キラウエア火山

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キラウエア
Kīlauea
Halemaʻumaʻu crater2.jpg
火山体の中心にあるキラウエアカルデラの
ハレマウマウ火口の空撮(2009年)。
標高 1,247 m
所在地 アメリカ合衆国ハワイ州
位置 北緯19度25分 西経155度17分
山系 ハワイ島
種類 楯状火山
最新噴火 継続中
キラウエアの位置(ハワイ州内)
キラウエア
キラウエア
位置(ハワイ諸島
Project.svg プロジェクト 山
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キラウエア火山(キラウエアかざん、Kīlauea)は、ハワイ諸島ハワイ島を構成する5つの楯状火山の1つ。島の南東部に位置し、マウナ・ロア山と共にハワイ火山国立公園に指定されている。約60万年前から30万年前に形成され始め、約10万年前に海面上に現れたと推定される活火山であり、現在もなお噴火が続いている。

ハワイ・ホットスポットが生み出した火山としては、南方のロイヒに次いで新しく、現在、ハワイ‐天皇海山列の噴火活動が盛んな地域にある。地形的なプロミネンスを欠いており、歴史上その火山活動がマウナ・ロア山の活動期と重なっていたために、かつてキラウエア火山は、隣にある巨大なマウナ・ロア山に付随する火山だと考えられていた。構造上、キラウエア火山には、かなり最近になって形成されたと考えられる頂上付近の大きなカルデラと、それぞれ東に125kmと西に35km延びている2つの活動的なリフト・ゾーン英語版があり、さらに、深さが不明の活断層が年間平均で2mmから20mm程度、垂直に移動している。

キラウエア火山は1983年以来、ほぼ連続的に噴火し続けており、1990年にカラパナの町を破壊したように、かなりの物的被害をもたらしている。2018年5月3日、プナ地区南部の複数箇所で溶岩噴出口が開き、それに続いて起きたMw 6.9の強い地震に伴い、2,000人近くの住民が避難を余儀なくされるなど、火山活動は新しい局面を迎えた。同年5月9日までに、噴火により27棟が破壊された。2018年5月17日午前4時17分(現地時間)に爆発的噴火が発生し、噴煙が上空30,000 ft (9.1 km)まで立ち昇った[1]

概要[編集]

キラウエアは、ハワイ語で「噴き出す」または 「多く撒き散らす」 を意味し[2]、頻繁に溶岩の流出があることに関連している。キラウエアの山体は、地球上で最も大きいマウナ・ロア[3]の南東斜面の上に載っている[4]。キラウエアの標高は1,247 mであり、マウナ・ロアの標高4,169 mと比べるとかなり低い。しかし、同諸島の中では最も火山活動が活発である。1983年以来、ほぼ継続的に噴火を継続させており、これはキラウエアの最近約500年間の歴史において、最も長く継続している噴火活動である[5]

キラウエアが形成され始めた時期はわかっていないが[6]、30万-60万年前と推定されており、おそらく5万-1万年前に海上に現れている[6]。マグマは玄武岩質であり、数mから数百mの溶岩噴泉と、溶岩流を穏やかに発生させるハワイ式噴火を起こし、爆発的な噴火は稀である。このため比較的に安全な火山と認識されており、噴火中であっても観光の対象となっている。

キラウエアの南方の海底では、天皇海山列をつくりだしたハワイ・ホットスポットの火山として最も新しいロイヒ火山が活動を始めている[7]

火山活動[編集]

キラウエアの地図。

キラウエアは、20世紀中に、45回の噴火が記録されている。1983年1月プウ・オオ火口から始まった噴火は、幾度かの活動の不活発化はあるものの、2017年3月の時点で、34年間も継続している。玄武岩質のマグマは粘度が低いため、溶岩流はまずは地表を伝い、表面が冷え固まった後は地下の溶岩洞を伝って流れ続けている。

1790年に有史での最大の爆発が起こっている。火砕サージが発生し約80名が死亡した[8]。1924年にはハレマウマウ火口に近づいて写真を撮っていた1名が爆発によって飛んだ岩に打たれ死亡している[8]

1983年からの噴火[編集]

キラウエアのイーストリフトゾーンにあるナパウ火口(Napau crater)の近くから、1983年1月3日夜に断続的な割れ目噴火の活動が始まり、1983年6月から1986年7月までの3年間には、断続的な溶岩噴泉の活動を通じて、プウオオ火砕丘が形成された[5][9]

