モントリオール地下鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
モントリオール地下鉄
Métro de Montréal
Montreal Metro.svg
モントリオール地下鉄の新型車両Azur
モントリオール地下鉄の新型車両Azur
基本情報
カナダの旗 カナダ
所在地 モントリオール
種類 ラピッド・トランジット
開業 1966年10月14日
運営者 Société de transport de Montréal
詳細情報
総延長距離 69.2 km
路線数 4路線
駅数 68駅
1日利用者数 1,254,700
保有車両数 759
軌間 1,435 mmゴムタイヤ式地下鉄
電化方式 第三軌条方式
最高速度 72 km/h
路線図
路線図
テンプレートを表示

モントリオール地下鉄: métro de Montréal: Montreal Metro)とは、カナダケベック州に属する都市モントリオールを走る、1966年10月に開業した地下鉄である。2012年現在、4路線、68駅で営業中で、営業路線の総延長は60kmを超えている。パリ地下鉄の方式を導入し、750V直流電化、集電方式は第三軌条方式、車輪はゴムタイヤを採用している。北中米の地下鉄としてはニューヨーク地下鉄メキシコシティ地下鉄に次ぐ利用客数を誇る。

概要[編集]

設計について[編集]

セントローレンス川を越える区間も含めて、全路線の全区間が地下に建設された。駅からスムーズに発車して、駅にスムーズに停車できるように、路線にはわざと勾配が付けられており、駅に向けて登り坂となっていて、ちょうど駅間が低くなっている [1] 。 このことは駅のホームからでも見て取ることができる [1]

2012年現在営業している路線は、4路線存在している。この4本の路線は、それぞれに番号とシンボルカラーが与えられている。3号線が欠番となっているのは、当初、3号線は他の路線で使われているゴムタイヤではない既存の鉄道路線を走る路線として計画されていたが、計画中止となったためである。現在では、この3号線の代わりにモントリオール大都市圏交通局の近郊鉄道路線のドゥ・モンターニュ線として整備されている。

芸術広場駅のステンドグラス

路線と駅[編集]

※マークのある駅は世界最大のモントリオール地下街を形成し、相互に地下街を通じて行き来が可能である。

グリーン・ライン[編集]

ラ・サール駅
ピール駅の装飾
マギル駅
ベリUQAM駅のステンドグラス
モンク駅

1号モントリオール地下鉄グリーンライン英語版 - 開業当初から存在する路線。モントリオール地下鉄で最も混雑する路線としても知られている。

営業キロ 開通年 接続路線、施設
アングリニョン駅(Angrignon) 0.0 1978年
モンク駅 (Monk) 1978年
ジョリカー駅(Jolicoeur) 1978年
ヴェルダン駅(Verdun) 1978年
デゥ・レグリス駅(De L'Église) 1978年
ラ・サール駅(LaSalle) 1978年
シャルルボワ駅(Charlevoix) 1978年
リオネル・グルー駅 (Lionel-Groulx) 1978年 オレンジラインアトウォーター市場
アトウォーター駅(Atwater) 1966年 アレクシス・ニオン・プラザドーソン・カレッジ
ギー・コンコルディア駅(Guy-Concordia) 1966年 コンコルディア大学モントリオール美術館
ピール駅(Peel)※ 1966年 マギル大学モントリオール地下街
マギル駅(McGill)※ 1966年 AMT(近郊列車)VIA鉄道アムトラックモントリオール中央駅モントリオール地下街マギル大学
芸術広場駅(Place-des-Arts)※ 1966年 モントリオール現代美術館モントリオール地下街ケベック大学モントリオール校
サン・ローラン駅(Saint-Laurent) 1966年 笑いの博物館
ベリ・UQAM駅(Berri-UQAM) 1966年 オレンジラインイエローライン
モントリオール・バスターミナルケベック大学モントリオール校ケベック州立図書館
ボードリー駅(Beaudry) 1966年 ゲイビレッジ
パピヌー駅(Papineau) 1966年
フロントナック駅(Frontenac) 1966年
プレフォンテーン駅(Préfontaine) 1976年
ジョリエット駅(Joliette) 1976年
ピー・ヌフ駅(Pie-IX) 1976年 モントリオール植物園
ヴィオー駅(Viau) 1976年 オリンピック・スタジアムバイオドームスタッド・サプトオリンピック選手村
アソンプシオン駅(Assomption) 1976年
キャデラック駅(Cadillac) 1976年
ランジェリエ駅(Langelier) 1994年
ラディソン駅(Radisson) 1976年
オノレ・ボーグラン駅(Honoré-Beaugrand) 22.1 1976年

オレンジ・ライン[編集]

