絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Tribot (会話 | 投稿記録) による 2012年5月8日 (火) 01:18個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (bot: WP:BOTREQ#『Tl:ネタバレ終了』廃止に伴うテンプレート除去 oldid=42269179 スキップ除去)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-
ジャンル サバイバル・アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
開発元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
発売元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
人数 1人(アドホックモード対応/2~4人)
メディア UMDダウンロード
発売日 パッケージ版:2009年4月23日
ダウンロード版:2010年5月13日
対象年齢 CERO B
コンテンツ
アイコン
セクシャル
その他 データインストール対応
テンプレートを表示

絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-』 (ぜったいぜつめいとし3 こわれゆくまちとかのじょのうた)はアイレムよりPSP用ゲームソフトとして2009年4月23日に発売されたソフトである。

概要

前作(絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち-)から3ケ月後の2011年3月[1]の設定。前作は水害による洪水がテーマだったが、本作は前々作と同様の大地震によって被災した海に浮かぶ大都市セントラルアイランドからの脱出がテーマとなり、火災旋風などの今までに無い災害にも見舞われる。前作、前々作に比較し、ハードをPSPに移したことによりスケールは縮小されたが、アドホックモードを使ったマルチプレイモードが追加された。また、前作の登場人物も2人登場しており[2]、僅かながらも前作との繋がりを見せている。

また、防災・危機ジャーナリストの渡辺実が監修を務め、本作内の災害シーン・災害マニュアルを手掛けている。この災害マニュアルは作中のいたるところで表示されたり、アイテムとして入手することで、閲覧が可能になっている。

2011年3月、『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』の発売中止に前後して今作を含む『絶体絶命都市』の全シリーズ販売終了・廃盤が決定。DL版の販売も中止され、パッケージ版の入手は在庫限りとなる。偶然にも、作中で発生する巨大地震の設定も2011年3月であった。

ゲームシステム

複数の主人公が異なる立場で同じ災害に遭遇するオムニバスストーリーになった前作とは異なり、前々作同様に一人の主人公で最後までプレイするストーリーに戻った。主人公を操作して、絶体絶命な状況を生き抜くことがこのゲームの目的。 主人公は香坂直希と牧村里奈のどちらから選択するが、一部のキャラの対応などを除いてストーリーの内容は全く同じである。名前の変更は可能。

さらに前作の体調維持の代わりとして、今作では体力ストレスに気を配らねばならない。舞台は災害中の大都市であり、そこに余震の揺れが襲い、瓦礫が落ちてきたり、火災に巻かれ、体力は当然減ってくる。更には余震で転倒したり、火災で煙を吸ったり、足場の悪いところを歩いたりすると不安緊張恐怖心を感じる場面ではストレスが増え体力の上限値を圧迫する。体力が減ってくると視野が悪くなって走ることができなくなり、最後にはゲームオーバーになる。それを回復するため、『食料のアイテムを使ったりベンチで休憩して、体力と安心感からストレスの回復を図る』。ほぼ全編で主人公は危機的状況にさらされているので、力任せな雑なプレイをすると主人公はすぐに体力及びストレスを悪化させてしまう為、頭を使った丁寧、且つ迅速な操作が必要とされる。

主人公は性格が設定され、ゲーム内の行動と選択肢により時折性格が変化していく。性格と内容は以下のようにある。

情熱型
感情を前面に出して行動や選択肢を多く選ぶとなる性格。ややストレスを受けやすい反面、咲の歌によるストレス回復効果が高い。アイテムによるストレス回復効果は普通。
冷静型
ハプニングに動じず、冷静に物事を考える選択肢を多く選ぶとなる性格。ストレスを受けにくい反面、アイテムや咲の歌による回復効果も低い。
臆病型
さまざまな事態に備え、何事にも慎重な姿勢で構える行動や選択肢を多く選ぶとなる性格。非常にストレスを受けやすい反面、アイテムによる回復効果も高い。咲の歌によるストレス回復効果は普通。

また、ゲーム中には多数のコスチュームが配置されており、それらを自由に着替える事が出来る。服の他にも、帽子、靴、手袋と言った部位毎の装備アイテムも存在し、制服、私服、コスプレなど、前作よりも遥かにバリエーションに富んでいる。これらは主人公の性別で手に入る種類が異なる。但し、服は上下セットなので、前作のように組み合わせは出来ない。パートナーに渡して着替えさせる事も不可能となった(そもそも男主人公では男物しか手に入らない)。また、マルチプレイモードでのみ入手可能の装備(またはコンパス)も存在する為、通信プレイが出来ないプレイヤーには絶対に手に入らないと言う事態が発生してしまっている。

