惑星Zi

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惑星Zi(わくせいズィー)はゾイドに登場する架空の惑星

解説

ゾイドシリーズの舞台となる惑星。ゾイド星とも呼ばれる。地球からおよそ6.1万光年彼方、銀河の正反対(ゾイド・ゾーン)に存在する惑星で、大きさは直径10,027kmと地球のおおよそ85%、地軸の傾き26.4度。ゾイド星系の第一惑星として誕生したが現在では第二惑星となっており、F級黄白色恒星の周りを平均公転速度10万1326km/hで公転している。

誕生から二億年が経ったある日、惑星の1/4もある惑星Mi(モルフェウス)がZiに衝突、Ziの1/4が吹き飛ばされ、MiがZiの一部となった。吹き飛ばされたZiの一部はやがて惑星Ziを取り囲む3つの衛星、「De(ディアナ)」「Se(セレネ)」「Ae(アルテミス)」となった。衝突したMiの構成要素の殆どが重金属であり、現在の惑星Ziの79.8%の重金属がMiのものではないかと言われている。その後、惑星Ziの海中に好熱性の細菌が生まれ、海底火山の硫化水素の猛毒の中で自己複製し、海中の重金属を巧みに化学合成、運動エネルギーを作り出した。そうして海の中でその数を増やしていき、惑星Ziの生命は誕生した。現在では六つの大陸と七つの海域が存在している。なお、星全体が強い磁場を有しているとされ、さらに大気中にはタキオン粒子が存在している事が確認されている。

なお、Ziの衛星の内AeはかつてMiの衛星Teだったが、MiがZiに激突した後はその軌道に取り込まれてZiの衛星Aeとなった。さらにDeはZiとの距離が18.2万kmしか無かった事から大異変が起こらなくともやがてはZiに落下しただろうと予想されていた。

惑星Ziの地名

中央大陸(デルポイ大陸)

ヘリック共和国及びゼネバス帝国が治める大陸。他の大陸との位置関係から中央に位置する大陸。全体としては温暖な気候で中央部には南北に中央山脈が走る。山脈の東側は温暖湿潤気候だがマルガリータ暖流の影響で長い雨期があり、平原は泥濘と化す。北西部は乾燥地帯で砂漠もあり、寒暖の差が激しい。四年に一度のサイクルで洪水、寒波、干ばつが発生する。南西部は大湿原地帯になっており、北部は氷河地帯になっている。

かつては様々な部族が興亡し、群雄割拠の状態だったが、最終的には8つの部族(風族、海族、鳥族、神族、虫族、地底族、砂族、火族)が生き残った。そのうち東側を領土とし風族の指導者ヘリック(ヘリック大統領の父)を盟主とした「東側安保連合」(風族、海族、鳥族)と、西側を領土とし地底族の指導者ガイロス(注、ガイロス皇帝とは別人)を盟主とした「西側領国連合」(地底族、砂族、火族)に分かれ、激しい争いを繰り広げた。これがのちのち、ヘリック共和国とゼネバス帝国とに中央大陸を分割し、長い争いを引き起こす遠因となった。さらに暗黒大陸の人間からはヘリックが吹聴した情報によって非常に豊かな国土の楽園として受け取られており、そのため何度も侵略戦争を仕掛けられている。

ZAC2056年の惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)で大陸は三つに割れてしまったが、大陸北東部に野生ゾイド群生地(メタロゲージ、メトロゲージ、タイガーゲージ)が存在するので多くの野生ゾイドに恵まれているなど非常に豊かな大陸。ゼネバス帝国滅亡後は中央大陸全域をヘリック共和国が統治していたが、ネオゼネバス帝国建国後は一時的にヘリック共和国が滅亡していたため、ネオゼネバス帝国が大陸を統治していた。

なお、デルポイとは古代ギリシアの神託所にちなんだ名称である。

ニカイドス島

中央大陸西方ウラニクス湾沖に浮かぶ島。ZAC2051年、首都を陥落されたゼネバス皇帝は要塞化されたこの島に逃げ込み、ガイロス帝国の救援を待ったが、ガイロス皇帝に裏切られてゼネバス帝国は崩壊。ゼネバス自身も暗黒大陸へ連行されそのまま客死した。

