ドーン (探査機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Doraemonplus (会話 | 投稿記録) による 2016年3月12日 (土) 14:10個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ドーン Dawn
ドーン探査機
所属 アメリカ航空宇宙局 (NASA)
主製造業者 OSC
公式ページ [1]
国際標識番号 2007-043A
カタログ番号 32249
状態 運用中
目的 小惑星ベスタ準惑星ケレスの探査。
設計寿命 10年
打上げ機 デルタIIロケット
打上げ日時 2007年9月27日
最接近日 ベスタ - 2011年10月
ケレス - 2015年2月
物理的特長
衛星バス OSC STAR™ Bus
本体寸法 1.64 × 1.27 × 1.77 m
最大寸法 19.7 m(ソーラーパネル展開幅)
質量 1,217.7 kg(打ち上げ時)
747.1 kg(ドライ)
発生電力 10.3 kW(1 au
主な推進器 キセノンイオンスラスタ NSTAR × 3
0.9N ヒドラジン1液スラスタ × 12
姿勢制御方式 三軸安定方式
ミッション機器
FC フレーミングカメラ
VIR 可視・赤外マッピング分光計
GRaND ガンマ線・中性子分光計
テンプレートを表示

ドーン (Dawn) とは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた準惑星ケレスおよび小惑星ベスタを目標とする無人探査機で、ディスカバリー計画のミッションの一つである。史上初の、小惑星帯に永久にとどまる人工物となる予定である。Dawnとは、夜明け・あけぼの・暁などを意味している。

概要

ドーンが観測した準惑星ケレス

ドーン・ミッションの目的は、太陽系初期の状態を残していると考えられる、2つの大きな原始的天体を調べることで、太陽系誕生の謎に迫ることである。ケレスとベスタは太陽系の別々の場所で誕生したと考えられており、それによる対照的な違いがいくつも見られる。ケレスはその形成段階において地下水による「冷たく湿った」状態を経験しているとされている。一方ベスタはマントルや核といった内部構造を持ち、また表面にある火山活動の形跡などから「熱く乾いた」状態を経験していると考えられている。スペクトルもケレスがG型、ベスタがV型とまったく異なる。

探査機はデルタIIロケットで打ち上げられ、ディープ・スペース1号で用いられたキセノンイオン・スラスタNSTAR」3基を用いて長期間航行する。

計画はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の宇宙科学者クリストファー・T・ラッセルを中心に進められた。NASAのジェット推進研究所 (JPL) はイオンエンジンと飛行システム開発のマネジメントを提供した。ドイツ航空宇宙センターはフレーミングカメラを、イタリア宇宙局はマッピング分光計を、米エネルギー省ロスアラモス国立研究所ガンマ線分光計を提供した。

打ち上げまで

宇宙予算の削減と人員不足、そして技術上の問題から、探査機の打ち上げは度々延期された。2003年12月に計画は一度中止されていたが、2004年2月には復活した。この当時は2006年5月に打ち上げられ、2010年~2011年にベスタの、2014年~2015年にケレスの探査を行う予定になっていた[2]

2005年11月に計画は「スタンドダウン(身を引く)」状態となった。2006年1月、NASAはドーン・ミッションの状態に関して何ら決定を下していなかったが、メディアは「スタンドダウン」状態とは「無期限延期」のことではないかと報道した。2006年3月2日、予算が当初の予定を大幅に上回る4億4600万ドルにかさんだことを理由にミッションの中止が発表された。この時点で探査機はオービタル・サイエンシズ社によって90%まで組みたてられていた。しかし、観測装置を提供していたヨーロッパの学者たちやJPLがこれに抗議。その後、技術上の問題が既に解決し、予算超過が当初より低く見積もられたことから同27日に復活が決定された。

2007年7月7日午後4時9分(アメリカ東部標準時。日本時間では7月8日午前5時9分)に打ち上げられる予定となっていたが、同日に悪天候のため打ち上げが延期されたのち、関係者の協議の末に、同月の打ち上げのチャンスが少ないことと他のロケットの打ち上げに影響することから、同年9月26日に打ち上げ延期が決定された[3]

その後、悪天候により一日遅れて9月27日午前7時34分(アメリカ東部標準時。日本時間では同日午後8時34分)に打ち上げに成功した[4]

探査

ドーン探査機の探査経路
ドーンが2011年7月8日に撮影した小惑星ベスタ

以下はこれまでの経緯及び航行スケジュールである。[5]

経緯

予定

  • 約1年半ケレスを観測した後、ミッションを終了する予定

ただし延長ミッションとして他の小惑星(例としてパラス)を訪れることも考えられている。

脚注

外部リンク