摂津名所図会
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摂津名所図会(せっつめいしょずえ、『攝津名所圖會』)は、摂津国の名所を絵画と文章で紹介した地誌である。
京都の町人・吉野屋為八が計画し、1796年(寛政8年)-1798年(寛政10年)に刊行された9巻12冊となる摂津国の通俗地誌であり観光案内書でもあった。
概要[編集]
編集は俳諧師・秋里籬島(あきさと りとう)が担当し、絵は『名物浪花のながめ』(絵本)や『鳥羽絵欠び留』などを描いていた絵師・竹原春朝斎(たけはら しゅんちょうさい)が担当。秋里籬島による名所の由来記、竹原春朝斎による俯瞰図を多用した挿絵が特徴である。この2人は、1780年(安永9年)に刊行された京都の案内書『都名所図会』(6巻11冊)を皮切りに、その後、吉野屋為八が企画した多くの「名所図会」を手がけていた。その上、籬島、春朝斎以外にも編者や画家として、たとえば絵師の丹羽桃渓らの参加を求めたので、「名所図会」は見た目が一層にぎやかになった。
秋里籬島、竹原春朝斎が中心となった大坂シリーズには、この『摂津名所図会』以外に、『河内名所図会』『和泉名所図会』『住吉名所図会』があった。なお、歌川広重にも『浪花名所図会』がある。また東都の『江戸名所図会』が刊行されるのは、この『摂津名所図会』刊行の約40年後のことである。
内訳[編集]
摂津名所図会は、まず後部となる7-9巻(3巻4冊)を1796年(寛政8年)に刊行し、2年後の1798年(寛政10年)に前部となる1-6巻(6巻8冊)を刊行した。これを合わせて9巻12冊となる。
巻 | 郡名 | 冊数 |
---|---|---|
一巻 | 住吉郡 | 1 |
二巻 | 東生郡 | 1 |
三巻 | 東生郡・西成郡 | 1 |
四巻 | 大坂部 上 | 1 |
大坂部 下 | 1 | |
五巻 | 島上郡・島下郡 | 1 |
六巻 | 豊島郡・河辺郡 | 1 |
河辺郡 | 1 | |
七巻 | 武庫郡・菟原郡 | 1 |
八巻 | 八部郡 上 | 1 |
八部郡 下 | 1 | |
九巻 | 有馬郡・能勢郡 | 1 |
その他[編集]
大阪の地誌
- 『住吉名所図会』 秋里籬島著・岡田玉山画 1795年(寛政7年)
- 『和泉名所図会』 秋里籬島著・竹原信繁画 1796年(寛政8年)
- 『河内名所図会』 秋里籬島著・丹羽桃渓画 1801年(享和元年)
- 『天保山名所図会』 暁鐘成著画 1835年(天保6年)
- 『摂津名所図会大成』 暁鐘成著・松川半山・浦川公佐画 1855年(安政2年)以後
- 『浪華の賑ひ』 暁鐘成著・松川半山画 1855年(安政2年)
- 『浪花名所図会』 歌川広重画
- 『浪花百景』 一養斎芳瀧・南粋亭芳雪・一珠斎国員著画
参考文献[編集]
- 本渡章 『大阪名所むかし案内 - 絵とき「摂津名所図会」』 創元社、2006年。ISBN 4-422-25046-9。
外部リンク[編集]
- “攝津名所圖會”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館 (2011年). 2018年7月5日閲覧。
- “摂津名所図会. [正,続篇] / 秋里籬嶌 著述 ; 竹原春朝斎 図画”. 古典籍総合データベース. 早稲田大学図書館. 2018年7月5日閲覧。
- “摂津名所図会”. 武庫川女子大学リポジトリ(学術成果コレクション). 武庫川女子大学. 2018年7月5日閲覧。
- “大日本名所図会. 第1輯第5編摂津名所図会”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館 (2011年). 2018年7月5日閲覧。 - 攝津名所圖會上巻 (大日本名所圖會刊行會, 1919)
- “大日本名所図会. 第1輯第6編摂津名所図会”. 国立国会図書館デジタルコレクション. 国立国会図書館 (2011年). 2018年7月5日閲覧。 - 攝津名所圖會下巻 (大日本名所圖會刊行會, 1919)