ピクニック (童謡)

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ピクニック
楽曲
ジャンル童謡
作詞者萩原英一[1]
作曲者イギリス民謡[1]
She'll Be Coming 'Round the Mountain
楽曲
作詞者不明
作曲者黒人霊歌より

ピクニック」は、 萩原英一作詞(訳詞とも)の童謡である。曲はイギリス民謡とされるが、大元の起源はアメリカ合衆国である。

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この曲は、前半と後半で来歴が異なるとされている。前半の原曲は(あるいは原曲があるかどうかは)不明である。

後半の原曲は、イギリスでも歌われるが、元はアフリカ系アメリカ人民謡 “She'll Be Coming 'Round the Mountain” である。この歌は “She'll Be Comin' Round the Mountain” として1927年にニューヨークで最初に出版されたが、起源はより古い。黒人霊歌When the Chariot Comes” を元に登山家たちが作った歌で[2]、すでに1890年代にはアメリカ中西部の鉄道労働者の間で歌われていた[2]

歌詞[編集]

訳詞[編集]

萩原英一 (18871954) の詞。著作権は日本では2004年末に消滅しており、現在はパブリックドメインである。

標準的な歌詞は以下のとおり。

丘を越え 行こうよ 口笛 吹きつつ
空は澄み 青空 牧場を 指して
歌おう 朗らに 共に手をとり
ランラララ ララララ
ララララ あひるさん (ガアガア)
ララララ 山羊さんも (メェー)
ララ 歌声合わせよ 足並み揃えよ
今日は愉快だ

萩原の詞では3行目は「朗らに(ほがらに)」だが、「朗らかに」と歌われることがある。

動物と鳴き声だけを差し替えた2番以降が追加されることもある。

She'll Be Coming 'Round the Mountain[編集]

アメリカおよびイギリスで広く歌われている歌。1927年の初出版時の歌詞を記す[2]。2番以降はこれ以外にもさまざまなバージョンがある。

1 She'll be comin' round the mountain, When she comes.
0 彼女は山にやって来る 彼女がやって来るときは
0 She'll be comin' round the mountain, When she comes.
0 彼女は山にやって来る 彼女がやって来るときは
0 She'll be comin' round the mountain,
0 彼女は山にやって来る
0 She'll be comin' round the mountain,
0 彼女は山にやって来る
0 She'll be comin' round the mountain, When she comes.
0 彼女は山にやって来る 彼女がやって来るときは

2 She'll be drivin' six white horses, When she comes.
0 彼女は6頭の白馬を駆ってやって来る
0 She'll be drivin' six white horses, When she comes.
0 彼女は6頭の白馬を駆ってやって来る
0 She'll be drivin' six white horses,
0 彼女は6頭の白馬を駆って
0 She'll be drivin' six white horses,
0 彼女は6頭の白馬を駆って
0 She'll be drivin' six white horses, When she comes.
0 彼女は6頭の白馬を駆ってやって来る

3 Oh we'll all go to meet her, When she comes.
0 オー俺たちは彼女が来たらみんなで彼女に会いに行こう
0 Oh we'll all go to meet her, When she comes.
0 オー俺たちは彼女が来たらみんなで彼女に会いに行こう
0 We will kill the old red rooster,
0 俺たちは年老いた赤いオンドリを殺すぞ
0 We will kill the old red rooster,
0 俺たちは年老いた赤いオンドリを殺すぞ
0 And we'll all have chicken and dumplin', When she comes.
0 それで俺たちは彼女が来たらみんなでチキン・アンド・ダンプリングを食べるんだ

これは「ピクニック」では「ララララ あひるさん」以降にあたる。「ピクニック」の歌詞を同じ書式で記すと次のようになる。

×× ララララ あひるさん
×× ララララ 山羊さんも
ララ 歌声合わ
せよ 足並み揃
えよ 今日は愉快だ

原詞の最初と2回目の「She'll be」は「ピクニック」にはない。「ピクニック」の動物の鳴きまねは原詞にはないが、「when she comes」とコーラスで繰り返すことがある。

When the Chariot Comes[編集]

