マネー・フォー・ナッシング

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マネー・フォー・ナッシング
ダイアー・ストレイツシングル
収録アルバム ブラザーズ・イン・アームス
B面 ラヴ・オーヴァー・ゴールド(ライヴ)
リリース 1985年6月
規格 7インチ・シングル
12インチ・シングル
CDVシングル(1987年)
録音 西インド諸島 モントセラト Air Studios[1]
ジャンル ロック
時間 4分38秒(7インチ・シングル)
8分26秒(12インチ・シングル)
レーベル ヴァーティゴ
ワーナー・ブラザーズ・レコードアメリカ合衆国の旗
作詞・作曲 マーク・ノップラースティング
プロデュース マーク・ノップラー、ニール・ドーフスマン
チャート最高順位
  • 1位(アメリカ[2]、カナダ・RPM[3]
  • 4位(イギリス[4]、ニュージーランド[5]
  • 6位(アイルランド[6]
  • 7位(オーストリア[7]
  • 19位(ドイツ[8]
  • 22位(スイス[9]
  • 34位(フランス[10]
  • 35位(オランダ[11]
ダイアー・ストレイツ シングル 年表
君にさよなら
(1985年)
マネー・フォー・ナッシング
(1985年)
ブラザーズ・イン・アームス
(1985年)
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マネー・フォー・ナッシング」(Money for Nothing)は、イギリスロックバンドダイアー・ストレイツ1985年に発表した楽曲。スタジオ・アルバムブラザーズ・イン・アームス』に収録され、同アルバムからの第2弾シングルとしてもリリースされた。

背景[編集]

歌詞の内容は、MTVに出てくるスターを批判したものである。ダイアー・ストレイツの中心人物であるマーク・ノップラーは、デパートの店内にあるテレビでMTVが映っていた時、店員が登場するミュージシャンの悪口を言っているのを見て、この曲の着想を得たという[12]。歌詞の中にゲイを意味するスラング「faggot」が含まれていることから物議を醸し、マーク・ノップラーは、ロンドンでゲイ向けの新聞を作っている編集者から「卑怯だ」と言われたこともあった[13]

当初はノップラーによるギター・リフから始まるアレンジだったが、キーボーディストのガイ・フレッチャーのアイディアによりイントロが追加された[14]。共同プロデューサーのニール・ドーフスマンによれば、ノップラーのギターを録音する際、まだセットアップが終わっていないにもかかわらず素晴らしいギター・サウンドが得られ、後日パワー・ステーションにおいて同じ機材や条件で試してみても、同じギター・サウンドを作ることはできなかったという[14]

本作のレコーディング中、スティングが休暇で近くを訪れており[12][15]、スティングはレコーディングに参加することとなった。その後、スティングの音楽出版社が彼の著作権を主張し、スティング自身の反対にかかわらず、この曲はノップラーとスティングの共作としてクレジットされた[12]。ダイアー・ストレイツとスティングは、1985年のライヴエイドでもこの曲を共演しており、その模様は映像作品『ライヴ・エイド』にも収録された[16]

アルバム『ブラザーズ・イン・アームス』のLPでは収録時間は7分04秒であったが、同アルバムのカセットおよびCDには8分26秒のヴァージョンが収録され[17]、12インチ・シングルにもフル・ヴァージョンが収録された。また、7インチ・シングルには4分38秒に編集されたヴァージョンが収録された[18]

ミュージック・ビデオ[編集]

スティーブ・バロンが監督したミュージック・ビデオコンピュータアニメーションが多用された内容で、アニメーションの制作には主にボッシュのFGS-4000が使用された[19]

マーク・ノップラーはミュージック・ビデオの制作を望んでおらず、バンドの演奏シーンを収録すれば十分と考えていたが、バロンは「MTVはコンサート・ビデオを求めていない」と考えてMTVについての物語を描いたコンセプト・ビデオを考案する[19]。そしてバロンは、アメリカでダイアー・ストレイツの作品の販売権を持つワーナー・ブラザーズ・レコードから「マークはMTVもコンセプト・ビデオも嫌っているから、彼を説得してこい」と要求されたという[19]

