24の奇想曲

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ニコロ・パガニーニ24の奇想曲(伊: 24 Capricci)作品1は、ヴァイオリン独奏曲。無伴奏曲なので、ヴァイオリン重音奏法や、視覚的にも演奏効果の高い左手ピッツィカートなど強烈な技巧が随所に盛り込まれた作品。ヴァイオリン演奏家には難曲に挙げられている。フランツ・リストは演奏技巧のもつ音楽の可能性に触発され、ピアノ曲に第1・5・6・9・17・24番を編曲している。

概要[編集]

1800年から1810年頃にかけてジェノヴァ(正確な場所は不明)で作曲され、その10年後の1820年ミラノで「作品1」としてリコルディから出版された。作曲の動機については不明ではあるが、ロカテッリやロードなどのフランコ・イタリア派作曲家たちからの影響がみられる。

パガニーニが好んだハーモニクスはこの曲集ではなぜか用いられず、舞曲行進曲リズムの使用、バロック音楽やジプシー音楽からの影響、ヴェネツィアの舟歌からの引用やギターのトレモロの模倣など、多くのヴァイオリン曲の中で特異な魅力を放っている。

各曲[編集]

1:アンダンテ[編集]

ホ長調、2/4拍子。右手運弓の練習と移弦によるスピッカートの練習。

アルペッジョを一弓の動作で演奏し往復するので、左手の運指は4弦に4本の指をすべて対応しなければならない。高音域のポジションを正確に把握するので訓練が必要。
なおこのスピッカートは他の作曲家にも大きな影響を与えている。メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲では、第1楽章のカデンツァで技巧を誇示する材料にされている
リストの「パガニーニ練習曲第4番」の原曲

2:モデラート[編集]

ロ短調、6/8拍子。移弦の練習。E線とG線・D線といった離れた音域の弦を円滑に移動するので洗練された弓さばきが必要。ヴァイオリン曲にはよく現れる語法で、ジョヴァンニ・バッティスタ・ヴィオッティヴァイオリン協奏曲第22番の第1楽章にも例がある。

シューマンの「練習曲作品10第5」の原曲

3:ソステヌート~プレスト[編集]

ホ短調、4/4拍子~プレスト、ホ長調、3/8拍子。序盤はオクターヴ重音とダブルトリルの連続。中盤プレストは16分音符での流れるような旋律。

シューマンの「練習曲作品10第6」の原曲

4:マエストーソ[編集]

ハ短調、2/4拍子。三度重音の練習。主題は優雅な旋律ながら時に32分音符の速いパッセージが混じる。左手の柔軟なポジションチェンジが必要。

シューマンの「練習曲作品10第4」の原曲

5:アジタート[編集]

イ短調、4/4拍子。前奏と後奏はカデンツァ風のアルペジョ、主部はサルタート奏法による無窮動からなる。http://www.youtube.com/watch?v=PULrXbC_2Ig&feature=em-upload_owner

シューマンの「練習曲作品3第1」の原曲

6:(アダージョ)[編集]

ト短調、3/4拍子。トレモロを背景に息の長い旋律が演奏される。

シューマンの「練習曲作品10第2」、リストの「パガニーニ練習曲第1番」の原曲

7:(指定記号無し)[編集]

イ短調、6/8拍子。オクターヴの重音の舟歌風の旋律で始まり、投弓スタッカートによるアルペジョ、スチールが散りばめられている。

8:マエストーソ[編集]

変ホ長調、4/4拍子。A,B,A,B,Aの連鎖形式。Aはオクターヴ重音と音階、Bは16分音符の細かい動き。

9:アレグレット[編集]

ホ長調、2/4拍子。A,B,A,C,Aの変則ロンド形式。優雅な(長三度・6度)重音奏法の練習。少女と老人とが掛け合いで歌うさまを模写したといわれる。極めて有名な曲で、楽譜には、フルートとホルンの掛け合いを模した指定がある。

シューマンの「練習曲作品3第2」、リストの「パガニーニ練習曲第5番」の原曲でリストは編曲に当たって『狩』の名を与えた。

10:ヴィヴァーチェ[編集]

ト短調、6/8拍子。3部形式。速い16分音符のスタッカートとトリルの練習。

シューマンの「練習曲作品10第3」の原曲

11:アンダンテ~プレスト[編集]

