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インターネット依存症

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インターネット依存症(インターネットいそんしょう、インターネットいぞんしょう)、インターネット中毒(インターネットちゅうどく)は、1997年にイヴァン・ゴールドバーグによって理論づけられた障害である。賭博依存症と比較することで、DSM-IV(精神障害の診断と統計の手引き)で診断される。

ゴールドバーグとキンバリー・ヤングは、インターネット依存症をDSMの次の版であるDSM-Vに含めるように請願活動を行っている。そうすることで、保険会社がインターネット依存症のカウンセリングのための支払いを行うようになるとされている。しかし、インターネット依存症は実際の障害ではなく、これをDSM-Vの精神障害として分類するべきではないとする主張も強い。

診断基準の案

12か月のうちに、以下の3つないしそれ以上の臨床的に重篤な障害や苦痛に至る、インターネットの利用における不適応のパターンが見られること。

  1. 以下のいずれかで定義される耐性。
    • 満足感を得るために、インターネットに非常に長い時間ふれている必要がある。
    • インターネットにふれる時間が同じである状況が続けば、影響が極端に減少する。
  2. 以下のAまたはBによって明らかになる禁断症状。
    • (A)以下の1~3のような特徴的な禁断症状。
      1. 大きく長期間にわたるインターネットの使用の中止または縮小。
      2. 以下のうち2つまたはそれ以上の現象が、インターネットの中止から数日~1か月後以内に発生する。
        • (a)精神運動性の動揺。
        • (b)不安。
        • (c)インターネット上で起こっていることについての強迫観念的な考え。
        • (d)インターネットについての空想または夢。
        • (e)自発的または無意識に起こる、指のタイピングの動き。
    • (B)インターネットまたは類似したオンラインサービスを利用することで、禁断症状が軽減するかなくなる。
  3. 意図したより長い時間、インターネットにアクセスしている。
  4. インターネットの使用を減らすか制限しようとする欲求や努力はするが、うまくいかない。
  5. 非常に多くの時間をインターネットに関連した活動(たとえば、インターネット関連の書籍を購入したり、新しいWebブラウザを試してみたり、ベンダーの調査を行ったり、ダウンロードしたファイルを分析したりする)に費やす。
  6. インターネットの使用のために、家族、社会、職業、あるいはレクリエーションの重要な活動の期間や頻度が減少する。
  7. 持続的、あるいは再発する、身体、家族、職業、精神の問題が引き起こされる(たとえば、睡眠不足、結婚が困難になること、早朝の約束への遅刻、職業上の任務の放棄、あるいは重要な他者を放棄する感情)のを知っているにもかかわらず、インターネットの使用を継続している。

批判

キャロル・ポテラジョナサン・ビショップをはじめとするインターネット研究者によって、インターネット依存症などというものは存在しないと主張されている。インターネットは社会的媒体であり、人はインターネットという媒体に没頭することはできないと考えられている。インターネットは環境であると見なされているが、オークションサイトで値をつけるような媒体の面も持っている。また、インターネット依存症理論が強く比較している、インターネットの使用とギャンブルの依存との間には有意な差が存在する。インターネットが大きな部分で向社会的で、双方向的で、情報主導の媒体であるのに対し、ギャンブルは個人的で、反社会的で、社会的な埋め合わせになる価値をほとんど持っていない。

また、上記のテストなどもごく普通の人間であっても依存症とされるなどの曖昧な点を含んでいる。実際のところ治療を必要とするまでの深刻な例は0.5%以下であると言われている事に加え、具体的な診断基準についても研究家によってまちまちであり統一した基準は存在しない。

処置

2005年3月、中華人民共和国の北京軍区総病院で、インターネット依存症のための政府のクリニックが設けられた。そこで治療される患者は、大部分が14歳から24歳の裕福な家庭の若者であるが、長時間のオンラインゲームやチャットの結果、不安や抑鬱、睡眠不足で苦しんでいる。治療方法は、インターネットのコールドターキー(急激な中止)、カウンセリング、身体活動、厳格で規則的な睡眠パターンの導入などを含む。

関連項目