アーケードゲーム『ゾイドインフィニティ』の舞台であり、8つのエリアがある。

ウェスタ砂漠
中央部に位置する砂漠地帯。地面を掘れば激戦で倒れていったゾイドが多く存在するので「ゾイドの墓場」と言われている。岩場に囲まれているので狭いエリアになっている。
シドニア
最北端に位置する秘密基地。すり鉢状になっており、遮蔽物がまったく存在しない。ゲームでは最後のエリアであり、ラスボスであるウルトラザウルス、シナリオやモードによってはデスザウラーやセイスモサウルスが待ち構えている。
ニビル市
南東部に位置するニカイドス島唯一の都市。建物など遮蔽物が多く戦闘の際には高度な技術が要求される。
フォボス要塞
北部に位置するネオゼネバス帝国の要塞。微妙に霧がかかっており、段差や遮蔽物も多いので注意が必要。
ヘラス平地
ギリシャのラテン語表記が語源。ダラス海を望む北東部に位置する川に囲まれた平地。遮蔽物がまったく無い平坦なエリア。
マリネリス遺跡
島の西部に位置する神秘的な空間の遺跡。中央部が祭壇状に、外周の一部が階段状になっている。
レムス基地
ローマの礎を築いた伝説の人物レムスに由来。東部に位置する基地。ロムルス基地同様、外周がスロープになっている。床下の紋章からガイロス帝国の基地であろうと思われる。
ロムルス基地
ローマの礎を築いた伝説の人物ロームルスが語源。レムスとは双子の兄弟にあたる。南部に位置する基地。外周がスロープになっているのが特徴。また、コンテナなど遮蔽物が多い。床下の紋章からヘリック共和国の基地であろうと思われる。

暗黒大陸(ニクス大陸)

ガイロス帝国の治める北方の大陸。中央大陸の北西部に位置する。東西南北に伸びたイグドラシル山脈など険峻な山岳地帯には火山脈があり、絶えず巨大地震を引き起こしながら噴火している。高緯度に位置し、大半が北極圏に属するので亜寒帯気候であり、夏は短く冬は長く厳しいが、火山による地熱エネルギーの恩恵で大地は比較的暖かく、人間やゾイドなどの生命が育まれている。しかし、日照量は少なく、環境と地形もかなり険しいため、ニクスに住まう人々は他の豊かな大陸へ進出することを夢見、そして他の大陸に住まう人々はニクスを「暗黒大陸」と呼び恐れていた。

暗黒大陸の生物は、日照量が少なく寒冷という環境に適応したため、人間、ゾイドともに紫外線や高温に弱いとされており、過去に中央大陸を攻撃した際には、中央大陸の夏に耐え切れず、全滅したこともある。 第一次大陸間戦争でも暗黒軍は光に弱いとされていたが、第二次大陸間戦争ではこの問題は解決したようで、赤道直下に位置する北エウロペ大陸で何の問題も無く行動している。

ZAC2056年の惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)で一部が水没し、ニクスとテュルクの二つに分断された。ドラゴンワイバーンなど神話に出てくるような野生ゾイドが存在し、ゾイド個々の能力は大陸独自の鉱物「ディオハリコン」を与えることによって他を圧倒していた(ただし、この技術は大異変以降失われたらしい)。

ブラッディゲート(カオスケイプ)、デビルメイズ(メイズマーシ)、ダークネス(チェピン)、ゴッドクライ、リバーオブリベンジ(惑星Zi大異変以降、この二つの地名は無い)といった恐ろしげな名前を持つ地名があり、いずれも天然の要害となっている。第一次大陸間戦争ではニフル湿原周辺のみが戦場だったが、第二次大陸間戦争ではニクス大陸全域が戦場となった。

ニクスとはギリシア神話の夜の女神に由来する。

暗黒大陸(テュルク大陸)

大異変によってニクスから分断された大陸。現在は全体が廃墟と化している。古代都市トローヤはガイロス帝国発祥の地である。

西方大陸(エウロペ大陸)

第二次大陸間戦争西方大陸戦争が行われた大陸。中央大陸と暗黒大陸を繋ぐ回廊的な位置にある。惑星Zi大異変以降、暗黒大陸と中央大陸間の直接航行が困難になったため戦略上の重要性が増した。南北と西の三つの陸塊からなり、数多くの古代遺跡が眠る大陸である。大異変の影響をあまり受けなかったのか中央大陸同様、多くの野生ゾイドに恵まれているが、未開の土地が多いので人口密度が低く都市も少ない。戦場となった北エウロペ大陸は赤道直下にあり、砂漠地帯(レッドラスト)が広がっているので大部分が砂漠気候に属する。西及び南エウロペ大陸も肥沃な土地が少ないため、乾燥地帯だと思われる。原住民の文化や種族については未詳な部分が多いが、各地にオーバーテクノロジーを秘めた古代遺跡が点在しているため、かつては中央大陸以上の文明が栄えていたと示唆されている。大異変以降は共和国から供給される技術等で急速に近代化し、西方大陸戦争終結後は共和国によって統治されている(この共和国による統治に反感を持つ現地の小国や部族は少なくないとされる[1])。また、ZAC2101年の暗黒大陸での戦い以後は、この大陸に共和国が遷都し、同国軍の軍事拠点として機能している[2]

