三河屋製麺

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株式会社三河屋製麺
MikawayaSeimen Corp.
三河屋製麺・本社工場
三河屋製麺・本社工場
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
203-0042
東京都東久留米市八幡町1-9-26
北緯35度45分33.5秒 東経139度30分52.0秒 / 北緯35.759306度 東経139.514444度 / 35.759306; 139.514444座標: 北緯35度45分33.5秒 東経139度30分52.0秒 / 北緯35.759306度 東経139.514444度 / 35.759306; 139.514444
設立 1965年10月1日
業種 製造業
法人番号 6012701004826
事業内容 業務用生中華麺の製造販売
代表者 代表取締役 宮内厳
資本金 4,000万円
決算期 2月末日
外部リンク 三河屋製麺公式ホームページ
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三河屋製麺・製麺商品
三河屋製麺・製麺商品(MLBにて撮影)

三河屋製麺(みかわやせいめん)は、東京都東久留米市八幡町に本社を構える業務用生中華麺の製造を専門とする製麺会社[1]。工場が2ヶ所、配送センターが1ヶ所あり、生産能力は1日10万食[2]:62北海道から沖縄まで[3]約1,000軒[2]:62に卸している[4]。1961年創業。代表取締役は宮内厳[1]

沿革[編集]

  • 1965年(昭和40年)
    • 10月 - 有限会社「三河屋製麺所」を設立[4]
  • 2001年(平成13年)
    • 7月 - 株式会社化に伴って社名を「三河屋製麺」に変更[4]
  • 2003年(平成15年)
    • 4月 - 製麺ラインを整備・拡充するために本社と工場を東久留米市八幡町1丁目に移転[5]
  • 2008年(平成20年)
    • 12月 - 本社の近くで第2工場の稼働を開始[2][6]
  • 2011年(平成23年)
  • 2013年(平成25年)
    • 1月 - 本社工場を移転[4]
  • 2019年(令和元年)
    • 9月 - 東久留米市八幡町2丁目で物流ベースの「MLB」(MikawayaSeimen Logistics Base)の稼働を開始[8]

特徴[編集]

中華麺一本に絞る[編集]

  • 元々はうどん日本そばなど全般的に麺を作っていた[5]。しかし、うどんや日本そばの専門店は自家製麺の場合が多く需要がない。スーパーなどに卸しても大手との価格競争に勝てない。一方、ラーメン店は多くが仕入れた麺を使っている[9][2][6]。そこで、将来を見据えて宮内が社長になった2000年頃から[注 3]生中華麺[12]:77一本に絞る[4]

求められる麺を追求[編集]

  • 宮内は、取引先を開拓すべくひたすら店を訪ねて歩いたが、当初は知名度がなく、アイテム(製品)も少ないため門前払いばかり[2][6]。それでも吉祥寺のあるラーメン店の店主[13]:31の感想[14]:149をヒントに小麦かんすいの種類、塩や水の配合を変え、何度も違う麺を作り直し、足繁く通った[4]。「職人のこだわり」に寄り添うこと[15][10][14]:162、「(麺は)スープとの相性」が大切であること[16]:2[17]:86を実感した出来事であった[18][2][6]
  • これを切っ掛けに中華麺では後発であるが、その不利な条件を克服し、取引先を開拓[注 4]していくため「オーダーメイドの麺」「特注麺」を作るという方策[20]を取るようになった[5]。店主の話に真摯に耳を傾け、その要望に可能な限り応えるというスタイル[15][10]は積み重ねることで徐々に評価されるようになる[注 5][8][14][5]
  • 1999年に知人の紹介で「支那そばや」(横浜市戸塚区)の創業者である佐野実と出会う[18]。同店は自家製麺[24][17]を使用していたが、2000年の「新横浜ラーメン博物館」に出店の際[11]、佐野から「その店には麺を卸して欲しい」との依頼を受け[10][18]、取引を行った。1年後、その店との取引はなくなったが、佐野が取引先を紹介してくれたり、「ラーメンの鬼[25][26][27]が三河屋製麺の麺を使用していた」ということが広まったりしたことで、取引先が増えていった[18]。現在は、新旧・ジャンルを問わず、数多の老舗や実力店(TRYラーメン大賞[注 6]受賞店[28][29]ミシュランガイド掲載店[30][31][29]など)[32]に供給している。メディアで取引先が取り上げられる中で、三河屋製麺製の麺を使用している旨も紹介され、その機会が増えることにより、三河屋製麺の名が全国へ広く認知[33][34][10]されるようになった[5]

