ティル・ナ・ノーグ

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ティル・ナ・ノーグTír na nÓg)とは、トゥアハ・デ・ダナーンアイルランドの祖と云われるミレー(マイリージャとも)族との戦いに敗れた後に、その生存者が移住したとされる土地の名。幾つかある楽園の一つで、ティル・ナ・ノーグは「常若(とこわか)の国」と呼ばれる。語り継がれている多くの話によれば、このティル・ナ・ノーグは妖精たちの好みの棲み家であり、三通りの島々、すなわち、生き物の住む島、勝利者たちの島、そして水底の島と言われている。

概説[編集]

敗北後のトゥアハ・デ・ダナーンがどの妖精丘(シー)に住むべきかの差配をしたのは、族長的な地位についたマナナーン・マク・リールであった。そのことを記述した古典ではマナナーンの住処は「約束の地」ティル・タルンギレ(古アイルランド語: Tír Tairngire)あるいはエウィン・アヴラハ(古アイルランド語: Emain Ablach)などと呼ばれるのみであり[1][2]、「ティル・ナ・ノーグ」という地名は登場しない。だが、このマナナーンは常若の饗応(「ゴヴニュの饗応」)を一族の生存者にふるまい、永遠の若さを保っていた[1][2]

土の下だけでなく海のかなたにも常若の国を作って楽しく暮らしているともいわれているが、マナナーンの住むこの他郷は「楽しき都(マグ・メル)」[3]、「喜びヶ原(メグ・メル)」や「至福の島(イ・ラプセル)」などと呼ばれ、西の方角にあるとされている。

また、海の彼方や地下にある楽園、常若の国には、不思議の「りんご」の木[注 1]、食べても生き返る「豚」[1]、永遠の若さを授けるゴブニュの饗応(エール麦酒)[1][注 2]、この三つがあることになっている。

常若の国の伝説[編集]

  • オドノフー伝説
  • ラー湖
  • ハイ・ブラゼル―至福の島
  • 幻影の島

注釈[編集]

  1. ^ 白いリンゴの花が咲く銀の枝英語版[3]、または忘却の音をならす「リンゴ」(黄金の鈴)のついた枝[4]
  2. ^ アーサー・ブラウンに拠ればエール[5]

出典[編集]

脚注
  1. ^ a b c d 「二つの牛乳差しの館の滋養」マイルズ・ディロン 著, 青木義明 訳 『古代アイルランド文学』1987年 オセアニア出版所収 124–133頁
  2. ^ a b Dobs, Maighréad Ní C. (1930), “Altromh Tighi da Medar”, Zeitschrift für celtische Philologie 18 (1): 189–230, doi:10.1515/zcph.1930.18.1.189, https://books.google.com/books?id=CgBGAQAAIAAJ&q=%22Fosterage%22 ; "The Fosterage of the House of the Two Pails" via CTC
  3. ^ a b 『ブランの航海』Meyer, Kuno, ed. (1895), Voyage of Bran, 1, London: D. Nutt, pp. 1–17, https://archive.org/details/voyageofbransono01meye/page/16/mode/2up 
  4. ^ 『コルマク・マク・アートの約束の地への冒険』Stokes, Whitley, ed. (1891), “Echtra Cormaic i Tir Tairngiri ocus Ceart Claidib Cormaic”, Irische Texte (S. Hirzel) 3, https://books.google.com/books?id=FWc7AQAAMAAJ&pg=PA185 , pp. 185–202 (text); 203–221 (translation); 222–229 (notes)
  5. ^ Brown, Arthur C. L. (1910), “The Bleeding Lance”, PMLA 25 (1): 38, JSTOR 456810, https://archive.org/details/jstor-456810/page/n1/mode/2up 
参考文献

関連項目[編集]

外部リンク[編集]