屋根付橋
屋根付橋(やねつきばし、Covered bridge)とは、屋根の付けられた橋のことである。世界的に広く存在し、英語読みの「カバードブリッジ」、あるいは「幌付き橋」、「有蓋橋」ともいう。
構造
初期の橋は主に木製であり、特に木材資源の豊富な場所では尚更であった。木製の橋は外周から芯に向かって短期間で傷み、環境にもよるが9年程度の寿命である。上部に屋根を設置することにより構成要素を保護し、寿命を80年以上に延ばせることもある。
屋根付橋はほとんどの場合トラス構造をしたトラス橋であり、単純構造のブラウン・トラスが選ばれることが多いが、その他のトラスも使われている。現在では鉄、コンクリート、その他の建材が利用出来るので、建材の保護の為と言うよりも、利用者の利便性の為、あるいはデザインの為に屋根付橋 が建造されることが多い。
世界各地の屋根付橋
アジア
日本
日本書紀に残る記述
日本書紀には、612年に路子工が御所の庭に、欄干、屋根付きの唐風の橋(呉橋)を作ったという記録がある[1]。
愛媛県南部における屋根付橋
愛媛県の南予地方のうち、喜多郡内子町、大洲市のうち旧喜多郡河辺村などには、木造の屋根付橋が現存している。小河川に架けられているもので、農道として使用されていた道につけられており、歩行者専用である。幅員は2メートル程度、長さも5-10メートル程度のものが多いが、なかには長いものもある。かつては、生活道路としてだけでなく、農作物の保管場所などとして使用していたものであるが、今日では、かつての農村風景をとどめる産業遺産の一つとして、多くは地域の人々の手により、管理・保存されている。なかには、復元されたものもある。
- 河辺(大洲市)
- 屋根付橋が8つ現存し、「浪漫八橋」としてPRされている。かつては、地元の関係者のみ知っているような存在であったが、小説『マディソン郡の橋』が発表されると、似たような外観をしていることから、密かなブームとなり、訪れる人も増えた。とはいえ、河辺は肱川の支流の一つの上流をさかのぼった奥地にあり、訪れるには十分時間をみておく必要がある。ほとんどは、県道に沿って流れる川に架かっており、目に入りやすいが、一部、場所がわかりづらいものもある。
- 御幸の橋
- 1773年(安永2年)創建 1970年(昭和45年)愛媛県指定民俗文化財、日本百名橋
- 三嶋橋
- 1923年(大正12年)
- 豊年橋
- 1951年 (昭和26年)
- 帯江橋
- 1952年(昭和27年)
- 龍神橋
- 平成2年 三杯谷の滝開発事業時整備
- ふれあい橋
- 平成4年 観光用に架設されたもの
- 龍王橋
- 平成9年
- 秋滝橋
- 平成9年
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御幸の橋
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三嶋橋
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帯江橋
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ふれあい橋
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龍王橋
- 内子町
- 喜多郡内子町の石畳地区へと向かう県道沿いにも屋根付橋が3つ現存する。田丸橋は昔の姿をのこしつつ、杉皮ぶきの屋根を持ち、長さ15メートルにも及ぶ。県道からよく見える場所にあり、町の文化財にも指定されている。同橋は1944年(昭和19年)の建造と伝えられ、2002年「土木学会選奨土木遺産」として認定され、橋のたもとに碑が設置されている。NHKの坂の上の雲 (テレビドラマ)のロケ地の一つともなった。
- 内子町(旧:内子町)にはかつて10を超える屋根付橋があったといわれるが、洪水による破壊・流失、利用が少なくなったことによる関心の低下などにより、次第に数は減り、今日では3橋のみ残っている。なお、この田丸橋は地域住民により保存会がつくられ、住民自身の手で復元されたものであり、大切に管理されている。
- 国道56号沿いの伊予市(旧:中山町)との境界近くにもやや大き目の橋がある。これは復元されたもの。
- 田丸橋
- 1944年(昭和19年)泥橋を屋根付きとして改築 町指定の有形民俗文化財
- 下宮橋
- 1994年(平成6年)築造
- 弓削神社の橋
- 弓削神社にあり太鼓橋ともよばれる。神社創建は室町時代の応永3年(1396年) 町の名勝、日本百名橋
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内子の田丸橋
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弓削神社の橋
- 西予市
- 偃月橋または竜門橋
- 1849年(嘉永2年)建造、新四国曼荼羅霊場51番の禹門山竜沢寺(龍澤寺)、参道にかかる橋
- 合良橋
- 1990年(平成2年)改築
ヨーロッパ
北アメリカ
- ヒルズグローヴ・カヴァード・ブリッジ - アメリカ合衆国・ペンシルベニア州:アメリカ合衆国国家歴史登録財に指定されている
- The Elizabethton Covered Bridge - アメリカ合衆国テネシー州・エリザベストン市に存在する屋根付橋
- Cedar Bridge - アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡に存在する屋根付橋
- Cutler-Donahoe Bridge -アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡
- Hogback Bridge - アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡
- Holliwell Bridge - アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡
- Imes Bridge - アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡
- Roseman Bridge - アメリカ合衆国アイオワ州・マディソン郡
- ハートランド橋 - カナダ・ニューブランズウィック州のハートランド:全長391mで「世界最長の屋根付き橋」[2]とされる。カナダ国定史跡に指定されている。
参考書籍
- 出田肇 『日本の屋根付橋 四国 奥伊予』 (発行:地域環境研究所)
- 詳しい実測図などが付記されている
脚注
- ^ 日本土木学会『日本土木史』1994年p1033
- ^ http://www.historicplaces.ca/en/rep-reg/place-lieu.aspx?id=7623&pid=0