三島家 (薩摩藩士の家系)

三島家
	折敷に縮み三文字
本姓	越智宿禰
種別	武家; 華族（子爵）
著名な人物	三島通庸; 三島弥彦
	凡例 / Category:日本の氏族

三島家（みしまけ）は、代々薩摩藩の藩士として仕えた武家^[2]。華族としての爵位は子爵^[3]。

歴史

概要

越智姓河野氏の後裔で、通字は河野氏と同じく「通」（みち）。幼名には「彌 / 弥」（や）の字も多用される。

近世

島津家の御能方太鼓役を代々務めた^[4]。石高は49石9斗で、家として御小姓与に属していた^[4]。

三島通純は、鼓の師範であり、忠義一徹の家臣として藩主の覚えめでたく、数右衛門の名を賜ったという^[4]。

近代

→詳細は「三島通庸」、「三島弥太郎」、「三島弥彦」、および「三島通陽」を参照

通庸は、酒田県令・鶴岡県令・山形県令・福島県令・栃木県令を歴任し、警視総監に至った^[2]。この勲功により、1887年（明治20年）5月24日、特旨を以て華族に列せられ^[5]、子爵に叙された^[6]。翌年（明治21年）10月23日、警視総監在任中に薨去した^[3]^[7]。

通庸の長男弥太郎は、同年12月13日に家督を継承した^[3]^[8]。弥太郎は貴族院議員、横浜正金銀行頭取を歴任し、日本銀行総裁に至った^[9]。1919年（大正8年）3月7日、日本銀行総裁在任中に薨去した^[3]。

通庸の五男弥彦は、昭和17年（1942年）10月27日に分家した^[2]。

弥太郎の長男通陽は、父死後の1919年（大正8年）3月31日に家督を継承した^[3]^[10]。通陽は、女子三人に恵まれたが嗣子が無かった^[3]。そこで、平田栄二の三男である平田義温を長女昌子の婿養子に迎え^[3]、1942年（昭和17年）11月5日の届け出に依り改姓した^[11]。

現代

1947年（昭和22年）5月3日、日本国憲法が施行されたことにより華族制度が廃止され、通陽は爵位を喪失した。通陽は1965年（昭和40年）4月20日に亡くなった^[3]。

義温の長男通文は、2014年（平成26年）6月2日、高祖父通庸が初代山形県令を務めた関係で「やまがた特命観光・つや姫大使」に就任した^{[* 1]}。同年10月12日、通庸を祭神の一柱に数える三島神社に於いて例大祭と共に125年祭が相馬秀和宮司の下斎行され、通文・淑子夫妻が参列し、

きつね鳴く那須野が原も今年より稲穂そよぎて秋風ぞふく

という通庸の歌が刻まれた碑が除幕された^{[+ 1]}。

通文の長男通弘は、ホテル勤務時、捕鯨に反対の立場を表明している^{[+ 2]}。

ギャラリー

三島家の人々

三島通庸
三島弥太郎
三島弥彦
三島通陽

三島家の墓地

三島通庸墓（青山霊園）

大衆文化作品における三島家

1898年（明治31年）から1899年（明治32年）にかけて『國民新聞』に掲載された徳冨蘆花の小説『不如帰』は、三島家の話がモデルになったとされている。

富田常雄の長編小説『姿三四郎』では、警視総監としての通庸が登場する。

2019年（平成31年 / 令和元年）、NHK 大河ドラマ第58作『いだてん〜東京オリムピック噺〜』が放送され、これに通庸死後の三島家の様子が描かれた。三島弥彦役を生田斗真^{[* 2]}、三島弥太郎役を小澤征悦^{[* 3]}、三島和歌子役を白石加代子^{[* 3]}、また三島家に仕える女中・シマ役を杉咲花が演じた^{[* 2]}。また、三島弥太郎邸として六華苑で撮影された^{[* 4]}。

2021年（令和3年）の大河ドラマ第60作『青天を衝け』では、松村龍之介演じる薩摩藩士時代の通庸が登場した^{[* 5]}。

系譜

『人事興信録』第37版、下巻, p. み30、『平成新修旧華族家系大成』下巻, pp. 671–672を参照。
系譜の構成上、出生順は考慮していない。
和歌子の実子と庶子の区別を省略したため、二人の間から線分は出していない。

