普通高等学校招生全国統一考試

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普通高等学校招生全国統一考試
National Higher Education Entrance Examination NK.JPG
入り口バナー(重慶市南開中学)
各種表記
繁体字 普通高等學校招生全國統一考試
簡体字 普通高等学校招生全国统一考试
拼音 Pǔtōng Gāoděng Xuéxiào Zhāoshēng Quánguó Tǒngyī Kǎoshì
日本語読み: ふつうこうとうがっこうしょうせいぜんこくとういつこうし
英文 National College Entrance Examination
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普通高等学校招生全国統一考試(ふつうこうとうがっこうしょうせいぜんこくとういつこうし)は、中国(独自の入試システムを採用している香港特別行政区マカオ特別行政区は除く)で実施されている全国統一大学入学試験である。通称は「高考(ガオカオ)」[1]

毎年の6月7日8日に行われる(一部のでは6月7日から9日の3日間)[注 1]

概要[編集]

高考は1952年に初めて実施[3]された。その後、毛沢東が主導する文化大革命の方針により1966年から1976年まで中止されていたが、毛沢東が死去した翌年の1977年に再開された。

受験生は志望校や専攻を優先順位をつけて複数申し込むことができるが、大学や専攻ごとの試験は原則行われず、この高考の試験結果のみで合否が判断される。

試験期間中、親は受験生を送迎するのが通例となっており、会場となる高校は親をはじめ多くの人でごった返す。会場周辺は交通整理され、一般人は交通機関の利用を自粛する雰囲気もある。テレビでも、受験前の願掛けをする親や、試験後の受験生のインタビューなどをこぞって取り上げる。インターネットで各校の合格点を発表したり、どこに出願すべきかをアドバイスする受験産業も盛んで、試験対策を行う塾に多額の費用をかける親も多い[4]

2021年7月24日、政府は教育費の高騰が出産をためらう理由であるとして、学習塾の非営利団体化や学校での宿題量の制限、受験産業の過剰な宣伝の禁止などを盛り込んだ少子化対策案「双減政策」を公表したが、高考対策を行う高校生向けの塾を規制することは反発を招くことから、小中学生向けのみの規制となった[4][5]

出身地域・民族による差別[編集]

これは、各省・自治区・直轄市ごとに「この点数以下だと大学には入学できない」というものである。具体的には、募集者数の配分が異なるため、大学が多い都市部出身の受験生よりも、大学が少ない地方出身の受験生の方が競争倍率が高くなり、合格の難易度も高くなる[6]。ただし、難易度が高くも同じ試験問題を使用しているため、必ずしも点数が高くなるわけではない。それを原因として都市部で教育を受け、比較的に合格ラインが低い地方にて受験させようとしている状況も存在している。合格ラインが出身地域によって差別される背景には、都市部の失業または過密化問題がある。中国の大学はほとんど国立大学であり、所在地の政府から運営費などを受け取っているための顧慮があるとされている。大学の多い都市部では募集者数が多く、倍率が比較的低いである。そして政府は、地方からの労働者の流入によって都市部の失業率が悪化することを避けたいと思っており、そのため労働者だけでなく、労働者となる前の大学入学者も合格ラインに差をつけることによって流入制限を行っているという説もある[6]。こういった状況にあるため、受験生の親がほかの地域の戸籍を取るまたはほかの地域の学籍を偽造することで、その地に受験させようとする行為も昔に見受けられる[6]

また、少数民族の受験者に加点して優遇するアファーマティブ・アクションも行われており[7]満州族[8]南仁東吉林省理科状元、500メートル球面電波望遠鏡の開発者)やモンゴル族[9]石悦内モンゴル自治区理科状元、ネット番組司会者)やウイグル族アブリキム・アブドゥルスル新疆ウイグル自治区理科状元、元楽視モバイルCEO[10])など少数民族で「状元」(各省・自治区・直轄市における高考の成績最優秀者)出身の各界の著名人も中国に存在する。2009年には重慶でその年の状元を含む受験者が加点を目的に少数民族に偽装して集団摘発された事件(中国語版)が起きて波紋を呼んだ[11]

試験レベル[編集]

日本の倍率を遥かに凌ぐ受験戦争状態に疲弊した中高所得者層の中には、中国や欧米ほど費用のかからないアジアの大学を狙う者もいる[5]。特に東京大学などに大量の中国人が留学してることは「爆買い」を捩って「爆留学」とも形容されている[12][13][14]

不正行為[編集]

