日本陸上競技選手権大会男子20キロ 女子20キロ競歩

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日本陸上競技選手権大会
20km競歩
主催 日本陸上競技連盟
創立 1955年 男子20km
1987年 女子10km
1999年 女子20km
開催時期 2月
開催地 神戸市東灘区
実施種目 競歩
備考 ジュニア男子10km
ジュニア女子 5km

日本陸上競技選手権大会20km競歩(にほんりくじょうきょうぎせんしゅけんたいかい にじっきろきょうほ)は、毎年2月中旬に開催される陸上競技大会である。現在の開催地は兵庫県神戸市。一般公道を使用するため、マラソン男子35km競歩同様、一般種目の日本陸上競技選手権大会とは別日程・開催場所で行なわれる。

概要[編集]

2014年第97回大会の模様

男子・女子20km競歩の日本一を決める大会で、その年の主要国際競技大会(オリンピック世界陸上選手権アジア大会等)同種目の日本代表選手選考会としては最も重要な大会である。各国際競技大会の参加標準記録Aを突破した本大会の優勝者は自動的に日本代表に内定する。

1955年第39回大会より男子20km、1987年第71回大会より女子10kmが実施された。開催地は各都道府県持ち回りとなっていたが、1989年より兵庫県神戸市に定着した。1991年世界陸上選手権対策を目的として、1989年から1993年までは神戸市北区しあわせの村園内周回コースで毎年8月に開催されていた。しかし、アップダウンの激しいコースと真夏の暑さでは記録が望めず、1995年度から開催時期を1月に変更し、現在の神戸市東灘区六甲アイランド内周回コース(1周2km)で開催されるようになった。但し、1995年は大会4日前に発生した阪神・淡路大震災の影響で、2月に千葉市で代替開催された。1999年第82回大会以降、女子も10kmに替わり20kmの距離で実施されている。2010年より片道1kmの折り返しコースとなり、2011年から2月開催に変更された。

現在のコースは起伏のほとんど無い平らな走路で、2009年時点では男女20km競歩の日本記録がここで樹立されている。2000年第84回大会の男子20km競歩では当時の日本歴代記録のうち1位から5位までが塗り替えられた。多くの選手がこの大会で自己記録を更新しており、日本随一の高速コースとして知られる。

また、ジュニア選抜競歩としてジュニアの部も開催され、将来を見据えたハイレベルな争いが展開される。ジュニアの部の参加資格はその年の12月31日に20歳未満である者が対象であり、一般・大学生も出場可能である。その他、2008年まではジュニア男子3km競歩とジュニア女子3km、2003年には一度だけ選抜男子50km競歩が行なわれた。

2023年第106回大会は日テレスポーツ公式YouTubeチャンネルにてライブ配信された[1]

競技種目[編集]

  • 日本陸上競技選手権大会
    • 男子20km競歩
    • 女子20km競歩
  • ジュニア選抜競歩
    • ジュニア男子10km競歩
    • ジュニア女子5km競歩

大会記録[編集]

男子[編集]

種目 記録 選手名 所属名 記録年度
20km競歩 1時間16分51秒 池田向希 旭化成 第107回(2024年)

女子[編集]

種目 記録 選手名 所属名 記録年度
20km競歩 1時間27分59秒 藤井菜々子 エディオン 第107回(2024年)

歴代優勝者[編集]