She'll Be Coming 'Round the Mountain” の元となった黒人霊歌で、曲はほぼ同じ。歌詞には多くのバリエーションがあるが、一例として “She'll Be …” の初出版時の付記を記す[2]。同じフレーズの繰り返しなので2番以降の歌詞は略されている。

1 O, who will drive the chariot when she comes?
0 オー、彼女が来るとき誰が馬車を運転する?
0 O, who will drive the chariot when she comes?
0 オー、彼女が来るとき誰が馬車を運転する?
0 O, who will drive the chariot,
0 オー、誰が馬車を運転する
0 O, who will drive the chariot,
0 オー、誰が馬車を運転する
0 O, who will drive the chariot when she comes?
0 オー、彼女が来るとき誰が馬車を運転する?

2 King Jesus, he'll be driver when she comes,
0 イエス、彼が運転手になって彼女が来る
3 She'll be loaded with bright angels,
0 彼女は輝く天使を乗せ
4 She will neither rock nor totter,
0 彼女は揺れもよろけもしないで
5 She will run so level and steady,
0 彼女はとても水平にしっかりと行く
6 She will take us to the portals.
0 彼女は私たちを入口へいざなう

Ye Canny Shove Yer Grannie[編集]

1940年代に “She'll Be Coming 'Round the Mountain” の曲を使った替え歌で、スコットランドではよく知られた童謡である[3]。イギリス民謡が原曲とされる「ピクニック」との直接の関係は不明。 ほぼ同じフレーズを繰り返す “She'll be …” と異なり、1番の間に展開があり、大意は「ママのママをバスから突き落としてはいけない、パパのママはバスから突き落としていい」というブラックジョーク

スコットランド方言で歌われており、綴りにはバリエーションがある。

カバー・バージョン[編集]

WANIMAによるカバー[編集]

やってみよう
WANIMA配信限定シングル
収録アルバムEverybody!!
リリース2017年3月8日[4]
規格デジタル・ダウンロード
ジャンル
時間2分49秒
レーベルPIZZA OF DEATH RECORDS
作詞者篠原誠
作曲者イギリス民謡
チャート順位
WANIMA シングル 年表
  • やってみよう
  • (2017年)
Everybody!! 収録曲
ANCHOR
(9)
やってみよう
(10)
エム
(11)

WANIMAは、2017年に放送されたau三太郎シリーズ「春のトビラ・やってみよう」篇のCMソングを担当。CMソングとして本作をロックにアレンジした「やってみよう」が使用された[5]。歌詞は、同じく「三太郎シリーズ」のCMソングである「みんながみんな英雄」や「海の声」を手がけた篠原誠によるもの[8]

1月13日から22日にかけてauの音楽ダウンロードサイト「Music Store」およびうたパスでショートバージョンが期間限定で配信され[5]、2月3日に両サイトでフルバージョンが配信リリースされた[8]。3月8日にiTunes Storeをはじめとした音楽配信サービスでの配信が開始された[9]。3月15日に公開のBillboard Japan Hot 100で初登場11位を記録[7]

2017年4月1日には、auのエイプリルフール企画として「やめてみよう」としてカバー。2017年4月1日から7日の期間限定で特設サイトにて公開[10][11]

2018年1月17日にアルバム『Everybody!!』が発売され、「やってみよう」は「ANCHOR」と「エム」の間の10曲目に収録された[12]。『Mikiki』にアルバムのレビューを寄稿した田山雄士は、アルバムの随所で「闘志がギラつく」とし、その流れの中で聴く本作について得難えがたい包容力があって、ホッと胸を撫で下ろしてしまうと評している[13]

シングル収録曲
#タイトル作詞作曲編曲時間
1.「やってみよう」篠原誠イギリス民謡WANIMA
合計時間:

その他のアーティストによるカバー[編集]

みんなのうた
ピクニック
歌手 スリーグレイセスボニージャックス東京少年少女合唱隊
作詞者 萩原英一
作曲者 イギリス民謡
編曲者 小林秀雄
初放送月 1962年4月
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1962年、NHKみんなのうた』で放送された[1][14]。作詞は篠原、編曲は小林秀雄が手がけ、歌はスリーグレイセスボニージャックス東京少年少女合唱隊の3組で担当[1]

