速達郵便

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速達郵便(そくたつゆうびん)は、世界各国の郵便制度にあるオプションサービスの名称の1つ。

概要

一般に、追加料金を支払うことで、速達でない郵便よりも速く配達するサービスを速達郵便という。日本での略称は速達。英語ではexpress deliveryまたはspecial deliveryと呼ぶ。

1998年以降は国際的にも、万国郵便連合 (Universal Postal Union: UPU) の枠組みの中で制定された国際スピード郵便 (Express Mail Service: EMS) によって類似のサービスを受けることができるようになった。現在、万国郵便連合191加盟国中138か国で取り扱っている。

日本郵便のサービスでは宅配便等との競合のため、郵政省であった1990年代以降、速達系統の郵便サービスが登場した。

日本の速達郵便

日本の郵便制度では、特殊取扱(オプションサービス)の1つとして定義されており、郵便物またはゆうメールに対して、切手または窓口にて料金を支払うことで速達のサービスを受けられる。郵便制度においては、「同一種類で速達としない郵便物に優先して送達する郵便」と定義されている。普通郵便は基本的に1日1回しか配達しないのに対し、速達郵便は原則として1日に3~4回配達するほか、普通郵便が配達休止となる日曜・祝日にも配達する。

普通郵便は未明までに集配支店に到着した郵便物を当日配達するため、集配支店に未明以降に到着した郵便物の配達は翌日となるが、速達郵便の場合は翌日回しにならず、15時までの到着であればその日のうちに配達される。

料金

速達を利用する場合は基本料金に加えて、特殊取扱料金として速達料金が上乗せされる。速達料金は2010年現在、25グラムまでの第一種郵便物およびはがきミニレターでは270円である。それ以上やゆうメールの速達料金は日本郵便ホームページ - 速達参照。例えば、封書の定形郵便物を速達で送る場合、基本料金の80円に、速達として送るための特殊取扱料金270円を加えた350円が必要になる。

差出方法

速達郵便は、決められた方法で速達表示する必要がある。

速達郵便を郵便ポストに差し出す場合は、次の方法で速達表示する。

  • 郵便物が縦長ならば郵便番号欄よりも上、横長なら郵便番号欄よりも右に赤線を記す。線の色は赤(または朱色)でなければならない。
  • 赤線を表示していれば、速達の文字の記入は必須ではないが、速達と明記しないと取り扱う郵便職員に見落とされる恐れが高いため、速達の文字を入れるべきである。
  • ――― 速達 ―――」の様に記すのが一般的である。
  • この速達表示のためのスタンプ印も文具店で市販されている。

郵便窓口で差し出すならば、担当者に「速達」と申し出れば、職員がスタンプ印を押すので、自分で速達表示する必要はない。

速達の差出方法としては、郵便窓口で速達扱いを申し出るのが確実である。一般の郵便ポストへの投函も可能(事前に料金分の切手を貼る)だが、集荷頻度の低いポストに注意が必要であるほか、速達であることが仕分け時に見落とされることがあるという。そのほか、郵便局の営業時間外では、ゆうゆう窓口(時間外窓口)から差し出すこともできる。

引受締切時刻

郵便窓口に差し出す場合の締切時刻は、その郵便局によって異なるが、基本的に16時から17時である。締切時刻を過ぎた後に窓口で差し出した場合は翌日午前まで、その郵便局内で保管される[要出典]

郵便ポストに差し出す場合の締切時刻は、その郵便ポストに明記されている最終の取集時刻である。最終取集時刻を過ぎた後に郵便ポストに差し出した場合は、当然ながら翌日の最初の取集まで郵便ポストに保管されることになる。

配達方法

速達の配達は基本的には対面配達(手渡し配達)であるが、必ずしも手渡しとは限らず、在宅であっても(繁忙などの理由で)郵便受けに配達する方法も許されている。受け取りの際に受領印は不要。受取人が不在の場合は、郵便受けに入る大きさなら受箱配達となる。受取人不在で郵便受けにも入らない場合は、不在通知書が入れられ、集配支店に持ち戻りとなる。

速達の類似商品

日本郵便

レターパック500
速達並みの速さで配達される。例えば夕方までに本州から差し出せば東京都あてに翌日に配達される。
ポスパケット
速達並みではないが、支店間の輸送は速達ルートである。また、速達担当者が配達する集配支店が多いため、普通郵便で差し出すより配達が若干早くなる可能性がある。荷物扱いであり、信書の送付はできない

速達より送達度の高い(早い)サービス

新特急郵便
新特急郵便札幌市東京23区名古屋市大阪市福岡市の各市内・区内に当該郵便物を引き受け後、数時間後に配達する。バイク便宅配便の近距離当日配達サービスを意識したサービスである。事前契約の必要があるため、基本的に個人では利用できない。
翌朝10時郵便
翌朝10時郵便(愛称: モーニング10)は、各郵便支店が相手先郵便支店ごとに定めた締切時間までに郵便物を差し出せば、翌日の午前10時までに配達する取扱いである(山間部、離島など一部地域を除く)。集荷サービスも利用可能。郵便追跡サービスによる着否確認もできる。宅急便タイムサービス、時間指定サービスを意識した郵便サービスといえる。

なお、以前は、ゆうパックにも速達を付けることができた。2010年7月1日に「JPエクスプレスのペリカン便」事業を統合したことで、速達ゆうパックは廃止された。

宅配便

速達郵便よりも送達時間が早い場合もあるが、郵便法および各社の約款により信書を内容物とすることはできない。

備考

郵便事業株式会社が定める内国郵便約款[1](PDF文書)によると、速達扱いとして差し出した郵便物が配達不能で差出人に返還される間の配送も、速達扱いとするとされている。速達郵便の転送も速達扱いである。また、特に交通困難で速達扱いが難しいと定めた地域へは、速達で差し出すことができない。なお、当該地域あてに速達郵便物を差し出した場合は速達料金については返還される。

アメリカでの速達郵便

アメリカ(USPS)での速達郵便は、Express MailとPriority Mailがある。また、日本宛てに利用可能な国際郵便として、Express Mail International(日本でいうEMS)と Priority Mail International(日本でいう速達)がある。前者のほうがより高速で、料金も高額である。

狭義の速達は1885年10月1日に始まった(法令が公布されたのは3月3日である)。料金は1通10セントで、専用の切手が発行された。1968年になると、Priority Mailのサービスが始まる。航空小包を発展させたもので、取集めから配達に至るまで、一貫したサービスを提供している。Express Mailは1970年から試行され、1977年には正式に施行されるようになる。Priority Mailは小包の延長上にあり、地帯別の従量料金制になっているのに対し、Express Mailは翌日の配達を保証、料金は重量のみによっていた。国際便については、速達便の特性(配達先でその効果を発揮する - 到着次第配達を行う)ゆえ、導入は遅れ、1923年1月1日、カナダあてのみに利用できるようになった。1926年より取扱国が拡大、全UPU加盟国に有効となったのは、戦後のことであった。International Express Mail Serviceは1978年から試行、1981年に本格導入された。 Priority Mail Internationalは、当初WORLDPOST Priority Letter Serviceの名称で、1995年より試行、1996年に現在の名称となり、取扱国を拡大した。

国際的な類似のサービス

UPSやDHL、FedExなども類似のサービスを行っている。

脚注

関連項目

外部リンク