海上無線通信士
この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
海上無線通信士 | |
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英名 | Maritime Radio Operator |
略称 | 海通 |
実施国 | 日本 |
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 電気・通信 |
試験形式 | その他:筆記(マークシート) |
認定団体 | 総務省 |
認定開始年月日 | 平成2年5月1日[1] |
等級・称号 | 第一級~第四級 |
根拠法令 | 電波法 |
公式サイト | 日本無線協会 |
ウィキプロジェクト 資格 ウィキポータル 資格 |
海上無線通信士(かいじょうむせんつうしんし)は、無線従事者の一種で電波法第40条第2号のイからニに規定するものである。 総務省所管。平成元年(1989年)に制定された。英語表記は"Maritime Radio Operator"。
概要
第一級(一海通)・第二級(二海通)・第三級(三海通)・第四級(四海通)の4種に分かれる。( )内は略称である。従前の電話級無線通信士は四海通にみなされる。 国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に準拠した資格であり、免許証には、次のように日本語および英語で記載される。
- 一海通は『この免許証は、国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に規定する第一級無線電子証明書に該当する。』
- 二海通、三海通、四海通は『第一級無線電子証明書』がおのおの『第二級無線電子証明書』、『一般無線通信士証明書』、『海上移動業務に関する無線電話通信士証明書』となる。
- 平成8年(1996年)12月までは『国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則』が『国際電気通信条約附属無線通信規則』であった。[2]
海上特殊無線技士の上位資格でかつ総合無線通信士の下位資格である。
操作範囲
種別 | 操作範囲 |
---|---|
一海通 |
1.船舶に施設する無線設備(航空局の無線設備を除く。)並びに海岸局、海岸地球局及び船舶のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。) 2.次に掲げる無線設備の技術操作
3.第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
二海通 |
1.船舶に施設する無線設備(航空局の無線設備を除く。)並びに海岸局、海岸地球局及び船舶のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。) 2.次に掲げる無線設備の外部の調整部分の技術操作並びにこれらの無線設備の部品の取替えのうち簡易なものとして総務大臣が告示で定めるもの及びこれらの無線設備を構成するユニットの取替えに伴う技術操作
3.第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作 |
三海通 |
1.船舶に施設する無線設備(航空局の無線設備を除く。)並びに海岸局、海岸地球局及び船舶のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。) 2.次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作
|
四海通 | 次に掲げる無線設備の操作(モールス符号による通信操作及び国際通信のための通信操作並びに多重無線設備の技術操作を除く。)
|
操作範囲について他種別の無線従事者との関係は次の通りである。
第一級総合無線通信士 ┃ ┃ 一海通 第二級総合無線通信士 ┃ ┃ ┃ ┃ ┏━━┛ ┃ 二海通 ┃ 第三級総合無線通信士 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┗━╋━━━四海通 ┃ ┃ ┃ 三海通 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 第一級海上特殊無線技士 ┃ ┃ ┃ 第二級海上特殊無線技士━━┛
一海通・二海通・三海通は、国際通信が可能である。各級の差異は、技術操作の程度だけであり、通信操作については各級ともに同等である。
- 一海通は船上保守が可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の大規模海岸局等を対象とする。