更には2名のヒロインとの好感度が設定されており、選択肢や行動で好感度が上下し、ベンチで休憩した時や会話、エンディングなどで影響が出る。但し、前々作のようなルート分岐は無い。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


ストーリー

4月からセントラルアイランドの大学へ通うことになった香坂直希(こうさかなおき)または牧村里奈(まきむらりな)はセントラルアイランドへの高速バスに乗っていた。

バスがセントラルアイランドの島へと続く海底トンネル「春崎ラグーンライン」内を走行中に大きな揺れが生じバスは横転、その衝撃で主人公は気を失った。

しばらくして気を取り戻した主人公は車内の状況に驚愕、とりあえず危険なバスの中から脱出を試みるのであった。

主な登場人物

香坂 直希(こうさか なおき・鳥海浩輔
男性主人公。19歳。
女性主人公の牧村里奈より体力面や段差を登る速度は勝るがストレス面で影響を受けやすい。
この春からセントラルアイランドにある大学に通うためにやって来た。しかし、島へと続く海底トンネルの中で地震に遭遇してしまう。
牧村 里奈(まきむら りな・声:広橋涼
女性主人公。18歳。
男性主人公の香坂直希より体力面や段差を登る速度は劣るがストレス面では影響が受けにくい。また香坂よりアイテムが難しい場所に配置されている。
この春からセントラルアイランドにある大学に通うためにやって来た。しかし、島へと続く海底トンネルの中で地震に遭遇してしまう。
本条 咲(ほんじょう さき・声:生天目仁美
セントアイランド市民病院で看護師をしていた女性。22歳。ミュージシャンになる夢を諦めきれず、看護師を辞めて島から出ようとしていたところ、地震に遭遇する。メインヒロイン。
その歌声は聴く者の心を励まし、勇気付け、ストレスを和らげてくれる。
また、牧村里奈や羽月彩水など年下の同性にはややお姉さんぶるところがある。
昔やっていたバンドメンバーに彼氏がいたが彼がバンドを辞めることが原因で喧嘩をして別れる。しかし彼の友達から辞めたのは父親の工場の跡を継ぐためだったと知り、昔の自分を子供だったと振り返ることも。
羽月 彩水(はづき あやみ・声:こやまきみこ
地震に巻き込まれた高校生。おとなしく、か弱そうな印象の少女。ヒロインのうちの1人だが、ベンチに一緒に座る事もなければ、本条 咲よりも同行する期間が短く、更に彼女と二人だけで行動する機会も皆無に等しい為、サブヒロイン的位置付けに当たる。
セントラルアイランドの建設工事を森田グループから受注した「羽月建設」の社長である羽月大悟の1人娘。
実は氷川の妹で、氷川のことになると見境無く彼を追う。
羽月大悟が当時の羽月建設の規模では無理だったセントラルアイランドの工事受注を取るため、政府にパイプのある森田信輝に莫大な資金と妻を差し出した結果、森田との間に生まれたのが彩水である。
更に、森田と羽月のせいで仕事がなくなった石沢要一の元妻が入院中の母に怨嗟の言葉をぶつけ、そのショックが原因で母が衰弱死している。
そのため、母を犠牲にした羽月と母を蹂躙した森田を、母の死の遠因を作った石沢に殺させるという計画を立てる。
氷川 慶介(ひかわ けいすけ・声:成田剣
崩壊したセントラルアイランドに出没する謎の男。
その職業は刑事であり、常に拳銃を携帯している。実は石沢の娘である景子の元・婚約者であり、彩水の兄でもある。
彩水から、母の仇打ちとして石沢が森田と羽月大悟を殺すように仕向けるという計画を持ちかけられ、断り切れずに協力をする。
景子の婚約者になったのもその計画のためであったが、景子への本当の気持ちは不明である。
石沢 要一(いしざわ よういち・声:菅原淳一
地質学者。かつてセントラルアイランドの開発に携わり、島の資質調査を行ったことがある。
娘・景子は羽月建設に秘書として務めていたが、横領がばれて自殺している。
セントラルアイランドの孕む危険性を訴え続けたが、学会を追放された。混乱のさなかにあるセントラルアイランドでもその崩壊の危険性を説く。彩水を実の娘のように可愛がっているが…?
実はセントラルアイランドの危険性は事実で、森田と羽月大悟によって事実を歪められて学会を追放された。
景子の死も自殺ではなく、その事実を知ってしまったために森田と羽月に殺されたのが真実である。その事実を知り、復讐のために森田を殺害した。
しかし、もう一人の仇である羽月大悟がすでに島を脱出していたことを知り、娘を失った自分と同じ思いを羽月に味わわせるため、彩水を殺害しようとする。
森田 信輝(もりた のぶてる・声:佐藤正治
様々な業種の企業を有する「森田グループ」の会長。財界、政界に顔が利く人物で、セントラルアイランド開発の発起人。
横暴かつ傲慢で強烈な登場を果たすが、物語序盤で森田ビルの事務所で死亡しているのが発見される。
実はセントラルアイランドの建設予定地となった島には欠陥があり、大都市計画は不向きであったが、それを知りつつ開発を続けた。そのことが秘書の石沢景子に知られ、羽月大悟と共謀して景子を殺害している。
本多 涼子(ほんだ りょうこ・声:坂戸こまつな
前作(絶体絶命都市2)に引き続き登場。週刊報都の編集者で、島の開発を独占して行ってきた森田グループと羽月建設の取材のためセントラルアイランドにやって来た。
比嘉 夏海(ひが なつみ・声:立野香菜子
前作(絶体絶命都市2)、前々作(絶体絶命都市)に引き続き登場。セントラルアイランドのとある高等学校に新任した教師であったが、3度災害に巻き込まれる。災難続きの運命を嘆きつつも、前向きに生きる元気者。教師として責任感のある行動を見せ、暴徒に拉致された生徒たちを救おうと懸命に頑張っている。
主人公の選択肢によっては食料の代わりに気を失ったままの彼女を見捨てることも可能で、その場合は焼死または行方不明になってしまう。
羽月 大悟(はづき だいご・声:緒方賢一
セントラルアイランドの建設工事を受注した羽月建設の社長で羽月彩水の父。
島から逸早く脱出をしており、島の欠陥説からなる大地震の責任問題をマスコミに問われ「文句を言うぐらいなら、島に住まなければよかったんですよ!」と言い放ち、その発言に逆上した被災者が暴徒化してしまい、その矛先が避難所にいた娘の彩水に向けられた。
当時の羽月建設の規模では無理だったセントラルアイランドの建設工事の受注を取るため、政府にパイプのある森田信輝に莫大な資金と妻を差し出した。
そのため彩水は森田と元妻の間にできた子なので実の娘ではない。
石沢 景子(いしざわ けいこ)
石沢要一の娘で、氷川の婚約者。羽月建設の秘書だったが横領がばれて自殺したとされている。
実は、父を社会的地位から落とした森田グループと羽月建設の真実を暴くために母方の名字を使って森田建設に入社しており、真相を突き止めたものの森田と羽月によって殺された。
柘植 明(つげ あきら)
前作(絶体絶命都市2)の主人公の一人だったタクシー運転手。今作ではマルチプレイのあるステージにさり気無く登場している。

