卍固め

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ザ・グレート・サスケによる卍固め。

卍固め(まんじがため)は、プロレス技の一種である。本来はヨーロッパグレイプヴァイン・ストレッチGrapevine Stretch)と呼ばれていた技である。

メキシコルチャリブレでも古典的なジャベの一種でありセラヘーラと呼ぶ(後述)。日本では使い手のアントニオ猪木にちなんでアントニオ・スペシャルAntonio Special)とも呼ばれる。

概要[編集]

技のかけ方は対戦相手を前かがみにした状態で、その相手の横に立つ。技をかけるレスラーの脚のうち、対戦相手に対し腰側にある片脚を、相手の手前側にある脚に絡め、残りの脚(相手の頭側にある脚)を対戦相手の頭部に引っ掛けた状態で相手の片腕(自分に対し外側になる腕)を相手の背中側に直角に曲げ、自らの片腋に抱え込む。肩と脇腹に最もダメージを加えることができて腰や首筋などにも痛みを与えることができる。完全な形で極まった場合は相手の体の上に乗り上げる状態になり両足はマットに着かない。

欧州マットでは古くから存在していた技であり、特にイギリス出身レスラーが好んで使用することで知られた。日本での公開は1968年12月13日の日本プロレス後楽園ホール大会でアントニオ猪木が使用したのが最初とされる。当時の報道ではコブラツイストが猪木だけでなく他のレスラーも好んで用いるほど一般化してしまったため、より威力のある卍固めを開発したと解説されている。オクトパス・ホールドOctopoda Hold)の名称は猪木が、この技をかける様子がまるでタコが何かに絡まるように見えたことからレフェリーの沖識名が名づけた[1]。後にこの技が猪木の代名詞となるにつれて技名の一般公募が日本プロレスの中継局であった日本テレビの番組『日本プロレス中継』を通じて行われて[2]技を掛けている様子が漢字の「」に似ていたことから卍固めが新たな技名となった[3]

軽量であるほど完成した際の姿が美しいことからジュニアヘビー級選手や女子レスラーにも使い手が多い。ただし、体勢が崩れた方が大きいダメージが期待出来るため、しばしばプロレスに存在する「見せ技」の代表格の一つとして名を挙げられる。例を挙げると漫画『グラップラー刃牙』で範馬刃牙が卍固めを完全な形で極められるも、こともなげに脱出してみせて「見た目にこだわっているため、訓練を積んだ競技者には通用しない」と否定的な意見を述べる場面がある。

主な使用者[編集]

派生技[編集]