プウ・オオ火口。1983年から現在まで噴火が数十年続いている。奥はマウナ・ロア山の山体。2011年。

溶岩流は、1986年に最初の住居を飲み込み[4]、1990年8月20日までにはカラパナの集落を埋め尽くして海まで到達し、さらに海を埋め立ててカイム集落まで達している[9]州道11号線を出て南海岸へ向かう州道130号線は以前火山国立公園のチェーン・オブ・クレーターズ・ロードへつながっていたが、2017年現在でも溶岩流に切断されたままである[4]

2012年までにプウオオ火口は、4 km3の溶岩を噴出させ、125.5 km2を覆い、2.02 km2の新たな陸地を生み出した[10]。そして州道の14.3 kmを埋め、214件の建物を壊した[10]

2014年と2018年の溶岩流[編集]

2014年12月からの火山活動では、プウオオ火口のマグマが発生源と思われる溶岩流は州道130号線付近まで押し寄せ、付近の人々を避難に追いやり、いくつかの住宅を破壊している。2018年4月30日の頻発地震に始まる火山活動では、5月4日に溶岩流がやはり州道130号線近くのレイラニ・エステーツ (Leilani Estatesとラニプナ・ガーデンズ(Lanipuna Gardens)の両住宅地に押し寄せ、プナ地区の中心地パホアのコミュニティー・センターへの避難勧告が出された。

2018年5月の噴出溶岩)

主な地形[編集]

Kilauea ali 2012 01 28.jpg
1
2
4
5
6
キラウエアカルデラ周辺の位置関係。
1
キラウエアカルデラ
2
ハレマウマウ火口
4
キラウエアイキ火口
5
ハワイ火山観測所
ジャガー博物館
6
ビジターセンター

主な地形には次のようなものがある。

交通[編集]

ハワイ州道11号線がキラウエアとマウナ・ロアの境界付近を通っている。以前はハワイ州道130号線が海岸線を横断していたが、1983年からのプウオオ火口の噴火による溶岩流で分断されたままになっている[4]

観光[編集]

キラウエアカルデラの周辺が観光のハイライトである。ジャガー博物館、キラウエアイキ火口、サーストン溶岩洞英語版などがある。カルデラ東から山を下り、海岸線に達するチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが眺めの良い観光道路となっている。 ハワイ火山国立公園内にはよく整備されたたくさんのトレイルコースもある。ヒロ空港には観光用のセスナやヘリコプターを運行している会社もある。

溶岩流の観察[編集]

プウオオ火口からの溶岩流が海に向かっていたので、2017年までは溶岩流見学場所(Lava Viewing Area)で溶岩が海に流れ落ちる様子を見ることができた。しかし到達するには、過去の溶岩流で湾岸の道路が寸断されたため、カイムから8.5マイルも多少起伏のある溶岩の上の道を歩くことになっていた。

過去には溶岩流でできた海岸(溶岩デルタ)が突然に海中に没し、2名が亡くなる事故も起こっている[12]。しかし、プウオオ火口の噴火が始まった1983年から2017年1月現在までの死者はこの2名だけである[12]

画像[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Hawaii volcano erupts from summit, shooting plume of ash”. CBS News. 2018年5月30日閲覧。
  2. ^ Sarah Kaplan (2018年5月4日). “What’s happening inside Hawaii’s Kilauea, the world’s longest-erupting volcano”. The Washington Post. 2018年5月30日閲覧。
  3. ^ 出典 : Mauna Loa Earth's Largest Volcano - USGS、2017年3月閲覧
  4. ^ a b c d e f g h 出典 : ハワイ島の火山見学案内(1998年) - 早川由紀夫、2017年3月閲覧
  5. ^ a b c 出典 : 32周年を迎えたキラウエア火山プウ・オーオー噴火(2015年) - 安井真也 、2017年3月閲覧
  6. ^ a b 出典 : Kilauea: Eruption History - USGS、2017年3月閲覧
  7. ^ 出典 : ロイヒ海山産玄武岩ガラス及びカンラン石の希ガス同位体組成(2004年) - 工藤康晴、松本拓也、松田准一、2017年3月閲覧
  8. ^ a b 出典 : [Volcanic and Seismic Hazards on the Island of Hawaii] (1990) - USGS、2017年3月閲覧
  9. ^ a b c d 出典: ハワイ島キラウエア火山イーストリフトゾーンにおける溶岩流表面風化と植生の回復過程(2015年) - 磯望ら、2017年3月閲覧
  10. ^ a b 出典: Hawaiian Volcano Observatory - USGS
  11. ^ 出典 : Wright. T. H. ほか,1992、Tilling, R. I. ほか
  12. ^ a b 出典 : 群馬大学 早川由紀夫のツイート、2017年3月閲覧
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関連項目[編集]

外部リンク[編集]