1987年にMTVヨーロッパが放送を開始した際、最初に放映されたミュージック・ビデオは「マネー・フォー・ナッシング」であった[20]

反響・評価[編集]

バンドの母国イギリスでは、全英シングルチャートで最高4位に達し、バンドにとって4作目の全英トップ10シングルとなった[4]。アメリカではミュージック・ビデオがMTVで頻繁に流されて、総合チャートのBillboard Hot 100とメインストリーム・ロック・チャートの両方で1位となり、バンドにとって初の全米1位獲得シングルとなった[2]

1986年2月に開催されたブリット・アワードでは、最優秀ブリティッシュ・シングルと最優秀ブリティッシュ・ビデオの2部門にノミネートされた[21]。アメリカのグラミー賞では最優秀ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞した[2]

本作のミュージック・ビデオは、MTV Video Music Awardsで11部門にノミネートされ、最優秀ビデオ賞と最優秀グループ・ビデオ賞の2部門を受賞した[22]

2011年8月にギブソン公式サイトが発表した「'80年代の偉大な50曲」では28位にランク・インしている[23]

その後[編集]

1987年にリリースされたCDVシングルは、「マネー・フォー・ナッシング」のフル・ヴァージョンおよびミュージック・ビデオに加えて、「真実の世界(One World)」と「君にさよなら(So Far Away)」をカップリング曲として収録した内容である[24]

1988年、本作からタイトルを取ったダイアー・ストレイツ初のベスト・アルバムマネー・フォー・ナッシング』がリリースされ、同アルバムにはこの曲のエディット・ヴァージョンが収録された。

カナダでは、ラジオのリスナーが歌詞の中の「faggot」という言葉にクレームを付けたため、2011年1月にカナダのラジオ局で放送禁止となるが、同年8月31日には解禁された[25]

脚注[編集]

  1. ^ CD『ブラザーズ・イン・アームス』英文ブックレット内クレジット
  2. ^ a b c Dire Straits - Awards : AllMusic
  3. ^ RPM - Library and Archives Canada - 1985年10月26日付のRPMシングル・チャートを掲載
  4. ^ a b ChartArchive - Dire Straits
  5. ^ charts.org.nz - Dire Straits - Money For Nothing
  6. ^ The Irish Charts - 曲名欄に「MONEY FOR NOTHING」と入力して検索すれば確認可
  7. ^ Dire Straits - Money For Nothing - austriancharts.at
  8. ^ musicline.de
  9. ^ Dire Straits - Money For Nothing - hitparade.ch
  10. ^ lescharts.com - Dire Straits - Money For Nothing
  11. ^ dutchcharts.nl - Dire Straits - Money For Nothing
  12. ^ a b c おんがく日めくり|ヤマハ株式会社 - ダイアー・ストレイツの「マネー・フォー・ナッシング」が全米1位に(1985) - 2012年6月19日閲覧
  13. ^ Money for Nothing by Dire Straits | Song Stories | Rolling Stone - 2012年6月19日閲覧
  14. ^ a b CLASSIC TRCKS: Dire Straits 'Money for Nothing' - 2012年6月19日閲覧
  15. ^ 『ブラザーズ・イン・アームス』日本盤再発CD(UICY-6604)ライナーノーツ(Robert Sandall)
  16. ^ LIVE AID / ライヴ・エイド「LIVE AID / ライヴ・エイド」 | Warner Music Japan
  17. ^ Dire Straits - Brothers In Arms at Discogs
  18. ^ Dire Straits - Money For Nothing (Vinyl) at Discogs
  19. ^ a b c Culture Brats: The Man Who Defined The Music Video: Our Interview With Steve Barron - 2012年6月19日閲覧
  20. ^ BBC News | Entertainment | MTV ready to rock Russia
  21. ^ The BRITs 1986
  22. ^ MTV Video Music Awards | 1986 - MTV.com - 「Winners」をクリックすれば確認可
  23. ^ Gibson.com Picks Greatest Songs of the '80s - 2012年6月23日閲覧
  24. ^ Dire Straits - Money For Nothing (CDV) at Discogs
  25. ^ Canada Lifts Ban on Dire Straits' 'Money for Nothing' | Music News | Rolling Stone - 2012年6月19日閲覧