フルディア

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フルディア
生息年代: カンブリア紀中期
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Hurdia victoria pair.jpg
フルディアの復元図
分類
: 動物界 Animalia
上門 : 脱皮動物上門 Ecdysozoa
階級なし : 汎節足動物 Panarthropoda
: (ステムグループ)[1]
節足動物門 Arthropoda
: †(和訳なしDinocaridida
: 放射歯目 Radiodonta
亜目 : アノマロカリス亜目 Anomalocarida
: フルディア科 Hurdiidae
: フルディア属 Hurdia
学名
Hurdia
Walcott1912

フルディアHurdia)は、カンブリア紀に生息したアノマロカリス類の1属。頭部には大きな殻を持ち、カンブリア紀の海に広く分布したアノマロカリス類である[2]

形態[編集]

フルディアは、カンブリア紀の海において巨大な生物の一つである[3]。完全化石の体長はおよそ20(0.66フィート)に達するが、散在する化石部位の大きさから推測すると、およそ50㎝にも及ぶと推測される[4]

甲皮[編集]

雫形の甲皮(H-element)

最大の特徴は、体長の半分を占めるほど大きく、頭部の正面から突き出した甲皮のような構造体がある。この甲皮は、背側に備える雫形の「H-element」と前端が繋がった左右の「P-element」という3つのパーツからなる[5]。フルディアの他に、同じくフルディア科の近縁属エーギロカシススタンレイカリスPahvantia もこの様な大きな甲皮を具えている。

前部付属肢[編集]

前部付属肢の突起

頭部の下側には1対の前部付属肢を持つ。9節に分かれ、第2-8節の下側から7個のブレード状の附属体が突き出している。その附属体の前側は、更に数個の鉤状の突起が並んでいる[5][6]

口(歯)[編集]

口の歯構造「oral cone」は、パイナップルの輪のような造形という典型的な「ペユトイア口」である。口は32個の歯に囲まれ、そのうち最も発達した4つの歯は十字に並び、残りの28個の細い歯はそれぞれの間隔に7個ずつ並ぶ。中心の開口は四辺形で、奥の4つのノコギリ状構造は十字に並び、5層まで積み重ねる。このような多重構造は、本属とCambroraster のみに見られ[6]アノマロカリスペユトイアの口に見当たらない特徴である[5]

胴体[編集]

上下に扁平の多くのアノマロカリス類とは異なり、フルディアの胴体は厚みのある円柱状である考えられる。胴体の尾端には1対の尾鰭がある。従来の復元では、頭部の両側には3-4対の小さな櫛状付属体が有し、体の側面に沿って走る7-9対の丸い鰭(ひれ)から、鰓として考えられる一例の櫛状構造(setal blade)がつるされている[5]。しかし近年の再検討によると、フルディアはエーギロカシスの様に、1体節に2対の鰭を持ったことが示唆される[7]

生態[編集]

フルディアは捕食者もしくは腐肉食者であったと考えられている。抱き合わせたような前部付属肢の構造とアノマロカリスよりも発達した歯にあることから、フルディアはより大型の底生性動物を捕食できると考えられる[8]。頭部の甲皮の機能は不明確で、下に柔らかい組織を持たないため、防衛のためのものではないと思われる[9]。この甲皮で海底の獲物を逃がさずに覆し、前部付属肢に併せて獲物を確保するという説がある[10]

バージェス頁岩からのみならず、アメリカ中国ヨーロッパなどからも同様にフルディアの化石が発見されており、世界中に分布した属であることを示唆する[2]

下位分類[編集]

フルディアは、フルディア科Hurdiidae)というアノマロカリス類の一グループの模式属である。このに属するアノマロカリス類はフルディアの他にも、ペユトイアシンダーハンネススタンレイカリスエーギロカシスなどが挙げられる。

フルディア属は、フルディア・ビクトリア(H. victoria)とフルディア・トライアングラタ(H. triangulata)二種が認められる[5]

  • Hurdia victoria Walcott1912
    本属のタイプ種
  • Hurdia triangulata Walcott1912
    H. victoriaに比べて、本種の殻の「H-element」は比較的に短くて幅広い[5]

復元の歴史[編集]

フルディアは、1909年にアメリカの古生物学チャールズ・ウォルコットがバージェス頁岩のカタログを製作していた際に断片的な化石より初めて記述された[11]。しかし、彼はバラバラになった部位をそれぞれ別の生物であると誤解し、アノマロカリスと同様、クラゲナマコとしてバラバラに誤って分類された。

1990年代後期、当時ロイヤルオンタリオ博物館学芸員であったデズモンド・H・コリンズ (en)によってフルディアの要素がつなぎあわされ、非公式な論文において彼の考えを提示した[12][13]。2009年になってようやく、3年間の苦心の研究の結果、完全な生物が復元された[2][14][15][16]。フルディアの69の標本は、Greater Phyllopod bed(葉脚類のベッド)と呼ばれる群集の0.13パーセントからなることが知られている[17]

