龍星座の紫龍
龍星座の紫龍(ドラゴンのシリュウ)は車田正美の漫画『聖闘士星矢』および、それを原作とするアニメに登場する架空の人物。
作中ではほぼドラゴン紫龍と呼称されている。アニメの公式表記もこちら。
プロフィール
- 階級:青銅聖闘士(ブロンズセイント)
- 守護星座:龍星座(ドラゴン)
- 年齢:14歳
- 身長:172cm
- 体重:53kg
- 誕生日:10月4日
- 血液型:A型
- 出身地:日本
- 修行地:中国・廬山五老峰
- 技:廬山昇龍覇(ろざんしょうりゅうは)、廬山龍飛翔(ろざんりゅうひしょう)、廬山百龍覇(ろざんひゃくりゅうは)、廬山亢龍覇(ろざんこうりゅうは)、聖剣(エクスカリバー)
- 声優:鈴置洋孝(初代)、櫻井孝宏(二代目)、川島千代子(幼少期)
来歴
星矢を始めとする多くの青銅聖闘士(ブロンズセイント)同様、グラード財団総帥の城戸光政の非嫡出子として産まれる。光政からは認知されておらず孤児として育ち、自身も暗黒聖闘士との戦いまで出生の真実を知らなかった。
孤児という逆境を切り開く強さを求め、死地への誘いとも言うべきグラード財団の求めに敢えて応え、聖闘士への道を選ぶ[1][2]。龍神伝説で名高い中国・廬山五老峰(ろざんごろうほう)で老師こと黄金聖闘士・天秤座の童虎(ライブラのドウコ)に師事し、5年にわたる修行の末に廬山の大瀑布をも逆流させるドラゴン最大の奥義・廬山昇龍覇を体得。大瀑布の底に眠っていた龍星座の聖衣(クロス)を得て、聖闘士となる。
当初は師の教えを試すために闘いの場に臨んでいた[1]。城戸沙織がアテナの化身と知ってからも、幼い頃に彼女を快く思っていなかったことから、聖闘士としての務めを放棄して修行地の五老峰で生涯を終えようと誓ったこともあったが[3]、聖域(サンクチュアリ)での異変を知って闘いの場に復帰。誰よりも友情に厚い、正義の聖闘士として覚醒してゆく[4]。
アニメ『聖闘士星矢Ω』では、幼馴染みであった春麗(しゅんれい)との間に実子・龍峰が生まれている。また、同作では過去の戦いの影響で五感を失った状態にあり、龍星座の聖衣も既に龍峰に譲っている[5]。
人物像
性格は誠実で勤勉[6]。思慮深く落ち着いた性格であり[7]、後に聖闘士の要となり得る存在とまで呼ばれている。正義を信じることに加え、大変義理堅い性格であり、友のためならば己の身を犠牲にすることすら厭わない[8]。また博識である一面を覗かせ、仲間内の作戦参謀を担うことも多い。ただし最初の頃は、童虎から昇龍覇の弱点を指摘された際に「自分の昇龍覇を破れる者などいない」と言い張っていたり、銀河戦争の星矢との戦いでは星矢を無視して試合の場から去ろうとするなど、傲慢な態度が目立ち、童虎からも精神的な幼さがあると指摘されていた。星矢とは幼少の頃からの竹馬の友であり、日本から出立する直前まで行動を共にしていた。そのためか、星矢とコンビを組むことは多い。外見は腰近くまで伸びたストレートの黒い長髪が印象的[9]。
童虎によって聖闘士としての闘法のみならず、「生きる」という根本的なことを教わり、孤児という境遇の中で光明を見出した紫龍にとって[1]、修行地である五老峰は聖闘士となった後でも安らぎの場所である。童虎に育てられた捨て子の少女・春麗とは幼馴染みであり、深い愛情を抱かれており、紫龍も彼女を通じて人間の心の温かさを認識している[2]。アニメでは童虎、春麗と共に家族のように食事をとるシーンも描かれている[10]。また、彼女との間に産まれた息子龍峰に対しても、愛情を注ぎ知略に長けた礼儀正しい少年に育て上げており、体が思うように動かない状態でありながらも小宇宙を通した指導を彼につけている[11]。
闘いにおいては敢えて聖衣を脱ぎ捨てるなど、敵前で自身を追い詰め逆境の中で小宇宙(コスモ)を高めてゆく[4]。そのため、限界を越えた闘いの最中で出血多量や失明、挙句には仮死に至るなどの重傷を負うことも多い。小宇宙が最高点にまで燃え上がると、龍が天に昇るときに発するという燐気が全身に満ち[12]、背中一面に龍の姿が浮かび上がる。本編終盤では、師匠である天秤座の童虎と、死闘を繰り広げた山羊座のシュラの2人の黄金聖闘士の技を受け継いでいる。
攻防のバランスが取れた聖闘士で、盾に頼らずとも回避能力にも優れている。加えて連続攻撃より、一撃必殺の技を多く持つ。
聖衣
- 龍星座の聖衣