なお、エウロペとは古代ギリシアの地名、エレブが語源。エーゲ海の西側なので西というニュアンスがある。また、ギリシア神話に登場する豊穣神の名前でもありヨーロッパの語源でもある。

厳密には世界観が異なるがアニメ『ゾイド -ZOIDS-』の舞台もここである。劇中で南エウロペ大陸にあるニューヘリックシティやミレトス城といった地名が登場し、ルドルフの祖父、ガイロス皇帝ツェッペリンが逝去する寸前、遺言の中に「西方大陸」という言葉が出てくることから物語の舞台が南エウロペ大陸ということがわかる。

西方大陸の地名

北エウロペ大陸
西方大陸戦争の主戦場となった大陸。開戦時は東側が共和国、西側が帝国の勢力圏となり、ZAC2100年には大陸の8割が帝国の勢力圏となったが、第二次前面会戦以降、次第に共和国軍が押し始め、最終的に西方大陸戦争の勝者となった共和国の勢力圏となる。
ロブ基地
北エウロペ大陸東端のロブ平野に位置するヘリック共和国軍の西方大陸における軍事拠点。第二次全面会戦の舞台になった場所である。
ロブ平野
北エウロペ大陸の東端に広がる平野。半島にロブ基地が存在する。
ミューズ森林地帯
ロブ平野の西に広がる森林地帯。
グラム湖
ミューズ森林地帯の左隣に位置する湖。
アレキサンドル大地
ミューズ森林地帯の南に位置する台地。アレクサンドロス3世(大王)が語源だと思われる。
ヘスペリデス湖
レッドラストの右側に位置する湖。「金の湖」とも呼ばれている。ギリシア神話のヘスペリデスの園に由来。第二次前面会戦後、総攻撃に失敗した帝国軍はこの湖に架かる橋を渡って撤退に成功した。
メリクリウス湖
レッドラストの南に位置する湖。ローマ神話の商業の神メルクリウスが語源。ヘスペリデス湖の金の湖に対して「銀の湖」とも呼ばれている。中心にオリンポス山がそびえる。
オリンポス山
メリクリウス湖の中心に位置する山。別名「天導山」。西方大陸の最高峰であり、「エウロペの屋根」と呼ばれている。山頂に古代遺跡が存在するが、デスザウラーの暴走により壊滅してしまう。なお、地球には同名の山がいくつもある。
レッドラスト
北エウロペ大陸の大半を占める砂漠地帯。別名「赤の砂漠」。ZAC2099年8月、両軍はここで初めて激突し、第一次全面会戦を戦った。結果、共和国軍は敗退した。惑星Zi大異変直後のZAC2057年、同地のカシル村にて共和国と帝国の停戦会談が行われる予定であったが、帝国軍の一方的な攻撃により決裂した。
ニクシー基地
ニザム高地の北の半島に位置するガイロス帝国の西方大陸における軍事拠点。ヨーロッパ伝承の妖精ピクシーが語源。西方大陸戦争末期、共和国軍は総攻撃を開始し、ガイロス帝国は西方大陸から撤退した。その後、共和国軍の基地となる。
ニザム高地
ニクシー基地の南に位置する高地。
ブロント平地
ニザム高地の西に位置する平地。
南エウロペ大陸
西エウロペ大陸とは地峡で繋がった大陸。住民は共和国派と帝国派に分かれて争っており、ニューヘリックシティは共和国派の拠点、ガイガロスは帝国派の拠点となっている。
エルガイル海岸
南エウロペ大陸西部の海岸。ZAC2100年3月、帝国軍はガリル遺跡を目指してここへ派兵。共和国軍はゴジュラス1機を含む1個大隊を派遣したが、ジェノザウラーレブラプター部隊の前に全滅した。
ガリル遺跡
エルガイル海岸から南へ下ったところにある遺跡。オーガノイドシステム完成のカギを握る未知のゾイド核を巡ってアーサーの操縦するブレードライガーとリッツの操縦するジェノザウラーが激突した。
ニューヘリックシティ
南エウロペ大陸の南東部に位置する親共和国派の都市。アニメ『ゾイド -ZOIDS-』ではヘリック共和国の首都となったが、ガーディアンフォース編においてヒルツのデススティンガーの攻撃を受けて壊滅し、首都は放棄された。
ガイガロス
南エウロペ大陸の南西部に位置する親帝国派の都市。アニメ『ゾイド -ZOIDS-』ではガイロス帝国の首都。
ミレトス城
ガイガロスの隣に位置する城。アニメ『ゾイド -ZOIDS-』ではルドルフの居城となっている。
エレミア砂漠
南エウロペ大陸の南西部に位置する砂漠。アニメ・上山版漫画の第1話でバンがガイサックから逃げていた砂漠。近辺にバンの住む村がある。
マダガスカル島
南エウロペ大陸の東に位置する島。地球のインド洋に同名の島がある。
イセリナ山
南エウロペ大陸の南に位置する山。
ジオレイ山脈
南エウロペ大陸北部に位置する山脈。
ジオレイ平野
ジオレイ山脈の西側に広がる平野。
フェアリー山脈
ジオレイ山脈の東に位置する山脈。
ユーパス山脈
フェアリー山脈の東に位置する山脈。
西エウロペ大陸
北エウロペ大陸と南エウロペ大陸とは地峡で繋がった大陸。高い山脈が連なり平地は殆ど砂漠地帯といった地形のうえ、厳しい風土なので人口密度が他の大陸と比べて極端に低い。ただ、未発見の古代遺跡が数多く眠っているらしい。なお、西方大陸戦争では戦場にならなかった。
ヒラリー盆地
西エウロペ大陸の南に広がる盆地。
マンスター高地
ヒラリー盆地の北に位置する高地。
ローナ山脈
マンスター高地、ヒラリー盆地の西に位置する山脈。
プルトン湖
マンスター高地とタウ高原に挟まれた湖。
ヒッポクレネ湖
プルトン湖に隣接する湖。
タウ高原
西エウロペ大陸北西部に広がる高原。
グレイラスト
別名「白の砂漠」。タウ高原の西側に広がる砂漠。
ダイノ島
西エウロペ大陸の西に位置する島。

