寝たきり

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寝たきり(ねたきり)とは、常時ベッドで寝ている状態・仰臥している状態の人を表現する俗語である。医学会や医療行政機関による公的で明確な定義は確認されていない。

定義[編集]

一般的に下記のいずれかの状態を寝たきりと表現する。

  1. 遷延性意識障害の状態 - 自力でも介助されても起床できず、意識がない状態。
  2. 完全な寝たきり状態 - 自力でも介助されても起床できないが、意識はある状態。
  3. 準寝たきり状態 - 自力では起床できないが、介助されれば起床可能で、車椅子椅子ソファベンチトイレ便座などで座位を維持可能で、病院・介護施設などに移動可能な状態。

必要なケア・望まれるケア[編集]

  1. 遷延性意識障害。
    1. 定時的に水分栄養医薬品胃瘻経管、食道経管、経口経管、経鼻経管からの経管栄養療法、または、点滴による中心静脈栄養から投与する。
    2. 定時的に排泄物のオムツ交換が必要である。
    3. 定時的に誤嚥性肺炎予防のための痰の吸引と口腔ケアが必要である。
    4. 定時的に褥瘡予防のための体位交換が必要である。
  2. 完全な寝たきり状態
    1. 水分・栄養・医薬品の摂取
      1. 経口摂取が可能な場合は、定時的に水分・栄養の摂取、医薬品の服用の介助。
      2. 経口摂取が限定的に可能な場合は、定時的に水分・栄養の摂取、医薬品の服用の介助と、水分・栄養・医薬品は経管栄養または点滴による中心静脈栄養から投与を併用する。
      3. 経口摂取が困難または不可能な場合は定時的に水分・栄養・医薬品は胃瘻または経鼻経管栄養または点滴による中心静脈栄養から投与する。
      4. 定時的に排泄物のオムツ交換が必要である。
    2. 定時的に誤嚥性肺炎予防のための痰の吸引と口腔ケアが必要である。
    3. 定時的に褥瘡予防のための体位交換が必要である。
  3. 準寝たきり状態
    1. 水分・栄養・医薬品の摂取
      1. 経口摂取が可能な場合は、定時的に水分・栄養の摂取、医薬品の服用の介助。
      2. 経口摂取が限定的に可能な場合は、定時的に水分・栄養の摂取、医薬品の服用の介助と、水分・栄養・医薬品は経管栄養または点滴による中心静脈栄養から投与を併用する。
      3. 経口摂取が困難または不可能な場合は定時的に水分・栄養・医薬品は胃瘻または経鼻経管栄養または点滴による中心静脈栄養から投与する。
      4. 定時的に排泄物のオムツ交換が必要である。
    2. 定時的に誤嚥性肺炎予防のための痰の吸引と口腔ケアが必要である。
    3. 定時的に褥瘡予防のための体位交換が必要である。
    4. 急性期・回復期の患者の場合、急性期病床回復期病床介護老人保健施設における機能回復(リハビリ)訓練で、できる限り、身体機能を回復させる。
    5. 慢性期の患者の場合、日常生活介護訪問看護訪問リハビリ通所介護などによる、起床、車椅子、椅子、ソファ、ベンチ、トイレの便座などでの座位を維持する能力を維持するために、定時的に介助による起床と、車椅子、椅子、ソファ、ベンチでの座位状態維持をする、排泄もトイレの便座で行う。家族による介護や、介護サービス事業者による、介護人員の不足により、座位の維持のためのケアが行なわないと、1か月程度で完全な寝たきりに移行し、クオリティ・オブ・ライフが低下する。

寝たきりになる原因[編集]

寝たきり予防[編集]

20世紀の後半以後、感染症心筋梗塞肺塞栓脳卒中などの血管の閉塞・破裂、循環器呼吸器消化器の臓器の機能障害、免疫の異常、内分泌の異常、代謝の異常、事故などの傷害による、生命の維持の重大な危機から救命・延命する医療技術が著しく向上した結果、20世紀前半以前では救命・延命できずに死に至った疾病・傷害から生命を守ることができるようになったが、自力で起床や移動ができない重大な障害が発生し、機能回復の治療や訓練によっても回復できず、寝たきりという重大な障害を持って生きている人が多数発生する状況になった。