- 色は龍の鱗のような濃緑。飛流直下三千尺と謳われる廬山の大瀑布の水に打たれ続けていたことにより、全ての聖衣の中で最高の硬度を持った右拳および盾を持つが[13]、激戦の中でたびたび傷ついたり破壊される。盾は取り外してフリスビーのように投げて敵を攻撃することも可能[14]。
- 天馬星座の聖衣同様、自らの血や黄金聖闘士、アテナの血によって様々な進化を遂げる。その度にデザインが変化していくが、龍の角と髭をあしらったヘッドギアと、左腕の盾および両肩の龍の爪は龍星座の聖衣のシンボルとして進化の際にも受け継がれていった[4]。アニメオリジナルの初期聖衣も、盾と龍の爪はほぼ同様のデザインがされている[7]。また、最終的に神聖衣(ゴッドクロス)へと進化した際には翼が追加された[4]。
必殺技
- 廬山昇龍覇(ろざんしょうりゅうは)
- 廬山の大瀑布をも逆流させるという、紫龍最大の奥義。
- 完全燃焼させた小宇宙をこめ、主にアッパーカットで強力な拳を放つ[15]。
- 放つ際に全身の力を込めるため、無意識に左拳のガードが一瞬下がり、心臓がガラ空きになるという弱点を星矢に見抜かれ敗れる。シュラに同様の弱点を指摘された際は、それを逆手にとって捨て身の攻撃を放っている。
- また、体力の消耗が激しいときに使用すると、このパワーに全身の細胞が耐え切れず、全身の毛細血管が破れて血液が吹き出し、死に至るという。
- 廬山龍飛翔(ろざんりゅうひしょう)
- 龍の闘気を全身に纏い、自らの肉体を拳と化して相手に突進する技[15]。闘気のみを相手にぶつけることもできる。
- 廬山百龍覇(ろざんひゃくりゅうは)
- 師である童虎より受け継いだ技。無数の龍の闘気を纏った打撃を放つ。
- 冥界・嘆きの壁前での戦いでは、この技で冥闘士の精鋭3人を一度に倒した。
- 廬山亢龍覇(ろざんこうりゅうは)
- 相手を羽交い絞めにして、全小宇宙を爆発させて超高速で飛び上がり、上昇時の摩擦熱によって相手を消滅させる大技。しかし自分自身も摩擦熱に耐え切れずに死んでしまうため、師・童虎より禁じ手として封印するよう命ぜられていた。
- 山羊座のシュラに追い詰められた紫龍が起死回生の技として使用し、相討ちに持ちこんだ。
- アニメオリジナルのアスガルド編ではジークフリートへ使用を試みたが山羊座のシュラに止められ、オーディーン・サファイア消失を防ぐため発動しなかった。
- 聖剣(エクスカリバー)
- シュラの魂より受け継いだ技。シュラのそれと同じく、鋭い手刀でどんなものでも真っ二つにする。紫龍が小宇宙を最大限にまで高めることで、初めて使用することができる。
- 当初は聖剣は右腕に宿っているとされたが、冥闘士ゴードンとの闘いでは、左腕が「聖剣」と呼ばれている[16]。このためOVA『冥界編後章』6話ではシュラは左腕に聖剣が宿っていると述べるが、『冥王ハーデスエリシオン編』第1話では、この場面は右腕に再訂正されている。
脚注
- ^ a b c 単行本2巻(ジャンプ・コミックス)、97頁。
- ^ a b 単行本9巻、84頁。
- ^ 単行本8巻、20頁
- ^ a b c d 『聖闘士星矢大全』 44-46頁。
- ^ ぴあMOOK「聖闘士ぴあ」2012nenn 3月29日刊16Pより。また、同作5話の龍峰によると、五感を失ったのは龍峰の幼少期頃とのことである。
- ^ 車田正美・浜崎達也『聖闘士星矢 ギガントマキア 血の章』集英社〈ジャンプ ジェイ ブックス〉、2002年、63頁頁。ISBN 978-4-08-703123-2。
- ^ a b 週刊少年ジャンプ特別編集『聖闘士星矢アニメ・スペシャル』集英社〈ジャンプゴールドセレクション〉、1988年、92-93頁頁。
- ^ 週刊少年ジャンプ特別編集『聖闘士星矢アニメ・スペシャル』 3巻、集英社〈ジャンプゴールドセレクション〉、1989年、100頁頁。
- ^ 『聖闘士星矢 ギガントマキア 血の章』、53頁頁。
- ^ テレビアニメ第22話。
- ^ ぴあMOOK「聖闘士ぴあ」2012nenn 3月29日刊16-17Pより
- ^ 単行本3巻、142-143頁。
- ^ 中国の古事成語『矛盾』に由来。週刊少年ジャンプ特別編集『聖闘士星矢コスモスペシャル』集英社、1988年、31頁頁。
- ^ 単行本6巻、115頁。
- ^ a b 『聖闘士星矢コスモスペシャル』、213-215頁頁。
- ^ 単行本26巻168頁。直前の135頁、136頁では、右腕で手刀を放っている。
参考文献
- 車田正美『聖闘士星矢大全』ホーム社、2001年。ISBN 978-4-8342-1690-5。