DisplayPort

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

DisplayPortは、液晶ディスプレイなどのデジタル・ディスプレイ装置の為に設計された映像出力インタフェース規格である。

DVIの後継を狙った規格であり、標準化団体であるVESAによって策定された。HDMIのように音声信号の伝送も規格に含まれるがオプションである為、機器によって対応/非対応のものがある。

DisplayPort端子 オス
DisplayPortのピンレイアウト

目次

[編集] 歴史

CRTディスプレイの時代から長年使われてきたアナログVGAインターフェースは、1994年4月にデジタル信号を扱うDVIの登場によって置き換えが進むかに思われたが、DVIにそれほどの魅力はなく両者の切り替えには時間が掛かっていた。

その後、21世紀になるとノートパソコンでのDVI端子の厚さに対する不満や、画像表示を行う民生機器でのHDMIの登場によって据え置き型のPCでもDVIからHDMIに対応するようになるなど、PC業界からはDVIやHDMIでは満たせない小型化やコスト低減、今後の高速化への余地を確保できるような新たなインターフェースが求められた。

こういった背景でDisplayPortはそれまでのDVIを置き換える目的で開発され、2006年5月の最初の規格である1.0が、VESA(Video Electronics Standards Association)[1]によって発表され、2008年1月には2009年3月現在最新の Version 1.1a が策定された[2]。特に2007年1月にそれまでUDI(Unified Display Interface)規格を推進してきた米Intel社がDisplayPortの支持に転向してからは、PC用ディスプレイで今後の利用が進むと考えられ、ビジネス用のPCではDisplayPortが、AVパソコンと呼ばれるPCではHDMIが採用されるというのが主流である[3][出典 1]

[編集] 特徴

  • 複数のディスプレイを数珠つなぎにし、今までよりも簡単にマルチディスプレイ環境を構築することが出来る
  • PCセットトップボックスはソース機器、モニタ・プロジェクタなどはシンク機器として定義されている
  • ソース機器の対応次第で、DisplayPort-DVI/DisplayPort-HDMI変換アダプタを利用し、DVI/HDMIシンク機器への接続も可能になり、その逆も可能である
  • 著作権保護技術HDCPに対応しており、これを利用した映像信号と音声信号の伝送が可能である
  • 音声伝送に関してはOptionalとして定義されているため、対応している機器とそうでない機器がある
  • 外付けのディスプレイだけではなく、ノートパソコンといった内蔵型ディスプレイの為の伝送技術としての利用も想定している[4]
  • 1.0Mbpsの双方向通信用の外部チャネルラインを持つ[5]
  • 音声は8チャンネルのLPCMS/PDIFを伝送可能である
  • 規格はパソコン関連メーカー主導で決められている
  • HDMIは高額なライセンス料が発生するのに対し、DisplayPortはライセンス料、ロイヤリティともに無料で使用できる。ただし送受信コンポーネント技術及びHDCPの著作権保護技術に対してのライセンス料およびロイヤリティは発生する
  • 今後登場が想定されているDisplayPort Version 2.0では伝送速度の倍速化が予定されている[6][出典 1]

[編集] コネクタ

  • USBコネクタと同程度の大きさ
  • 20端子
DisplayPortのコネクタ
水色部分が凹、中央の黒い横棒部分が凸になっており、プラグ側中央部の凹に嵌まり込む。接続端子は千鳥配列になっている。高速伝送での損失を抑える為にケーブルは太く、コネクタ側にツメが出て引き抜け防止となるオプション規定もある。
Mini DisplayPortのコネクタ
白色部分が凹、中央の黒い横棒部分が凸になっており、プラグ側中央部の凹に嵌まり込む。2009年3月現在は米Apple社の独自規格である。


[編集] 仕様

  • データ・レート:最大10.8Gbps(2.7Gbps×4レーン)
  • レーン数:4組(1差動信号ペア(1レーン)の最大データ・レートは2.7Gbps、ペアごとにシールドされる)
  • 各色コンポーネントの最大階調数(RGB):16ビット
  • クロック信号:データに埋め込み
  • 音声信号:含まれる
  • データ形式:パケット
  • 伝送方式:8b/10b
  • 線路結合:AC結合
  • 波形制御:プリエンファシス使用
  • HDCP 1.3に対応[出典 2]
  • コネクタ寸法:約15.9mm×4.66mm
  • 最大ケーブル長:15m

[編集] 仕様沿革

  • 2006年5月 1.0
  • 2007年3月 1.1
  • 2008年1月 1.1a
  • (2009年 1.2 予定)[7][出典 1]

[編集] 回路

DisplayPortとMini DisplayPortの差動高速データ信号線と制御信号線の回路概要
データ信号線(図上)と制御信号線(図下)はともに差動回路で50Ωの抵抗を介してバイアス電圧にプルアップされている。出力側は直列にコンデンサを入れ、DC成分が遮断されている。制御信号線は1組の差動信号線を双方向で使用し、100kΩの抵抗を介して電源とグランドにプルアップとプルダウンされており、最高1Mbpsまでの速度に対応する。

[編集] 注記

  1. ^ VESAは、HPやDellといったPCメーカーなどで構成されるディスプレイ関連の標準化などを手掛ける標準化団体である。
  2. ^ DisplayPortに似た規格にLVDSがある。
  3. ^ ノートパソコンのインターフェースではDisplayPortが小型の端子を武器に優位になりそうだが、HDMIも現行Ver. 1.3aの次の2009年前半に予定されている新たな規格では、マイクロUSB並みの2mm強ほどの厚みのプラグになる予定であり、携帯機器用の高速画像インターフェースとしてMHLが新たに登場している。
  4. ^ 2009年3月現在は、LVDSがノートパソコン内部のヒンジ部分をつなぐ信号線として採用されている場合が多いが、DisplayPortではLVDSより信号線が少なくDC結合が無く電圧も低く消費電力も少なくて済むので、送受信回路をグラフィックスLSIとタイミング・コントローラーLSIに統合しやすく、コスト削減と小面積化に貢献すると期待される。
  5. ^ DisplayPortの制御線はHDMIでのCECと同様にAVシアター・システムのような複数の映像機器を連動させる用途で、使用者のリモコン操作を一元的に扱う高機能な映像情報システムを組めるようになる。
  6. ^ DisplayPortに限らず、通信ケーブルの信号線を太くしてノイズ・シールドを十分に確保すれば伝送速度は今後も高められる。すでに光配線技術が成熟してきており、コストと消費電力でも電気配線に対抗できるレベルに近づきつつある。
  7. ^ 早ければ2009年前半にも正式規格となるVersion 1.2では、3D映像と2,160×3840画素映像への対応のため4レーン合計で5.4Gbit/秒の最大転送速度、現行1Mbpsの制御信号線を高速化、ミニ・コネクタを正式化、複数モニターへのマルチ出力対応、などが加わる予定である。

[編集] 出典

  1. ^ a b c 根津禎著 『モバイルを目指す 次世代インターフェース 第2部』 日経エレクトロニクス2009年2月23日号 51-52頁
  2. ^ 志田晟著 『ディジタル信号の性質と高速伝送技術 第12回 ギガ・ビット伝送を拡張する工夫』 トランジスタ技術2009年2月号 232-239頁

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク