シャックス

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地獄の辞典』でスコクス(Scox)あるいはシャクス(Chax)として描かれた挿絵

シャックスまたはシャクスShaxまたはChax[1])は、悪魔学における悪魔の1人。スコクスScox[2]シャンShan[3]シャスShass[3]シャズShaz[3]とも呼ばれる。

概説[編集]

ゴエティア』によると、30の軍団を率いる序列44番の地獄の大侯爵である。ヨーハン・ヴァイヤーの『悪魔の偽王国』では、公爵にして大侯爵とされる。

召喚すると、しわがれているが繊細な声で話すコウノトリまたはヒメモリバトの姿で現れる[4]。召喚者の命に応じて人の視覚・聴覚・理解力などの知覚を奪い去ったり、金や馬を盗み出す力を持ち、優れた使い魔も与えてくれる。また、神聖な事柄や悪魔たちが守っていない隠された財宝のことも教えてくれる。シャックスはあらゆる点において召喚者に忠実で従順であると約束するという。ただし、シャックスは魔法陣の三角形の中にいない限り嘘をつく。

脚注[編集]

  1. ^ ヨーハン・ヴァイヤーによるPseudomonarchia Daemonumラテン語版原文。
  2. ^ Pseudomonarchia Daemonum
  3. ^ a b c The Lesser Key of Solomon, p.36
  4. ^ ヨーハン・ヴァイヤーPseudomonarchia Daemonum(『悪魔の偽王国』)原文ではコウノトリ(羅:ciconiæ)であり、レジナルド・スコットによるPseudomonarchia Daemonumの英訳でもコウノトリ(英:storke)と書かれているが、『ゴエティア』の各版においては、ヒメモリバト(英:stock dove)となっている。

参考文献[編集]

  • フレッド・ゲティングズ『悪魔の事典』大瀧啓裕訳、青土社、1992年。ISBN 4-7917-5185-X 
  • コラン・ド・プランシー地獄の辞典』床鍋剛彦訳、講談社、1990年。ISBN 4-06-201297-9 
  • Mathers, S.L. MacGregor and Crowley, Aleister, The Lesser Key of Solomon(1904), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
  • Waite, A.E., The Book of Ceremonial Magic(1913), The Internet Sacred Text Archive 内の文書(英文)
  • Weyer, Johann, Pseudomonarchia Daemonum, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集・解題・注釈、ラテン語原文、レジナルド・スコットの英訳)
  • Goetia, Twilit Grotto: Archives of Western Esoterica 内の文書(ジョゼフ・H・ピーターソン編集、英文)