クリストファー・タナード

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クリストファー・タナード(Christopher Tunnard、1910年 - 1979年)は、イギリス造園家作庭家ランドスケープアーキテクトおよび考古学者ハーバード大学大学院イエール大学教授を歴任。イギリスにおける近代ランドスケープデザインの先駆者として知られ、また戦後は国際遺構遺跡研究会(国際記念物遺跡会議,ICOMOS)会員として歴史遺産保存の分野で世界的に活躍する。

概要[編集]

思想性[編集]

  • イギリスに戻った時期に活発に活動していたベイリー・スコットエドウィン・ラッチェンスガートルード・ジーキルなどから影響を受けた。
  • 1937年にパリで開催された造園国際会議においてスウェーデンの協会が提案した造園に関する機能的理論に共鳴。
  • 形態の規則性については、庭園デザイン原則に強く影響した対象形態からの束縛から自由であることを求め、バランス感覚を心がけるデザイン手法を奨励している。どのような庭園においても簡潔な表現と、美と機能と社会性の統合を求めたヨーロッパのモダニストたちに共鳴。1938年までの間にイギリスにおいて、建築家サージ・シャマイエフやレイモンド・マッグレースらと協働、近代主義的な住宅庭園を手がけている。
  • 自然環境に結びつく手法を重んじてきたが、自然形態そのままのコピー的、具象的なデザイン構成を嫌い、むしろ自然文脈からのデザインソースを求めている。この際に、タナードは同時代の作家として堀口捨己の作品の解析を試みている。堀口の作品の例や日本庭園の実例をもとに、非対称性こそ近代の形としていた。
  • 庭師植木屋園芸作家造園業者ランドスケープデザイナーの区分を芸術性とし、そのアプローチ手法としては広範囲にわたるとしている。
  • 造園家の設計として、三つの典拠として1.機能主義、2.日本庭園、3.現在芸術を示しており、現在の造園はみるためと、すむため、ひとつの組にならねばならず、超人的スケールのものから、、個人庭に至るまで系統的つながりの必要性、そして高速道と関係付けた生産施設地域、低密度居住地域、分散配置されたレクリエーション地域、地域の中心であるコミュニケーションセンター地域といったこれらをランドスケープを統一的に検討し計画する必要性を説く。
  • 建築形態や現代アートから空間構成の着想を得るものとし、彫刻家ではポール・ナッシュミース・ファン・デル・ローエ、壁面彫刻やアレクサンダー・カルダーの彫刻に注目している。
  • 戦後再版されたGarden in the Modern Landscapeは宅地開発や都市計画方向に加筆され、建築家よりの傾向がみえる。
  • 歴史的な庭園やランドスケープに対しても、決して懐古的にはならず、時代と文化が生み出した偉大な庭園遺産に対しても空間構成やその芸術的表現性を評価し、現代的進歩の可能性がある、数世紀前のそれらを保存し高度開発できる、としていた。
  • アメリカ合衆国における大都市の緑地系統を6つに分類している。

作品[編集]

  • シャーマイエフ邸庭園「ベントレーウッド」(イギリス・サセックス、ホラント)
  • セント・アンズ・ヒル(イギリス・チェルシー、円形の建築はレイモンド・マクグラスによる)
  • クレアモント風景式庭園保存案
  • オランダ式菜園案(レイチェスチャー近郊・ガルビー)
  • オール・ヨーロッパ・ハウス計画プロジェクト(MARSプロジェクト、エリザベス・デンビー、アーサー・コーンマックスウェル・フライらと協働)

著作[編集]

  • 近代ランドスケープの庭 Garden in Modern Landscape 1938年
  • The City Of Man 1953年

参考文献[編集]

  • 著者名 マーク・トライブ 編著/三谷徹 訳 モダンランドスケープアーキテクチュア 鹿島出版会
  • 国土と都市の造形 鈴木忠義 訳 鹿島出版会 1966年