愛を読むひと

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愛を読むひと
The Reader
監督 スティーブン・ダルドリー
脚本 デヴィッド・ヘアー
原作 ベルンハルト・シュリンク
朗読者
製作 アンソニー・ミンゲラ
シドニー・ポラック
ドナ・ジグリオッティ
レッドモンド・モリス
製作総指揮 ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
出演者 ケイト・ウィンスレット
レイフ・ファインズ
音楽 ニコ・マーリー
撮影 クリス・メンゲス
編集 クレア・シンプソン
製作会社 ワインスタイン・カンパニー
ミラージュ・エンタープライゼス
配給 アメリカ合衆国の旗 ワインスタイン・カンパニー
日本の旗 ショウゲート
公開 アメリカ合衆国の旗 2008年12月10日
日本の旗 2009年6月19日
上映時間 124分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ドイツの旗 ドイツ
言語 英語
製作費 $32,000,000[1]
興行収入 $34,194,407[1] アメリカ合衆国の旗カナダの旗
$108,901,967[1] 世界の旗
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愛を読むひと』(あいをよむひと、The Reader)は、2008年アメリカドイツ合作映画。英語作品。ベルンハルト・シュリンクの小説『朗読者』を、スティーブン・ダルドリー監督が映画化。

第81回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、ケイト・ウィンスレット主演女優賞を受賞。

ストーリー[編集]

第二次世界大戦後のドイツ。15歳のミヒャエルは、気分が悪かった自分を偶然助けてくれた21歳も年上の女性ハンナと知り合う。黄疸にかかったミヒャエルは、回復後に毎日のように彼女のアパートに通い、いつしか彼女と男女の関係になる。ハンナはミヒャエルが本を沢山読む子だと知り、本の朗読を頼むようになる。彼はハンナのために『オデュッセイア』『犬を連れた奥さん』『ハックルベリー・フィンの冒険』『タンタンの冒険旅行』といった作品を朗読した。

だがある日、ハンナは働いていた市鉄での働きぶりを評価され、事務職への昇進を言い渡される。そしてその日を機に、ハンナはミヒャエルの前から姿を消してしまうのだった。

理由がわからずにハンナに捨てられて長い時間が経つ。ミヒャエルはハイデルベルク大学法学部に入学しゼミ研究のためにナチスの戦犯の裁判(例フランクフルト・アウシュビッツ裁判)を傍聴する。そしてその被告席の一つにハンナの姿を見つけるのだった。

アウシュヴィッツ強制収容所の元囚人の著書には、ハンナはアウシュヴィッツの手前のクラクフ近郊の強制収容所の女性看守の6人の一人として名前が挙げられており、いったん収容した囚人を「選別し」順次アウシュヴィッツに「死の行進」で送った未必の故意による殺人容疑(自分が選別し送れば囚人が殺されることを知ってそうした)と、収容所がある町が爆撃を受け、収容所が火事になっても開錠をしなかった結果300人の囚人が焼死した事件についての未必の故意による殺人容疑(開錠しなければ収容所内に閉じ込められた囚人が焼死することを知って開錠しなかった)。

公判でハンナは「次々と囚人が送り込まれるから、収容所の容量を考えると新しい囚人を受け入れるためにすでにいる囚人をアウシュヴィッツに送るのはやむを得なかった」と証言するが「収容所がいっぱいになるから、すでにいる囚人は死んでもいいと考えたのですか」と判事に反論される。また原告である著者の娘はハンナは若い男をそばに置き、朗読をさせていた。知性のある人で親切だとおもったが、彼はのちにアウシュヴィッツに送られた。ハンナのしたことは人が命の危険から解放され安堵したところで死に追いやる残酷な親切だと証言しハンナの心証は悪くなる。

収容所の火災については、ハンナは「爆撃で混乱している市街地に収容所を開錠して囚人を出すことはできなかった」と証言。判事らの火災の報告書の証拠調べに移ると、報告書は6人の看守が共同して作成したものというハンナの証言にたいして、ハンナが作成した、開錠しなかったのもハンナの指図であったと他の元看守がこぞって証言し始める。判事は筆跡鑑定をしようとハンナにペンと紙を渡すがここでハンナは報告書を自分が作成したこと、自分が開錠しないよう指図したことを認める。

傍聴席のミヒャエルは、ハンナが自分を含め人に本を朗読をさせることを好む一方で、自分が朗読することは拒んだことや、自分がメモ書きで知らせた情報を知らないことで行き違いが起きたこと、鉄道会社の事務職への移動を拒否したこと、さらに筆跡鑑定を拒んだことから「ハンナは文盲であること」そしてそれを隠していることに気付く。 ミヒャエルはハンナが文盲であることを裁判官に言うべきかなやみ、大学のロール教授に相談するがハンナが文盲であることを恥じていることを考えると伝えることはできなかった。 この裁判でハンナは殺人で有罪、無期懲役、ほかの5人の女性看守は殺人ほう助の有罪で懲役4年という判決が下される。

ミヒャエルは大学卒業後、結婚し一女をもうけるが離婚する。1976年西ベルリンに移転したミヒャエルは、ハンナの服役している刑務所に本を朗読したテープを送り始める。ハンナは朗読と、本の文章を照合しながら少しずつ独学で文字を学び、ミヒャエルに手紙を出すようになる。服役から20年後の1988年にハンナに仮出所が許されることになり、唯一彼女と連絡を取っている人としてミヒャエルに身元引受人の依頼が刑務所から舞い込む。ミヒャエルはそれに応じ、出所1週間前に出所後の生活の用意をしたことを告げに刑務所のハンナと面会しくる。しかし、出所の日にハンナは首をつって自殺してしまう。ミヒャエルは刑務所の職員から遺書らしきものうちミヒャエルにあてたくだりを読みきかされる。1995年、ミヒャエルは成人した娘とともにハンナの墓参りに訪れるのであった。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ハンナ・シュミッツ ケイト・ウィンスレット 岡寛恵
ミヒャエル・ベルク レイフ・ファインズ 宮本充
少年時代のミヒャエル ダフィット・クロス 櫻井孝宏
ロール教授 ブルーノ・ガンツ 立川三貴
ローゼ・マーター レナ・オリン 橘凛
後年のイラーナ・マーター 田野聖子
若き日のイラーナ アレクサンドラ・マリア・ララ
ユリア(ミヒャエルの娘) ハンナー・ヘルツシュプルング
カーラ(ミヒャエルの母) ズザンネ・ロータ

制作の背景[編集]

1998年にミラマックスが原作の権利を取得した。ハンナ役にケイト・ウィンスレット、ミヒャエル役にレイフ・ファインズが配役されたが、ケイトのスケジュール(『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』の撮影)が合わず、ニコール・キッドマンがハンナ役となった。2007年8月から撮影が開始された。2008年1月にニコールが妊娠により降板し、当初配役されていたケイトがハンナ役に起用された。

撮影も当初はロジャー・ディーキンスが担当だったが、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の契約があったため、クリス・メンゲスに変更された。

製作のアンソニー・ミンゲラシドニー・ポラックが他界したため、ドナ・ジグリオッティレドモンド・モリスを新たに加えた。公開時期を巡ってスコット・ルーディンとワインスタイン・カンパニーが対立し、2008年12月公開が決まったが、スコットは製作から降板した[2]。アカデミー賞の規定ではプロデューサーは3人までとされていたが、今回は4人でも認められた[3]

舞台はドイツであるが、全編英語による製作である。そのため登場人物名も英語読みとなっている(ミヒャエル→マイケル等)ほか登場する書物もドイツ語ではなく英語のものである。

主な受賞[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]