東方大陸

アニメ『ゾイドフューザーズ』や「3匹の虎伝説」の舞台である大陸。中央大陸の東南に位置する。ネオゼネバス帝国との戦いで中央大陸から駆逐されてしまった共和国軍が逃げ込んだ大陸であり、ZOITEC等の企業がある。大異変の影響を最も受けたため、野生のゾイドがほとんど存在しない。グローバリーIII世号に乗って惑星Ziにやってきた地球移民の子孫が多数移り住んでおり、漢字や日本語(例、凱龍輝など)を使う地域も存在する。

ブルーシティ
「三匹の虎伝説」シリーズにおいて初めてその存在が語られた東方大陸にある都市。Ziファイターによるゾイドを用いた戦闘競技「ゾイドバトル」が盛んに行われているとされている。『ゾイドフューザーズ』の主な舞台としても描かれた。

南方大陸

惑星の南の果て(南極?)に位置する大陸だが詳細不明。

北方大陸

ニクス大陸の東北、北の果て(北極?)に存在しているが南方大陸同様、詳細不明。

惑星Ziの海域

アクア海
中央大陸と東方大陸を結ぶ海域。ラテン語の水を意味する言葉が語源。ZAC2106年、ネオゼネバス帝国によって駆逐されたヘリック共和国はこの海域を渡って東方大陸へ落ち延びた。
アンダー海
北エウロペ大陸と暗黒大陸を結ぶ海域。ZAC2101年6月、共和国軍はこの海域の制海権を得て暗黒大陸に上陸するため、帝国軍と交戦したが、帝国軍の猛攻を受けた共和国軍は進路を変更してダラス海へと向かう事となった。
シード海
中央大陸の北東部に広がる海域。
ゼロス海
南方大陸の北に広がる海域。いくつかの島が点在する。
ダラス海
中央大陸と暗黒大陸を結ぶ海域。海域内に「トライアングルダラス」と呼ばれる魔の海域があり、航行が困難になっている。ZAC2054年5月、マッドサンダー艦隊はこの海域を渡って暗黒大陸へ上陸を目論んだが、ギル・ベイダーの飛行隊によって全滅してしまう。なお、惑星Zi大異変後には強力な電磁波の嵐が吹き荒れるようになってしまい、この海を迂回するため両軍は戦場を西方大陸へ移す事になった。
デルダロス海
中央大陸と北エウロペ大陸を結ぶ海域。ZAC2100年6月、ユビト港から出港した共和国軍輸送艦隊を帝国軍のシンカーがこの海域で待ち伏せし、襲いかかったが、共和国軍本隊の迎撃を受けて返り討ちに遭い、輸送妨害作戦は失敗した。
フロレシオ海
中央大陸南部に広がる海域。中央大陸戦争時代、二度海戦があった。