不具合

本作には幾つかの不具合が確認されており、ゲーム進行に影響を及ぼす致命的なものまで存在する。これらは公式に認められている不具合であり、この他にもバグが存在する。

  • スーパーマゴヤバグ
ゲーム中のエリアの一つのスーパーマゴヤにてPSPがフリーズ、電源が落ちてしまうバグがある。プレイ前の対処法の確認が推奨される。
  • グロリア稲荷ロープバグ
ゲーム中のエリアの一つのグロリア稲荷で、ロープを手に入れる場面で、ロープを調べても入手できないバグが確認されている。同一エリアにセーブポイントであるベンチでセーブしてしまったら、最初からやり直ししなくてはいけない。
  • 絶体絶命グリップのコンパス
パッケージ内に、絶体絶命グリップのコンパスがゲーム中で入手出来る旨を伝える冊子が入っているが、実際にはそんなコンパスは存在しない。これは製作の都合で収録を断念したが、これら冊子の修正が間に合わなかった為である。後に公式サイトにお詫びの文が掲載された。
  • 9種類目のエンディング
本作には全9種類のエンディングが存在するが、9種類目のエンディング(途中、一人で脱出するもの)はエンディングリストにカウントされない。

関連項目

脚注

  1. ^ 本条咲の公式ブログではセントラルアイランドを出発する日が「2009年4月23日」とあるが、ゲーム内の設定とは異なる。詳しくはノート
  2. ^ 「絶体絶命都市3 ―壊れゆく街と彼女の歌― 公式ガイドブック」に掲載されたインタビューによると、前二作に登場した須藤真幸と竹辺幸も三度登場させる案があったが、やり過ぎ感が否めなかったために廃案となったと言う。

外部リンク