- 二海通は制限された範囲の船上保守が可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の中規模海岸局などを対象とする。
- 三海通は船上保守をしないGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の小規模海岸局を対象とする。
- 平成3年(1991年)3月までは、国家試験の実施により免許が付与されたのみで、無線設備の操作及びその監督はできなかった。[3]
四海通は、国際通信のための通信操作はできない。
- 無線電話を使用する船舶局、海岸局などの無線設備が操作可能である(政令電波法施行令には、船舶の種別などに制限はないが、国際通信のための通信操作、船舶地球局、海岸地球局、一定の区域を航行する船舶に施設される義務船舶局などの無線設備の操作ができないため、もっぱら小規模の漁業用海岸局や漁船などの船舶局のための資格と言われている。)。
各級ともに、海上関連の無線設備(船舶局、海岸局、海岸地球局、船舶のための無線航行陸上局、海岸局及び船舶の無線航行移動局のレーダー。四海通に関しては、海岸地球局および船舶地球局の無線設備は除く。)の操作のみ可能である。基幹放送局、固定局、基地局、航空局など陸上系・航空系の無線設備の通信操作ならびに技術操作は行うことができない。
一海通・二海通・四海通は、第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作をすることができる。三海通のみアマチュア無線技士の操作範囲が含まれていない。これは、技術操作が「外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないもの」に限られ、無線工学の試験内容が「理論・構造・機能」に限定したものしか無いので、アマチュア局を運用するために必要な知識が証明されないからである。
取得
次のいずれかによる。
- #国家試験に合格すること。
- #養成課程(又は長期型養成課程)を修了すること。(三・四海通に限る。)
- 所定の#資格、業務経歴、その他の要件を有すること。
国家試験
日本無線協会が一海通・二海通・三海通は9・3月の、四海通は8・2月の年2回実施する。
試験方法及び科目
総務省令無線従事者規則第3条に電気通信術は実地、その他は筆記によることが、第5条に科目が規定されている。
試験科目
一海通
- 無線工学の基礎
- 無線工学A
- 無線設備の理論、構造及び機能
- 無線設備のための測定機器の理論、構造及び機能
- 無線設備及び無線設備のための測定機器の保守及び運用
- 無線工学B
- 空中線系等の理論、構造及び機能
- 空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能
- 空中線系及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用
- 法規
- 英語
- 文書を十分に理解するために必要な英文和訳
- 文書により十分に意思を表明するために必要な和文英訳
- 口頭により十分に意思を表明するに足りる英会話
- 電気通信術
二海通
- 無線工学の基礎
- 電気物理の概要
- 電気回路の概要
- 半導体及び電子管の概要
- 電子回路の概要
- 電気磁気測定の概要
- 無線工学A
- 無線設備の理論、構造及び機能の概要
- 無線設備のための測定機器の理論、構造及び機能の概要
- 無線設備及び無線設備のための測定機器の保守及び運用の概要
- 無線工学B
- 空中線系等の理論、構造及び機能の概要
- 空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の概要
- 空中線系及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の概要
- 法規
- 電波法及びこれに基づく命令(船舶安全法及び電気通信事業法並びにこれらに基づく命令の関係規定を含む。)
- 国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約、国際電気通信連合憲章に規定する国際無線通信規則、国際電気通信連合憲章に規定する国際電気通信規則並びに海上における人命の安全のための国際条約(附属書の規定を含む。)及び船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(電波に関する規定に限る。)
- 英語(一海通と共通)
- 電気通信術(一海通と共通)
三海通
- 無線工学
- 無線設備の取扱方法(空中線系及び無線機器の機能の概念を含む。)
- 法規
- 電波法及びこれに基づく命令(船舶安全法及び電気通信事業法並びにこれらに基づく命令の関係規定を含む。)