2号モントリオール地下鉄オレンジライン英語版 - 開業当初から存在する路線。総延長は約30kmと、モントリオール地下鉄で最も長い路線。

ヴィクトリア広場駅の入り口
ドゥ・ラ・サヴァン駅
コート・サンテ・カトリーヌ駅
ローズモン駅
ドゥ・ラ・コンコルド駅
営業キロ 開通年 接続路線、施設
コート・ヴェルトゥ駅(Côte-Vertu) 0.0 1986年 コート・ヴェルトゥ・バスターミナル(AMT)
ドゥ・カレッジ駅 (Du Collège) 1984年
ドゥ・ラ・サヴァン駅(De La Savane) 1984年
ナムール駅(Namur) 1984年
プラモンドン駅(Plamondon) 1982年
コート・サンテ・カトリーヌ駅(Côte-Sainte-Catherine) 1982年
スノードン駅(Snowdon) 1981年 ブルーライン
ヴィラ・マリア駅(Villa-Maria) 1981年
ヴァンドーム駅(Vendôme) 1981年 AMT(近郊列車)
聖アンリ広場駅(Place-Saint-Henri) 1980年
リオネル・グルー駅 (Lionel-Groulx) 1980年 グリーンライン
ジョルジュ・ヴァニエ駅(Georges-Vanier) 1980年
ルシアン・ラリエール駅(Lucien-L'Allier)※ 1980年 AMT(近郊列車)
モントリオール地下街ベル・センター
ボナヴァンチュール駅(Bonaventure)※ 1966年 AMT(近郊列車)VIA鉄道アムトラックモントリオール中央駅
中央バスターミナルAMT)、モントリオール地下街世界の女王マリア大聖堂
ヴィクトリア広場・OACI駅(Square-Victoria-OACI)※ 1966年 モントリオール地下街国際民間航空機関(OACI)本部
アルム広場駅(Place-d'Armes)※ 1966年 モントリオール旧市街ノートルダム聖堂モントリオール地下街
シャン・ド・マルス駅(Champ-de-Mars) 1966年 モントリオール市庁舎カルティエ・シノワ(中華街)モントリオール旧市街ジャック・カルティエ広場
ベリ・UQAM駅(Berri-UQAM) 1966年 グリーンラインイエローライン
ケベック大学モントリオール校
シャルブルック駅(Sherbrooke) 1966年
モン・ロヤイヤル駅(Mont-Royal) 1966年 モン・ロワイヤル公園
ローリエ駅(Laurier) 1966年
ローズモン駅(Rosemont) 1966年
ジャン・タロン駅(Jean-Talon) 1966年 ブルーラインジャン・タロン市場イタリア人街
ジャリ駅(Jarry) 1966年
クレマジィ駅(Crémazie) 1966年
ソーヴェ駅(Sauvé) 1966年 AMT(近郊列車)
アンリ・ブラッサ駅(Henri-Bourassa) 1966年 アンリ・ブラッサ・バスターミナルAMT
カルティエ駅(Cartier) 2007年
ドゥ・ラ・コンコルド駅(De La Concorde) 2007年 AMT(近郊列車)
モンモランシー駅(Montmorency) 30.0 2007年

イエロー・ライン[編集]

4号モントリオール地下鉄イエローライン英語版 - 開業の約6ヶ月後から営業している路線。モントリオール地下鉄で最も短い路線で、たったの3駅しかない。これは、モントリオール万国博覧会の会場への客輸送のために造られた路線だからである。ただし、この路線には延伸計画が存在し、今後延伸される可能性もある。

営業キロ 開通年 接続路線、施設
ベリ・UQAM駅(Berri-UQAM) 0.0 1967年 グリーンラインオレンジライン
ジャン・ドラピュー駅(Jean-Drapeau) 1967年 ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットラ・ロンドモンレアル賭博場
ロングイユ・シェルブルック大学駅 (Longueuil–Université-de-Sherbrooke) 4.25 1967年 ロングイユバスターミナル(AMT)、シャーブルック大学

ブルー・ライン[編集]

モントリオール大学駅
パルク駅の駅舎

5号モントリオール地下鉄ブルーライン英語版 - モントリオール地下鉄の中で最も新しい路線で、1986年に開通した。なお、営業中の4路線の中では最も乗客が少ないものの、この路線にも延伸計画が存在している。

営業キロ 開通年 接続路線、施設
スノードン駅(Snowdon) 0.0 1988年 オレンジライン
コート・デ・ネージュ駅 (Côte-des-Neiges) 1988年 サン・ジョゼフ礼拝堂モントリオール大学
モントリオール大学駅(Université-de-Montréal) 1988年 モントリオール大学モントリオール理工科大学モントリオール商科大学
エドゥワール・モンプティ駅(Édouard-Montpetit) 1988年 モントリオール大学
ウトゥルモン駅(Outremont) 1988年
アカディー駅(Acadie) 1988年
パルク駅(Parc) 1987年 AMT(近郊列車)
ドゥ・カステルノー駅 (De Castelnau) 1986年
ジャン・タロン駅(Jean-Talon) 1986年 オレンジライン
ファーブル駅 (Fabre) 1986年
ディバーヴィル駅(D'Iberville) 1986年 モントリオール大学
サン・ミッシェル駅(Saint-Michel) 9.7 1986年

