サッカー選手

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サッカー選手。

サッカー選手とは、サッカーにおいて競技を実際に行う者のことである。2.5億のサッカー選手が世界に存在すると推定されている[1]

概要[編集]

ジャン=ピエール・パパンは、サッカーを「世界共通語」と説明している[2]。サッカー選手は一般的に、ユースチームアマチュアチームでキャリアをスタートし、プロサッカー選手を目指す。

収入[編集]

ヨーロッパなどのいくつかのプロトップリーグでは、他の仕事より非常に高い収入を得ることができる。プレミアリーグの選手は、平均で年間約100万ドルもの収入を得ている[3]。その中でも特に裕福なクラブの選手は、平均で年間$600万ドルから$800万ドル[4]、最高では年間$7000万ドルもの収入を得ることができる[5]。この原因について、経済ニュースプラットフォームNewspicksは、「生で観戦する人が少ないことから、市場が小規模であることに起因している」と述べている[6]

しかし、実際にこのレベルでプレーできるのは、一部のプロサッカー選手のみであり、サッカー選手の多くはセミプロ選手である。上記のような収入の多いリーグ以外のリーグでプレーする選手の収入は、比較的一般的な額である。また、ポジションによって年俸に差がある傾向も見られる。例えば、アメリカの一部リーグに相当するメジャーリーグサッカー2013年の平均年俸は、148693ドルだったが、そのうちゴールキーパーの平均年俸は$85,296ドルに留まったのに対し、フォワードの選手の平均年俸は$251,805ドルと、$166,509ドルもの差があった[7]。また、女子サッカー選手の平均収入は、男子よりはるかに低い[8]。例えば、アメリカの女子サッカーリーグ、ナショナル・ウーマンズ・サッカーリーグに所属する選手の年俸は、$30,000ドルにも満たない[9]

ジネディーヌ・ジダンは、引退後、古巣レアル・マドリードの指導者に就任した。

引退後、一部のサッカー選手は、サッカー指導者などとして、サッカー界での仕事を続けることがある。1979年の研究では、より高いレベルのチームの選手の方が、引退後にサッカークラブの幹部の内の多くを占め、また、多くの所得が得られることが分かった[10]

パフォーマンスの心理的側面[編集]

サッカー選手のパフォーマンスは、一般的にホームチームよりもアウェーチームの方が低下するとされている。これは、ホームアドバンテージによるものである。 この現象の原因は科学的には解明されていない[11]。また、別の研究では、審判ペナルティーキックのために0.2秒未満の短いホイッスルを吹いた後では、長く吹かれた後よりも、ペナルティーキックを失敗する可能性が高いことが分かっている[12]

健康への影響[編集]

ヘディングは、慢性脳損傷の発生率を増加させる。

2002年アイルランドの研究機関の発表では、サッカー選手は「物理的性能の全ての分野で、高いレベルの体力と筋肉を備えている人間」と表現している[13]

引退したサッカー選手がうつ病などを発症する確率は一般人とほぼ同じである[14]。また、2009年の研究では、サッカーは成長期の睡眠や心理的機能に良い効果をもたらすことがわかった[15]。しかし、プロサッカー選手の平均寿命は、一般人と比較すると短いことが分かっている。2011年ドイツの研究では、サッカードイツ代表の選手の平均寿命は、一般の男性よりも2年程度短いことが分かった[16]。元サッカ-選手は、現役時代の心身の負荷(オーバーユーズ)によって、引退後に慢性的な痛みに悩まされることがある。

2000年のサッカーの怪我に関する研究[17]によれば、怪我の原因の81.5%は外傷、18.5%はオーバーユースである。怪我の種類は、捻挫が30%を占め、続いて骨折(16%)、肉離れ(15%)、靭帯損傷(12%)、半月板損傷(8%)となっている。部位別にみると、の怪我が最も多くを占め(29%)、足首(19%)、脊椎(9%)と続いている。また、2012年の研究では、全ての怪我の19%は筋肉系の怪我であることが示されている[18]