ブレない麺を毎日作る[編集]

  • 中華麺は、同じ原料を使い、同じ作業工程を踏んだとしても、小麦粉の状態や天候などの微妙な変化で仕上がりが大きく左右される(「麺は生きもの」[20]:36[17]。それをいかにコントロールし、決められた麺を安定供給できるかが重要である[14][5]。宮内は、それを実現するため、工場内の環境を整え[2][6]、安定した麺(「安定した品質」[14]:162)を作ることに注力している[35][4]
  • 2018年6月に食品の安全に関する国際標準規格「ISO22000」[7]を取得。美味しさだけではなく、安心で「高い安全性」[14]:162にも配慮した製品作りにも努めている[4]

宮内厳について[編集]

  • 宮内は東京都東久留米市出身[13][36]。高等専門学校を卒業後、日立製作所に就職し、官公庁向けソフトウェアの開発などに携わる。1993年に父親が社長を務めていた三河屋製麺所に入社[13]。2000年から社長を務める[13][36][4]

メディア[編集]

  • 2013年3月 - ヒットの秘密BIZ[37]
  • 2020年11月 - 鬼旨ラーメンGP秋[42]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 登録番号:第5455217号、登録日:2011年12月2日、権利者:株式会社三河屋製麺
  2. ^ 認証機関:DNVビジネスアシュアランス、認証番号:265031-2018-AFSMS-JPN-RvA、適用:三河屋製麺、対象:【本社工場】生麺の製造 カテゴリCII、【第2工場】生麺の製造 カテゴリCII、【MLB】生麺の流通 カテゴリCII
  3. ^ 1996年に「96年組」と言われる麺屋武蔵新宿区西新宿)、青葉中野区中野)、くじら軒(横浜市都筑区)などがオープンし、2000年に「ご当人ラーメン」が流行るなどラーメン業界が盛り上がっていた時期でもあった[8][10][11]
  4. ^ 大崎裕史は「(2000年の初めの頃、)…製麺所のブランド力が注目されるようになった。…東京は、東京中華麺組合に加盟している製麺所がほとんどであった。組合員同士に競争が無く、トレンドに合わせた技術革新が遅れて、麺が進化しない時代が長く続いていた。(そのような中で)非組合員の三河屋製麺が新規開拓で勢力を伸ばしていくことで刺激となり(製麺業界が)活性化していった。」と述べている[19]:73
  5. ^ 麺の開発は、店主との二人三脚で進められるが、その工程は店主の個性によって様々。麺の試作も店によって回数が大きく異なるが、近年で特に開発に時間をかけたのが「二代目つじ田」(千代田区神田小川町[21]である[22]。麺の幅・厚みを0.1ミリ単位で調整し、食感とのバランスを取りながら使用される麺に落ち着くまで数十種類のサンプルを作った[5]:73[18][23]
  6. ^ 雑誌「TOKYO★1週間」誌上で始まった、ラーメン業界最高権威のアワードとなるTRY(トライ/Tokyo Ramen of the Yearの略称)のこと[28]

出典[編集]

