フレキシブルプリント基板

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フレキシブルプリント基板(フレキシブルプリントきばん、フレキシブル基板あるいはFPCFlexible Printed Circuits))は、プリント基板の一種。柔軟性があり、弱い力で繰り返し変形させることが可能であり、変形した場合にもその電気的特性を維持する特性をもつ。電子機器業界では略して「フレキ」と呼ぶこともあるが、これは住友電気工業登録商標である[1][注 1]


フレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuit:FPC)は、ポリイミドまたはポリエステルフィルムを基材として作製された高信頼性で優れたフレキシブル印刷回路基板である。配線密度が高く、軽量、厚みが薄く、折り曲げ性が良いという特徴がある。

フレキシブルケーブルは、柔軟性があり大きく変形させることが可能な配線フレキシブルエレクトロニクス(Flexible electronics)は、変形可能な電子部品に関する技術の総称。フレキシブルフラットケーブル(FFC)なども含まれる。

Image of Miraco flexible printed circuits prior to de-panelization.

性質および材質[編集]

一般的なフレキシブル基板の構造、性質および材質は以下の通り。

メンブレン配線板[編集]

メンブレン配線板はキーボードや電卓、液晶の配線、小基板の接続などに使われている。上記銅箔を配線材としたフレキシブル配線板より機械的強度や対摩耗性は劣るが、構成、製造が比較的容易である。接続にははんだ付けが行えないため、接触接続または導電性ペースト、導電ゴムなどにより接続される。[疑問点]

用途[編集]

可動部配線の例(携帯電話の蝶番内部)
立体配線の例(カメラの内部)

歴史[編集]

変形可能な配線部品としてフラットケーブルが古くから使われてきたが、特に小型軽量化が望まれる宇宙開発航空機などにおいては1960年代からフレキシブルケーブルが使われ始めた。1966年、フレキシブルケーブルに適する素材ポリイミドデュポンによって開発され、広く利用されるようになった。

日本国内では1969年に、住友電工日本メクトロンが米国からFPC技術を導入し事業化を開始した。

一般的な製品としては、1972年に発売されたヤシカ一眼レフカメラエレクトロAXの内部配線や、1975年に発売されたシャープ製コンパクト型電卓EL-8009の蝶番部に採用された例がある。現在ではスマートフォンウェアラブルコンピュータなど、さまざまな携帯機器で使用されている。

FPCメーカー[編集]

国内[編集]

国外[編集]

  • Zhen Ding Technology(台湾)- 世界2位
  • MFLEX(中国)- 世界4位

標準規格[編集]

FPCに関する標準規格はIPCAssociation Connecting Electronics Industries(本部はアメリカ合衆国イリノイ州バンノックバーン))、JPCA(一般社団法人日本電子回路工業会)、KPCA(韓国電子回路産業協会)などがある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 商標登録番号 第977016号

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 沼倉研史『高密度フレキシブル基板入門』日刊工業新聞社、1998年12月。ISBN 4-526-04272-2 
  • 小野朗伸、岡田顕一、近藤奈穂子、黒沢優、大山昌紀、小舘智、岡本航司、伊藤雅史「高導電銀ペーストの応用商品」(PDF)『フジクラ技報』第105号、株式会社フジクラ江東区、2005年10月、2019年1月23日閲覧 

関連項目[編集]