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山の上ホテル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
山の上ホテル
本館正面
(2019年12月24日撮影)
ホテル概要
設計 本館:ウィリアム・メレル・ヴォーリズ
別館:山本嘉史[1]
運営 株式会社山の上ホテル
前身 佐藤新興生活館
階数 本館:B2 - 6階
別館:B2 - 7階
レストラン数 6[2]軒
部屋数 74[2]室
スイート数 3室
駐車場 40[2]台
開業 1954年(昭和]29年)1月20日[3]
閉業 2024年2月13日休業
最寄駅 御茶ノ水駅、神保町駅[4]
最寄IC 首都高速都心環状線 神田橋出入口
所在地 〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台1-1
位置 北緯35度41分53.0秒 東経139度45分40.1秒 / 北緯35.698056度 東経139.761139度 / 35.698056; 139.761139座標: 北緯35度41分53.0秒 東経139度45分40.1秒 / 北緯35.698056度 東経139.761139度 / 35.698056; 139.761139
公式サイト 公式サイト
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株式会社山の上ホテルホールディングス
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台1-1
設立 1954年(昭和29年)1月20日
業種 サービス業
法人番号 8010001031036
事業内容 ホテル(土地)の管理・運営
代表者 代表取締役社長 三科 徹
資本金 3,600万円
外部リンク https://www.yamanoue-hotel.co.jp/
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山の上ホテル(やまのうえホテル、Hilltop Hotel)は、東京都千代田区神田駿河台にあるホテル(クラシックホテル)。ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計の本館の建物は千代田区景観まちづくり重要物件に指定されている[5]。

沿革

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ホテルは1954年(昭和29年)の開業で、表通りからは奥まった神田駿河台の高台に位置している。

シンボルとも言える鉄筋コンクリート建築の本館は、1937年(昭和12年)に明治大学OBで若松市(現在の北九州市若松区)の石炭商だった佐藤慶太郎の寄付を基にアメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により、明治大学本部の隣接地に「佐藤新興生活館」として完成した[6][7]。

本館の建物は、鉄筋コンクリート造の地上6階、地下2階建てである[8]。外観は白色タイル貼りで、垂直方向を意識した窓配置、ファサード中央の塔、アールデコ風の幾何学模様の玄関入口などが特徴となっている[5]。

財団法人日本生活協会により「佐藤新興生活館」として開設された建物は、欧米の生活様式の啓蒙を目的としていた[9]。その後、太平洋戦争(大東亜戦争)中には旧海軍、戦後は連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)に接収され[10]、戦後の米軍接収時にはWAC(アメリカ陸軍の婦人陸軍部隊)の宿舎として「Hilltop」と呼ばれた[9]。

ホテルとしての開業は1954年(昭和29年)1月20日で、GHQの接収解除を機に、実業家・吉田俊男(1913-1991)が佐藤家から建物を借り入れる形で創業した[10]。ホテルの名は、建物の愛称になっていた「Hilltop」を、吉田が「丘の上」でなく敢えて「山の上」と意訳したことによる[10]。創業時は客室47室、従業員7名の小規模なホテルだった[10]。

1970年(昭和45年)には別館(新館)が建設され、1980年(昭和55年)には本館の改修が行われた[10]。しかし、2014年6月に別館は閉鎖された[11]。以後、本館35室のみの営業となった。なお、2014年9月に別館は売却され、隣接する明治大学の所有となった[12]。明大当局は別館の有効活用を検討したが、建材にアスベストが使用されていることが判明したため解体され、現在は広場となっている[13]。

本館の建物はホテルとして設計された建物ではないため、日本庭園付きのスイートルーム、畳の上にベッドを置いた和洋折衷の部屋など同一の間取りの部屋がない点が大きな特徴となっている[8]。また、規模に比してバーやレストランなど料飲部門が充実しており[10]、2024年1月時点で館内にはレストランやバーなどの直営の飲食店7店が運営されている[8]。

2019年12月1日、施設の老朽化に伴うリニューアルが完成し営業を再開した[14]。

2023年10月23日、竣工から86年を迎える建物の老朽化への対応を検討するため、2024年2月13日から当面の間休館することが発表された[15]。休館後に本格的な調査・検討を行う形のため、再開方針等は未定とされている。

2024年11月15日、明治大学が土地と建物の取得を発表した。再整備を同校の創立150周年記念事業の一環と位置づけ、外観は維持しつつ改修工事を施したうえでホテル機能を継続させつつ、学生支援や地域連携のための利活用も検討しているとしている[16]。