遷延性意識障害は、世界保健機関[1][2][3]PubMed[4][5]アメリカ合衆国政府[6][7]、アメリカ合衆国の保健福祉省[8]イギリスのDepartment of HealthのNHS[9]、日本の厚生労働省[10]などの資料により世界の多くの国や地域に広く存在することが確認されている。

寝たきりは世界保健機関[11][12]、臨床論文[13]、アメリカ合衆国政府[14]、アメリカ合衆国の保健福祉省[15]、イギリスのDepartment of HealthのNHS[16]、日本の厚生労働省[17]などの資料により世界の多くの国や地域に広く存在することが確認されている。

世界保健機関[1][2][3][11]、PubMed[4][5][13]、アメリカ合衆国政府[6][7][14]、アメリカ合衆国の保健福祉省[7][15]、イギリスのDepartment of HealthのNHS[9][16]、日本の厚生労働省[10][17]は、寝たきり状態になることの予防、寝たきりからの機能回復、寝たきり状態での機能維持をのための医療や介護を推奨している。

永続または一時的に寝たきりまたは植物状態だった有名人[編集]

使用して、物理学者としての活動を継続していたが[20][21]、寝たきりになってから33年後の2018年3月時点に、76歳で死亡した(死因は公開されていない)。

  • モハメド・アリ(1942年1月生~2016年6月没)アメリカ合衆国のプロボクサー・世界ヘビー級チャンピオン。1984年に42歳でパーキンソン病を発症し、1996年アトランタオリンピックの開会式で聖火台へ点火した時には両腕手が不随意運動している状態であり、正確な時期は公開されていないが晩年は寝たきりになり[22]、発病から34年後の2016年に76歳で敗血症で死亡した。
  • 松本サリン事件の被害者である河野澄子は、1994年6月に46歳でサリンの被害により一時的に心肺停止し、病院での蘇生措置で心拍と自発呼吸は再開したが意識は回復せず、経管栄養療法で生命を維持していたが、意識を回復することなく、事件から14年後の2008年8月に60歳で低酸素脳症による多臓器不全で死亡した。
  • インド看護師アルナ・シャンバグ(Aruna Shanbaug)は1973年11月(24歳)に性犯罪の被害で植物状態になり、意識が回復しない状態で経管栄養療法で41年6月生存し、2015年5月に(66歳)で肺炎で死亡した[23][24]
  • カレン・クィンラン(1954年3月生~1985年6月没)アメリカ合衆国は1975年に21歳で薬物の影響で一時的な心肺停止状態になり、その後蘇生措置で心拍は再開したが植物状態になり、人工呼吸器経管栄養で生命維持されていた。両親はカレンを安楽死させたいと人工呼吸器の取り外しを主張したが、医師団が拒否したので、人工呼吸器の取り外しを求める訴訟を起こし、裁判所はカレンの両親の主張を認めて人工呼吸器の取り外しを承認する判決をした。判決に基づいて、医師団が人工呼吸器を取り外したが、カレンに自発呼吸能力が維持されていたので、その後も経管栄養療法により9年間生き続けて、植物状態になってから10年後の1985年に31歳で肺炎で死亡した。
  • ヨハン・フリーゾ・ファン・オラニエ=ナッサウ(1968年生~2013年8月没)オランダ王子 2012年2月(43歳)にオーストリアでスキー中に雪崩に巻き込まれて低酸素脳症で遷延性意識障害になり、2012年3月にロンドンの病院に転院して遷延性意識障害からの回復のための治療を受けていたが、2013年7月に意識が回復しないまま退院してオランダのハーグの自宅に戻され、遷延性意識障害になってから1年6か月後の2013年8月に44歳で低酸素脳症による多臓器不全で死亡した[25][26]
  • ミハエル・シューマッハ(1969年1月生~)ドイツの自動車レースドライバー 2013年12月に44歳でフランスでスキー中の事故で外傷性の遷延性意識障害になり、遷延性意識障害になってから6か月後の2014年6月に45歳で意識を回復してリハビリを開始し、遷延性意識障害になってから9か月後の2014年9月に45歳で退院して自宅療養に移行したが、2014年1月5日時点で事故以前の意識状態までは回復していない[27][28][29][30][31]
  • ジェイソン・ベッカー(1969年7月生~)アメリカ合衆国の作曲家・ギタリスト 1990年に21歳で筋萎縮性側索硬化症になり、1996年に27歳で気管切開して人工呼吸器を設置、胃瘻設置、寝たきりになったが、眼球の動きを利用した意思伝達により、音楽の創作活動を続け、寝たきりになってから2017年8月時点で、48歳で21年間生命維持中である。
  • ジュール・ビアンキ(1989年8月生~2015年7月没)フランスの自動車レースドライバー 2014年10月に25歳で日本でF1レース中の事故で外傷性のびまん性軸索損傷、遷延性意識障害になり、2014年11月(25歳)にフランスの病院に転院して、遷延性意識障害からの回復のための治療を受けていたが、2015年7月に25歳で死亡した[32][33]