毎年数十名が「カンニング」によって摘発されている。手口としては、受験生が問題を携帯電話カメラで撮影・送信し、それを見た外部の人間が盗聴器で回答を伝える、というものなどがある。消しゴムやボールペンに偽装した特殊な無線機器を使い、外部から答えを教える手口も発覚している。当局もカンニングには最大禁錮7年などの刑罰を課し[15]、携帯電話の信号遮断や金属と無線機器を感知する装置、生体認証ドローンなどハイテクの活用でカンニングを取り締まっている[16][17]

また、複雑な制度の盲点を突く手法として、いわゆる「足切り」の点数が各省ごとに差があることを利用する不正行為も存在する。手口としては、足切り点の低い地域の戸籍を購入したり、偽装したりなどして受験をするケースがある。内モンゴル自治区青海省などの教育産業が強くない省で行われてから、相対的な点数優位性を獲得しているという。この行為は中国で「高考移民」「受験移民」と呼ばれている[5]。2021年の「双減政策」により規制が入った[5]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 2020年は新型コロナウイルス感染症の流行の影響で1か月遅れの7月7日から開始された[2]

出典[編集]

  1. ^ 今年の中国統一大学入試出願者1078万人 過去最高更新”. AFPBB News (2021年6月3日). 2021年12月4日閲覧。
  2. ^ きょうから「高考」、コロナで1カ月遅れ”. NNA ASIA (2020年7月7日). 2020年9月8日閲覧。
  3. ^ 回顾1952年新中国首次高考:全国只招五万人”. edu.sina.com.cn. edu.sina.com.cn. 2020年11月25日閲覧。
  4. ^ a b 中国学習塾、非営利団体に転換 政府が教育費抑制へ規制” (日本語). 日本経済新聞 (2021年7月25日). 2021年7月25日閲覧。
  5. ^ a b c d 学歴社会是正へ「入試移民」「進学実績公表」「学力特待生」厳禁、中国当局の本気度” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン. 2022年2月5日閲覧。
  6. ^ a b c 柏木理佳「大学合格ラインが出身で違う?不平等な中国の受験制度」『日経ビジネスオンライン』日経BP社、2008年4月17日付配信
  7. ^ “裸考 人民中国”. 人民中国. (2009年4月24日). http://www.peoplechina.com.cn/home/second/2009-04/24/content_192635.htm 2017年5月12日閲覧。 
  8. ^ 全国创新争先奖章拟表彰名单”. 中華人民共和国科学技術部. 2018年3月19日閲覧。
  9. ^ “36D的斗鱼柳岩, 游戏主播届的一股清流”. 捜狐. (2017年3月21日). https://m.sohu.com/a/129616310_630983/ 2018年3月19日閲覧。 
  10. ^ “乐视移动前CEO阿木加盟联想此前被称乐视最年轻高管”. 新浪. (2017年12月26日). http://tech.sina.com.cn/i/2017-12-26/doc-ifypxrpp4128525.shtml 2018年3月19日閲覧。 
  11. ^ “重庆高考加分乱象:去年裸分排第六者被挤出北大”. 人民網. (2009年7月22日). http://edu.people.com.cn/GB/116076/9700394.html 2018年3月19日閲覧。 
  12. ^ 「爆買い」の次は「爆留学」!? 東大に中国人学生が殺到する理由”. 現代ビジネス (2016年10月23日). 2018年8月16日閲覧。
  13. ^ 中国「爆買い」の次は「爆留学」 過当競争で帰国後に待つ“残酷物語””. 産経ニュース (2017年9月19日). 2018年8月16日閲覧。
  14. ^ 中国・若者たちに広がる「爆留学」厳しい国内避けて日本の大学めざせ”. ジェイ・キャスト (2017年6月9日). 2018年8月16日閲覧。
  15. ^ “中国の大学入試に新規制、カンニングは禁錮刑の可能性”. ロイター. (2017年6月8日). http://jp.reuters.com/article/cheats-idJPKCN0YU0E1 2017年6月11日閲覧。 
  16. ^ “中国の大学入試、カンニング取締りに顔認証技術やドローン投入”. ロイター. (2017年6月9日). https://jp.reuters.com/article/china-exams-idJPKBN1900PB 2017年6月11日閲覧。 
  17. ^ “不正受験撲滅に躍起 無線感知装置、静脈認証…”. 毎日新聞. (2017年6月9日). https://mainichi.jp/articles/20170610/k00/00m/030/097000c 2017年6月10日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]