トリアシショウマ
トリアシショウマ | ||||||||||||||||||||||||
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福島県会津地方 2014年7月
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分類(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Astilbe odontophylla Miq.[1] | ||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
トリアシショウマ(鳥足升麻)[3] |
トリアシショウマ(鳥足升麻、学名:Astilbe odontophylla )はユキノシタ科チダケサシ属の多年草[3][4][5]。
特徴[編集]
草丈は高さ40-100cmになる。根出葉は3回3出複葉で、小葉は長さ5-12cm、幅4-10cmになる卵形から広卵形で、先は尾状に鋭くとがり、基部はふつう心形まれに鈍形になり、縁に不ぞろいの鋭い重鋸歯がある[3][4][5]。
花期は7-8月。根出葉とは別に花茎を出し、花茎は分枝しないで数個の茎葉をつけ、その頂に円錐状の花序をつける。花序の最下の側枝の長さは12-25cmになり、よく分枝して短腺毛が密生する。萼裂片は5裂し、緑白色で長さ約1.5mmの長円形から披針形になる。花弁は白色、さじ形で5個あり、長さ4-6mmになる。雄蕊は10個あり、長さ2.5-3mmになり、花糸は白色で裂開直前の葯は黄白色になる。雌蕊は2個の心皮からなり、花柱は2個ある。果実は蒴果で、長さ3-4mmになり、先端が2つに分かれる[3][4][5]。
分布と生育環境[編集]
日本固有種[6]。北海道、本州の中部地方以北の主に日本海側に分布し[6]、亜高山帯、温帯の林床や草原に生育する[4]。
利用[編集]
春、茎が伸び、茎先が3つに分枝し、葉がまだ展開しないものは山菜として食用にされる。おひたし、和え物などにして利用される[7]。
似た植物[編集]
同属のアカショウマ(赤升麻、学名:Astilbe thunbergii )によく似る。トリアシショウマはアカショウマの変種(学名:Astilbe thunbergii var. congesta )という考えもある[5]。トリアシショウマは花序の下部の側枝がさらに分枝し、花序が円錐状に密になるのに対し、アカショウマは花序の最下の側枝を除きほとんど分枝しないので花序はまばらに見える。また、トリアシショウマの花序の最下の側枝は長さ12-25cmになるのに対し、アカショウマのそれは長さ6-9cmと短い[4][5]。3回3出複葉の小葉は、アカショウマの方が幅が狭く、基部は細まり、鋸歯がやや浅い[5]。
生育環境と花期を同じにするバラ科のヤマブキショウマにもよく似る。若い芽のうちは、ヤマブキショウマは、茎が緑色で毛がなく、数段になって分枝するのに対し、トリアシショウマは茎が赤褐色で毛が生え、茎先が鳥の足状に3つに分枝する。芽だしの頃は簡単に区別がつくが成長するとまぎらわしい[7]。また、ヤマブキショウマは、2回3出複葉で、小葉の側脈が平行して葉の縁にまで達し、側脈の平行した様子がはっきりしているのに対し、トリアシショウマは3回3出複葉で、ヤマブキショウマと比べると小葉の側脈の平行感は少ない。また、ヤマブキショウマの雌花の心皮は3個であるのに対し、トリアシショウマは2個である点で異なる[8]。
ギャラリー[編集]
下位分類[編集]
- バンダイショウマ Astilbe odontophylla Miq. var. bandaica (Honda) H.Hara - 東北地方から中部地方に分布し、高山に生育する。全体にいちじるしく小型なもの[4]。
- ミカワショウマ Astilbe odontophylla (Miq.) var. okuyamae (H.Hara) H.Hara - 愛知県の特産。根出葉は2回3出複葉。イカリソウを思わせる形態[4]。準絶滅危惧(NT)-2012年環境省レッドリスト。
脚注[編集]
- ^ トリアシショウマ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ トリアシショウマ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.282
- ^ a b c d e f g 『日本の野生植物 草本II 離弁花類』pp.165-166
- ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.236
- ^ a b 『日本の固有植物』pp.69-70
- ^ a b 『山菜ガイドブック』pp.20-23
- ^ 『日本の野生植物 草本II 離弁花類』p.174