1988年第71回大会以降の男女歴代優勝者記録である[2][3]。女子は1998年第81回大会まで10km競歩として開催されていた。

男子 記録 女子 記録
小坂忠広 デサントAC 1時間31分26秒 71 1988 平山秀子 東京女子体育大学 47分49秒
田上敦己 JR西日本 1時間31分25秒 72 1989 平山秀子 日本電気 48分49秒
酒井浩文 飯田下伊陸協 1時間28分48秒 73 1990 ヤン・ホン 中華人民共和国 48分32秒
今村文男 千葉陸協 1時間33分21秒 74 1991 李景雪 中華人民共和国 49分18秒
アルベルト・クルス メキシコ 1時間28分53秒 75 1992 三森由佳 山梨学院大学 50分02秒
酒井浩文 国士舘大学 1時間27分20秒 76 1993 内田智子 武庫川女子大学 47分27秒
柳澤哲 高松市陸協 1時間29分50秒 77 1994 三森由佳 山梨学院大学 47分16秒
柳澤哲 綜合警備保障 1時間23分26秒 78 1995 林江見 順天堂大学 46分03秒
柳澤哲 綜合警備保障 1時間22分02秒 79 1996 三森由佳 綜合警備保障 44分15秒0
池島大介 日本大学 1時間20分48秒 80 1997 三森由佳 綜合警備保障 44分24秒
池島大介 長谷川体育施設 1時間21分40秒 81 1998 三森理恵 ヤマハ関西 43分45秒
池島大介 長谷川体育施設 1時間20分15秒 82 1999 三森由佳 綜合警備保障 1時間33分08秒
柳澤哲 綜合警備保障 1時間19分29秒 83 2000 三森由佳 綜合警備保障 1時間36分18秒
柳澤哲 綜合警備保障 1時間21分20秒 84 2001 二階堂香織 サニーマート 1時間33分29秒
山崎勇喜 富山商業高等学校 1時間20分43秒 85 2002 照井貴子 サニーマート 1時間32分54秒
藤野原稔人 三栄管理興業 1時間20分31秒 86 2003 忠政良子 登利平AC 1時間33分34秒
谷井孝行 日本大学 1時間20分39秒 87 2004 川崎真裕美 海老沢製作所 1時間31分19秒
谷井孝行 日本大学 1時間21分06秒 88 2005 川崎真裕美 海老沢製作所 1時間31分51秒
森岡紘一朗 順天堂大学 1時間22分46秒 89 2006 川﨑真裕美 海老澤製作所 1時間32分06秒
森岡紘一朗 順天堂大学 1時間23分58秒 90 2007 渕瀬真寿美 龍谷大学 1時間29分36秒
山崎勇喜 長谷川体育施設 1時間21分40秒 91 2008 川﨑真裕美 海老澤製作所 1時間29分28秒
森岡紘一朗 富士通 1時間21分16秒 92 2009 渕瀬真寿美 龍谷大学 1時間28分03秒
森岡紘一朗 富士通 1時間20分43秒 93 2010 川﨑真裕美 富士通 1時間30分37秒
鈴木雄介 富士通 1時間21分13秒 94 2011 大利久美 富士通 1時間29分11秒
藤澤勇 ALSOK 1時間20分38秒 95 2012 大利久美 富士通 1時間29分48秒
鈴木雄介 富士通 1時間19分02秒 96 2013 大利久美 富士通 1時間30分45秒
鈴木雄介 富士通 1時間18分17秒 97 2014 井上麗 天満屋 1時間31分48秒
高橋英輝 岩手大学 1時間18分03秒 98 2015 岡田久美子 ビックカメラ 1時間31分57秒
高橋英輝 富士通 1時間18分26秒 99 2016 岡田久美子 ビックカメラ 1時間29分40秒
高橋英輝 富士通 1時間18分18秒 100 2017 岡田久美子 ビックカメラ 1時間29分40秒
101 2018
102 2019
103 2020
104 2021
105 2022
106 2023
      日本記録       ジュニア日本記録

エピソード[編集]

2007年3月能登半島地震の際、4月日本陸上競技選手権大会50キロ競歩開催を控えた石川県輪島市が被災。兵庫陸上競技協会は1995年阪神・淡路大震災のため本大会が千葉市で代替開催されたときの恩返しとして、すぐさま六甲アイランドを代替開催地として名乗りを上げた。こうして、2007年度50キロ競歩は4月15日、六甲アイランドで開催され、12年越しの恩返しがかなうこととなった。

出典[編集]

  1. ^ “【日テレスポーツで配信決定!】日本選手権20km競歩〜ブダペスト世界選手権日本代表をかけた世界一熾烈な代表争い〜”. スポーツナビ. (2023年2月14日). https://sports.yahoo.co.jp/official/detail/202302140060-spnaviow 2023年3月23日閲覧。 
  2. ^ 日本陸上競技連盟七十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟七十年史』 1995年、932-946頁。
  3. ^ 日本陸上競技連盟八十年史編集委員会 『日本陸上競技連盟八十年史』 2005年、86-102頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]