鹿林彗星

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ルーリン彗星
C/2007 N3 (Lulin)
彗星
周期彗星の一覧 / 非周期彗星の一覧
C2007N3Lulin2panel brimacombe.jpg
発見
発見者  葉泉志林啟生[1][2]
発見日  2007年7月11日[1][2]
符号・別名  C/2007 N3
軌道要素 - IAUNASA
元期 2454656.5
2008年7月9日[3]
離心率 (e)  1.000227281265871[3]
近日点距離 (q)  1.212128714036556[3] AU
軌道長半径 (a)  -5333.165975608617[3] AU
遠日点距離 (Q)  269391.899[4] AU
公転周期 (P)  49435956[4]
軌道傾斜角 (i)  178.3729945601338[3]°
近日点引数 (ω) 
昇交点黄経 (Ω) 
前回近日点通過  2009年1月10日[5]
次回近日点通過  なし(非周期彗星)

鹿林彗星(るーりんすいせい、符号:C/2007 N3)は非周期彗星である。中国語の発音からルーリン彗星と表記されることもある。鹿林天文台葉泉志林啟生によって発見された[1][2][6]2009年2月24日に5等級の明るさで地球に最接近した[7][2][8]近地点における地球からの距離は0.411天文単位[3]。彗星は地球から見て土星の近くを2009年2月23日に、しし座レグルスの近くを2月26日から27日にかけて[2][6]、5月12日にカーディナル彗星の近くを通るように見えると推定される[9]。現在は地球から0.412天文単位の場所に、5.2等級の明るさでしし座の中に見える[4][8]。2月7日頃から暗い空の中に肉眼で見えるようになった[10]。2月6日にてんびん座α星、2月15日から16日にかけておとめ座スピカの近くを通過し、2月19日におとめ座ポリマの近く、また3月4日から5日にかけてプレセペ星団の近くを通過すると予測されている。

発見[編集]

この彗星は2007年7月11日台湾の鹿林天文台において、16インチの望遠鏡を使って林啟生によってその姿がはじめて撮影された。しかし中華人民共和国中山大学の19歳の学生であった葉泉志が、林の撮影した3枚の写真から新しい天体を発見した。

当初は小惑星と考えられたが、発見の1週間後に撮影された画像により、ほのかに彗星のコマが存在していることが明らかとなった。

この発見は、太陽系、特に地球近傍天体の中で小さな天体を特定する鹿林スカイサーベイプロジェクトの中でなされた。彗星は天文台にちなみ鹿林彗星と命名された。正式呼称は彗星 C/2007 N3である[11]

軌道[編集]

スミソニアン天体物理観測所の天文学者ブライアン・マーズデンは、鹿林彗星が2009年1月10日に近日点に達したと計算した。距離は太陽から約1億8200万キロメートルであるとされた。

マーズデンによれば、鹿林彗星の軌道はほとんど放物線に近く、黄道に対し軌道傾斜角1.6°という非常に低い軌道を逆行している[11]

引き裂かれた尾[編集]

2009年2月4日、イタリアの天文学者のチームは、「鹿林彗星の尾における興味深い現象」を観測した。チームリーダーのエルネスト・グイドによれば、彼らはニューメキシコで遠隔操作により制御された望遠鏡を使用して彗星の写真を撮影し、その画像には明確な分離現象が捉えられていた。彼らが見ていた間、彗星の尾のプラズマの一部が引き裂かれていた。

ゲイドと同僚は、この現象が太陽風が彗星に吹き付けたことによって発生した磁気擾乱によるものと推測している。それ以前に小さな磁気嵐が彗星の尾において観測された例として、最も有名なのは2007年にNASAのSTEREOプロジェクトの調査衛星が観測した、コロナ質量放出エンケ彗星を直撃した例がある。この際、エンケ彗星は鹿林彗星のように、劇的に尾を失った[12]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c Kronk, Gary W.. “C/2007 N3 (Lulin)”. cometography.com. 2009年1月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e Yoshida, Seiichi (2008年12月31日). “C/2007 N3 ( Lulin )” (English). aerith.net. 2009年1月2日閲覧。
  3. ^ a b c d e f JPL Small-Body Data (C/2007 N3)”. JPL NASA. 2009年2月24日閲覧。
  4. ^ a b c Peat, Chris. “Comet C/2007 N3 Lulin”. Heavens-Above GmbH. Heavens-Above.com. 2009年2月24日閲覧。
  5. ^ Yeomans, Donald K.. “Horizon Online Ephemeris System”. California Institute of Technology, Jet Propulsion Laboratory. 2009年1月2日閲覧。
  6. ^ a b Dyer, Alan (2009). “Venus Kicks Off the Year of Astronomy (pg. 24-27)”. In Dickinson, Terence. SkyNews: The Canadian Magazine on Astronomy & Stargazing. XIV, Issue 5 (January/February 2009 ed.). Yarker, Ontario: SkyNews Inc. pp. 38. 
  7. ^ Recent Comet Brightness Estimates”. ICQ/CBAT/MPC. cfa.harvard.edu. 2009年2月24日閲覧。
  8. ^ a b McRobert, Alan; Bryant, Greg (2009年2月23日). “Observing Highlights - Catch Comet Lulin at Its Best!”. Sky & Telescope. SkyandTelescope.com. 2009年2月24日閲覧。
  9. ^ Dyer, Alan (2009). “The Top 10 Celestial Sights of 2009 (pg. 14)”. In Dickinson, Terence. SkyNews: The Canadian Magazine of Astronomy & Stargazing. XIV, Issue 5 (January/February 2009 ed.). Yarker, Ontario: SkyNews Inc. pp. 38. 
  10. ^ Naked-Eye Comet”. 2009年2月7日閲覧。
  11. ^ a b Newfound Comet Lulin to Grace Night Skies”. 2009年2月9日閲覧。
  12. ^ DISCONNECTED TAIL”. 2009年2月9日閲覧。