惑星Ziの民族

惑星Ziにはゾイド以外のヒューマノイド種族も存在する。起源については、大気の安定した時代に生まれ、ゾイドから逃れるために樹上生活をしていた小動物が生存のため脳中枢を進化させていったのがそのルーツと言う説が有力視されている。彼らはゾイドと違ってゾイド核を持たない。だが、古代ゾイド人は身に危険が迫ると一定時間のみ外皮を硬化させる機能(メッキ化能力と言う)を持っていた。

しかし、近世以降のゾイド人はこの機能は退化して無くなっており、僅かな名残で体の一部に痣のように金属外皮殻が表出している場合がある(わざと入れ墨で顔など目立つ部分に彫り込んで再現している場合もある)。地球人と似たような形態と生態(胎生かつ哺乳性と思われる)を持つが、寿命は地球人よりも比較的長い。異星人であり遺伝子構造が違うはずの地球人との異種交配が可能とされ、後にセカンドやアッズと呼ばれるハーフも誕生している。余談だがシリーズ開始当初のZi人は爬虫類型の亜人間として描かれていた。

中央大陸(デルポイ人)

風族
中央大陸北東部の高地に住んでいた部族。中央大陸における最大部族でヘリック共和国の主要民族でもあり、中央大陸を統一したヘリックI世は風族の指導者であった。古代の巨石文明を築いた民族の末裔と言われており、巨石の運搬、加工技術に長け、そのために必要な幾何学が発達しているなど高水準の文化を有し、風車による風力など自然エネルギーを用いていた。また、狩猟のために小型肉食獣ゾイドを家畜化して用いたが、何世代に渡る人為的選択の結果、人間の複雑な命令を理解して行動する知能の高いオオカミ型ゾイドを飼いならし、繁殖化に成功。このオオカミ型ゾイド(コマンドウルフ)を狩猟のみならず移動手段や物資の運搬、競技や戦闘目的などあらゆる用途に用いて氷河期を乗り越えた。論理的思考の持ち主で古くから平和と人権を守ることを徳とし、性格は総じて温和とされている。部族間戦争では東側安保連合の盟主であった。身体的特徴は黒髪に薄緑の肌と眼を持つ。
鳥族
中央大陸南西部の山岳地帯に茂る原生林地帯を生活圏にし、木に宿る自然神を崇拝する部族。部族の名の示す通り鳥類型ゾイドを家畜化し、移動手段や物資の運搬、土木作業、戦闘目的で使用した。特に鳥類型ゾイド(ショットイーグル)に乗って戦う兵士は人々から崇拝され「戦士」の称号を与えられていた。木の加工に関する技術を発達させ、様々な生活必需品を作って他部族との交易を行い利益を得ていた。身体的特徴は金髪で薄桃色の肌に黒い目を持つ。風族とは非常に親しい間柄で部族間戦争では風族と同盟を結び共に戦った。ゾイドグラフィックス及びヒストリー・オブ・ゾイドに登場する共和国空軍中佐リヒトホーヘンは鳥族の王家出身者である。またヒストリー・オブ・ゾイドに登場したリヒトホーヘン中佐の部下であるフォンブラウン軍曹も鳥族出身者である。
海族
部族の名の通り海を生活圏にしていた海洋民族。単一民族とひとくくりにされているが、実際は北方系のヴァイキング的種族と南方系の海洋漁労民などいくつかの種族の集合体である。有史以来、南北の海洋民族と交流し、生活圏を脅かすような外敵に対しては一致協力して立ち向かうなど仲間意識が強く社会的に進んだルールを共有していた。交流が進み同化しているため、身体的特徴で両者を見分けるのは難しいが、一般的には黒髪に薄青の肌、青い眼を持つ。海洋民族らしく造船技術、航海術に長けているため、星の運行周期から独特の暦を作り、さらに他の部族に先駆けて惑星Ziの世界地図を作り上げた。それゆえに学者となる者も多数いるとされる。船を航行させる目的で海に生息するゾイド(シンカーウオディックなど)を有史以前から家畜化し、海産資源の獲得や貿易に利用して利益を得ていた。また、他部族が海族の領海を通過する際には関税を徴収し、同時に貿易船を護衛するための武装集団を結成、海上での機動力を誇った。ゾイドバトルストーリーの著者とされる戦史研究家、ロイ・ジー・トーマス元大尉は海族の王家出身者である。なお、ヒストリー・オブゾイドに登場した海洋学者でもあるヘリック共和国海軍中尉アルファーやゼネバス帝国軍大尉ゴードンは海族出身者である。
地底族
中央大陸の山岳地帯の洞窟に住み独自の文化を発達させていた部族。それゆえに地底族と呼ばれる。普段は洞窟で過ごし、食料などが必要になると集団で地上に出て採集、調達してきたが、他部族によって村や街が作られて農地が開墾され、その農地が開墾した部族の所有となっても、彼ら地底族は地上に現れては他部族の所有する農地から農作物を調達していた。そのため他部族の反感を買い、地底族は得体の知れぬ山賊集団と汚名を着せられてしまった。彼らは地中に住む昆虫型ゾイド(モルガ)を多く飼育し、地底でトンネルを掘る作業や住居の建築など土木作業や運搬に利用した。社会的に封建的支配色の性格が強く家長に対する忠誠が重んじられ、「我こそ惑星Ziにおける支配者だ!」という自負心が強く、軍隊による他部族への領土の侵攻も、生存手段としての正当行為と主張している。それゆえに部族間戦争では西側領国連合の盟主となり、東側安保連合と激しく戦った。ヘリックI世による大陸統一後も民族間の軋轢が尾を引き、ゼネバスをはじめとする者たちがヘリック共和国を離れてゼネバス帝国を建国、その主要民族となる。のちにガイロス帝国の建国に関与したとされるガイロスは地底族を統率する指導者であった。身体的特徴はオレンジの髪に赤茶の肌と眼を持つ。