三島通純

秀

通庸

和歌子
^{[注 1]}

通徳

ぬい

信子
^{[注 2]}

弥太郎

加根子
^{[注 3]}

園子
^{[注 4]}

峰子
^{[注 5]}

竹子
^{[注 6]}

鶴子
^{[注 7]}

千代子
^{[注 8]}

繁子
^{[注 9]}

彌彦

文子
^{[注 10]}

豊澤彌二
^{[注 11]}

彌六

彌吉
^{[注 12]}

岡彌十二
^{[注 13]}

通陽

純
^{[注 14]}

壽子
^{[注 15]}

梅子
^{[注 16]}

通隆

隆子
^{[注 17]}

通直

まり子
^{[注 18]}

義温
^{[注 19]}

昌子

謹子
^{[注 20]}

美彌子
^{[注 21]}

通洋

祝子
^{[注 22]}

弥栄子

美保子

通利

由紀子
^{[注 23]}

吉村原夫
^{[注 24]}

通文

淑子
^{[注 25]}

紘子
^{[注 26]}

通義

美砂子

美佳子
^{[注 27]}

通弘

有紀子

徳子

嘉奈子

系譜脚注

^ 柴山権助次女。
^ 大山巌長女。
^ 四条隆謌四女。
^ 秋月左都夫室。
^ 牧野伸顕室。
^ 日高栄三郎室。
^ 日野資秀室。
^ 西村寅三室。
^ 中村進午室。
^ 鍋島直柔五女。
^ 豊澤曾與養子。
^ 村井吉兵衛婿養子、のち離縁。
^ 岡貞一養子。
^ 松岡均平長女。
^ 阪谷希一室。
^ 土方与志室。
^ 越英之助女。
^ 吉村侃・幸夫妻の娘^[12]。
^ 平田栄二三男。
^ 向山智英室。
^ 八馬啓室。
^ 松平義明次女^[13]。
^ 旧姓は東^[12]。
^ 吉村家養子^[12]。妻は碓氷美智子^[12]。
^ 能美正次女。
^ 西澤武久室。
^ 川崎智幸室。川崎皇輝・星輝母。

脚注

[脚注の使い方]

書籍出典

^ 『鹿児島県姓氏家系大辞典』, p. 727.
^ ^a ^b ^c 『平成新修旧華族家系大成』下巻, p. 672.
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h 『平成新修旧華族家系大成』下巻, p. 671.
^ ^a ^b ^c 『評伝三島通庸』, p. 21.
^ 『官報』第1169号, p. 2, 「授爵及辞令」.
^ 『官報』第1169号, p. 1, 「授爵及辞令」.
^ 『官報』第1597号, p. 3, 「彙報（官庁事項）：警視總監薨去及判事死去」.
^ 『官報』第1639号, p. 2, 「辞令」.
^ 『平成新修旧華族家系大成』下巻, pp. 671–672.
^ 『官報』第1996号, p. 56, 「叙任及辞令」.
^ 『官報』第4753号, p. 13, 「彙報（官庁事項）：官吏改姓」.
^ ^a ^b ^c ^d 『三島弥彦』, p. 248.
^ 『平成新修旧華族家系大成』下巻, pp. 607–608.

ウェブ新聞出典

^ 「那須塩原・三島神社で三島通庸１２５年祭　開拓の礎築く」『産経NEWS』産業経済新聞社、2014年10月13日。オリジナルの2023年9月20日時点におけるアーカイブ。
^ 「捕鯨に賛成？それとも反対？」『英国ニュースダイジェスト』英国ニュースダイジェスト。オリジナルの2023年9月20日時点におけるアーカイブ。

ウェブサイト出典

^ “初代山形県令三島通庸子爵ご子孫の「やまがた特命観光・つや姫大使」ご就任について”. JPubb. REDCRUISE (2019年5月29日). 2023年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。
^ ^a ^b “《2019年大河ドラマ》出演者発表第１弾！”. NHK PR. 日本放送協会 (2017年11月1日). 2017年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。
^ ^a ^b “《2019年大河ドラマ》出演者発表第３弾！”. NHK PR. 日本放送協会 (2018年3月30日). 2018年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。
^ “2019年NHK大河ドラマ「いだてん」に六華苑が登場しました！”. 六華苑NEWS. 六華苑 (2019年8月21日). 2023年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月30日閲覧。
^ 松村龍之介 [@matsumuranosuke] (2021年4月23日). "【お知らせ】". 2021年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。X（旧Twitter）より2023年9月21日閲覧。

参考文献

系譜・辞典

『人事興信録』下巻、武内重雄編（37版）、人事興信所、1993年。
『平成新修旧華族家系大成』下巻、霞会館編、吉川弘文館、1996年。
『鹿児島県姓氏家系大辞典』鹿児島県姓氏家系大辞典編纂委員会、角川書店〈角川日本姓氏歴史人物大辞典46〉、1995年。

