農業機

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農薬散布作業を行っている、グラマン G-146 アグキャット

農業機(のうぎょうき Agricultural aircraft)とは、農業用に用いる航空機である。航空機の高速移動能力を活用し、農薬肥料などの空中散布を行うことを目的とする。ヘリコプターが用いられることもある。

 概要 [編集]

広大な耕地においては、農薬散布作業は時間がかかるものであり、それを省力化するために、使用が開始された。農業機の特徴としては、薬剤散布用のポンプおよび散布機器を有していることは当然のこと、農場そばの簡易な飛行場からも離着陸できるSTOL能力、大量の薬剤を搭載するための大容量タンク、適切な散布を行うための低速・超低空における運動性の確保が求められる。超低空飛行時における障害物への衝突も考慮し、機体強度も高いほうが良い。軽飛行機の改造機が農業機として用いられることもあるが、専用の農業機は上記の要件を満たすために、機体強度の高い角ばった外観と比較的強力なエンジンを有し、機体構造には安全性を高めるための技術革新が用いられており、農薬を散布する際に外気を吸い込まないように操縦室は与圧構造とされているものが多い。[1]

 歴史 [編集]

農業機の歴史は、1920年代アメリカ合衆国から始まる。国土の広さから航空機の民間運用が盛んであり、広大な農地が多いアメリカでは効率的に広範囲に農薬を散布するための手段が求められたためで、初期の農業機はデ・ハビランド DH.82 タイガー・モスなど、軍用機の払い下げのものが使用されていた。1940年代以降は空中散布の研究が進んだこともあり、専用の農業機が用いられるようになってきた。1950年代[1]に太平洋戦争中、F4F ワイルドキャット等の艦上機を生産していたグラマン社がアグキャットを開発した。その後、グラマン社はジェット軍用機の生産に専念することになりアグキャットの生産をシュワイザー・エアクラフトに委ねた。シュワイザーは生産を引き継いで1957年から1983年までの間、シュワイザー社はアグキャットを2,455機生産した[1][2]

1981年、シュワイザー社はグラマン社より設計と生産の権利を購入して名前を『シュワイザー・アグキャット』に変えて生産を続けた。[1]1995年、シュワイザー社はアグキャットの権利をテキサス州マルデンのAg-Cat Corp.に売却した。 2001年、2月に設計はアーカンソー州ウォールナットリッジのAllied Ag-Cat Productions Inc. に売却された。Allied Ag-Catは新しい機体の生産は行わず、関連会社が大規模なアグキャットの運行を行っている。[3]

アメリカの他ではロシアウクライナ等の旧ソビエト連邦諸国やオーストラリアカナダ等、広大な国土と農地を持つ国での運用が盛んである。また、近年では中華人民共和国において、農業機械化の一環として農業機の導入が大規模に行われている。

日本においては、耕地面積の広さが大陸諸国と比較して狭いこともあり、ヘリコプターが農業機として用いられることが多かった。しかし、宅地と耕地が隣接し、事故の可能性や経済性の問題もあることから、ラジコン航空機が用いられるようになってきている。  

 代表的な農業機 [編集]

 脚注 [編集]

  1. ^ a b c d Montgomery, MR; Gerald Foster (1992). A Field Guide to Airplanes (Second ed.). HMCo Field Guides. p. 14. ISBN 0395628881. 
  2. ^ Wood, Derek: Jane's World Aircraft recognition Handbook, page 460. Jane's Publishing, 1983. ISBN 0 7106 0202 2
  3. ^ Federal Aviation Administration (2001年2月). “TYPE CERTIFICATE DATA SHEET NO. 1A16 Revision 24”. 2008年8月20日閲覧。