ハ長調、3/4拍子~プレスト、2/4拍子。3部形式。重音を多用した第1部と、はねるリズムを中心にした中間部から成る。

シューマンの「練習曲作品3第3」の原曲だが第1部だけ借用。

12:アレグロ[編集]

変イ長調、4/4拍子。幅広い跳躍音程がレガートで奏される。

シューマンの「練習曲作品10第1」の原曲

13:アレグロ[編集]

変ロ長調、6/8拍子。ダ・カーポ3部形式。3度重音の下降音型による第1部と、16分音符の跳躍音型による中間部から成る。 第1部の響きから「悪魔の微笑み」という俗称を持つ。

シューマンの「練習曲作品3第4」の原曲

14:モデラート[編集]

変ホ長調、2/4拍子。重音と三重音、四重音による軍隊行進曲風の旋律が、重音奏法で処理される明快な曲。

15:ポサート[編集]

ホ短調、6/8拍子。ダ・カーポ3部形式。第7曲の縮小版のような曲で、舟歌風の旋律と、その変奏による第1部、広い範囲の音階による中間部から成る。

16:プレスト[編集]

ト短調、3/4拍子。16分音符による無窮道。レガート運弓におけるスモルツァンド、アクセント位置の変化など右手のエチュード。

シューマンの「練習曲作品3第6」の原曲

17:ソステヌート~アンダンテ[編集]

変ホ長調、4/4拍子。序奏付ダ・カーポ3部形式。リストも意識した、華麗な装飾音に彩られた曲。パガニーニもアンコールでしばしば演奏したといわれる作品。冒頭Es音はG・D弦で重音になる。高音部の音階主題と、応えるG・D弦の重音が素材。

同音を二つの弦で奏でるのはヴァイオリンヴィオラのみの能力であり、ピアノ演奏家に不可能な技巧を見せつける大家の面目躍如である。

18:コレンテ~アレグロ[編集]

ハ長調、6/8拍子~アレグロ、4/4拍子。ダ・カーポ3部形式。ホルン信号を模倣しG線のみで奏される第1部と、スタッカートの3度重音による中間部から成る。

19:レント~アレグロ・アッサイ[編集]

変ホ長調、4/4拍子。序奏付3部形式。オクターヴ重音による短い序奏に続く第1部は幅広い音程の跳躍練習。中間部はハ短調の速いパッセージ部分から成り、ここではG線の使用しか認められない。

シューマンの「練習曲作品3第5」の原曲

20:アレグレット[編集]

ニ長調、6/8拍子。ダ・カーポ3部形式。第1部はニ音のドローン上を息の長い旋律が彩り、中間部は対照的にトリルがついた16分音符の速いパッセージとなる。

21:アモローゾ~プレスト[編集]

イ長調、4/4拍子。A,A,Bのバール形式。短い序奏の後のA部分は6度重音による甘い旋律だが、B部分は一変して速い16分音符の音階的パッセージで、飛ばす弓の奏法が要求される。

22:マルカート[編集]

ヘ長調、6/8拍子。ダ・カーポ3部形式。第1部は6度・3度・10度重音のエチュード、中間部はニ短調で16分音符の跳躍音程によっていて、第20番の2番様相を示している。

23:ポサート[編集]

変ホ長調、6/8拍子。ダ・カーポ3部形式。第1部はオクターヴ重音と高音域での半音階下降によっている。中間部はハ短調で32分音符の下降する速い音階パッセージで構成される。

24:クワジ・プレスト[編集]

最終曲。イ短調、2/4拍子。全曲をまとめるにふさわしい華々しい変奏曲。主題と11の変奏、それに終曲が付随する。非常に有名な作品で、僅か16小節の主題があらゆる技巧の為に展開される。後の作曲諸家に「パガニーニの主題による変奏曲」として改作されている。リストの「パガニーニ練習曲第6番」、ブラームスパガニーニの主題による変奏曲ラフマニノフパガニーニの主題による狂詩曲などロマン派作家が競ってピアノ作品に改作・編曲している(en:Caprice No. 24 (Paganini)に詳しい)。

主題
Quasi Presto。イ短調、4分の2拍子。開放弦で非常に響きがよい。
変奏
順にアルペジョオクターヴ奏法、高音と低音との交互演奏、左手ピッツィカート、極端な高音での半音階を材料にした変奏が展開する。最後はイ長調で華々しく締めくくる。

外部リンク[編集]