2001年にアニメ『おとぎストーリー 天使のしっぽ』に出演した声優陣によって、新たな詞(作詞:六月十三)がつけて「天使のピクニック」としてカバー。詳細はおとぎストーリー 天使のしっぽのディスコグラフィ#天使のピクニックを参照。

2009年6月24日にかりゆし58によるロック・アレンジでのカバーが音楽配信サイトで配信された。このカバーは、進研ゼミ小学講座のCMソングとして使用された[15]

2021年に緑黄色社会が「niko and ...」の夏のシーズンプロモーション用にアレンジしてカバー[16]

二次元キャラクタープロジェクトである「超人的シェアハウスストーリー『カリスマ』」が2023年3月15日にリリースした楽曲「カリスマピクニック」(歌:七人のカリスマ)は、本楽曲を基に作られた。

出典[編集]

  1. ^ a b c d NHK みんなのうた - ピクニック - スリーグレイセス|ボニージャックス|東京少年少女合唱隊
  2. ^ a b c d Sandburg, C., The American Songbag. 1st ed. New York: Harcourt Brace, 1927. p. 372
  3. ^ Ye Canny Shove Yer Grannie - Songs for primary schools - Scotland's Songs
  4. ^ やってみよう”. WANIMA OFFICIAL SITE. 2022年5月16日閲覧。
  5. ^ a b c WANIMA、au 2017年三太郎シリーズ新CM 「やってみよう」篇のアレンジ&歌唱を担当”. Real Sound. blueprint (2017年1月5日). 2022年5月16日閲覧。
  6. ^ 恵比寿で「鬼ちゃん」こと菅田将暉さんが豆まき 「WANIMA」ミニライブも”. シブヤ経済新聞. 花形商品研究所 (2017年2月3日). 2022年5月16日閲覧。
  7. ^ a b Billboard Japan Hot 100 | Charts”. Billboard JAPAN. 阪神コンテンツリンク (2017年3月15日). 2022年5月16日閲覧。
  8. ^ a b WANIMAが歌うCMソング「やってみよう」反響に応えフルバージョン配信&公開”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年2月3日). 2022年5月16日閲覧。
  9. ^ WANIMA、CMソング「やってみよう」配信リリース決定”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年3月3日). 2022年5月16日閲覧。
  10. ^ WANIMA、菅田偽暉ら熱唱、au新CM曲が4曲同時公開”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク (2017年4月1日). 2022年5月16日閲覧。
  11. ^ au三太郎CM:新CMソングに「グミの声」? 前野朋哉が「ニセ太郎」として歌声披露”. MANTANWEB. MANTAN (2017年4月1日). 2022年5月16日閲覧。
  12. ^ WANIMA、来年1月にニューアルバム発売決定!CMを“ともに”作る企画も(動画あり / コメントあり)”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年10月25日). 2022年5月16日閲覧。
  13. ^ 田山雄士 (2018年2月15日). “WANIMA 『Everybody!!』 まだまだ行くぜ! 成長を伝えるニュー・アンセムも収録のメジャー初フル”. Mikiki. タワーレコード. 2022年5月16日閲覧。
  14. ^ 佐藤慶治「NHK教育音楽番組「みんなのうた」 の楽曲に関する研究 : 海外民謡を原曲とする楽曲と児童合唱団の隆盛」『総合文化学論輯』第13巻、総合文化学研究所、2020年11月、47-64頁、CRID 1390853650604135552doi:10.15017/4485862hdl:2324/4485862ISSN 2189-09862023年9月16日閲覧 
  15. ^ かりゆし58が小学生を応援する「ピクニック」カバー配信”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2009年6月22日). 2022年5月16日閲覧。
  16. ^ 緑黄色社会、niko and ... 2021年夏のシーズンプロモーションで童謡「ピクニック」をカバー”. SPICE. イープラス (2021年5月14日). 2022年5月16日閲覧。

外部リンク[編集]