2026年3月2日に明治大学と定期建物賃貸借契約を締結した竹中工務店が、3月3日から建物の改修工事に着手している。3月27日に、ホテルの運営はPlan・Do・Seeが行うことが発表された。ホテル名は「山の上ホテル 東京(HILLTOP HOTEL TOKYO)」で、2027年夏に開業予定[17]。

てんぷら山の上

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天ぷら店「てんぷら山の上」を運営している[18]。

「文化人のホテル」

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出版社が多い神田神保町に近いところから、創業時から作家の滞在やカンヅメ(ホテルに籠って執筆に集中してもらうこと)に使われることが多く、ロビーで原稿のできあがりを待つ編集者もいた[19]。そのため「文化人のホテル」[20][7]として知られており、川端康成、三島由紀夫[19]、池波正太郎[19]、伊集院静[19]、井上靖、松本清張、吉行淳之介、小林秀雄、萩原延壽、内田百閒、水原秋櫻子、石坂洋次郎、中野好夫、舟橋聖一、高見順、山本健吉、檀一雄、吉田健一、中村眞一郎、水上勉、安岡章太郎、五味康祐、鶴見俊輔、田村隆一、山口瞳、田辺聖子、野坂昭如、開高健、今江祥智といった作家や歴史家が定宿としていた[21][22][23]。食通として知られた池波は、館内レストランの天丼をよく頼んでいたという[19]。三島は1955年(昭和30年)当時、「東京の真中にかういふ静かな宿があるとは思はなかつた。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人つぽい処が実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」と使い心地の感想を語っている[24]。

数学者の森毅は、萩原と泊まりあわせたおりはロビーで深夜までおしゃべりをした。檀一雄は舞台女優の入江杏子と愛人関係になり山の上ホテルで同棲し、入江との生活そして破局を描いたのが代表作『火宅の人』である。柚木麻子は2012年に、本ホテルにおける作家の「カンヅメ」に憧れ、自腹で宿泊する駆け出しの女性作家が主人公の小説『私にふさわしいホテル』を発表した[25]。

主な出来事

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下水道不正使用により行政処分

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2012年10月1日、東京都下水道局は山の上ホテルが井戸水の使用量を過少に申告し、下水道料金の徴収を不正に免れていたため、東京都下水道条例に基づき、ホテルに対し計約5400万円の支払いを命じる行政処分を行ったことを発表した。山の上ホテルは2009年(平成21年)4月に敷地内の井戸の使用を開始。その際、井戸水の使用を下水道局に届け出なかった上、検針メーターのある管を迂回するバイパス管を取り付け、手動バルブでメーターを通る水量を調整できる不正な配管を行っていた。下水道局は匿名の情報提供を受け、ホテルの井戸水の使用量を精査、大きく変動していることなどから立ち入り調査を行い、ホテルの不正が発覚した。下水道局は法律違反に当たる可能性を視野に入れ警視庁に被害を相談、ホテル側の釈明によると、井戸水は上水道を節約するため調理場の清掃などに使い、不正の認識はなかったという。また10月中に追加料金と過料を納めるとの誓約書を都水道局に提出したという[26][27][28][29]。その後10月中にホテル側が追加料金と過料を全額支払ったため、告訴については見送られた。

火災

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2013年4月5日午後4時35分頃、別館屋上の機械室から出火、廃材などが燃える火事があり、宿泊客らが避難した。けが人はなく、客室部分への延焼も免れた[30]。神田警察署によると、現場検証の結果機械室から煙草の吸殻が複数見つかり、他に火の気がないため、出火原因は煙草の火の不始末と見られるという[31]。機械室は従業員の休憩所として使用されており、喫煙もしていた。ホテル側は屋上で喫煙しないよう指導していたという。

関連項目

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関連書籍

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  • 常盤新平『山の上ホテル物語』白水社〈白水uブックス〉、2007年2月。ISBN 978-4560720912。 
  • 森裕治『山の上ホテルの流儀』河出書房新社、2011年2月。ISBN 978-4309020266。 

