ユズリハ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ユズリハ
Daphniphyllum macropodum
Daphniphyllum macropodum
(イギリス)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユズリハ科 Daphniphyllaceae
: ユズリハ属 Daphniphyllum
: ユズリハ D. macropodum
学名
Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum[1][2]
シノニム
亜種品種[5]
  • エゾユズリハ D. m. subsp. humile
  • フイリユズリハ D. m. f. variegatum
  • アオジクユズリハ D. m. f. viridipes

ユズリハ(楪、交譲木または譲葉、学名: Daphniphyllum macropodum)は、ユズリハ科ユズリハ属常緑高木古名ユズルハ和名は、に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することに由来する。

の形態がトウダイグサ科に似るので、古くはトウダイグサ科に含められたが[6]雌蕊が2個(トウダイグサ科は3個)などの違いから、独立のユズリハ科学名: Daphniphyllaceae)とされた。APG分類体系ではユキノシタ目に入れられている。

分布と生育環境[編集]

日本関東東海地方以西の本州四国九州沖縄[7]韓国中国中部まで自然分布する。日本の植栽可能地域では、東北地方南部より沖縄の地域となる[7]。主に暖地の山地に自生する[6]

形態・生態[編集]

常緑広葉樹[7]。高木の中でも中高木に分類され[6]、高さは10メートル (m) ほどになる。常緑樹でありながら、春に古い葉が落ちて新しい葉と入れ替わる[6]互生して、枝先にらせん状について、葉身は垂れ下がる[7]。葉身には光沢があり[6]、長さは8 - 20センチメートル (cm) ほどの長楕円形から倒被針形で、先端は短く尖り、基部はくさび形[7]葉柄は赤紫色を帯び、大きな特徴にもなっている[7][6]

花期は4 - 5月、葉腋から長さ4 - 8 cmの総状花序を出して、花被がない小さな花を多数つける[7]雌雄異株で、雄花・雌花とも花色は黄緑色をしている[7]果実10月から11月に熟し、黒褐色になる。

ダフニフィリン、ダフニマクリン、ユズリミン、ダフェニリンなどの複雑な骨格構造のアルカロイド(ユズリハアルカロイド)を多数含み、家畜が誤食すると中毒の原因となる[8]。さらに、ユズリハアルカロイドはその構造から全合成の対象としてよく取り上げられる[9]

人間との関わり[編集]

ユズリハは、新しい葉が古い葉と入れ替わるように出てくる性質から「親が子を育てて家が代々続いていく」ことを連想させる縁起木とされ、正月鏡餅飾りや庭木に使われる[10][11]。また、家紋も同様の由来で使用家は桓武平氏良文流千葉支流原氏、出自不詳の城本氏が使用した[12]

防火の機能を有する樹種(防火樹)としても知られる[13]

栽培[編集]

日陰か斑に影を好む性質で、根は深く張り、土壌は砂土はよく乾燥にも強い。生育の速度は遅い方で、若木のうちは剪定の必要もほとんどない[10]。植え付けは6月中旬から7月中旬、剪定は6月下旬から11月下旬に行うものとされる[6]。ただし、刈り込みには弱いため、枝を軽く成形する程度に留めることとされる[6]。木が大きくなったら、混み合う枝を間引きするようにし、切り戻しの際は枝の分かれ目で行うようにする[10]

大きく目立つ葉は観賞用にもされ、白い斑入りが入る‘白覆輪ユズリハ’のほか、黄覆輪や黄中斑などの園芸品種があり、斑色の濃淡でいくつかの系統がある[10]

ユズリハ属[編集]

ユズリハ属(ユズリハぞく、学名: Daphniphyllum)は、ユズリハ科の一つ。東アジアから東南アジアインドに分布し、35からなる。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ "Daphniphyllum macropodum Miq". Germplasm Resources Information Network (GRIN). Agricultural Research Service (ARS), United States Department of Agriculture (USDA). 2012年8月20日閲覧 (英語)
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum macropodum Miq. subsp. macropodum” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum himalaense (Benth.) Müll.Arg. subsp. macropodum (Miq.) T.C.Huang” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
  4. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Daphniphyllum membranaceum Hayata” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年6月11日閲覧。
  5. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2014年1月27日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h 正木覚 2012, p. 110.
  7. ^ a b c d e f g h i 山﨑誠子 2019, p. 94.
  8. ^ 農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所 (2008年2月4日). “ユズリハ”. 写真で見る家畜の有毒植物と中毒. 2014年1月27日閲覧。
  9. ^ 有機化学美術館 (2013年7月25日). “【全合成】Total synthesis of the Daphniphyllum alkaloid daphenylline”. ChemASAP. ライブドアブログ. 2014年1月27日閲覧。
  10. ^ a b c d 山本規詔 2017, p. 57.
  11. ^ 山﨑誠子 2019, p. 95.
  12. ^ 「家紋と家系辞典」講談社
  13. ^ 藤山宏『プロが教える住宅の植栽』学芸出版社、2010年、9頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]