火族
氷河期ですら凍結しなかった火山地帯を生活域とし、火の神を崇拝する部族。普段はいくつかの街に点在して暮らしているが、同胞に対する団結心は非常に強い。だが、他部族に対する不信感も強く好戦的な民族で武を重んじる。彼ら火族が武を重んじるのは、強さを善とする文化に由来し、火族の社会は武道による階級制が中心になっている。古くから地熱エネルギーを利用し、水蒸気による工作機械を作って土木作業などに用いるなど独自の技術を発達させていた。彼ら火族は獰猛な始祖鳥型ゾイド(シュトルヒ)を飼いならし、活動する火山地帯を飛び回って移動手段とした。この始祖鳥型ゾイドは他部族では飼いならすことはできず、生体として原始的なので数を増やすことも難しく、彼ら火族ですら飼育方法は限られた人間しか知らない秘伝と言うべき技術であった。なお、火族の戦士の中でも始祖鳥型ゾイドに乗って戦う者はエリートとして尊敬された。身体的特徴は黒髪に褐色肌と赤茶の眼を持つ。部族間戦争では地底族を盟主とする西側領国連合に参加していた。モルガを開発したゼネバス帝国軍大尉ガラモスは火族出身者である。
砂族
かつて砂漠地帯に巨石文明を築き、巨大な石の都市国家を作った偉大な部族の末裔。彼ら砂族の文明は非常に発達しており、他の部族を多く従えるなど隆盛を誇ったが、ZAC1600年頃を境に急速に衰え崩壊してしまった。これは当時、恒星の熱放射量により砂漠の気温が上昇し生活用水の不足が長く続いたためと、他部族を多く吸収しすぎたこととされている。その後は砂漠に点在するオアシスに小さな集落を作って生活の拠点とした。都市国家崩壊後、排他的になったため、あまり他部族との交流を行わず、数種類の爬虫類型ゾイド(主にヘルディガンナー)を家畜化して孤高に砂漠に住み続けたため、詳しい交流状況は不明。太陽神を崇拝する部族で身体的特徴は白髪と薄茶の肌、黒い眼を持つ。部族間戦争では地底族を盟主とする西側領国連合に参加していた。
虫族
部族の名が示す通り、昆虫型ゾイドを家畜化し、共生していった歴史を持つ部族。昆虫型ゾイドの外殻は非常に硬く、死亡した昆虫型ゾイドの殻を身に纏えば無敵の鎧と化し、盾や槍として加工すれば素晴らしい武器となったので、戦時には優れた武具を作って他部族と交易し利益を得ていた。また、力の強いクワガタ(ダブルソーダー)やカブトムシ型ゾイド(サイカーチス)は、彼らの住居を作るための土木作業用として使われ、戦時には戦闘用として使用された。そういう意味で、彼ら虫族にとって昆虫型ゾイドは貴重な財産である。降雨量によって出現、消滅する湿地帯を生活圏にし、常に少数で移動を繰り返し都市を形成しなかったので少数民族と言える。それでも彼ら虫族が生活圏を守り通し存続できたのは、湿地帯は疫病の発生源だと古くから考えられており、他部族は湿地帯への侵入を行わなかったからである。雨の神を崇拝する部族で、身体的特徴は黒人のような茶色の肌、グレーの髪、青緑の眼を持つ。また昆虫のように感覚が鋭く、その天性的な才能を生かし、レーダー手や偵察部隊の指揮官になるなど活躍した。中でもヘリック共和国軍少尉モーリスやヘリック共和国軍電子探査師団の師団長となったブラントンが著名である。
神族
中央大陸北部の氷河地帯に神殿を構え住居とし、自らを神の末裔と称する部族。神秘的な呪術による一種の神権政治を行い、火山噴火など天変地異の予測、精霊を呼び出し死者の国の住人と会話を行う、手を触れずに岩を動かすなど人知を超越した能力を秘めているとされるが、それ以外の詳細は不明。一説では有史以前、他の惑星からやって来た者たちを起源とする民族とも言われている。非常に巨大で強力な神獣型ゾイド「ホワイドン」(後に改良されゴジュラスと命名される)を守護神として所有し、この事が他部族が神族を恐れている理由となっている。この神獣型ゾイドは既に地上では絶滅していた恐竜型ゾイドの一種で地下の溶岩溜りに生存していたゾイドである。彼ら神族は地上では絶滅した恐竜型ゾイドが地下で生存していることを古くから知っており、手なずけたと考えられている。この事はZAC2060年、ヘリック王国ゾイド管理局の局員の調査によって明らかになった。人々の病を治すことに長けているため、医学が発達しており、様々な薬草を作って商品とし、他部族と交易を行い利益を得ていたが、他部族の前にはなかなか姿を現さず、常に仮面をかぶって素顔を見せず神秘性を強調していた。その素顔は銀色の髪と眼と白い肌と言う身体的特徴を持つ。これは惑星Ziに生きるヒューマノイドの突然変異体と考えられている。