ヘディングは、筋萎縮性側索硬化症の発生率の増加につながることが示されている[19]。1987年の元サッカーノルウェー代表の選手を対象とした研究では、三人に一人に外傷性脳損傷脳挫傷などの脳損傷が発見された[20]。また、スコットランドスターリング大学の研究チームの発表によれば、ヘディングは脳の機能や記憶力に大きな悪影響を与え、ヘディングをした直後の選手の記憶力は41%から67%低下し、その影響は24時間が経過すると徐々に減少した[21][22]。こうした経緯から、アメリカでは、アメリカ合衆国サッカー連盟によって10歳以下の子供がヘディングを禁止するという措置が取られており[23][24][25]、スコットランドでもスコットランドサッカー協会のゴードン・スミス元会長が、「米国に倣って特定の年齢層にはヘディングを禁止にすべき」と主張する[21]など、世界的にヘディングの健康への影響に対する懸念は高まっている。

特に脆弱な部分である前十字靭帯は、タックルなどによって前十字靭帯損傷などが引き起こされることがあるほか、引退後の選手の股関節変形性関節症が見られることも多い[26]。また、太腿の怪我は筋肉系の怪我の54%を占めることが分かっている[18]FIFAは2012年、これらのサッカー選手の怪我の要因について記したレポートを発表した[27]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ ブリタニカ百科事典
  2. ^ アンネ=セシーレ・ジャラッセ; K・ユリア; アンドリュー・ブルジェス (2007年3月30日). “ジャン=ピエール・パパン「サッカーは世界共通語だ」”. cafébabel.com. http://www.cafebabel.co.uk/article/20539/jean-pierre-papin-football-is-a-universal-language.html 
  3. ^ ニック・ハリス (2011年1月20日). “週給£20から£33,868まで:イングランドサッカーと収入の歴史”. Sporting Intelligence. http://www.sportingintelligence.com/2011/01/20/from-20-to-33868-per-week-a-quick-history-of-english-footballs-top-flight-wages-200101/ 
  4. ^ ヨーロッパの裕福なクラブの収入 - soccermommanual.com
  5. ^ クリスティアーノ・ロナウドの平均収入 - forbes.com
  6. ^ なぜ女子サッカー選手の給料は安いのか - Newspicks.com
  7. ^ MLSの選手の平均年俸 - everydaylife.globalpost.com
  8. ^ 「なでしこ」だけではない女子サッカー選手の低賃金 - newsweekjapan.jp
  9. ^ アメリカの女子サッカー選手の収入 - oureverydaylife.com
  10. ^ アレン・L・サック; ロバート・チール (January 1979). “大学サッカーと社会的流動性:ノートルダム大学のサッカー選手の例”. ソーシャルジー・オブ・エデュケーション英語版 (SAGE英語版) 52 (1): 60–66. doi:10.2307/2112594. JSTOR 2112594. 
  11. ^ リチャード・ポラード (June 2008). “サッカーのホームアドバンテージ:未解決のパズルの現在の状況”. The Open Sports Sciences Journal (ベンサム・サイエンス・パブリッシャーズ英語版) 1: 12-14. doi:10.2174/1875399X00801010012. http://dx.doi.org/10.2174/1875399X00801010012. Pdf.
  12. ^ ゲイル・ジョーデット; エスター・ハートマン; エイナー・サイモンスタッド (November 2009). “代表戦におけるPK戦でのプレッシャー”. Psychology of Sport and Exercise (エルゼビア) 10 (6): 621–627. doi:10.1016/j.psychsport.2009.03.004. http://dx.doi.org/10.1016/j.psychsport.2009.03.004.  PKを蹴るのを急ぐ選手は失敗しやすい。2016年10月
  13. ^ A・ストラドウィック; T・レイリー; D・ドラン (June 2002). “優れたサッカー選手のフィジカルデータ”. The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness (ヨーロッパ・パブメッド・セントラル英語版) 42 (2): 239–242. PMID 12032422. http://europepmc.org/abstract/MED/12032422/reload=0;jsessionid=NPCiMZG7kKrWxI4wXOL0.4. 