フルディアの頭部による硬い部位は、他のアノマロカリス類のと混同される経緯があった。ペユトイアの前部付属肢はフルディアのによく似ていて、同種の変異と見なされる時期があった[5]アノマロカリスのものとして考えられた口も、該当種の新たな発見[18]によりペユトイアのものであると判明し、口の奥にある多重構造も、アノマロカリスペユトイアに欠けているフルディアの特徴であると明らかになった[5]。従来にはフルディアのものとされた一部の殻の「P-elements」も、その後から別のアノマロカリス類Pahvantia のものであると判明した[19]

脚注[編集]

  1. ^ 詳しくはアノマロカリス類#分類を参照。
  2. ^ a b c “The Burgess Shale Anomalocaridid Hurdia and Its Significance for Early Euarthropod Evolution”. Science Magazine 323 (5921): pp. 1597-1600. (3 2009). doi:10.1126/science.1169514. 
  3. ^ 巨大な頭を持つ奇妙な捕食動物を発見”. ナショナルジオグラフィック・ニュース (2009年3月23日). 2010年12月22日閲覧。
  4. ^ Hurdia - Fossil Gallery - The Burgess Shale
  5. ^ a b c d e f g h Daley, Allison; Budd, Graham; Caron, Jean-Bernard (2013-10-01). “The morphology and systematics of the anomalocarid Hurdia from the Middle Cambrian of British Columbia and Utah”. Journal of Systematic Palaeontology 11. doi:10.1080/14772019.2012.732723. https://www.researchgate.net/publication/263406650_The_morphology_and_systematics_of_the_anomalocarid_Hurdia_from_the_Middle_Cambrian_of_British_Columbia_and_Utah. 
  6. ^ a b Moysiuk J.; Caron J.-B. (2019-08-14). “A new hurdiid radiodont from the Burgess Shale evinces the exploitation of Cambrian infaunal food sources”. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 286 (1908): 20191079. doi:10.1098/rspb.2019.1079. PMC: PMC6710600. PMID 31362637. https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2019.1079. 
  7. ^ Van Roy, Peter; Daley, Allison C.; Briggs, Derek E. G. (2015). “Anomalocaridid trunk limb homology revealed by a giant filter-feeder with paired flaps”. Nature 522 (7554): 77–80. doi:10.1038/nature14256. ISSN 0028-0836. PMID 25762145. 
  8. ^ De Vivo, Giacinto; Lautenschlager, Stephan; Vinther, Jakob (2016-12-16). Reconstructing anomalocaridid feeding appendage dexterity sheds light on radiodontan ecology. https://www.researchgate.net/publication/325343898_Reconstructing_anomalocaridid_feeding_appendage_dexterity_sheds_light_on_radiodontan_ecology?_sg=P_ye_Bn7fmnB7DgQLP33J9kYXUY7mXn4XWVwcJCtOIR_pkQDPirOccnc8EIJNW9mVM7xd2ifEI8hQOw. 
  9. ^ “ROM collections reveal 500 million-year-old monster predator” (プレスリリース), ロイヤルオンタリオ博物館, (2009年3月20日), http://www.rom.on.ca/news/releases/public.php?mediakey=u4dk4ec8r3 
  10. ^ Cong, Peiyun; Daley, Allison C.; Edgecombe, Gregory D.; Hou, Xianguang (2017-08-30). “The functional head of the Cambrian radiodontan (stem-group Euarthropoda) Amplectobelua symbrachiata” (英語). BMC Evolutionary Biology 17 (1). doi:10.1186/s12862-017-1049-1. ISSN 1471-2148. PMC: PMC5577670. PMID 28854872. https://bmcevolbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12862-017-1049-1. 
  11. ^ Probably named for Mount Hurd nearby, itself commemorating Major Hurd, a Canadian Pacific Railway engineer and explorer.
  12. ^ D. Collins, in North American Paleontological Convention, Chicago, Abstracts with Programs, S. Lidgard, P. R. Crane, Eds. (The Paleontological Society, Special Publication 6, Chicago, IL, 1992), p. 66, 11.
  13. ^ D. Collins (1999). Rotunda 32: 25. 
  14. ^ Fossil fragments reveal 500-million-year-old monster predator.
  15. ^ New animal discovered by Canadian researcher.
  16. ^ Scientists identify T-Rex of the sea
  17. ^ “TAPHONOMY OF THE GREATER PHYLLOPOD BED COMMUNITY, BURGESS SHALE”. PALAIOS (SEPM Society for Sedimentary Geology) 21 (5): pp. 451-465. (10 2006). doi:10.2110/palo.2003.P05-070R. 
  18. ^ Daley, Allison; Bergström, Jan (2012-04-05). “The oral cone of Anomalocaris is not a classic ‘‘peytoia’’”. Die Naturwissenschaften 99: 501–4. doi:10.1007/s00114-012-0910-8. https://www.researchgate.net/publication/223958266_The_oral_cone_of_Anomalocaris_is_not_a_classic_. 
  19. ^ Lerosey-Aubril, Rudy; Pates, Stephen (2018-09-14). “New suspension-feeding radiodont suggests evolution of microplanktivory in Cambrian macronekton” (英語). Nature Communications 9 (1). doi:10.1038/s41467-018-06229-7. ISSN 2041-1723. https://www.nature.com/articles/s41467-018-06229-7. 

関連項目[編集]