バロール
バロール (Balor) は、ケルト神話に登場するフォモール族の魔神[1]。セスリーンの夫でエスリンの父にして、ルーの祖父[2]。「魔眼のバロール」の異名を持つ[3]。『キルッフとオルウェン』に登場するイスバザデンとバロールの間には瞼を共の者に開かせる、娘が嫁ぐ事が自らの破滅に繋がるといった共通した特徴がある。
名称[編集]
バロールの語源はケルト祖語のBalerosに由来するとされており、その意味は「死のようなもの」であるという[4]。
神話や民話において様々な綽名で呼ばれており、「強撃のバロール」(Balor Béimnech)、「強大な打ち手バロール」(Balor Balcbéimnech)、「刺すような目のバロール」(Balor Birugderc)、「悪しき眼のバロール」(Balor Drochshúile、バロール・ドーハスーラ)等がある。
概要[編集]
バロールの片方の目(左目だとも額の第三の目だともいわれる)は、視線で相手を殺すことができる魔眼であるため、通常は閉じられており、戦場では4人がかりで取っ手を回し、瞼を押し上げる[3]。子供のときに父のドルイドたちが毒の魔法を準備しているときに窓から外を見ていて、煙が目に入ってしまい、この力を得た[3]。この他にも魔力で嵐を起こし、海を炎の海にすることが出来る[5]。
バロールはダーナ神族を従属させ、重税をかけて苦しめていた[6]。ある時、自分の孫に殺されるという予言を受け、娘エスリンに子供を産ませまいと塔に幽閉する[7]。しかし、ダーナ神族のキアンにエスリンを連れ去られ、彼を追いかけるがマナナン・マクリルの妨害によって取り逃がした[7]。
最期は、予言どおりルーの手で魔眼を射抜かれ殺された[8]。魔眼を射抜いた槍・ブリューナク(あるいは投石機から放たれた石、実際には昔の文献において「ブリューナク」という呼び名のものは存在せず、日本人作家による作り言とされている)は頭部を貫通し、魔眼が後ろにいたフォモール族の兵士を凝視し、壊滅させてしまった[8]。
一説によればバロールはキアンの頭を切断して彼を殺害したが、女性に変装してゴヴニュの作業場を訪れ、ゴヴニュの助手をしていたルーに彼とは気付かず、自分の強さとキアンを殺した事を話し、ルーに焼けた鉄の棒を目から頭部にかけて刺されて殺されたとされる[9]。またある説では、ルーはマナナン・マクリルの元で少年に育ち、あるドニブルック市の日にルーは弓矢を持って浜辺で遊んでいた[10]。するとそこに見知らぬ人物を乗せた小舟がやって来た[10]。ルーがその方に矢を射ると、運悪くその人物に矢が当たって死なせてしまったが、その人物はバロールであったという[10]。
脚注[編集]
参考文献[編集]
- 井村君江『ケルトの神話 女神と英雄と妖精と』筑摩書房〈世界の神話9〉、1983年、ISBN 978-4-480-32909-7。
- 健部伸明と怪兵隊『虚空の神々』新紀元社〈Truth in Fantasy 6〉、1990年、ISBN 978-4-915146-24-4。