殺人ジョーク
殺人ジョーク(さつじんジョーク、killer joke)は、イギリスのテレビ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』からのスケッチ・コメディーである。「ジョーク戦争」 (joke warfare)、「世界一面白いジョーク」 (The Funniest Joke in the World) としても知られている。このスケッチはシリーズ1の第1話「カナダはどっちだ」に登場し、初の大当たりとなった。映画『モンティ・パイソン・アンド・ナウ』において、秀作スケッチの1つとしてリメイクされている。
日本では、このスケッチを「殺人ジョーク」(killer joke) という題名で一般的に言及するが、脚本によるとこのスケッチのタイトルは"The Funniest Joke in the World"(世界一面白いジョーク)となっている。英語圏では"killer joke"よりむしろ"The Funniest Joke in the World"が、このスケッチを言及する題名となっている。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
作中の設定では、軍事使用目的に以前に作成されたジョークが存在するという設定がある。また、ドイツ語に翻訳されたジョーク(Wenn ist das Nunstück git und Slotermeyer? Ja! ... Beiherhund das Oder die Flipperwaldt gersput)がこのスケッチでは音読されるが、これはナンセンスなドイツ語である。このスケッチでは、資料映像や写真が多数使われており(例:ミュンヘン会談、ヒトラーの演説)、その字幕の置き換えがされるといったコメディ手法をとっている。
スケッチの内容
舞台は第二次世界大戦中。イギリス人の売れない作家、アーネスト・スクリブラー(Ernest Scribbler、scribblerは俗筆な執筆家という意味を持つ)は、世界一面白いジョークを創作するが、自ら笑い死にしてしまう。
彼の母親が息子の死に気付き、彼の部屋に入ってすすり泣く。彼女は彼がその手に握りこんだ原稿(原稿を自殺の遺書だと考えたのだろう)を手に取りそれを読む。すると彼女は、机に倒れこんでヒステリックに笑い、死んでしまう。
スコットランド・ヤードによって、この原稿の回収が試みられるが、それは中々うまくいかない。ある警官は殺人ジョークに対する防御策として、憂鬱になりそうな演出を多数重ねた上での回収を試みるが、それすら十分でなく、殺人ジョークの犠牲者となった。
ジョークはイギリス陸軍によって回収され、十分な検証の後、軍事目的(対独兵器)としてドイツ語に翻訳されることとなる。このジョークの致死性ゆえに、翻訳者はそれぞれ1語のみの翻訳しか許可されなかった(誤って2語見てしまった翻訳者は、数週間の入院を余儀なくされた)。ジョークは殺人兵器として対独戦線に実戦投入され、大戦果を収める。
ドイツ軍はこれに対抗した殺人ジョークを作成するが、民族的にジョークの才能がないため不成功に終わる。その後、平和が勃発し(戦争は終結し)、殺人ジョーク禁止令が出された。このジョークは今、イギリスの片隅で永久の眠りについている。