歴史[編集]

モントリオールでの地下鉄建設の計画は1910年に遡る [2] 。 しかし実際にモントリオール地下鉄の建設が始まったのは、1962年5月と半世紀経ってからのこと。モントリオール万博の開催が決まり、それに向けて地下鉄の建設をすることになったのである。この頃すでにフランスのパリには地下鉄が走っており、パリ地下鉄の技術を導入し、パリの地下鉄と似たスタイルの地下鉄が建設されていった [3] 。 そして、1966年10月に1号線と2号線でモントリオール地下鉄は開業する。その後、1967年4月には4号線がモントリオール万博に合わせて開通した。また、1986年6月には5号線が開通したことで、先述の4路線が揃った。以降、路線の新設や延伸は財政問題の為、1990年代は行われなかった。しかし、2002年に2号線を3駅の延伸する工事が開始され、2007年4月には新たに3駅が延伸開通した。この他に2012年現在、4号線や5号線の延伸などが計画されている。

駅舎[編集]

マギル駅のステンドグラス

冬季のモントリオールは最低気温がマイナス30度、最高気温ですらマイナス20度にしかならないこともある寒冷な気候である。この影響で、全駅が地下駅であり、外気が直接駅舎内に入ってこないように設計されている。ただ、このように全駅が地下駅であるという共通点はあるにせよ、どの駅舎もそれぞれ別の建築家によってデザインがなされており、そのためどれも駅舎の様式は異なっている [1] 。 それぞれの駅舎には、ステンドグラス彫刻壁画などを取り入れるなど、芸術性を重視して設計されている。また、天井が高い駅が多く、太陽光が間接的に地下空間に入るように地下空間が広く設計されている駅が多い。ちなみに、右の写真のヴィクトリア広場駅(Square Victoria)の入口のデザインはパリ地下鉄を模した駅舎となっているが、これはパリ市より寄贈されたものである。

なお、駅舎内や地下鉄車内での大道芸などは基本的に禁止されている。ただし、乗り換え駅の通路には大道芸人用のスペースが設けられており、そこには目印としてハープの絵が掲げられていて、そこでのパフォーマンスは許されている [1]

車両[編集]

モントリオール地下鉄は、ゴムタイヤ式地下鉄(ゴム車輪式)である。なお、集電方式は第三軌条方式である [1]

現役車両の概要[編集]

新型車両Azurの車内
新型車両と旧型車両

モントリオール地下鉄の759型車も、もちろんゴム車輪式かつ第3軌条式である。この車両はLAHT(高張力鋼)で出来ており、各車両は160人乗りである。各車両は2基の台車の上に乗っており、それぞれの台車には4輪ずつのゴムタイヤがついているため、1両に8輪のゴムタイヤがついている。この車輪を4基の直流モーターで差動歯車を介して駆動している。また、電磁回生ブレーキを装備していて、10km/hまで減速した時に作動する。

なお、先述のように各路線にはシンボルカラーが与えられているものの、このシンボルカラーは特に車両には反映されていない。車両の舗装は青を基調としたものとなっている [1]

2016年には36年ぶりとなるボンバルディア - アルストム製の新型車両のAzurが導入され、徐々に置き換わっている。

過去の車両[編集]

モントリオール地下鉄の建設が実際に始まった1960年代初頭において、モントリオールほどの寒冷な気候の地域で、地下鉄のゴム製車輪の使用は前例がなかったものの、開業当初はパリの地下鉄に使用されていたMP 59 (鉄道車両)を使用した。なおこの車両もゴム車輪式かつ第3軌条式である。

ゴムタイヤの使用について[編集]

ゴム製車輪による走行は鉄製車輪と比べると静粛で、またゴム製車輪には振動を抑える効果があり、さらに急勾配、急曲線にも対応できる。急勾配は6.5%まで登坂可能であり、このような勾配は通常の鉄製車輪では登れない。この他、低速での急加速、急減速などもゴム製車輪の方が鉄製車輪より有利である。したがって、勾配があって、曲線が多く、駅間距離が短いような場合は、ゴム製車輪の優位性が出てくる。一方で、ゴム製車輪は鉄製車輪に比べて寿命が短く、より短い走行距離での交換が必要となる。また鉄製車輪に比べ、ゴム製車輪は転がり抵抗が大きいため、その分エネルギーロスも多くなってしまう。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f 谷川 一巳 『地下鉄のフシギ!?』 p.207 山海堂 1999年6月10日発行 ISBN 4-381-10335-1
  2. ^ An underground railway project since 1910”. STM. 2007年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月11日閲覧。
  3. ^ 谷川 一巳 『地下鉄のフシギ!?』 p.207、p.208 山海堂 1999年6月10日発行 ISBN 4-381-10335-1

外部リンク[編集]