  1. ^ a b 三河屋製麺公式ホームページ”. 三河屋製麺. 2021年7月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 『おとなの週末2021年2月号』講談社、2021年1月15日。ASIN B08R7XYH4W 
  3. ^ たまろくと人図鑑”. J:COM. 2021年7月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j 『リーダーに聞く(読売新聞)』読売新聞社、2018年8月7日。 
  5. ^ a b c d e f g h 『プロのためのラーメンの本2』柴田書店、2008年8月22日。ISBN 4388801100 
  6. ^ a b c d e 東京製麺所物語(2)三河屋製麺編【麺を堪能できるお店情報付き】”. おとなの週末. 2021年7月4日閲覧。
  7. ^ a b DNV認定証明書”. DNVビジネスアシュアランス. 2021年7月17日閲覧。
  8. ^ a b c 第3回株式会社三河屋製麺(令和2年1月31日)”. 東久留米市. 2021年7月4日閲覧。
  9. ^ はんつ遠藤のラーメン教室】第5回:麺にハマると奥が深すぎて抜け出せない”. 宅麺.com. 2021年7月31日閲覧。
  10. ^ a b c d e ラーメン屋開業者必見!「製麺所の麺」と「自家製麺」はどう違うの?製麺所に聞いてみた”. 店通. 2021年7月4日閲覧。
  11. ^ a b 石神秀幸『ラーメン最強うんちく』晋遊舎、2014年6月20日。ISBN 4801800114 
  12. ^ 川口友万『ラーメンを科学する』カンゼン、2017年12月18日。ISBN 4862554423 
  13. ^ a b c d 『dancyu2009年2月号』プレジデント社、2009年1月6日。ASIN B001NYU0KC 
  14. ^ a b c d e f 『ラーメン プロの技術』柴田出版、2010年9月2日。ISBN 4388807605 
  15. ^ a b 頑固なラーメン店主がこぞって使う、三河屋製麺の麺は何が違うか?”. MAG2NEWS. 2021年7月4日閲覧。
  16. ^ 『うわさの味ラーメン首都圏版』日本出版社、1999年10月1日。ISBN 4890486054 
  17. ^ a b c 『繁盛ラーメン店から学ぶ自家製麺の技術』旭屋出版、2011年12月1日。ISBN 4751109529 
  18. ^ a b c d e f 日本列島 名前の旅・スゴ~イ宮内さん”. TV出た蔵. 2021年3月13日閲覧。
  19. ^ 大崎裕史『日本ラーメン秘史』日本経済新聞出版、2011年10月12日。ISBN 4532260817 
  20. ^ a b 『自家製麺の技術 ラーメン・そば・うどん』旭屋出版、2006年4月1日。ISBN 4751105817 
  21. ^ つじ田のこだわり”. つじ田公式ホームページ. 2021年8月1日閲覧。
  22. ^ 『東京ウォーカー(1/18→1/31)』KADOKAWA、2006年1月17日。 
  23. ^ 「ぬるい!」と激怒され作り直しも つけ麺のパイオニア「つじ田」の知られざる過去”. AERAdot.. 2021年8月9日閲覧。
  24. ^ 垣東充生『湯気のむこうの伝説』新宿書房、2000年12月1日。ISBN 4880082678 
  25. ^ 長谷川圭介『ラーメンをつくる人 東京』エイチエス、2016年7月6日。ISBN 4903707709 
  26. ^ 勝谷誠彦『破壊者』日経BP、2003年1月11日。ISBN 4822243044 
  27. ^ 第123回 “ラーメンの鬼”から継承した極上醤油ラーメン!鷺ノ宮『らぁ麺 すぎ本』”. ラーメンWalker. 2021年8月21日閲覧。
  28. ^ a b 『TOKYO★1週間no361』講談社、2007年11月20日。 
  29. ^ a b お客様の声”. 三河屋製麺公式HP. 2021年7月31日閲覧。
  30. ^ 【東久留米市】この自販機は自粛致しません!!『三河屋製麺』の横に「冷凍ラーメンの自動販売機」が設置されました。”. 号外NET. 2021年7月31日閲覧。
  31. ^ 東久留米に冷凍ラーメン自販機 製麺会社が取引先ラーメン店のメニューを商品化”. 北多摩経済新聞. 2021年8月21日閲覧。
  32. ^ 東京の製麺所”. らーめん自由区. 2021年7月31日閲覧。
  33. ^ 西尾了一『ラーメン大全』旭屋出版、2021年6月9日、102頁。 
  34. ^ 田村英樹『本気のラーメン店開業バイブル』翔泳社、2016年6月16日、91頁。ISBN 4798146382 
  35. ^ 『TOKYO★1週間2008年5月6日号』講談社、2008年。 
  36. ^ a b 『dancyu2018年4月号』プレジデント社、2018年3月6日。ASIN B079VDV9M2 
  37. ^ らあめんHAJIME”. TVでた蔵. 2021年7月3日閲覧。
  38. ^ 〜ラーメンの謎SP…大量の豚骨を驚き再利用&特注麺200種も作る工場!”. TVでた蔵. 2021年7月3日閲覧。
  39. ^ 笑ってこらえて名前の旅、三河屋製麺についてや通販、東京のラーメン屋で使用しているお店のおすすめ5選”. 知りたいことをしらべる. 2021年7月4日閲覧。
  40. ^ SP カレンの年一ラーメン大決定SP!奇跡が起きる…!?”. TVでた蔵. 2020年2月21日閲覧。
  41. ^ ギャル曽根爆食い番付・赤坂坦々麺編!今夜1位が決定!”. TVでた蔵. 2021年7月3日閲覧。
  42. ^ 東京 野方駅「味噌麺処 花道」”. TVでた蔵. 2021年7月3日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]