他の大陸

ニクス人
暗黒大陸に住む民族で、ガイロス帝国の主要民族。明確な部族や身体的特徴をはじめ、詳しい起源や文化などは不明。同大陸の厳しい環境ゆえか、他大陸への移住願望が非常に強く、帝国が生まれる以前にも中央大陸を侵攻する事件(これはニクス人を煽動し、新しい敵を作る事で中央大陸の平定を計ったヘリックI世の差し金であった)を起こしている。なお、その後にゼネバスの伯父である地底族の指導者、ガイロスが暗黒大陸に渡って帝国の礎を築き、ZAC2051年にゼネバス帝国軍を吸収したため、現在では地底族などデルポイ人の血を引くゼネバス帝国軍出身者やその子孫が多い。当初は生まれ育った環境からか、体質的に強い日光が弱点とされていたが、現在ではそのような性質は無い。
エウロペ人
西方大陸に住む民族。設定上では集落や遺跡など、いくつかその存在が示唆されているが、バトルストーリー上では彼らに関する詳細な描写は少なく、主な部族やその起源・文化などは不明な点が多い。現時点ではアーバインやムンベイ、レッツアー・アボロスなどが西方大陸出身者と明言されている。
東方大陸人
東方大陸に住んでいる民族。原住民等の詳細は不明だが、現在では地球移民(特に東洋人など)の子孫が多数を占めている。

地球移民

深宇宙開拓財団が実行した宇宙探査計画に基づいて、宇宙開拓船グローバリーIII世号にて宇宙を旅していた地球の人類。しかし、その途中でランドバリーなど冒険商人の反乱を受けて、船はZAC2029年の惑星Ziに不時着、それに乗っていた乗客と乗員がそのままZiに入植する事となる。その中の一部の者達が、当時から交戦中だったヘリック共和国とゼネバス帝国に地球の科学技術を伝え、両陣営に爆発的な技術革命を引き起こし、戦火を拡大させる原因となった。現在ではZiの人間との同化が進んでおり、多数のハーフおよびクオーターが誕生しているとされる。地球人の中には争いへの関与を嫌って、東方大陸など他の土地へ移住した者達も存在する。旧バトルストーリーではクローネンブルグ、ジョー日ノ本、ランドバリーが純粋な地球人とされ、現バトルストーリーにおいてはネオゼネバス帝国のサファイア・トリップが地球人とZi人のクオーターであるとされている。