- 国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約、国際電気通信連合憲章に規定する国際無線通信規則、国際電気通信連合憲章に規定する国際電気通信規則並びに海上における人命の安全のための国際条約(附属書の規定を含む。)及び船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(電波に関する規定に限る。)
- 英語(一海通と共通)
- 電気通信術(一海通と共通)
四海通
- 無線工学
- 無線設備の理論、構造及び機能の基礎
- 空中線系等の理論、構造及び機能の基礎
- 無線設備及び空中線系等のための測定機器の理論、構造及び機能の基礎
- 無線設備及び空中線系並びに無線設備及び空中線系等のための測定機器の保守及び運用の基礎
- 法規
- 電波法及びこれに基づく命令(船舶安全法及び電気通信事業法並びにこれらに基づく命令の関係規定を含む。)の概要
- 国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約、国際電気通信連合憲章に規定する国際無線通信規則(海上における人命又は財産の保護のための無線通信業務及び無線測位業務に関する規定に限る。)、国際電気通信連合憲章に規定する国際電気通信規則及び海上における人命の安全のための国際条約(電波に関する規定に限る。)の概要
- 試験の難易度については、明確に学歴等と対応させているわけではないが、平成28年1月26日人事院規則918180附則の『別表第二 行政職俸給表(一)初任給基準表』によると、一海通が大卒程度(1級25号俸)、二海通が短大卒程度(1級9号俸)、三海通と四海通が高卒程度(1級1号俸)と定められている。
一部免除
科目合格者
- 試験の翌月の初めから3年間。(非常事態で国家試験が行われなかった場合等で告示に定められた者は3年を経過した後において最初に行われる試験の実施日まで)
合格資格 | 受験資格 |
---|---|
第一級総合無線通信士、一海通、二海通、三海通 | 一海通、二海通、三海通 |
試験の翌月の初めから3年間。(非常事態で国家試験が行われなかった場合等で告示に定められた者は3年を経過した後において最初に行われる試験の実施日まで) |
科目免除認定校の卒業者
- 卒業の日から無線工学の基礎、電気通信術、英語の全部又は一部を3年間。(同上)
認定資格 | 認定科目 | 受験資格 | 免除科目 |
---|---|---|---|
第一級総合無線通信士 | 無線工学の基礎、英語 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎、英語 |
三海通 | 英語 | ||
無線工学の基礎、電気通信術、英語 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎、電気通信術、英語 | |
三海通 | 電気通信術、英語 | ||
第二級総合無線通信士 | 無線工学の基礎、英語 | 二海通 | 無線工学の基礎 |
無線工学の基礎、電気通信術、英語 | 二海通 | 無線工学の基礎 | |
一海通 | 無線工学の基礎、英語 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎、英語 |
三海通 | 英語 | ||
無線工学の基礎、電気通信術、英語 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎、電気通信術、英語 | |
三海通 | 電気通信術、英語 | ||
二海通 | 無線工学の基礎、英語 | 二海通 | 無線工学の基礎、英語 |
一海通、三海通 | 英語 | ||
無線工学の基礎、電気通信術、英語 | 一海通、三海通 | 電気通信術、英語 | |
二海通 | 無線工学の基礎 電気通信術、英語 | ||
第一級陸上無線技術士 | 無線工学の基礎 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎 |
第二級陸上無線技術士 | 無線工学の基礎 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎 |
- 学校、学科については一部免除認定校一覧[4]を参照のこと。
現有資格 | 受験資格 | 免除科目 |
---|---|---|
第二級総合無線通信士 | 二海通 | 無線工学の基礎、無線工学A、無線工学B |
第三級総合無線通信士 | 三海通 | 無線工学 |
二海通 | 一海通 | 電気通信術、法規、英語 |
三海通 | 一海通、二海通 | 電気通信術、法規、英語 |
四海通 | 三海通 | 無線工学 |
第一級陸上無線技術士 | 一海通、二海通 | 無線工学の基礎、無線工学A、無線工学B |