山の上ホテルが舞台となった作品

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脚注

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  1. ↑ “積算ポケット手帳 2006年 インポートデザインハンドブック(目次)”. 建築資料研究社. 2012年9月21日閲覧。
  2. 1 2 3 “コンシェルジュ セレクション 山の上ホテル”. HOTEL CONCIERGE. 2012年9月21日閲覧。
  3. ↑ “コンセプト”. 山の上ホテル. 2026年3月7日閲覧。
  4. ↑ “山の上ホテル”. e-map. 2012年9月21日閲覧。
  5. 1 2 “千代田区景観まちづくり重要物件 19 山の上ホテル本館” (pdf). 千代田区. 2023年1月23日閲覧。
  6. ↑ “若松の佐藤倶楽部”. 福岡県立若松高等学校同窓会. 2019年12月2日閲覧。
  7. 1 2 山形 政昭 (1989). ヴォーリズの建築―ミッション・ユートピアと都市の華 . 創元社. pp. 302-305
  8. 1 2 3 “物語の続き またいつか 文豪が愛した「山の上ホテル」来月13日休館”. 東京新聞. 2023年1月23日閲覧。
  9. 1 2 “山の上ホテル”. 千代田区観光協会. 2023年1月23日閲覧。
  10. 1 2 3 4 5 6 中森 康之、山川 歩夢「ヴォーリズ建築:山の上ホテル(1)-作家の証言が意味するもの-」『雲雀野』第41巻、豊橋技術科学大学、2019年3月31日、61-76頁。
  11. ↑ 別館閉館のお知らせ総支配人よりご挨拶
  12. ↑ “【売買】山の上ホテル別館を取得、明治大学”. 日経不動産マーケット情報. 2014年12月16日.
  13. ↑ 明治大学史資料センター 『明治大学140年小史』 DTP出版、2021年、187頁
  14. ↑ “文豪に愛された「山の上ホテル」40年ぶり改修”. 読売新聞 (2019年11月28日). 2019年11月28日閲覧。
  15. ↑ “山の上ホテル全館休業のお知らせ”. 山の上ホテル (2023年10月23日). 2024年2月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2026年5月9日閲覧。
  16. ↑ “休館中の「山の上ホテル」、明治大学が土地・建物を取得”. 日本経済新聞 (2024年11月15日). 2024年11月15日閲覧。
  17. ↑ 山の上ホテル、2027年夏に「山の上ホテル 東京(HILLTOP HOTEL TOKYO)」として再開業 - トラベルwatch 2026年3月27日(2026年3月27日閲覧)
  18. ↑ “ワイズテーブルコーポレーション<2798>、高級天ぷら店運営の山の上ホテルを子会社化”. M&A Online (2026年3月9日). 2026年3月13日閲覧。
  19. 1 2 3 4 5 “文豪愛した宿 最後の客/「山の上」休業 老朽化 再開未定”. 毎日新聞. 2024年2月14日. 2024年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2026年2月17日閲覧.
  20. ↑ “コンセプト”. www.yamanoue-hotel.co.jp. 2019年12月7日閲覧。
  21. ↑ “山の上ホテルで思い出すこと”. 小説丸. 連載[担当編集者だけが知っている名作・作家秘話] 第17話. 小学館 (2024年3月20日). 2026年2月17日閲覧。
  22. ↑ “無料公開講座「『山の上ホテル』が育んだ文化―文学と文化の交差点」(リバティアカデミー)”. Meiji NOW. 明治大学 (2025年3月10日). 2026年2月17日閲覧。
  23. ↑ “【中央図書館】ギャラリー「山の上ホテルを愛した作家たち—川端康成・三島由紀夫」”. 明治大学 (2025年3月26日). 2026年2月17日閲覧。
  24. ↑ 三島由紀夫「無題」([『文學界』1955年11月号)。28巻 & 2003-03, p. 664
  25. ↑ 単行本:扶桑社 ISBN 978-4594066833、文庫本:新潮文庫 ISBN 978-4101202419
  26. ↑ 山の上ホテル、下水道代1800万円分ごまかす at the Wayback Machine (archived 2012-10-03) 2012年10月1日 読売新聞
  27. ↑ “山の上ホテル 下水道料 不正未払い 都、5000万円請求方針”. 東京新聞. 2012年10月1日.
  28. ↑ 山の上ホテルに下水道不正使用で過料処分 東京都、計約5400万円請求 at the Wayback Machine (archived 2012-10-01)2012年10月1日 MSN産経ニュース
  29. ↑ “山の上ホテル 井戸、09年は無届け使用 都5400万円請求”. 東京新聞. 2012年10月2日.
  30. ↑ “「山の上ホテル」で火災=宿泊客ら避難、けが人なし-屋上の廃材燃える・東京”. 時事ドットコム. 2013年4月5日.
  31. ↑ 山の上ホテル:たばこ不始末か 別館屋上の機械室火災 at the Wayback Machine (archived 2013-04-11) 2013年4月8日 毎日新聞

参考文献

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外部リンク

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