープン
  14. ^ シェラトン北海道キロロリゾートオープンのご案内

外部リンク