三海通、四海通 | 無線工学 | |
第二級陸上無線技術士 | 一海通 | 無線工学の基礎 |
二海通 | 無線工学の基礎、無線工学A、無線工学B | |
三海通、四海通 | 無線工学 |
無線従事者の資格による業務経歴を有する者
- 二海通は、この資格により無線局(アマチュア局を除く。)の無線設備の操作に3年以上従事した業務経歴で、一海通の無線工学の基礎、電気通信術、法規、英語が免除される。
現有資格 | 受験資格 | 免除科目 | |
---|---|---|---|
電気通信主任技術者 | 伝送交換主任技術者 | 一海通 二海通 |
無線工学の基礎 無線工学A |
線路主任技術者 | 一海通 二海通 |
無線工学の基礎 | |
工事担任者AI第1種、AI第2種、DD第1種、DD第2種、AI・DD総合種 (アナログ第一種、アナログ第二種、デジタル第一種、デジタル第二種、 |
二海通 | 無線工学の基礎 |
沖縄の復帰に伴う特別措置
筆記試験の形式及び時間
多肢選択(マークシート)式で
- 無線工学の基礎、無線工学A、無線工学Bは各々150分
- 無線工学は三海通が90分、四海通が120分
- 法規は一・二・三海通が150分、四海通が90分
- 英文和訳・和文英訳が90分、英会話が30分程度
試験地および日程
- 日本無線協会の本支部所在地(一部を除く。)。但し所在地以外に試験場を設定することがあり、この場合は申請時に選択が可能。
- 平日に実施する。
受験料
平成26年(2014年)4月より一海通15,452円、二海通13,652円、三海通8,852円、四海通7,052円。
- 受験票送付用郵送料52円を含む。
年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
資格 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 |
申請者数(人) | 68 | 78 | 558 | 384 | 70 | 74 | 630 | 430 | 61 | 60 | 707 | 432 |
受験者数(人) | 52 | 70 | 505 | 331 | 57 | 59 | 554 | 363 | 53 | 46 | 630 | 370 |
合格者数(人) | 27 | 19 | 195 | 206 | 25 | 19 | 204 | 220 | 15 | 8 | 192 | 175 |
合格率(%) | 51.9 | 27.1 | 38.6 | 62.2 | 43.9 | 32.2 | 36.8 | 60.6 | 28.3 | 17.4 | 47.3 | 35.5 |
全科目免除者数(人) | 45 | 46 | 3 | 1 | 37 | 46 | 2 | 0 | 38 | 41 | 0 | 0 |
年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | |||||||||
資格 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 | 一海通 | 二海通 | 三海通 | 四海通 |
申請者数(人) | 89 | 75 | 739 | 423 | 75 | 62 | 790 | 388 | 68 | 46 | 857 | 424 |
受験者数(人) | 78 | 60 | 675 | 364 | 64 | 49 | 696 | 318 | 58 | 38 | 762 | 357 |
合格者数(人) | 28 | 8 | 222 | 228 | 26 | 10 | 267 | 175 | 25 | 10 | 359 | 186 |
合格率(%) | 35.9 | 13.3 | 32.9 | 62.6 | 40.6 | 20.4 | 38.4 | 55.0 | 43.1 | 26.3 | 47.1 | 52.1 |
全科目免除者数(人) | 58 | 49 | 3 | 1 | 48 | 71 | 6 | 2 | 78 | 67 | 5 | 1 |
注 申請者数、受験者数、合格者数には、全科目免除者数を含まない。 |
養成課程
養成課程は、総合通信局長(沖縄総合通信事務所長を含む。以下同じ。)の認定を受けた団体が実施する。授業はeラーニングによることができる。
- 日本無線協会では団体からの受託のみ実施している。三海通は外国人船員を対象にeラーニングを利用して外国でも実施[6][7]している。
- 学校が在学者を対象に実施した事例[8]もある。
- 直近の認定状況(実施状況ではない。)については養成課程一覧[9]を参照。
種別 | 無線工学 | 法規 | 英語 | 電気通信術 |
---|---|---|---|---|
三海通 | 10時間以上 | 49時間以上 | 82時間以上 | 13時間以上 |