伝記

『評伝三島通庸：明治新政府で辣腕をふるった内務官僚』幕内満雄著、暁印書館、2010年。
『日本初のオリンピック代表選手三島弥彦：伝記と史料』尚友倶楽部史料調査室・内藤一成・長谷川怜編集、芙蓉書房出版〈尚友ブックレット34〉、2019年。

官報

『官報』第1169号、1887年5月25日。
『官報』第1597号、1888年10月24日。
『官報』第1639号、1888年12月14日。
『官報』第1996号、1919年4月1日。
『官報』第4753号、1942年11月13日。

[19] 柴山権助次女。

[20] 大山巌長女。

[21] 四条隆謌四女。

[22] 秋月左都夫室。

[23] 牧野伸顕室。

[24] 日高栄三郎室。

[25] 日野資秀室。

[26] 西村寅三室。

[27] 中村進午室。

[28] 鍋島直柔五女。

[29] 豊澤曾與養子。

[30] 村井吉兵衛婿養子、のち離縁。

[31] 岡貞一養子。

[32] 松岡均平長女。

[33] 阪谷希一室。

[34] 土方与志室。

[35] 越英之助女。

[37] 吉村侃・幸夫妻の娘^[12]。

[38] 平田栄二三男。

[39] 向山智英室。

[40] 八馬啓室。

[42] 松平義明次女^[13]。

[43] 旧姓は東^[12]。

[44] 吉村家養子^[12]。妻は碓氷美智子^[12]。

[45] 能美正次女。

[46] 西澤武久室。

[47] 川崎智幸室。川崎皇輝・星輝母。

[FOOTNOTE『鹿児島県姓氏家系大辞典』727-1] 『鹿児島県姓氏家系大辞典』, p. 727.

[FOOTNOTE『平成新修旧華族家系大成』下巻672-2] 『平成新修旧華族家系大成』下巻, p. 672.

[FOOTNOTE『平成新修旧華族家系大成』下巻671-3] ^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h 『平成新修旧華族家系大成』下巻, p. 671.

[FOOTNOTE『評伝三島通庸』21-4] 『評伝三島通庸』, p. 21.

[FOOTNOTE『官報』第1169号2「授爵及辞令」-5] 『官報』第1169号, p. 2, 「授爵及辞令」.

[FOOTNOTE『官報』第1169号1「授爵及辞令」-6] 『官報』第1169号, p. 1, 「授爵及辞令」.

[FOOTNOTE『官報』第1597号3「彙報（官庁事項）：警視總監薨去及判事死去」-7] 『官報』第1597号, p. 3, 「彙報（官庁事項）：警視總監薨去及判事死去」.

[FOOTNOTE『官報』第1639号2「辞令」-8] 『官報』第1639号, p. 2, 「辞令」.

[FOOTNOTE『平成新修旧華族家系大成』下巻671–672-9] 『平成新修旧華族家系大成』下巻, pp. 671–672.

[FOOTNOTE『官報』第1996号56「叙任及辞令」-10] 『官報』第1996号, p. 56, 「叙任及辞令」.

[FOOTNOTE『官報』第4753号13「彙報（官庁事項）：官吏改姓」-11] 『官報』第4753号, p. 13, 「彙報（官庁事項）：官吏改姓」.

[FOOTNOTE『三島弥彦』248-36] 『三島弥彦』, p. 248.

[FOOTNOTE『平成新修旧華族家系大成』下巻607–608-41] 『平成新修旧華族家系大成』下巻, pp. 607–608.

[13] 「那須塩原・三島神社で三島通庸１２５年祭　開拓の礎築く」『産経NEWS』産業経済新聞社、2014年10月13日。オリジナルの2023年9月20日時点におけるアーカイブ。

[14] 「捕鯨に賛成？それとも反対？」『英国ニュースダイジェスト』英国ニュースダイジェスト。オリジナルの2023年9月20日時点におけるアーカイブ。

[12] “初代山形県令三島通庸子爵ご子孫の「やまがた特命観光・つや姫大使」ご就任について”. JPubb. REDCRUISE (2019年5月29日). 2023年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。

[NHK20171101-15] “《2019年大河ドラマ》出演者発表第１弾！”. NHK PR. 日本放送協会 (2017年11月1日). 2017年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。

[NHK20180330-16] “《2019年大河ドラマ》出演者発表第３弾！”. NHK PR. 日本放送協会 (2018年3月30日). 2018年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月21日閲覧。

[17] “2019年NHK大河ドラマ「いだてん」に六華苑が登場しました！”. 六華苑NEWS. 六華苑 (2019年8月21日). 2023年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月30日閲覧。

[18] 松村龍之介 [@matsumuranosuke] (2021年4月23日). "【お知らせ】". 2021年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。X（旧Twitter）より2023年9月21日閲覧。

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