遷延性意識障害者の生命維持に関する紛争[編集]

植物状態の患者に対して、胃瘻経管、食道経管、経鼻経管、経口経管などの経管栄養療法で、水分や栄養の投与や、自発呼吸能力を喪失している場合は、気管切開とカニューレと体外人工呼吸器の装着による意識回復のための治療、または、生命維持のための治療を継続するか、治療を中止して消極的に安楽死をさせるか、患者本人の事前意思表示がある場合は、その意思表示に基づいて治療方法が選択されるが、患者本人の事前意思表示がない場合は、患者にとって最も親等が近い家族である父・母・夫・妻・子の間で考え方の差異により、意見が対立して合意が形成できない状況になり、訴訟になり裁判で決着することもある。

遷延性意識障害を参照。

脚注[編集]

  1. ^ a b WHO>2013 ICD-10-CM Diagnosis Codes>Symptoms, signs and abnormal clinical and laboratory findings, not elsewhere classified R00-R99>Symptoms and signs involving cognition, perception, emotional state and behavior R40-R46>Somnolence, stupor and coma R40
  2. ^ a b WHO>Search>persistent vegetative state
  3. ^ a b WHO>Search>vegetative state
  4. ^ a b National Center for Biotechnology Information U.S. National Library of Medicine>PubMed>Search>persistent vegetative state
  5. ^ a b National Center for Biotechnology Information U.S. National Library of Medicine>PubMed>Search>vegetative state
  6. ^ a b U.S. government's official web portal>Search>persistent vegetative state
  7. ^ a b c U.S. government's official web portal>Search>vegetative state
  8. ^ U.S. Department of Health and Human Services>vegetative state
  9. ^ a b National Institute for Health and Care Excellence>Evidence Search>vegetative state
  10. ^ a b 厚生労働省>サイト内検索>遷延性意識障害
  11. ^ a b WHO>2013 ICD-10-CM Diagnosis Codes>Factors influencing health status and contact with health services Z00-Z99>Persons encountering health services in other circumstances Z69-Z76>Problems related to care provider dependency Z74-
  12. ^ WHO>Search>bedridden
  13. ^ a b National Center for Biotechnology Information U.S. National Library of Medicine>PubMed>Search>bedridden
  14. ^ a b U.S. government's official web portal>Search>bedridden
  15. ^ a b US>DoHHS>Search>bedridden
  16. ^ a b National Institute for Health and Care Excellence>Evidence Search>bedridden
  17. ^ a b 厚生労働省>サイト内検索>寝たきり
  18. ^ CBS News>Reagan, 93, Sets Longevity Record
  19. ^ a b c m3.comトップ>医療維新>インタビュー>日本の医療費は抑制すべき-徳田虎雄・徳洲会理事長に聞く Vol.1
  20. ^ Stephen Hawking Official Website
  21. ^ tephen Hawking Official Website>Brief Biography
  22. ^ ODYSSEY>Muhammad Ali: An Outspoken Legend Passes Away
  23. ^ AFP>2015年05月19日
  24. ^ アルナ・シャンバグ事件
  25. ^ AFP>2013年8月13日
  26. ^ CNN>2013年8月13日
  27. ^ F1-Gate>ミハエル・シューマッハ
  28. ^ Topnews>ミハエル・シューマッハ
  29. ^ Topnews>ミハエル・シューマッハ>2014年11月24日>シューマッハの状態、「進歩」しているとマネージャー
  30. ^ Topnews>ミハエル・シューマッハ>2014年12月29日>シューマッハ関係者が最近の報道に反論
  31. ^ Topnews>ミハエル・シューマッハ>2015年1月1日>シューマッハ、涙で家族に反応
  32. ^ F1-Gate>ジュール・ビアンキ
  33. ^ Topnews>ジュール・ビアンキ

関連項目[編集]