四海通 | 45時間以上 | 43時間以上 | - | |
注 総合通信局長が認めた方法による場合は変更できる。 |
修了試験の形式及び時間
筆記試験は多肢選択式を原則としているが、マークシートによることは義務付けられておらず、CBTによることもできる。筆記試験の一部を記述式とすることを妨げてはいない。
- 無線工学は三海通が60分、四海通が90分
- 法規は60分
- 英語と電気通信術は同等
受講料は実施団体ごとに異なる。
長期型養成課程
1年以上の教育課程で無線通信に関する科目を開設している学校等が総合通信局長の認定を受けて行う。授業はeラーニングにより実施することができる。
- 平成27年(2015年)4月1日現在の認定校は、
- 三海通が海上保安大学校、海上保安学校、神奈川県立海洋科学高等学校
- 四海通が宮城県気仙沼向洋高等学校
- 長期型養成課程一覧[11]を参照。
種別 | 無線機器 | 空中線系及び電波伝搬 | 無線測定 | 電波法令 | 国際条約 | 英語 | 電気通信術 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
三海通 | 19時間以上 | 5時間以上 | 2時間以上 | 104時間以上 | 16時間以上 | 164時間以上 | 24時間以上 |
四海通 | 74時間以上 | 20時間以上 | 6時間以上 | 90時間以上 | 10時間以上 | - | |
総合通信局長が認めた方法による場合は変更できる。 |
実施状況
年度 | 平成21年度 | 平成22年度 | 平成23年度 | 平成24年度 | 平成25年度 | 平成26年度 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
資格 | 三海通 | 四海通 | 三海通 | 四海通 | 三海通 | 四海通 | 三海通 | 四海通 | 三海通 | 四海通 | 三海通 | 四海通 |
実施件数 | 17 | 4 | 17 | 2 | 19 | 4 | 16 | 3 | 31 | 3 | 17 | 16 |
受講者数(人) | 387 | 89 | 364 | 32 | 366 | 78 | 217 | 55 | 936 | 44 | 417 | 31 |
修了者数(人) | 385 | 89 | 363 | 31 | 366 | 77 | 217 | 55 | 935 | 44 | 412 | 31 |
修了率(%) | 99.5 | 100.0 | 99.7 | 96.9 | 100.0 | 98.7 | 100.0 | 100.0 | 99.9 | 100.0 | 98.8 | 100.0 |
資格、業務経歴、その他の要件
資格 | 要件 |
---|---|
一海通 | 第二級総合無線通信士を有し、それにより海岸局又は船舶局の無線設備の国際通信のための操作に7年以上従事した者 |
二海通 | 第三級総合無線通信士を有し、それにより船舶局の無線設備の国際通信のための操作に7年以上従事した者 |
三海通 | 第一級海上特殊無線技士を有し、それにより船舶局の無線設備の国際通信のための操作に3年以上従事した者 |
四海通 | 第一級海上特殊無線技士又は第二級海上特殊無線技士を有し、その資格により海岸局又は船舶局の操作に5年以上従事した者 |
上記の右欄の資格と業務経歴を有する者は、認定講習を修了することにより左欄の資格が与えられる。 | |
下記の右欄の資格と業務経歴を有する者は、総務省告示[12]に基づき申請により左欄の資格が与えられる。 | |
二海通 | 第二級総合無線通信士を有し、それにより船舶局の無線設備の国際通信のための通信操作に5年以上従事した者 |
総合通信局長の認定を受けた団体が認定講習を実施する。講義はeラーニングによることができる。
- 日本無線協会は三海通の認定講習を公募実施している。その他の種別は需要に応じ実施するものとしている。
- 直近の認定状況(実施状況ではない。)については認定講習課程一覧[13]を参照。
種別 | 無線工学 | 法規 | 英語 | 電気通信術 |
---|---|---|---|---|
一海通 | 90時間以上 | - | ||
二海通 | 54時間以上 | 30時間以上 | 54時間以上 | - |
三海通 | 4時間以上 | 22時間以上 | 33時間以上 | 4時間以上 |
四海通 | 37時間以上 | 33時間以上 | - |
取得者数
一海通(人) | 二海通(人) | 三海通(人) | 四海通(人) | |
---|---|---|---|---|
平成12年度末 | 259 | 1,781 | 1,594 | 49,998 |
平成13年度末 | 298 | 1,833 | 1,875 | 50,231 |
平成14年度末 | 325 | 1,879 | 2,129 | 50,456 |