  14. ^ T.L.シュベンク; D.W.ゴレンブロ; R.R.ドップ; E.ヒップル (April 2007). “元サッカー選手のうつ病発生率”. Medicine and Science in Sports and Exercise 39 (4): 599–605. doi:10.1249/mss.0b013e31802fa679. PMID 17414796. http://www.medscape.com/viewarticle/555786. 
  15. ^ セルジ・ブランド; ヨハネス・ベック; Gerber, Markus; マルティン・ハッツィンガー; ホルスベア=トラッシュスラー。ガーバー、マルクス;, Edith (November 2009). “サッカーはあなたの睡眠に良い影響を与える。”. ジャーナル・オブ・ヘルス・サイコロジー英語版 (SAGE英語版) 14 (8): 1144–1155. doi:10.1177/1359105309342602. PMID 19858334. http://dx.doi.org/10.1177/1359105309342602. 
  16. ^ オリバー・キス、アレクサンダー・クルティグ、カリン・H・グレイザー「サッカー選手の寿命」、『Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports』第21巻第6号、ワイリー・ブラックウェル英語版December 2011 2011、 e260–e265、 doi:10.1111/j.1600-0838.2010.01269.xPdf.
  17. ^ イジー・コーマック; アストリッド・ユンゲ; ラース・ペーターソン; イジー・ドヴォルザーク (September 2000). “サッカー選手の怪我の要因”. アメリカン・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン英語版 (SAGE英語版) 28 (s5): s58–s68. doi:10.1177/28.suppl_5.S-58. http://dx.doi.org/10.1177/28.suppl_5.S-58. 
  18. ^ a b ヤン・エクストランド (2012). “UEFAによるプロサッカー選手の怪我に関する研究”. Sports Injuries prevention, diagnosis, treatment and rehabilitation (Heidelberg New York: Springer-Verlag Berlin Heidelberg): 871–875. doi:10.1007/978-3-642-15630-4_111. ISBN 978-3-642-15629-8. 
  19. ^ アドリアーノ・キオ; ジャンマルティーノ・ベンジ; マウリジア・ドッセーナ; ロベルト・ムターニ; ガブリエレ・モラ (January 2005). “イタリアのプロサッカー選手における筋萎縮性側索硬化症のリスク”. ブレイン英語版 (オックスフォード大学出版局) 128 (3): 472–476. doi:10.1093/brain/awh373. PMID 15634730. http://dx.doi.org/10.1093/brain/awh373. 
  20. ^ O.ソートランド; A.T.ティッシャー (March 1989). “元サッカー代表選手の脳損傷:コンピュータ断層撮影による検査”. Neuroradiology (シュプリンガー) 31 (1): 44–48. doi:10.1007/BF00342029. PMID 2717003. http://dx.doi.org/10.1007/BF00342029. 
  21. ^ a b サッカーのヘディング、脳の機能や記憶力に大きく影響 - afpbb.com
  22. ^ ヘディングが記憶障害を起こす? 脳への悪影響が英の大学研究で判明 - soccer-king.com
  23. ^ 米で禁止令。ヘディングは害悪か?健康被害だけでなく、競技そのものに影響をもたらす可能性も - footballchannel.jp
  24. ^ 10歳以下のヘディング禁止、サッカー協会が新規定 - cnn.co.jp
  25. ^ 少年サッカー 米でヘディング禁止 - news-postseven.com
  26. ^ クート・B・クリュンダー; ブジャーン・ルダ; イェルゲン・ハンセン (December 1980). “元サッカー選手における変形性関節症”. Acta Orthopaedica Scandinavica (テイラー・アンド・フランシス) 51 (1–6): 925–927. doi:10.3109/17453678008990896. PMID 7211298. http://dx.doi.org/10.3109/17453678008990896.  Pdf.
  27. ^ コリン・W・ファラー; アストリッド・ユンゲ; イジー・ドヴォルザーク (January 2012). “サッカー選手の健康を維持するためのFIFAのアプローチ”. ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン英語版 (BMJ英語版) 46 (1): 11–17. doi:10.1136/bjsports-2011-090634. http://dx.doi.org/10.1136/bjsports-2011-090634.