ストレッチ・オーバー・アーム・バー
1977年頃、異種格闘技戦用の秘密技という名目でアントニオ猪木が開発したオリジナル技。。卍固めに更に改良を加えた技として新・卍固めという呼称で紹介された。しかし、観客からの評価は思いの他低く、なかなか定着せず使用回数が減り、さほど時を要さず封印された。相手の横側に同じ方向を向いて立ち、相手を前かがみにさせる。相手の自分側の腕を相手より外側にある自分の片脚の腿の上に乗せて、さらに、その相手の肩に、相手寄りの片脚を掛ける。その状態のまま相手の外側にある片腕を両腕捕まえて背面側に折り曲げて締め上げる。若松市政SWS時代にKYスペシャルの名称で使用。小島聡が、うつ伏せの相手に仕掛ける同型の技をコジMAXホールドの名称で使用。漫画『キン肉マン』ではネプチューンマン喧嘩(クオーラル)スペシャルの名称で使用。
空中卍固め
マットに足を着けずに体重を掛けてダメージの増加を図る。鈴木みのるはトップロープで出したこともある。ただし、前述の通り、元々卍固めは完成した際に両足が浮いた状態になる技である。アントニオ猪木はほとんどの場合は両足を浮かせて極めている。
極反り卍固め
自分の上半身がマットと平行になるほど背中を反らせて極める卍固め。
グラウンド卍固め
両者がマットに寝ている状態で繰り出す。河津落としからの連携技で使用される場合も多い。
ヨーロッパ式卍固め
途中までは通常の卍固めと同じだが相手の腕にぶら下がるように体重を後方へかけることでダメージの増加を図る。
セラヘーラ
メキシコ式卍固めとも呼ばれる。通常の卍固めからスイッチして相手の首を両脚で挟み込み、三角絞めに似た体勢に捕える。
リンギーナ
リンゴ・メンドーサのオリジナル技。左手で掴んだ相手の左腕をハンマーロックに固めて右手で掴んで持ち上げた相手の右腕を自身の首の後ろに引っ掛けて相手の右足の内側に正面から自身の左足を引っ掛けて相手もろとも体を前方に転がして尻餅をつく態勢になった相手の首の後ろに右足の脹脛を引っ掛けて相手の左手首を両手で掴んで相手の肩、首、背中などを痛めつける。アップルみゆきリンゴ・デ・レイナの名称で使用。
X固め
大木金太郎のオリジナル技。首に脚をかけず、相手の後頭部へ立てた膝を押し付けることによって脱出を困難にする。
クリスト
ドラゴン・キッドのオリジナル技。デジャヴの途中で回転を止めて腕の関節を取り、中腰になった相手の頭を首4の字固めで締め上げる。相手を十字に架けられたキリストに見立てて命名。K-ness.は、これの切り返し技を開発してキリストを裏切ったイスカリオテのユダからユダと命名してキッドがユダを切り返してクリストに移行するとクリスト・アゲインになる。
腕極め卍固め
柴田勝頼が考案してKENTAに寄贈したオリジナル技。見た目は通常の卍固めとほぼ同じであるが通常式は相手の片腕を腋に抱え込むだけであるのに対して、この技は抱え込んでいる腕の肘関節の逆関節を取り、極めている。
フロム・ジャングル
吉野正人のオリジナル技。コルバタの回転の途中で空中卍固めに移行する。ヨシタツ介錯の名称で使用。
変形卍固め
大柳錦也のオリジナル技。相手の体を弓矢固めに捕らえて左手で相手の右腕を抱え直して自分の左足を相手の頭部にフックさせて相手の首と腰を痛めつける。
最強変形卍固め
大柳錦也のオリジナル技。仰向けになった相手の足の側に立って相手の左腕を右手で左足を左手で掴み、相手の左腕を膝の間に挟みこむように相手の左足を折りたたんで右手を掴んで折り曲げた相手の右足を相手の左足の上へと乗せて、うつぶせにひっくり返した相手の左サイドへと移動して相手の右足首に自分の右足を相手の首の後ろに左足を、それぞれ引っ掛けて相手の首、左腕、両足をロックして相手の右腕を左脇に抱え込んで相手の体を痛めつける。
卍コブラ
宮本裕向のオリジナル技。コブラツイストの要領で手足を絡めて持ち上げた自分の右足を相手の右骨盤あたりに引っ掛けて相手の体を締め上げる[4]
三脚巴
石川晋也のオリジナル技。卍固めの体勢から両腕で相手の左腕をつかみ、後方へ反って締め上げる。
パーフェクト卍固め
TORUのオリジナル技。前屈みになった相手の股の間に腿の裏の方から右腕を差し込み、その手で正面にある相手の左腕を掴んでロックして相手の左足の内側に自分の右足を相手の首の後ろに左足を順々に引っ掛けて相手の右腕を左脇に抱え込んで相手の体を締め上げる。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 2010年5月21日放送『金曜プレステージ・みんなの教科SHOW』(フジテレビ)において徳光和夫が証言。
  2. ^ 週刊プロレスSPECIAL 日本プロレス事件史 Vol.2 P20(ベースボール・マガジン社、2014年)
  3. ^ 公募の中には葡萄蔓固めなど様々な技名が寄せられた
  4. ^ 「選手本人が語る21世紀の技解説 vol.114 卍コブラ」、週刊プロレスNo.1730、平成26年3月26日号(3月12日発行)、45頁、2014年。

関連項目[編集]