平成15年度末 | 362 | 1,923 | 2,353 | 50,603 |
平成16年度末 | 407 | 1,962 | 2,541 | 50,817 |
平成17年度末 | 451 | 2,013 | 2,888 | 51,055 |
平成18年度末 | 501 | 2,052 | 3,266 | 51,299 |
平成19年度末 | 551 | 2,101 | 3,738 | 51,525 |
平成20年度末 | 606 | 2,150 | 4,471 | 51,713 |
平成21年度末 | 679 | 2,207 | 5,234 | 52,017 |
平成22年度末 | 739 | 2,282 | 5,863 | 52,241 |
平成23年度末 | 807 | 2,336 | 6,404 | 52,515 |
平成24年度末 | 877 | 2,296 | 6,965 | 52,768 |
平成25年度末 | 956 | 2,474 | 7,699 | 53,033 |
平成26年度末 | 1,046 | 2,542 | 8,507 | 53,237 |
この節の統計は、総務省情報通信統計データベース 資格・試験による。
制度の変遷
平成2年(1990年)
- 当初、規定されていたのは四海通のみで認定講習の対象ともされた。[1]
- 電気通信術に和文電話があり、能力は1分間50字の速度の和文(無線局運用規則別表第5号の和文通話表による。)による約2分間の送話及び受話だった。
- 科目合格の免除は試験の翌月の初めから電気通信術以外が2年間、電気通信術が3年間だった。
- 国(地方電気通信監理局(沖縄郵政管理事務所を含む。以下同じ。))が国家試験を実施していた。
- 筆記試験は記述式だった。
- 一・二・三海通について規定された。[14]
- 一・二海通は予備試験と本試験の二段階であった。(無線工学の基礎は本試験の1ヶ月前に実施された。)
- 予備試験の免除は試験の翌月の初めから、または科目免除認定校卒業の日から10年間とされた。
- 電気通信術に四海通と同様の和文電話があった。
- 本試験または試験の科目合格の免除は四海通と同様と、科目免除認定校卒業による免除は卒業の日から英語が2年間、電気通信術が3年とされた。
- 認定講習の対象に、一・二海通が追加された。
- 一・二海通は予備試験と本試験の二段階であった。(無線工学の基礎は本試験の1ヶ月前に実施された。)
平成3年(1991年)11月1日より、日本無線協会が四海通の国家試験を実施することとなった。[15]
- 筆記試験はマークシート式となった。
平成8年度(1996年4月)より、
- 一・二海通の予備試験が廃止され本試験と一本化された。科目合格の免除は試験の翌月の初めから、科目免除認定校卒業による免除は卒業の日から、すべて3年間とされた。[16]
- 三海通も認定講習の対象となった。また、三海通・四海通が養成課程(長期型養成課程を含む。)で取得できることとなった。[17]
- 第二級総合無線通信士が業務経歴により二海通を取得できることとなった。[18]
- 日本無線協会が一・二・三海通も国家試験を実施することとなった。[19]
- 筆記試験はマークシート式となった。
平成13年(2001年)6月20日より、和文の電気通信術が廃止された。[20]
平成21年度(2009年4月)より、営利団体が養成課程を実施できることとなった。[21]
平成25年度(2013年4月)より、
- 非常事態等で告示に定められた場合は科目免除が3年を超えることとなった。[22]
- 営利団体が三・四海通の認定講習を実施できることとなった。また、養成課程(長期型養成課程を含む。)と認定講習でeラーニングによる授業とCBTによる修了試験ができることとなった。[23]
平成26年度(2014年4月)より、受験者減少のため信越支部(長野市)、北陸支部(金沢市)では一海通・二海通の国家試験を実施しない。 [24]
その他
下記の資格などの何れかに、何れかの海通が任用の要件、受験・受講資格の取得、試験科目の免除、業務経歴による取得とされるものがある。業務経歴その他の制限があるものも含まれており、詳細は各項目を参照のこと。
任用の要件
- 電波法第24条の2に規定する登録検査等事業者等の点検員(一・二・四海通)
- 同 判定員(一海通)(業務経歴を要する。)
- 電波法第38条の8第2項に規定する技術基準適合証明の登録証明機関の証明員(一海通・二総通)(業務経歴を要する。)
- 電波法第47条に規定する指定無線従事者国家試験機関の試験員(一海通・二海通)
- 電波法第50条に規定する遭難通信責任者(一海通・二海通・三海通)(船舶局無線従事者証明を要する。)
- 電波法第71条の3の2に規定する登録周波数終了対策機関の給付金の交付決定者(一海通)
- 電波法第102条の18第9項に規定する指定較正機関の較正員(一海通)
