練習曲

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練習曲(れんしゅうきょく)は、楽曲の種類の一種である。フランス語風にエチュード(Étude、「学習」の意:英語のstudyに当たる)ともいう。練習曲と呼ばれる楽曲は次の2種に大別され、各々の定義は若干異なる。

  1. 楽器や歌の演奏技巧を修得するための楽曲。
  2. 演奏会用練習曲。演奏するために非常に高い技巧を要求する比較的短い楽曲。性格的小品の一種である。

練習曲

通例、曲により修得すべき演奏技巧が特定されており、その技巧を曲の中で繰り返し要求し、その技巧の修得を目指す。 前者に挙げられているものは文字通りの「練習曲」であり、演奏技巧の学習を目的とした、教育用の練習曲である。

「文字通りの練習曲」には大きく分けて2つの種類があり、そのひとつが、ハノンブラームスのピアノ練習曲に代表される、機械的な練習を主な目的とした練習曲である。これらの曲は、単純な音形を反復練習することにより機械的な演奏能力を向上させることを目指している。これらの練習曲はもっぱら技術的な面のみに関心が向けられるのが常であり、通常の意味における「音楽」としては成立していない場合が多い(これらを「音楽」として演奏会で演奏するような演奏家が存在しないわけではないが、そのような試みがなされる機会はごく限られている)。

もう一種が、単純な音形の反復が中心となりながらも、ある程度「音楽」として成立している曲である。これにはツェルニーのピアノ練習曲などが挙げられる。これらのものは、ときに後述の演奏会用練習曲と厳密な区別が不可能な場合もある。

演奏会用練習曲

文字通りの「練習曲」とは多少異なる概念を有するのが、性格的小品の一種としての「練習曲」である。

元来、音楽的な目的を達するために、高い技巧が必要なければそれに越したことがないわけであるが、それを承知で高い技巧を求めているような楽曲に、なかば言い訳のように「練習曲」と名づけているものがこれに該当する。性格的小品の中でも、特に前項の「練習曲」との類似性から、比較的演奏が困難な音形がある種のモチーフとして曲全体を強力に支配しているような曲が比較的多い。

前項の演奏技巧の学習を目的とした練習曲とは異なり、他の種類の楽曲に比べ芸術性の上で何ら遜色はない。もちろん、楽器練習のために使用することもでき、特定の技巧を繰り返し要求するような楽曲では、その技巧の修得を目的としてその楽曲を練習することも行われている。また、主として指の独立運動等(基礎練習)を、中心に考えて作曲された練習曲もある。

このようなものの代表として、ショパンの練習曲Op.10, Op.25やリストの超絶技巧練習曲などが知られている。

主な作曲家と作品

ピアノ

技巧修得のための練習曲

  • ツェルニー
    • 100番練習曲 Op.139 (最も初歩的な練習曲であり、最初に学習する曲として広く使われている)
    • 110番練習曲 Op.435
    • 30番練習曲(Etudes de Mecanisme) Op.849
    • 40番練習曲(Die Schule der Gelaeufigkeit) Op.299
    • 50番練習曲(Kunst der Fingerfertigkeit) Op.740(699)
    • 60番練習曲(Die Schule des Virtuosen) Op.365
    • Practical Finger Exercises Op.802
    • 160番 Eight=bar Exercises Op.821
    • 24番練習曲(Vorschule der Fingerfertigkeit) Op.636
    • 左手のための24の練習曲(Etuden fur die Linke Hand) Op.718
    • 125 Passagen Ubungen Op.261
    • 毎日の練習曲(40 Taegliche Ubungen Op.337) など
  • ブルグミュラー - 25の練習曲 Op.100 (ツェルニー 100番を終えた後によく使われるものであり、小品としての芸術性も備えている)
  • ハノン - 60の練習曲(この練習曲集は、フィンガートレーニングを目的とした練習曲集である)
  • ピシュナ
    • リトル・ピシュナ 48の基礎練習曲集(60の練習曲への導入)
    • 60の練習曲
  • モシェレス - 24の練習曲 Op.70
  • クラーマービューロー - 60の練習曲
  • ブラームス - 51の練習曲 WoO.6
  • モシュコフスキ - 15の練習曲 Op.72
  • バルトーク - ミクロコスモス(コンサート・レパートリーとなっている曲も含まれる)
  • クレメンティ - グラドゥス・アド・パルナッスム

演奏会用練習曲

ヴァイオリン

技巧修得のための練習曲

  • カイザー - 練習曲Op.20
  • クロイツェル - スタディ・カプリス(42曲)
  • ローデ - 24のカプリス
  • ヤコブ・ドント - 24のカプリス Op.35(ドントは9度や10度などが頻繁に出てくるため左指を柔らかくする訓練になる。だが、悪い練習(力が入ったまま長時間弾き続ける等)を続けた場合、手を痛めるおそれがあるので練習には十分な注意が必要である。)
  • パガニーニ - 24のカプリス Op.1
  • セブシック - VIOLIN STUDIES oP.1~9
  • シュラディック - The Shhool Violin-Technic BookⅠ~Ⅱ

ギター

演奏会用練習曲

エイトル・ヴィラ=ロボス - 12の練習曲(クラシックギターにおいて最も難曲だあると考えられ、その技巧性と芸術性からショパンエチュードに位置付けられる)

・コスト - 25の練習曲(こちらもその芸術性の高さからギターにおけるショパンエチュードと評される)

アグスティン・バリオス - 演奏会用練習曲

その他弦楽器

木管楽器

金管楽器

  • ホルン
    • コプラッシュ:60の練習曲集
    • マキシム・アルフォンス:200の新練習曲
    • ランゲイ:ホルン教本
    • ヘルマン・ノイリンク:低音ホルンのための30の練習曲
  • トランペット
  • トロンボーン
  • チューバ
    • (stub)

声楽