その後、一部の地球人はグローバリーIII世号を修復して、地球西暦2409年に地球へ帰還したと、同じ世界観を共有する『装甲巨神Zナイト』では語られている。

惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)

ZAC2056年、惑星Ziの3つの衛星の1つDeに彗星ソーンが直撃し、砕けた衛星の破片が惑星Ziに降り注いだ。これにより中央大陸は3つに、暗黒大陸は2つに分断され、一部は水没した。ダラス海の魔の領域トライアングルダラスは強電磁の嵐が常時吹き荒れる海域と化し、暗黒大陸と中央大陸間の直接航行はますます困難となった。この異変で数千万単位で人々が亡くなり、数多くのゾイドが死滅。生き残ったゾイドも多くの種は本来の生命力を大幅に減退させてしまった。さらに大異変発生からしばらくの期間、惑星Zi全体に強力な磁気異常が発生していたため、マグネッサーシステムを用いた全ての飛行ゾイドが使用不能となったが、ZAC2099年には磁気異常は収まったらしく、飛行ゾイドの運用が再開された。

この異変の影響を最も強く受けたのが、デスザウラーマッドサンダーウルトラザウルスをはじめとする巨大恐竜型ゾイドや、ガン・ギャラドオルディオスといった幻獣型ゾイドであり、第二次大陸間戦争時代の初期、ゴジュラス以上のパワーとサイズの恐竜型ゾイド、レドラー以外の幻獣型ゾイドがすでに絶滅、若しくは生産技術が失われた。ただ、デスザウラーはオーガノイドシステムによって復活作業が進められ、ウルトラザウルスは生き残った1機が大統領専用機として配備された。マッドサンダーは幼体のコアが生き残っており、量産が進められた。

共和国、帝国のそれぞれの保護政策によって個体数を増やした種もいれば、絶滅しかけてもオーガノイドシステムで個体数のみならず、生命力を以前よりも強化された種もいる。前者はレイノスやマッドサンダー、後者はウオディックやデスザウラーなどといったタイプになる。しかし、人の管理下の保護政策のゾイドの力は以前のそれには及ばず、オーガノイドシステムによる強化を施しても、狂暴化し弊害を招き、大異変がゾイドとそれを扱う国家に与えた影響はここにも出ている。

また、ライガーゼロゴジュラスギガのように、生命力を低下させることなく大異変を乗り切った強靱な種もいたが、いずれも希少種であり、種類も個体数も少ない。他にも、東方大陸では野生ゾイドはほぼ絶滅状態となり、代わりにブロックスゾイドといった半人工種が産み出されていった。

大異変以降、惑星ZiにはAeSeの2つの衛星が残り、現行のバトルストーリーやアニメでは常に2つの月が並んでいるかのように映っている。

ゾイドジェネシス』では、再び起こった大異変により、殆どの文明がリセットされている[3]

ゾイドリバースセンチュリーシリーズでは、この大異変を“グランドカタストロフ”と呼称している。グランドカタストロフという言葉の初出は、『電撃ホビーマガジン』誌連載企画「ZOIDS戦記2089 CHAOTIC CENTURY」(2000年01月号連載開始)である。

一方、機獣新世紀ゾイド公式ファンブックでは“惑星Zi大異変”で統一された。

脚注

  1. ^ 電撃ホビーマガジン2002年4月号付録「ZOIDS BOOK2002」より
  2. ^ 電撃ホビーマガジン2002年12月号より
  3. ^ 劇中、月が1つしかないことから、どちらかの衛星が落下した可能性がある

参考文献

  • HISTORY OF ZOIDS
  • メカ生体ゾイド 戦闘機械獣のすべて
  • ゾイドバトルストーリー1巻〜4巻
  • 新ゾイドバトルストーリー
  • 機獣新世紀ゾイド公式ファンブック1〜4
  • ゾイドオフィシャルファンブックEXシリーズ
  • ゾイドコアボックス付属「ゾイドバイブル」
  • ゾイドインフィニティ公式サイト

関連項目