- 無線従事者規則第13条に規定する無線従事者国家試験一部免除認定校の教員(一海通・二海通)
- 無線従事者規則第21条に規定する無線従事者養成課程の講師(一海通・二海通・三海通)
- 無線従事者規則第34条に規定する無線従事者認定講習課程の講師(一海通・二海通)
- 海上自衛隊の技術海曹(一海通・二海通・三海通)(年齢制限がある。)
受験・受講資格の取得
- 電波法施行規則第34条の3に規定する主任無線従事者講習の受講(業務経歴を要する。)
- 電波法施行規則第34条の11に規定する船舶局無線従事者証明の訓練
- 甲種特類を除く甲種消防設備士の受験[25]
- 海技士 (電子通信)の受験[26](年齢制限があり乗船履歴・船舶局無線従事者証明も要する。)
試験科目の免除
無線従事者 | ||
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現有資格 | 受験資格 | 免除科目 |
一海通 | 第一級総合無線通信士 | 無線工学の基礎 |
第二級総合無線通信士 | 無線工学の基礎 | |
第三級総合無線通信士 | 無線工学の基礎、英語 | |
第二級陸上無線技術士 | 無線工学の基礎 | |
二海通 | 第二級総合無線通信士 | 無線工学の基礎 |
第三級総合無線通信士 | 無線工学の基礎、英語 | |
三海通 | 第三級総合無線通信士 | 英語 |
四海通 | 第一級海上特殊無線技士 | 無線工学 |
- 電気通信主任技術者(一海通)
- 工事担任者(一海通、二海通)
業務経歴による取得
無線機器型式検定の申請
無線機器型式検定規則による申請において、受検機器(航空機用を除く。)の所定の試験を一海通又は二海通が行えば受検機器および一部書類の提出が免除される。
脚注
- ^ a b 平成2年郵政省令第18号による無線従事者規則改正の平成2年5月1日施行
- ^ 平成8年郵政省令第77号による無線従事者規則改正の平成9年1月1日施行
- ^ 平成元年法律第67号による電波法改正附則第1条第3号及び第4号
- ^ 国家試験の一部免除認定校一覧 (PDF) (総務省電波利用ホームページ 無線従事者関係の認定学校等一覧)
- ^ 沖縄の復帰に伴う郵政省関係法令の適用の特別措置法に関する省令第30条第2項(総務省 法令データ提供システム)
- ^ 事業計画書等(日本無線協会)の各年度の事業計画書を参照
- ^ 事業報告等(同上)の各年度の事業報告を参照
- ^ 情報通信科の近況 vol.1 平成27年1月21日 (PDF) (福島県立いわき海星高等学校)
- ^ 養成課程一覧 (PDF) (総務省電波利用ホームページ 無線従事者関係の認定学校等一覧)
- ^ 平成2年郵政省告示第250号 無線従事者規則第21条第1項第11号の規定に基づく無線従事者の養成課程の終了の際に行う試験の実施第3項(同上 総務省電波関係法令集)
- ^ 長期型養成課程一覧 (PDF) (同上 無線従事者関係の認定学校等一覧)
- ^ a b 平成8年郵政省告示第150号 無線従事者規則第33条第2項の規定に基づく一定の無線従事者の資格及び業務経歴を有する者に電波法第40条第1項の資格の無線従事者の免許を与えるための要件(同上 総務省電波関係法令集)
- ^ 認定講習課程一覧 (PDF) (同上 無線従事者関係の認定学校等一覧)
- ^ 平成2年郵政省令第62号による無線従事者規則改正の平成2年11月21日施行
- ^ 平成3年郵政省告示第619号による昭和56年郵政省告示第1008号改正の施行
- ^ 平成7年郵政省令第14号による無線従事者規則改正の平成8年4月1日施行
- ^ 平成7年郵政省令第75号による無線従事者規則改正の平成8年4月1日施行
- ^ 平成8年郵政省告示第150号の平成8年4月1日施行
- ^ 平成7年郵政省告示第346号による昭和56年郵政省告示第1008号改正の施行
- ^ 平成13年郵政省令第89号による無線従事者規則改正の平成13年6月20日施行
- ^ 平成21年総務省令第15号による無線従事者規則改正の平成21年4月1日施行
- ^ 平成24年総務省令第1号による無線従事者規則改正の平成25年4月1日施行
- ^ 平成24年総務省令第56号による無線従事者規則改正と平成24年総務省告示第222号による平成2年郵政省告示第250号改正の平成25年4月1日施行
- ^ 無線通信士国家試験の試験地の一部変更(長野市及び金沢市)について(日本無線協会)
- ^ 消防法施行規則第33条の8第1項第8号及びこれに基づく平成6年消防庁告示第11号第2項第6号
- ^ 船舶職員及び小型船舶操縦者法第14条第3号
外部リンク
- 日本無線協会
- 第三級海上無線通信士過去問 無線通信士・特殊無線技士過去問題
- 第四級海上無線通信士過去問 同上